素晴らしき哉、人生!

●515 素晴らしき哉、人生! 1946

 クリスマスイブ。天使たちが、地上のジョージを助けて欲しいという願いが届いていると話している。クラレンスという2級天使がジョージを救うために派遣されることになり、ジョージの人となりを見ることに。

 ジョージは子どもの頃、遊んでいた弟が池に落ちたのを救うために左耳が聞こえなくなった。またメアリーやバイレオレットという少女からモテており、アルバイト先の店で息子を亡くした店主が薬の調合を間違えたのを指摘する。

 成長したジョージは海外に行くこと、大学で勉強し大きな仕事をすることを夢見ていた。高校卒業のパーティでジョージはメアリーと再会、彼女とデートをするが、ジョージの父親が倒れてしまう。父の死後、街での有力者ポッターが父の営んできた住宅金融会社を潰そうと画策するが、ジョージの発言によりポッターが条件を出し、ジョージが社長になることで会社は潰れずに済む。しかしジョージは海外や大学に行くことを諦めなくてはいけなかった。代わりにジョージの弟ハリーが大学へ。

 ハリーが大学卒業をしたら家業をハリーに譲るつもりでいたジョージだったが、ハリーは結婚をして戻ってきて、奥さんの家業を継ぐことに。またもジョージは海外行きを諦めなくてはいけなくなる。しかし大学から戻ったメアリーと再会。メアリーは友人サムが惚れている相手であるため、ジョージはメアリーのことを諦めていたが、サムからの電話で決心、メアリーに愛の告白をし結婚することに。

 二人の結婚日当日、恐慌が始まり、ジョージの会社に住人たちが金の引き出しに押し寄せる。メアリーの機転でハネムーン用の資金2000ドルを使うことでその難を逃れる。二人は幸せな生活を始め、子供にも恵まれ、会社も成長をする。その影響でポッターの営む貸し家事業が傾き始める。ポッターはジョージを自分の会社に引き込もうとするが、失敗。

 第二次世界大戦が始まり、街の雰囲気は一変する。ジョージの弟ハリーは軍での活躍で名誉勲章を受けることに。クリスマスイブ、ハリーの帰還を祝う準備が町中で始まる。ジョージの叔父ビリーは会社の金8000ドルを銀行に預金しに行くが、途中で誤ってポッターに渡してしまい、紛失してしまう。ちょうど会社に査察が入り、8000ドルがないとジョージは捕まってしまうことに。

 絶望したジョージは家に帰り、妻や子供に当たり散らす。そして街へ出て行き、川に身を投げようとするが、そこにいたのはクラレンスだった。天使であることを明かしたクラレンスだったが、ジョージは信用せず、自分が生まれてこなかった方が良かったと話す。クラレンスはジョージが生まれてこなかった世界を見せる。誰も自分のことを知らない世界、自分がいなかった世界を見せつけられたジョージは、元の世界に戻りたいと願い、無事元の世界へ。

 家に戻ったジョージを査察員たちが待っていたが、街の皆がジョージのために寄付をするために集まってくる。

 

 タイトルだけは昔から知っていたが、今回が初見。さすがアカデミー作品賞、というしかない傑作。

 天使をいきなり登場させ、この時代にしては珍しいファンタジー性を見せながらも、ジョージの少年期、青年期を見せることで、普通の映画であるように勘違いさせる。30分で、父親の死とポッターの妨害、60分で結婚当日の取り付け騒ぎ、と二つのトラブルを持ってくる上手さ。しかしその両方とも解決し、ポッターからの誘いも断り、後半はどうなると思っていたら、8000ドルの騒ぎ。そしてラスト30分でのクラレンスの登場。

 もう見事な展開としかいうしかない。伏線もあちこちにちりばめられながらも、全て回収する巧みさ。

 取り付き騒ぎの夜のメアリーが家で待つシーンでも泣かされたが、ラストの街の住民たちが次々に集まってくるシーンは予想できたラストだったが本当に泣けた。

 メアリー役の女優さんもキレイでビックリ。少年期のジョージ役の子役も凄いハンサム。しかしやはり主役のジェームズステュアートが良い。彼が「アメリカの良心」と呼ばれたのはこの映画の影響が大きいんだろう。

 wikiによるとクリスマスにアメリカでよく放送されるとのこと。確かにクリスマスに観たくなる一本。