書店ガール 碧野圭

●書店ガール 碧野圭

 ペガサス書房吉祥寺店に勤める正社員の理子と亜紀。アラフォーで独身、副店長の理子と新婚で27歳の亜紀は何かにつけ仕事上で反発しあっている。

 亜紀の結婚式シーンから小説はスタート、亜紀は、昔の彼氏の噂から理子にお祝いを突きかえしたり、仕事上の提案を理子に受け入れてもらえなかったり。一方新婚生活でありなあらパートナーに疑問を持ち始めたりする。そんな中、吉祥寺店の店長に理子が昇格することになるが、その裏にはお店の閉店に絡む思惑があった。店の継続を願う理子に亜紀が同調、二人は店継続のために売り上げアップのために奔走し始める…

 

 「菜の花食堂」シリーズが面白かったので、同じ作家さんの本を探していたが、ドラマ化までされた人気シリーズということで選んだ一冊。推理小説でもなく、時代小説でもない現代物の小説を読むのは、向田邦子さんのもの以来かも。

 女性のバディものというちょっと珍しい設定だが、最後は協力しあって問題を解決するというバディものの王道とも言える。読んでいて感じたのは、展開の上手さ。主人公2人をこれでもかというぐらいに反発させておき、一方でそれぞれが抱えるパートナーに対して悩み(理子はフラれており、亜紀も新婚でありながら夫の言動に不信を持ち始めている)を描く。そして物語中盤で、理子が店長に昇格という新展開かも思いきや、理子の父が倒れ、店の閉店騒ぎも勃発。店のピンチに二人が手を結び?一気に終盤へ向かっていく。

 まるで映像化を狙ったかのような展開。ドラマは見ていないが、これだけしっかりとした原作ならばドラマ化も難しくなかっただろうと思ってwikiを読んだら、登場人物などの設定を相当いじっているらしく、ドラマは見る気がなくなってしまった(笑 映画でも良さそうだが、女性のバディものをいきなり映画化するのは冒険なのだろうなぁ。

 シリーズはこの先も続くようだが、店を変えての展開はちょっとなぁ。少し間を置いて時間があったら続編を読んでみようかと思う。