ホームズ連盟の冒険 北原尚彦

●ホームズ連盟の冒険 北原尚彦

 前作「ホームズの事件簿」の続編。今回もホームズ物語の脇役たちが主人公となる6編からなる短編集。

 

「犯罪王の誕生」モリアーティ教授

〜モリアーティ教授が大学をクビになると同時に犯罪王となるきっかけの事件


「蒼ざめた双子の少女」メアリ・ワトスン夫人

〜ワトスン夫人が友人の子供たちの身に起きた事件を解決する


アメリカからの依頼人」少年給仕ビリー

〜ビリー少年がホームズの留守に出迎えた男の正体は…


ディオゲネス・クラブ最大の危機」マイクロフト・ホームズ

〜マイクロフトの所属するディオゲネスクラブに女性の入会希望者が現れ…

 

「R夫人暗殺計画」副官モラン大佐

〜「空家の事件」でお馴染みのモラン大佐が空気銃を使用するきっかけになった事件


「ワトスンになりそこねた男」医学助手スタンフォード

〜ホームズとワトスンを引き合わせた男の物語

 

 前作の続編であり、本作も十分楽しめた。中の4編〜夫人、ビリー、マイクロフト、モラン大佐〜については、いかにも彼ら彼女らの周辺で起こりそうな出来事だし、モリアーティとスタンフォードについては、原作の前日譚とも言える話になっている。

 前作と同様、原作を知る人間をニヤリとさせるエピソードが含まれていたりする一方で、推理小説としてもしっかりと体裁が整っている。ワトスン夫人の話はほんわかとさせられるし、マイクロフトの話はクリスティの夫婦探偵モノに出て来たような話で懐かしかった。

 いずれの話もレベルが高く、さすがに北原尚彦さんの作品だと思わせる。