古書カフェすみれ屋と悩める書店員 里見蘭

●古書カフェすみれ屋と悩める書店員 里見蘭

 古書カフェすみれ屋は玉川すみれがオーナー、店の奥は古書店になっており店長は紙野頁。カフェに来た客の悩みを聞いた紙野がその客に一冊の本をオススメしながら、客の悩みを解決していく「古書カフェすみれ屋」シリーズの第2作。以下の4編からなる短編集。

 

「ほろ酔い姉さんの初恋」

 店の常連客知穂さんが自分のブログを通じて知り合った松下と実際に会い酒を共に飲むことに。松下に好意を抱いた知穂さんだったが、飲み会以降彼からの連絡は途切れていた。その理由を知りたがる知穂さんに紙野は「古典落語(上)」を勧める。

 

「書店員の本懐」

 紙野が以前勤めていた書店で一緒だった堺が店にやってくる。彼は後輩の日向の仕事ぶりに圧倒され書店員としての自信を失っていた。紙野は彼に「脳の右側で描け」を勧める。

 

「サンドイッチ・ラプソディ」

 すみれは常連客であり出版社編集長の明美から新たなメニューとしてホットドッグを作ることを提案され受け入れる。一方カフェへパンを納入してくれるパン屋の主人大泉から、パン屋の常連客飯山さんの家の老婦人富代さんが話す「ジョーさんのハンバーガー」について相談を受ける。悩むすみれに紙野は「これでおあいこ」を勧める。

 

「彼女の流儀で」

 常連客中村さんから彼の恋人楓さんのことを相談される。家族に引き合わせ祖父母に気に入ってもらえるように和食料理を楓さんに作ってもらう予定でいたが、当日になり楓さんは全く異なる料理を出した。その理由を尋ねる中村さんに、楓さんは理由がわからないならしばらく距離を置こうと言われ彼は悩んでしまう。紙野は中村さんに「台所のおと」を勧める。

 

 前作が面白く、早速小説の中で紙野が紹介した「猫語の教科書」を読んでしまった。ということでシリーズの第2作。展開は前作と同様、常連客の悩みを紙野が一冊の本を勧めることで解決していくパターン。

 そして前作同様、1話目で勧める話が有名なもので、本作では「長屋の花見」。落語好きなので当然知っていたが、小説の謎との繋がりは正直ピンとこなかった。しかし知穂とお酒を飲んだ松下の態度があまりに不自然でそこで気づいてしまった。一杯目にハイボールを頼んだ人間が二杯目にビールは頼まないよ、普通(笑 確かに一杯目にビールを頼めなかった理由もわかるけど。

 2話目は、本当の謎よりも、書店で聞かれた、漱石の『いいん』の謎の方が面白かった。なるほどね。4話目の謎解きも見事。謎そのものも良いし、勧める本の内容もマッチしているし。3話目だけが、ちょっと強引かな。紙野は本の知識だけでなく、料理の知識もスゴいということになってしまうので。

 

 実在の本と謎のリンクはやはり面白い。続編にも期待。