猫語の教科書 ポール・ギャリコ

●猫語の教科書 ポール・ギャリコ

 編集者の元に届いた暗号のようなの原稿。ポール・ギャリコは解読し、それが猫による猫のためのマニュアル本だと知る。彼による翻訳文。

 内容は、雌猫によりすべての猫のために書かれた「人間のしつけ方」や「人間の家の乗っ取り方」が19章に渡り描かれている。

 

 先日読んだ「古書カフェすみれ屋と本のソムリエ 里見蘭」の中で扱われていた一冊。早速読んでみた。

 猫がいかに人間の家を乗っ取るか、そして家の人間たちを支配していくか、が猫目線で書かれていて、本当に面白い。近所のノラ猫を最近よく見かけるので、ちょっと遊んだりするが、本作の中の「声を出さないニューオ」を時々されるとエサでも買ってきてあげたくなってしまう。あれが猫の狙いだったとは(笑

 人間支配の方法論もさることながら、雌猫目線による人間〜男性、女性、子供、独身者〜の分析も鋭い。人間は猫よりも弱く愚かで、そして孤独であるらしい(笑 著者が男性のためだろうが、雌猫目線の人間の女性に対する分析は痛烈。もちろん男性に対してもそうであるが。

 著者のギャリコはあの「ポセイドンアドベンチャー」の原作者だと初めて知った。あんなパニック作品を書く一方で、こんな面白い作品も書けるとは。しかも本作が書かれたのは1964年。60年近く前から、人間は猫に乗っ取られていたのね(笑