●書店ガール2 碧野圭
前作の続編。前作ラストで店存続のために力を合わせ頑張った理子と亜紀だったが、残念ながらペガサス書店は閉店となり、二人は一緒に新興堂書店吉祥寺店へ転職する。
新興堂書店は福岡に本店を持つ書店で、理子は店長となり、亜紀は文芸部門を担当することに。亜紀の推薦した本が本屋大賞に選ばれるなどあきは活躍を見せ始めるが、直後亜紀の妊娠が発覚。妊婦である亜紀は仕事中に妊婦らしからぬ行動を取り、夫伸光を心配させる。その伸光も担当していた雑誌で回収騒動が起こり部署異動となってしまう。理子は本店から異動して来た副店長田代と良い仲になって行くが…。
新天地で頑張る二人だったが、いきなり亜紀の妊娠が発覚し続編はスタートする。中盤までは妊婦となった亜紀が仕事と家庭の両立問題で様々なことに気づいて行く。母親として仕事を続けて行くことの難しさにも直面。本の中で語られる妊婦さんや母親が仕事を続けて行くことの難しさはリアル。うちも20年以上前に娘が生まれたが、その時とも状況が変わっていることを知り愕然とする。
亜紀の夫の部署異動。落ち込む夫だったが、旅行先で書店が仕掛けたイベントに参加し、本作りの意義を見出して行くことに。こちらは泣かせるエピソード。本作りの意義が語られその通りだと実感する。このことがラストのイベントにも関係していく。
理子は店長として田代のサポートも受けながら仕事をこなして行く。元の会社に比べ仕事はしやすく順調だったが、書店を待ち構える状況は悪化して行く。ペガサス書店で同僚だった女性が新興堂書店の側の別の書店に勤めていたが、彼女の店が閉店し彼女も書店員を辞めると聞いた理子は、あるイベントを仕掛けようと奮闘し始める。
そのイベントは「50年後にも残したい本」のフェア。「私をスキーに連れてって」のページでも書いたが、これは本だけでなく、映画にも通じる話。本好き、映画好きの私にとっては非常に重いテーマ。
ラストのイベントはあれよあれよという間に成功へと進んでいくのが、ちょっと物足りなかったか。しかし前作が残念な結末で終わってしまったのに対し、本作は一応めでたしめでたし、の結末だから良いのか。その分、田代との淡い恋は悲しい結末を迎えてしまうが。
前作に続き、見事にドラマや映画に向いた一冊だったと思う。アイドルなど使わず、変な脚色も抜いてドラマ化すれば、日曜9時のTBSを狙えそうなシリーズなのになぁ。女性が主人公ではダメなのかしら。