封印作品の謎2 安藤健二

封印作品の謎2 安藤健二

 前作「封印作品の謎」が面白かったので、第二弾を読んでみた。前作が抗議により封印(もしくは自主規制)された作品がほとんどだったのに対し、本作ではそれとは異なる理由で封印された作品が多い。

 

キャンディ・キャンディ

〜原作者と漫画家間での裁判

 

ジャングル黒べえ

〜黒人差別抗議による自主規制?

 

・おばけのQ太郎

藤子不二雄コンビ解消による余波?

 

・サンダーマスク

著作権管理をする会社の問題?

 

 まず驚かされたのは、「キャンディ・キャンディ」「ジャングル黒べえ」「おばQ」といった自分が子供の頃に見ていた作品が封印されている事実。正直全く知らなかった。カミさんに話をしたら、「キャンディ・キャンディ」については大好きな作品だったらしく、封印されている事情も知っていた。

 次に驚かされたのは、それぞれの作品が封印されるに至った経緯。唯一わからなくはないのは「おばQ」ぐらいか。コンビ解消となれば、合作扱いの作品については世に出したくないという理由もうなづける。しかし残り3作品については、驚かされるばかり。

 ファンではないので声だかに叫びたいわけではないが、「キャンディ」の理由についてはファン度外視だと言われても仕方ないだろうし、「黒べえ」についてはたった親子3人組の抗議が発端となり出版社側がビビってしまっただけと思える。「サンダーマスク」(この作品は名前すら知らなかったが 笑)に至っては、当時の著作権管理のずさんさと当該会社の対応に呆れるばかり。『あの』有名な会社の前身となる会社なのに。

 

 前作に比べると、封印理由が完全に判明されてわけではないので、モヤモヤは残るが、その分著者による取材が相当深いところまでされたことがわかり、ドキュメント作品を読んでいる感がスゴかった。

 読了後、ネットで調べたところ、「黒べえ」「おばQ」については復刻されていることを知った。当時自主規制した側の努力が垣間見られ、過去の有名作品が守られていることがわかり、嬉しくなった。