テルマエ・ロマエ

●488 テルマエ・ロマエ 2012

 古代ローマテルマエ設計士ルシウスは、新しいテルマエの設計のことで悩んでいた。ある時彼は突然現代の日本の銭湯へタイムスリップしてしまう。日本の銭湯の文化に驚く彼だったが、その後も日本の家庭風呂や浴室設備のショールームなどにタイムスリップし、日本の風呂文化を吸収、古代ローマでその模倣をし、名声を得ていく。そして皇帝ハドリアヌスと面会し、彼の要請でテルマエを作ることに。

 一方、現代日本に来たルシウスを何度か見かけた漫画家志望の真実は、漫画家となる力がないことを自覚、ショールームもクビになり、実家である温泉に帰ることに。陰線の常連客たちにルシウスのことを話すと、彼が古代ローマ人であることがわかり、真実はラテン語古代ローマについて勉強を始める。そこへルシウスがまたタイムスリップして来て、二人は再会、そして真実はルシウスとともに古代ローマへタイムスリップしてしまう。

 ルシウスは皇帝からの命で、次期皇帝ケイオニウスのためにテルマエを作ることになっていたが、彼の人柄が気に入らず、皇帝にテルマエの設計から降りると告げる。その頃皇帝とローマ軍は属州との戦いで疲弊していた。

 ルシウスは真実から史実と異なる方向に歴史が動いていることを聞かされ、属州との戦いで疲れた兵を癒すために戦場にテルマエを作ることを提案、実現させる。ルシウスと真実がテルマエを作っている現場に、温泉の常連客たちもタイムスリップしてくる。一緒にテルマエを作り、ローマ軍の廃止たちを癒した結果、ローマは属州との戦いに勝つことができた。

 真実や常連客たちは日本へ戻ってくるが、そこへまたルシウスがやってくる…

 

 前に観た記憶もあるが、その時はチラ見だったようだ。バカバカしいコメディだと思っていたが、今回観て意外にちゃんとした映画になっていて驚いた。

 前半のコメディパートは大笑い。阿部ちゃん演じる古代ローマ人が、現代の日本の風呂文化に驚く様が本当にオカシイ。阿部ちゃんのコメディアンぶりが存分に発揮されている。TRICKの阿部ちゃんを彷彿とさせる。

 オペラ歌手のパートも笑わせてくれる。阿部ちゃんのタイムスリップを象徴しているかと思えば、音楽が流れているのにイスで休んでいたり。極め付けは、タイムスリップする人が人形となり水に巻き込まれていくシーン。それまでの阿部ちゃんの熱演はどうなっちゃうのさ(笑

 一転、後半はシリアスパートとなる。命を捨てる覚悟で皇帝に会いにいく阿部ちゃんを上戸彩が止めるシーンでの阿部ちゃんのセリフが泣かせる。

 『自分を大事にしているから行くんだ。己を殺してまで生きたくはない。』

 下町ロケットなどでの阿部ちゃんの熱い演技を彷彿とさせる。

 その後も上戸彩との別れのシーンやラストの皇帝の演説など、前半で笑った分、後半のシリアスシーンは泣けてくる。

 

 前半後半での振り幅も良いし、何より気楽に観ていられるのが最高。続編もあるようなので早速観てみたい。