天地明察

●537 天地明察 2012

 安井算哲は和算が好きな囲碁打ち。和算好きがきっかけで塾の長の妹えんと出会う。将軍の前での囲碁を真剣勝負で行ったことにより会津藩主から叱られ、北極出地を命じられる。1年かかる北極出地だが待っていて欲しいとえんに伝え、算哲は出発する。道中、先輩たちから天体観測の面白さを教えられ算哲はその世界に魅せられていく。

 旅の途中、先輩の死もあったが、算哲は遺志を引き継ぐことを決意。予定より半年遅れで江戸に戻った算哲はえんが結婚したことを聞く。そして会津藩主に改暦の責任者を命じられる。観測所に仲間を集め、中国の暦など3つの暦の制度を確かめつつ、天体観測をする算哲。授時暦が精度が高いことがわかり、これを推挙してもらうが、朝廷から却下されてしまう。算哲は授時暦の良さをわかってもらうために、3つの暦による予測勝負を行う。5番目までの予測で授時暦は正解を出し続けるが、観測所が何者かに襲われてしまう。仲間を失い落ち込み算哲だったが、最後の6番目の勝負に挑む。しかし蝕が出て予測を外してしまう。

 予測勝負を外してしまったことで、観測所は閉鎖。会津藩主も死去してしまう。落ち込む算哲は和算の神、関孝和と会うことに。彼から授時暦の欠点を指摘され叱責されるが、彼のこれまでの成果をもらう。嫁ぎ先から離縁されたえんとも再会、結婚をすることに。

 算哲は観測などを続けるが、またも蝕の予測を外し、自暴自棄になってしまう。そんな彼をえんや囲碁仲間が励ます。算哲は奮起し、光圀に外国の資料などを取り寄せてもらうことに。そして中国と日本とに時差があることに気づき、授時暦に手を知れ、大和暦を完成させる。しかしこれも朝廷に拒否をされてしまう。算哲は光圀に直訴、命をかけて勝負することを誓い、京都の街へ。そこで再度予測勝負を行い、見事に蝕を的中させ大和暦への改暦が認められる。

 

 江戸時代の天文学和算、上覧碁が描かれる珍しい作品。和算の絵馬は何度か目にしたことがあるぐらい。碁ではなく将棋に興味があるので、江戸時代の棋士が将軍の前で対局をしていたのは知っていたが。

 140分の長尺だが、あまりそれを感じさせないぐらいテンポが良い。北極出地まで30分、旅から戻って30分、最初の予測勝負で30分、時差に気づくまでで30分、そしてラストの勝負で20分。登場人物も多彩で飽きさせないのも良かったか。囲碁シーンを切れば2時間を切るぐらいにはなったのだろうが、囲碁は予測勝負への布石となっているので、切ることもできなかったか。

 時間の流れ(映画の中で25年が過ぎていく)がわかりずらかった点や、素人のような俳優陣(ジャニーズ、プロレスラー)が出演していた点など不満もあるが、小難しい学問の話をエンターテイメントに仕上げていることで帳消しでしょう。

 蛇足。鑑賞後ネットを観ていて気づいたが、ラストの吉岡里帆はやはり再度確認してしまった。ピンクの着物が目立っており、宮崎あおいと同じ画面には入れられないぐらい目立っていた(笑