●ジョン・ディクスン・カーを読んだ男 ウィリアム・ブリテン
ブリテンの「〜を読んだ〜」シリーズ11編とおまけの3編を含む短編集。有名推理小説作家のパロディとも言えるシリーズ。収録作は以下の通り。
ジョン・ディクスン・カーを読んだ男
エラリー・クイーンを読んだ男
レックス・スタウトを読んだ女
アガサ・クリスティを読んだ少年
コナン・ドイルを読んだ男
G.K.チェスタトンを読んだ男
ダシール・ハメットを読んだ男
ジョルジュ・シムノンを読んだ男
ジョン・クリーシーを読んだ少女
アイザック・アシモフを読んだ男たち
読まなかった男
ザレツキーの鎖
うそつき
プラット街イレギュラーズ
「ストラング先生の謎解き講義」が面白かったので、同じブリテンのもう一つのシリーズを読んでみた。
小学生の頃に夢中になって読んだ、世界推理小説全集にあったような有名な推理小説作家が目白押し。もちろん全ての作家の小説を覚えていないが、クリスティ、ドイル、アシモフなどは覚えているので、そのパロディぶりに感激した。それでいて、長くても20ページに届かない程度の短編であり、作家の文体を覚えていなくても読み応えは十分。おまけの3作品も単体の推理小説としておもしろい。
特に面白かったのは、「クリスティ〜」。独特の不思議なことが起きている実情を見事に推理してみせる。「アシモフ〜」は大ファンである黒後家蜘蛛の会の完璧なパロディ。おまけの部分では、「うそつき」。嘘発見器をトリックに『使おうとした』犯行の手口は見たことも聞いたこともない。
だが、インパクトという意味では、短編集冒頭の「ディクスンカー〜」かな。こんなオチの推理小説は二度と現れないだろう(笑