弁当屋さんのおもてなし 海薫るホッケフライと思い出ソース 喜多みどり

弁当屋さんのおもてなし 海薫るホッケフライと思い出ソース 喜多みどり

 恋人に二股をかけられた上でフラれ、その上札幌に異動となった千春。彼女は偶然見つけた弁当屋「くま弁」に立ち寄る。従業員ユウと会話をし、注文した弁当とは異なる弁当を食べた千春は元気を取り戻し、弁当屋の常連となる。弁当屋「くま弁」と千春にまつわる短編集、シリーズ第2作。以下の4編からなる。

 

「海薫るホッケフライ弁当」

 千春はくま弁で片倉という女性占い師と知り合う。ユウや黒川と飲んだ翌朝、千春は片倉から相談を受ける。相談とは思い出の弁当、ホッケフライ弁当についてだった。

 

「雪室じゃがいもと甘口カレー」

 千春はユウとのデートで食べた辛いカレーを克服しようとしていた。そんな時、店を気にする歩少年と出会う。彼と仲良くなる中、歩が母の日のために料理を頼もうとしていることを知る。歩は母親に嘘をついていることがあったのだった。

 

ジンギスカン騒動」

 くま弁の客、橘と佐倉が初めてのデートでケンカしてしまったことを千春は聞く。仲直りしたいと考える二人に、ユウはジンギスカンデートを提案する。

 

「姫竹花籠弁当」

 千春は高校時代の同級生このみと再会する。ユウの存在を知った彼女はくま弁に行きユウに対する不信感を口にする。彼女の態度に反感を持った千春だったが、彼女が忘れた携帯を届けに行き、彼女から弁当に対する思い、このみの思い出の弁当とそれを食べた場所について聞くことになる。

 

 前作に続く第2作。本作もくま弁と訪れる客が持つ悩みの相談に千春が乗っていく展開。思い出の弁当についていたソース、苦手な食べ物と好きな食べ物、性格が正反対な二人など、悩みの内容は様々だが、弁当を介してその悩みが解決されていく。

 最終話では、千春の同級生が登場。同級生の積極的な介入?により、千春とユウの仲が一気に進展する。

 前作でも書いたが、最終話は本当にベタな展開。ネットでは「少女漫画のよう」と評されているが、自分は武者小路実篤の悲劇に終わらないベタベタな恋愛小説を思い出した。

 「ちどり亭」のように料理の豆知識やその後の展開に対する伏線があるわけでもなく、下手な恋愛小説のようになってきてしまったが、気軽に読めるという点では申し分ない。主人公の恋も実ったことだし、これで次の展開はどうするんだろう、という不思議な期待を持って、次作も読んでみたい(笑