5分で読める!ひと駅ストーリー 乗車編

●5分で読める!ひと駅ストーリー 乗車編 このミス編集部編

 このミス大賞受賞者など25名の作家が描くショートショートミステリのアンソロジー

 設定として、ひと駅間での出来事、原稿用紙10〜12枚、という条件があるようで、サクッと読める手軽さはあるが、物語の内容や展開が似てきてしまうという点と短いためにそこまでの驚きや感動はない点なのが残念なところか。

 それでも、「浮いている男」は面白かった。SFもありのショートショートなので、そっち系と思える展開だったが、見事なオチで笑わせてもらった。他にも「ダイヤモンド」はショートショートならではの爽やかがあったし、「地下鉄異臭事件の顛末」はオチが予想できたもののほっこりとするラストで良かった。

 原稿用紙の枚数をもう少し増やすか、ひと駅間での出来事という条件を緩くすれば、もう少し読み応えのあるアンソロジーとなったと思われるが、そこは仕方なしか。