黄昏

●447 黄昏 1952

 ミズーリ州コロンビアシティに住んでいたキャリーは姉が住むシカゴへ記者で向かう。旅の途中でチャーリーと出会い名刺を渡されるが、軽薄な彼をキャリーは苦手にする。シカゴに着き姉夫婦の家で暮らし始めるが、家には食費を納めなくてはならず、勤め先の裁縫工場にも馴染めなかった。ある日キャリーは仕事中に怪我をしてしまいクビになってしまう。

 困ったキャリーは名刺を元にチャーリーの仕事場を訪ねる。事情を話すと彼はお金をくれ服を買うように話し、夕食をフィッツジェラルドで奢ろうと誘ってくる。家に帰ると工場をクビになったことが姉にバレており、実家に帰るように言われる。

 フィッツジェラルドへ行ったキャリーは店に入る際に支配人ジョージに優しくしてもらう。彼女はチャーリーにお金を返すつもりだったが、一緒を食事をすることに。そしてチャーリーの言葉に乗せられ彼の家へ行くことに。彼は明日から出張だから家にいても良いと言いキスをして去って行く。チャーリーの出張は嘘でホテルに泊まることに。

 チャーリーの家で暮らし始めたキャリーは隣の家の娘に噂を立てられていることを聞く。彼女はチャーリーに結婚を迫るが上手くはぐらかされてしまう。チャーリーがジョージを家に連れてくる。一緒にカードゲームをしたチャーリーは、自分の出張中にキャリーがさみしい思いをしないように、ジョージに一緒に劇場などに行くように勧める。

 ジョージは家族持ちだったが、妻との間は冷え切っていた。ジョージとキャリーは一緒に「椿姫」を見に行き、ジョージは愛の告白をするが、キャリーはもっと早く会いたかったとだけ答える。ジョージは明日も会いたいと話すが、明日はチャーリーが出張から帰ってくる日だった。

 ジョージが店に戻るとオーナーが彼の私生活を注意する。そして自分の金を店の金庫にしまう。ジョージは鉄道事故があったことを知り、明日午前中に会いたいという手紙をキャリーへ届ける。

 翌日チャーリーは出張から帰ってくる。ジョージと会ったキャリーは昼食をフィッツジェラルドですることになっていると話す。ジョージとキャリーはお互いの気持ちを確かめ合い別れる。店でキャリーはチャーリーからジョージが妻子持ちであることを告げられ、店から飛び出してしまう。

 その店へジョージの妻がやってきて、彼に浮気をしているところを目撃したと告げる。ジョージは離婚してくれと頼むが妻は聞き入れなかった。ジョージは馬車で待つキャリーとも話すが、彼女は二度と会いたくないと言って去って行く。彼はチャーリーからもキャリーを弄ぶなと非難されてしまう。

 呆然としつつジョージは店の金を管理をしている際に、誤ってオーナーが金庫にしまった金を取り出したまま金庫を閉めてしまう。家に帰ったジョージをオーナーが待っており、女遊びをやめない限り、給与は奥さんに直接支払うと宣言されてしまう。

 ジョージはキャリーの家へ行くがキャリーは会おうとしなかった。チャーリーが怪我をしたと嘘をつき彼女を連れ出し汽車に乗る。そして本当のことを話し、妻と離婚したのでニューヨークで新しい生活をしようとキャリーを誘い、彼女も同意する。

 二人はホテルで新しい生活を始めるが、そこへ保険会社の人間が現れ、オーナーの金を返すように迫る。ジョージは全財産を渡し一文無しになってしまう。二人は貧しいアパート暮らしを始め、ジョージもレストランで働き始めるが、前の店での噂が広まっておりクビになってしまう。ジョージはお金を稼いで裕福な暮らしをしようと話すが、キャリーは過去を引きずらないでと話す。

 そんな中キャリーが妊娠する。ジョージは新しい職を探す。ある日家にジョージの妻が弁護士とともにやってくる。共同名義で買った家を売るためにジョージのサインが必要になったためだった。しかしキャリーはジョージが離婚をしていないことを知りショックを受ける。ジョージは離婚してくれるならば無条件でサインすると話す。

 キャリーは流産してしまうが、生きていかなければと話す。彼女は舞台女優のオーディションを受け合格、働き始める。ある日ジョージは新聞で自分の息子が結婚したことを知る。キャリーはジョージに会いに行くように勧める。ジョージは息子に会いに行くが、とても会える状態ではないことを知りそっと帰ってくる。しかし家にキャリーはいなかった。彼女は息子さんと幸せに暮らしてと手紙を残し姿を消していた。

 キャリーは舞台女優として成功して行く。ある日楽屋にチャーリーが訪ねてくる。そいてジョージが泥棒扱いされていたことを知り、すべての事情を理解する。キャリーは一緒に暮らした家を訪ねるが既にジョージはいなくなっていた。その頃ジョージは安宿にいたが、病気を患っていた。ジョージはキャリーが出演している楽屋口へ行き彼女と会い、お金を恵んで欲しいと頼む。驚いたキャリーはジョージのためにお金や食事を用意しようとするが、キャリーが席を外した間にジョージはそっと去って行った。

 

 古典的な悲劇映画の名作。悲しい結末で終わる恋愛映画のお手本の一つ、かな。

 偶然知り合った主人公の男女が、いろいろとあったが一緒に現場から抜け出す前半。一緒になっての幸せな時間は、映画の上ではほんの数分で、ホテルに保険会社の人間が来て、ジョージが無一文になり転落が始まる後半。ジョージのプライドの高さが悲劇を生んだようにも思えるが、フィッツジェラルドにあった特殊な金庫(時間が来ないと開けられないという代物)がすべての原因では(笑

 しかしラストまで一気に見せる悲劇的な展開は、後の日本の昼ドラのお手本みたい。

 監督ワイラー、主人公オリビエとジョーンズ、とこれだけのスターが揃えば傑作ができて当然なのかも。何も知らないで観たので、キャリー役のジェニファー・ジョーンズが「慕情」の主人公だったことに最後まで気づかなかったけど、やっぱり美人だ。