弁当屋さんのおもてなし ほっこり肉じゃがと母の味 喜多みどり

弁当屋さんのおもてなし ほっこり肉じゃがと母の味 喜多みどり

 恋人に二股をかけられた上でフラれ、その上札幌に異動となった千春。彼女は偶然見つけた弁当屋「くま弁」に立ち寄る。従業員ユウと会話をし、注文した弁当とは異なる弁当を食べた千春は元気を取り戻し、弁当屋の常連となる。弁当屋「くま弁」と千春にまつわる短編集、シリーズ第3作。以下の4編からなる。

 

弁当屋さんの夏休みとトウキビスープ」

 千春は芸術の森で黒川茜(アイドル白鳥あまね)と出会う。ユウとのことを聞かれるが、その茜がくま弁にやってきて、恋人に作るような弁当を3つ注文していく。翌日茜は弁当を2つ千春に渡し、ユウとデートするように話す。思いがけず千春はユウとデートすることになる。一方茜もユウの作った弁当の意味を理解し涙するのだった。

 

「夫婦の夢とミックス弁当」

 くま弁で金曜にいつもミックス弁当を注文する客を千春は「金曜日の人」と勝手に名付けていた。その彼と植物園で偶然に出会い、それ以降会話することに。彼は守田という名前だった。ある日守田の妻がくま弁にやってきて彼のことを尋ねる。彼は妻に内緒で弁当を買ってどこかで食べているらしく、高額の貯金も秘密裏に下ろしていた。そこへ守田がやってきて、妻は密かに夫の後を追う。千春はユウが妻のために作った弁当を持って追いかけることに。守田が隠していたこととは。

 

「姉の秘密と新米弁当」

 ショウヘイ(1巻参照)の知り合いの姉弟がくま弁にやってくる。姉南波美馬の司法試験合格のお祝いで弟一馬と北海道旅行に来ていた二人。一馬は姉のために北海道旅行の思い出に残る弁当を作って欲しいと頼む。ユウは複数の新米の入ったお弁当を作るが…


「お母さんの肉じゃが」

 千春の家に突然母親亜紀子がやって来て、ユウと会うことに。千春の暮らしぶりを心配する母親のために、千春は自分の手料理を振る舞うことにするが、ほぼ毎日くま弁の弁当を食べ自炊をしていなかった千春は料理を失敗してしまう。千春が取った行動は…

 

 シリーズ第3作。前作でめでたく付き合うことになった千春とユウだったが、あまりデートもできずにいた。第1章でそこに助け舟を出したのが、第1作で登場したアイドルであり、常連黒川の娘茜。茜のおかげで二人はめでたくデートをすることになる。

 第2、第3章はいつも通り、くま弁の客とのエピソード。どちらもいつも通り千春がちょっとおせっかいを焼くことで無事彼らの問題が解決する。

 最終第4章では、千春の母が札幌へ。ユウと会うことに。最終章では千春とユウの仲が進展するのが、このシリーズの定番のようだ(笑 前作でも書いたが、最終章はベタベタな展開であり。相変わらず読んでいるこちらが恥ずかしくなってしまうほど。

 

 親への紹介も済み、二人の仲は安心と思いきや、最後に千春の札幌異動に3年縛りがあったことが明かされる。千春が札幌に移動になって既に2年が経過していることになっている。この辺りが続編のキモになるか。あっさりと読めるシリーズだし、このまま続編も読んでみることになるでしょう(笑