スラムドッグ$ミリオネア

●542 スラムドッグ$ミリオネア 2008

 ジャマールはTVクイズ番組ミリオネアで1000万ルピーの賞金をもらう権利を得たが、不正の疑いで警察に連行され取り調べを受ける。取り調べに対し、ジャマールはスラム街で育った環境を話し始める。

 スラムで兄サリームと育ったジャマールは宗教対立から母親を殺されてしまい、兄弟で逃げる。その時女の子ラティカと一緒になる。3人はママンという男に連れられ、食事や住む場所を与えられる。そこには多くの同じような子供達がいた。ママンは彼らに物乞いをさせ稼いでいた。

 ある日物乞いでより稼ぐために子供の目を潰すことを知ったサリームは、次にジャマールの目が潰されてしまうため、3人で逃げ出す。しかし逃亡の途中でラティカは逃げ遅れ、兄弟だけで列車に乗って逃げる。

 列車や着いた先のタージマハルなどで、兄弟は盗みや詐欺などをしながら生活していく。しかしラティカのことが忘れられないジャマールは兄を説得しムンバイに戻ることに。そこでママンの元にいた少年に出会い、ラティカの居場所を聞き出す。ラティカのいる場所へ行った兄弟はママンに見つかってしまうが、サリームがママンを射殺して逃げる。ホテルに逃げ込んだ3人だったが、サリームはラティカを独占、ジャマールを追い出してしまう。

 ジャマールはバイト先で偶然サリームの電話番号を知り連絡、久しぶりに再会することに。サリームのあとをつけたジャマールはラティカとも再会を果たすが、ラティカはサリームが所属する組織のボス、ジャヴェドの女になっていた。ジャマールはラティカに駅で待つと言い残し屋敷から去り、駅でラティカを待つ。ラティカが駅にやってくるが、サリームに連れ戻されてしまう。ジャマールは屋敷でミリオネアを見ていたラティカのために、番組に出場することに。

 ジャマールは1000万の問題の答えがわからなかった。しかし司会者とトイレで会い、彼が答えBを書き残していく。番組に戻ったジャマールはDと答えて正解する。ここで番組は終了、最終問題は翌日に持ち越されることになるが、自分が与えた間違った答えを答えなかった司会者は激怒し、警察にジャマールを売り飛ばす。

 ジャマールは取り調べた警官に無実だと判断され釈放される。国中が見守る中、ジャマールは番組で最終問題に挑戦する。その頃屋敷に連れ戻されたラティカは、サリームの助けで屋敷から逃げる。ジャマールはヒントであるテレフォンを使い、兄サリームの携帯に電話するが、それに出たのはラティカだった。ジャマールは最終問題に正解し、2000万ルピーの賞金を手にする。そして駅でラティカを待ち、やってきたラティカと再会を果たす。

 

 これは設定を考えた時点で勝ちの映画。ミリオネアという番組の特性とスラム街で貧しく育った少年の経験を結びつけたのは見事としか言いようがない。

 加えてその表現方法が、現在と過去を行ったり来たりする、というのも良かった。途中、フラッシュバックで若い女性が見上げるシーンが入っていたが、それが誰なのか、どんな場面なのかが後半わかるのも良い。

 ご都合主義な展開(最後にサリームが命をかけてラティカを逃したり、ママンの元にいた少年と偶然出会ったり)がないわけではないが、このストーリーならば仕方ないだろう。ラストが三銃士の問題というのもニヤリとさせられた。確かに冒頭の場面で、3人目の名前は出ていなかったし。最終問題を間違えるというのアリかと思ったが、ここまできたら、正解するしかないしかないだろう。それでなくては、カタルシスにならないし(笑

 インド映画かと思っていたが、そうではないのね。それでもラストは踊る(笑 インド映画へのオマージュなのかね。