グッドモーニング,ベトナム

●460 グッドモーニング,ベトナム 1987

 1965年サイゴンの米軍ラジオ局にクロンナウアーはDJとして呼ばれる。彼は卓越したしゃべりと規制無視の話題と選曲で人気者となる。しかし彼の上司たちはそれを快く思っていなかった。

 彼は同僚ガーリックとともに街へ出る。そこで見かけた若い女性トリンに一目惚れし彼女のあとを追う。彼女が英語学校に入るのを見ると教師と交渉し、自ら教師役を買って出ることに。彼はそこでもジョークを飛ばし生徒たちに人気になる。授業後トリンを追いかけようとするが、トリンの弟ツアンが彼を止める。彼はツアンと食事をしGIバーに連れて行く。しかし現地人をバカにするアメリカ人はツアンをバカにし店から出て行くように言う。クロンナウアーはそのアメリカ人と喧嘩することに。彼はそのことで上司から大目玉を食らうが、気にせず今まで通りDJと英語教室の教師をしていた。

 彼はトリンとデートすることになるが、デートには彼女の親族が大勢付いてきた。

 ある日クロンナウアーはGIバーで飲んでいるとツアンが姉がデートをしたがっていると呼び出しに来る。彼が急いで店を出ると店は爆破される。局に戻った彼は店の爆破事故を話そうとするが上司に止められる。しかし放送で彼はそれを喋ってしまう。それが原因で彼はDJをクビになる。落ち込んでいるクロンナウアーをツアンが心配し自分の村へ連れて行く。そこで彼はベトナムの生活を目の当たりにする。そしてトリンから一緒にいることはできないと告げられる。

 クロンナウアーの後任のDJは上司がやっていたがつまらないため兵士たちからクロンナウアーを復帰させろという声が上がる。局の責任者は彼の復帰を命じる。彼は規制がかかるDJの仕事に復帰するつもりはなかった。しかし前線へ向かう兵士たちと会話することで彼はDJに復帰することを決意する。

 クロンナウアーは前線の取材をしようと考える。しかしそこへ至る道はベトコンたちの支配地域だった。彼の上司はそれを知った上で彼の取材の許可を出す。案の定彼はベトコンたちに襲われる。一緒だったガーリックとともなんとか逃げ延びジャングルの中を歩いていた。英語教室にこない彼を心配したツアンが彼の居場所を軍関係者に尋ね、彼は車で彼を救いに行く。ツアンとクロンナウアーたちは合流できたが、ツアンの車が故障、それでも彼らは軍のヘリに助け出される。

 しかし局に戻った彼は本土への送還指示を出される。ツアンがテロ組織の一員であることが判明したためだった。それを知った彼はトリンに会いに行きツアンの居場所を聞き出す。彼に会いに行ったクロンナウアーはツアンに騙されていたことを非難するが、彼は自分の家族や知人たちが米軍のせいで死んでしまったことを告げる。

 アメリカに帰る日、クロンナウアーは英語教室の生徒たちにソフトボールを教える。そこへトリンがお別れを告げにやってくる。彼女と別れた彼は飛行機へ。ガーリックに最後のテープを渡し去って行く。

 

 こんな戦争映画があったなんて、本当に驚いた。戦場の悲惨さを描くわけでもなく、銃や爆弾などのシーンがあるわけでもない。しかし戦争が引き起こす悲劇をしっかりと見せてくれている。特にDJに復帰したクロンナウアーが流すサッチモの曲に合わせたシーンが印象的。あれはズルい(笑

 このDJは実在の人物だったそうで、映画のストーリーも本人の体験談らしい。彼が全面的な好人物でもなく、彼も現地で初めて戦争の悲劇を体験した、というのも良い。そしてロビン・ウィリアムズ。英語が聞き取れないのが悔しいと思う映画はそんなにないが、これはまさにそんな一本。しかし意味はわからなくても、その軽快な喋りは本当に楽しそうだった。