ブラック・レイン

●445 ブラック・レイン 1989

 ニューヨーク警察の刑事ニックは離婚し子供の養育費など金に不自由していた。ある日以前の捜査での横領を疑われ、内務調査の尋問を受けることになったが彼は横領を否定する。同僚のチャーリーとレストランでランチをしていると、その店に日本人が押し入り客の日本人から小箱を奪い殺害し逃亡する。ニックはチャーリーとともに男を追跡、なんとか逮捕する。

 ニックが署に戻ると男は日本へ移送されることが決まっていた。さらにニックはチャーリーとともに男を護送する役割を命じられる。飛行機で男を護送、空港で機内に乗り込んできた警官に男を引き渡すが、直後に本物の警官が現れたことで、ニックは偽の警官に男を引き渡したことに気づくが、時すでに遅し。

 ニックとチャーリーは大阪府警に連れて行かれる。男はヤクザの佐藤であり、日本の警察が目をつけていた犯罪者だった。ニックたちは大橋警視に男を逃亡させたことを非難され拳銃を奪われる。ニックは捜査に加えて欲しいと頼むが拒否され帰国するように言われる。ニックはそれを拒み、松本警部補を着けることで滞在を許される。

 ニックと松本は殺人事件のあったクラブへ。そこで殺されていたのは、空港で佐藤を奪ったニセ警官の一人だった。ニックは店で外国人女性のジョイスと知り合い協力を求める。店からの帰り、ニックたちは歩きでホテルへ向かうが、暴走族たちに囲まれる。彼らは何もせずに去っていく。

 翌日佐藤のアジトの情報を入手した警察とともにニックたちも現場へ。そこにはやはり空港で佐藤を奪ったニセ警官もいた。ニックは現場で100ドル札を盗む。それを見ていた松本はニックを非難するが、ニックはそれが偽札であったことを教える。

 夜、ニックたちは殺人のあった店で酒を飲んでいた。監視していた松本を呼び、一緒に酒を飲むことに。その場でニックと松本はお互いの意見をぶつけ合う。間を取り成したチャーリーは松本とともに歌う。店からの帰り、ニックたちはまたも暴走族に囲まれる。チャーリーはコートを奪われたため怒り、彼らを追う。しかし族の中には佐藤がおり、佐藤はチャーリーを刀で殺し逃げていく。

 気落ちしたニックはジョイスの家へ。そこへ松本が現れチャーリーの遺品を渡すが、中には拳銃も入っていた。ニックは松本とともに佐藤のアジトへもう一度行く。そこでスパンコールを見つける。殺人のあった店にいた女が身につけていたものだった。二人は女を見張る。女は銀行の貸金庫から偽札を取り出し、銀行を出たところで別の男に渡す。それを目撃していた二人は男の後を追う。男は製鉄工場へ。そこでは佐藤が元親分の菅井と取引をしていた。ニックは佐藤を追う。佐藤の部下は射殺するが、佐藤は取り逃がしてしまう。そこへ大橋警視がやってきて、ニックを強制帰国させる。

 飛行機に乗り込んだニックだったが、荷物倉庫から逃げ出し松本の家へ。彼に協力を求めるが停職処分を受けており、協力を拒む。仕方なくニックはジョイスに協力を求め、菅井に会えるというゴルフ練習場を教えてもらう。そこへ行ったニックは偽札を見せ菅井と面会できることに。ニックは菅井にチャーリーの仇を取るために佐藤を殺したいと話し、菅井は了承。

 菅井はニックを親分たちと佐藤が集まる場所へ案内し、ショットガンを渡す。親分たちと佐藤が集まり、佐藤が偽札の原板を差し出すことで菅井と盃を交わすことになるが、佐藤は密かに部下たちを待機させており、親分たちを殺すつもりだった。ニックは松本とともに現場に踏み込み佐藤を追い、彼をついに逮捕する。

 警察へ佐藤を連れて行き、ニックと松本は表彰される。帰国するニックを見送りに来た松本はニックからプレゼントをもらう。それは現場から紛失していた偽札の原板だった。

 

 松田優作の遺作であり、彼がガンであることを隠し撮影を続行した作品。異常者ととも思える「佐藤」を演じた松田優作の凄さが見事。もし彼が病魔に襲われなかったら、と思わずにはいられない。健さん健さんらしい役どころで申し分ない。ハリウッドでどのように評価されたかわからないが、この二人を知る日本人ならこの映画に対する評価は高いのではないか。

 ストーリーはハリウッドらしいハチャメチャさだが(笑 、相棒を殺されたニックの強引な捜査はらしいと言えばとてもハリウッドらしくて良い。日本人俳優も多く出演しているが、日本映画では考えられないようなキャスティングであるのも一興。内田裕也、安岡力也、ガッツ石松島木譲二など、彼らがハリウッドが考える「日本人ヤクザ」らしい人物なんだろうなぁ(笑