●5分でドキッとする!意外な恋の物語 このミス編集部編
『宝島社のショートショートシリーズから恋にまつわる物語を厳選』ということらしい。25編のショートショート短編集。
前に読んだ「5分で読める!ひと駅ストーリー 乗車編」が意外につまらなかった理由はそちらのブログに書いた通り。本作は、同じシリーズの中から「恋」にまつわるものを厳選しているので、先のものと違い様々なタイプの小説があり十分楽しめた。
25編もあるので全ては紹介できないので、面白かったものをいくつか。
「緊急下車」は意外な展開。同じ車両に乗った見知らぬ人間に話しかけるという状況がちょっといただけないが、それに見合っただけの結末が待っている。
「地下鉄異臭事件の顛末」は先のブログでも書いた通り。面白かったから厳選されたのね。
「猫を殺すことの残酷さについて」は見事なミステリ。一見平凡な話で終わるのかと思いきや、ちょっと怖い話になってしまった。目薬が出てきたところで不思議に思ったけど。
「二本早い電車で。」は切ない展開。しかし結末で救いがある。
「五十六」は本作の中でベストかな。ショートショートでありながら、見事に泣ける話になっている。しかし百人一首がそんな並びで出来ていたとは。
「夏の終わりに」はあまり読まないSFの部類といっていいのだろうか。不思議な読後感。ショートショートであることを逆手に取ったとも言えるかも。
「しろくまは愛の味」は最初オチがよくわからなかった。でも韓国料理屋であることに気づけば…。なるほどね。
「一年後の夏」は設定が見事。この設定は長編小説などに使えそう。ってもしかして既にそんな小説があったりするんだろうか。
先の「5分で読める」シリーズより、こちらの「5分で〜」シリーズの方が純粋に楽しめそう。もう少し読んでみよう。