スタンビート

●548 スタンピード 1966

 1884年、イギリスから母娘が牛の売り込みにセントルイスの牧畜博覧会にやってくる。母は未亡人のエバンス夫人、娘はヒラリー。彼女たちは亡き夫が作り上げた角なし種であるヘレフォード種をアメリカに売り込みに来たのだった。

 サムは牛の角を持って牛を倒してしまう「角倒し」で有名な男。彼は友人のジェフが怪我をしたが、雇い主のテイラーは何の補償もしてくれなかったことを聞く。

 エバンス夫人はエルズワースと知り合い、イギリス出身のテイラーを紹介される。雌牛たちは安く買われてしまったが、ヒラリーが育てた雄牛ビンディの競りに期待していた。しかしテイラーは角なし種であるビンディのことをバカにする。

 競りが始まり、ビンディはエルズワースが競り落とす。エルズワースはボーエンの代わりに競りに参加していた。しかし彼は牛そのものに興味はなく、エバンス夫人に興味を抱いていた。サムは雇い主であるボーエンはヘレフォード種に興味はないとエルズワースに話すが、彼は聞き入れず、サムにビンディの輸送を頼むが彼は断る。競りに負けたテイラーはビンディを手に入れるため、サムを金で雇い入れ、ビンディを盗むように頼む。サムはその話を受け入れる。

 サムはエルズワースの元へ行き、ビンディの輸送を請け負う。しかしその列車にエバンス夫人とヒラリーも乗車しており、ビンディの扱い方をサムに教える。

 列車がダッジシティに到着。テイラーの命令でビンディを受け取りに来ていた部下がいたが、サムはうまくごまかそうとして大乱闘となる。それを見ていたエバンス夫人がサムにボーエンのところまで一緒に行くと言い出す。

 長旅になるが、ボーエン牧場のそばまで来た時に、テイラーの部下たちが、牛追いをしていたボーエンの息子ジェイミーを襲い、混乱に乗じてビンディを奪おうとする。しかしサムが応戦、部下を殺すが、ジェイミーは負傷してしまう。ビンディと負傷したジェイミーを連れ、サムとエバンス母娘はボーエン牧場へ。

 しかしボーエンは息子が負傷したことに驚きもしなかった。それを見たエバンス夫人は怒り、ジェイミーを治療するように話す。母娘は牧場に滞在、娘のヒラリーはジェイミーの看護をする。エバンス夫人はボーエンにヘレフォード種の素晴らしさを話すが、彼は聞き入れず、ビンディはアメリカに多くいるロングホーン種の中では生きていけないだろうと話す。それを聞いたヒラリーはビンディを野生に放つことを決意、実行する。

 冬になり、サムは放牧されたビンディを探すが見つからなかった。その間、ヒラリーはジェイミーとの恋を成就させ、ボーエンはエバンス夫人に惚れ、ヘレフォード種のことは忘れ、ここで一緒に暮らして欲しいとプロポーズする。その時、ビンディを探していたサムが吹雪の中、行方不明になったと知らせが入る。牧場の皆でサムを探し当て、治療をする。エバンス夫人がビンディのことを諦めようとするが、サムは必ず探すと宣言する。

 春になり、サムは一人で家を作り、ビンディを探し続ける。ある時、残雪の中でビンディを見つける。しかしサムはビンディが子供を作った可能性を捨てていなかった。サムの家にヒラリーがやってくる。彼女はジェイミーと結婚をしたいが、それは母親がボーエンと一緒になることを意味しているため、迷っていた。サムはジェイミーと一緒になることを勧める。

 ボーエンはエバンス夫人に結婚式をいつにするか迫る。ビンディの子牛が生まれる可能性がある9月まで待って欲しいと夫人は話す。そしてサムはとうとうビンディの子牛を見つけ、牧場に持ち帰る。それを見たボーエンはサムに殴りかかり、二人は乱闘となる。怪我をしたサムに駆け寄るエバンス夫人を見たボーエンは全てを察する。

 サムとエバンス夫人、ヒラリーとジェイミーはサムが作った新しい牧場で、ヘレフォード種の子牛たちを育て始める。

 

 これはこれまで見た西部劇の中でも異色中の異色の作品。西部劇につきもののガンアクションはほとんど登場せず、テーマはイギリスからアメリカに持ち込まれたヘレフォード種の話。

 冒頭、登場人物が多く、人間関係が理解できないまま観ていたが、主役であるサムが、ある意味もう一人?の主役であるヘレフォード種のビンディを騙し取る策略に乗ろうとするが、結局母娘のためにビンディを取り戻すところまで来ると話の展開が見えてくる。

 後半は、自分の雇い主であるボーエンのところまでビンディを連れ帰ったサムが、夫人の考えに共感し、ヘレフォード種の牛を探し、それが死んだと知ると、その子牛たちがいないかと探し続ける。

 そこに男2人女1人のいつもの西部劇特有の三角関係が絡むが、ストーリーは予想通りの結末を迎える。

 

 牛が絡んだ西部劇は何本か観てきたが、そのどれもが、牛の輸送だったり、牛泥棒の話だった。(アメリカでは)新種の牛を受け入れ増やしていくというのは初めて。ヘレフォード種が増えていったことはある程度事実なのだろう。また一つ西部時代の新たなエピソードを知った感じ。