レナードの朝

●493 レナードの朝 1990

 少年たちが遊んでいた。一人の少年レナードはベンチに自分の名前を切り刻む。しかしレナードは右手に違和感を覚える。学校で文字を書いていた時、右腕が効かなくなっていることに気づく。

 1969年、セイヤー医師がブロンクスの病院に仕事を求めやってくる。彼は研究専門だったが、求められていたのは臨床医だった。しかし人手不足の病院は彼を採用する。

 病院は慢性障害を持つ患者ばかりで、動きもせず反応もしなかった。セイヤーはルーシーという女性患者の担当となるが、ある時彼女が反射の動きを見せる。セイヤーは彼女が意思を持っていることに気づき試行錯誤を始める。

 セイヤーは患者の一人レナードにも注目する。そして彼と相対している間に、彼らが過去脳炎を患ったことを知る。セイヤーは他の患者たちも意思を持っていることに気づく。彼はレナードにパーキンソン病の新たな治療薬を使用することに。最初は効果がなかったが、薬の量を増やすことでレナードが劇的に回復する。セイヤーはレナードを街に連れていく。30年眠り続けていたレナードは外の世界を喜ぶ。

 レナードは他の患者すべてに新薬を与えることを上司に相談するが、高額のため上司は却下する。レナードが寄付を募るように話すと同僚たちが上司の前に小切手を置いていく。レナードは支援者にスピーチをし、寄付を集めることに成功する。

 新薬を他の患者に与えた結果、皆も劇的に回復をする。患者の家族たちも喜ぶ。セイヤーたちは患者たちを街へ連れていくが、レナードは病院に残ると言い出す。彼は入院している父の見舞いに来ていたポーラが気になっていた。彼はポーラと話すことに。

 患者たちは長い眠りから目が覚め、現実を知ることになる。ある日セイヤーは一人で外出し散歩がしたいとセイヤーに相談、他の医師にも訴えるが、医師たちは責任が取れないことを理由に外出を認めなかった。レナードは認められなかったことに怒り始め、他の患者たちを巻き込み医師たちを訴え始める。しかしレナードは症状が悪化し始めてしまう。セイヤーとレナードは口論となり、レナードは彼を突き飛ばしてしまう。

 その夜セイヤーは娯楽室で動けなくなっているレナードを見つけ、共に治療をしようと話す。しかしレナードの症状は悪化していき、彼の母親が投薬の中止を求める。他の患者たちも徐々に元の姿に戻っていってしまう。セイヤーはレナードに対し行ったこと、一時的にしか回復できなかったことに対し後悔する。

 セイヤーはレナードの言葉を思い出し、看護師のエレノアをコーヒに誘う。

 

 有名な作品だが今回が初見。難病治療に取り組む話だが、実話であることに驚く。

 とにかくデニーロが圧巻。最初の全く動きを見せない症状、そして回復、後半の病状が悪化していく様など、レナードの症状の変化を見事に見せてくれる。特に後半の様子は本当の患者さんを見ているようで痛々しかった。それでもセイヤーにビデオを撮り続けるように叫ぶシーンは涙もの。

 医師のロビンウィリアムズも見事。「グッド・ウィル・ハンティング」での精神科医役も見事だったが、本作での医師役も全く遜色ない。弱さも持った医師役がこれほど見事に似合う俳優さんもいないのではないか。

 ストーリーのクライマックスはやはりレナードとポーラとダンスシーン。回復したレナードが母親と対面するシーンでも泣いてしまったが、このダンスシーンはそれを上回る。ハッピーエンドの映画ではないだけに、このシーンがあったことで救われる気がする。

 さすが名作。さすがデニーロとロビンウィリアムズ。