ブリット

●484 ブリット 1968

 男が事務所で襲われる。男は兄と思われる人物の手助けでなんとか逃げ延びる。兄は電話で弟を逃したと組織に報告、組織は償ってもらうと話す。男はホテルで手紙を確認したり、電話をかけたりする。

 サンフランシスコ市警の刑事ブリットは、上院議員チャルマースからの依頼で、裁判の証言者となるロスの護衛を依頼される。ブリットは同僚2人と組み、ホテルの一室にいるロスの警護に当たる。しかしブリットが現場から離れている間に、殺し屋がロスの部屋を訪問、ロスと部屋にいた刑事を撃ってしまう。

 知らせを聞いたブリットはホテルへ。なぜドアが開いたのかを撃たれた刑事に聞くとロス本人がドアの鍵を開けたとのこと。ブリットはロスの行動に疑問を持つ。ロスと撃たれた刑事は病院で治療を受け、ブリットも同行する。チャルマースは病院まで来てブリットの失態を非難する。

 夜病院に殺し屋が現れる。ブリットは警戒、殺し屋はそれに気づき逃亡、ブリットは追うが取り逃がしてしまう。ロスの状態が急変、医者が手を尽くすが死んでしまう。ブリットは医者にロスの死を隠すように依頼する。

 翌日チャルマースが病院に来てロスと面会しようとするが、ロスはどこにもいなかった。チャルマースはロスとブリットを探し始める。

 一方ブリットは事件のあったホテルへ。フロントの人間から殺し屋の風貌とロスがホテルへ来た時のタクシー会社を聞き出す。タクシー会社で運転手を見つけ、ロスの行動を聞く。ブリットは情報屋にロスの情報を仕入れるように依頼する。

 チャルマースはブリットの上司に圧力をかけるが、上司はブリットの味方だった。

 ブリットは情報屋からロスが組織の金を持ち逃げしたことを聞く。その時ブリットは自分をつけている車があることに気づく。そしてサンフランシスコの坂道でのカーチャエイスが始まる。ブリットは尾行していた車を追い詰めると、中から発砲して来た。それはロスを撃った銃と同じものだった。尾行していた車は建物に突っ込み炎上、中の二人は死亡する。

 署に戻ったブリットは上司から事件の手がかりがなくなったと言われるが、ロスが殺される9時間前にかけた電話相手を示す。上司はブリットに捜査を続行するように話す。ブリットは電話相手をホテルに尋ねるが、そこでは女性が殺されていた。ブリットは女性の荷物を調べる。男物の服や高額の小切手があり、パスポートや切符はなかった。そして持ち主の名前がレニックだと知る。ブリットはレニックの写真を取り寄せるように指示。

 チャルマースや上司がいる中でレニックの写真が届く。チャルマースはそれをロスだというが、その写真はレニックのものだった。ブリットは撃たれたロスは偽物で、本物のロスは金を持ち逃亡しようとしている、それに使うのはレニック夫妻が使う予定だったローマ行きの飛行機のチケットだと考える。

 ブリットは空港へ。ローマ行きの便の乗客のパスポートチェックをするように依頼。チャルマースも空港に駆けつけ、ブリットに証言のためにロスを渡してほしいと頼まれるが、ブリットは断る。ゲートで待つがロスは現れない。ブリットはロスが他の便へ乗り換えたと考え調査を依頼。ロスはロンドン行きの便へ変更していた。その便の出発を押さえ、飛行機に乗り込むブリット。それに気づいたロスは飛行機から滑走路へ逃げる。ブリットが追うがロスは空港内に逃げ込む。人々が大勢いる中、ブリットはロスを探す。切符チェックをされそうになったロスは警備員を撃ち逃げようとするが、ブリットが射殺する。ブリットは恋人の待つ家へ戻る。

 

 マックィーンは代表作の一つ。今見ても全く色褪せないカッコ良さ。ハードボイルド的なカッコ良さというか、映画そのものが本当に渋くカッコ良い。冒頭オープニングでのBGM、出演者ロール、カメラワークの斬新さ。カメラワークは本編でも独特の動きを見せる一方で、BGMは本当に必要な場面でのみ使われる。単なる刑事物というだけでなく、恋人との関わりもさりげなく描かれるが、そこに甘さはない。

 この映画の代名詞である中盤の坂道カーチェイスも、CG全盛の現代でも十分通用する凄さがある。10分間ノンストップのカーチェイスの迫力。最後は犯人たちが炎上してしまうのも仕方ないほどの迫力だった。

 そして終盤に待ち受ける意外などんでん返し。映画の中では詳しく語られないが、証言者のすり替わりは、上院議員の企みだったのだろう。それで伏線が全て回収できる。

 

 子供の頃に観た記憶のある一本だったが、記憶に残っていたのは坂道カーチェイスのみ。こんなに良い映画だったとは。映画は観るべき年齢で観なくちゃいけない、ということだと改めて思う。