恋愛小説家

●561 恋愛小説家 1997

 ユドールは恋愛小説家だが、潔癖症で変人だった。隣の家の画家サイモンが飼う子犬が大嫌い。常連のレストランでも、いつも座る席を自分の席だと勝手に決めつけ迷惑がられている。ウエイトレスのキャロルだけは、彼を客として扱っていたが、ある日彼女の息子のことを上段のネタにしたため、彼女から怒られてしまう。

 サイモンは絵のモデルとして街にいた若い青年を見出す。しかし彼がモデルをしている間に彼の仲間たちがサイモンの家に忍び込み盗みを働こうとする。サイモンは彼らに重傷を負わされてしまい入院することに。サイモンの絵の画商フランクは子犬の世話をユドールに強引に頼む。

 ユドールは子犬が嫌いだったが、世話を始めると子犬に惹かれ始める。それとともにユドールは少しだけ普通の人間になっていった。ある日いつものレストランでキャロルと話し、彼女が息子の病気で困っていることを知る。そして息子の病状が重くなりキャロルが店を休むと、ユドールはキャロルが店で働けるように、出版社のコネを使って医者を手配、かかる費用もユドール自身が持つことに。キャロルはユドールに感謝するが、恋人関係にはならないと彼に伝える。

 サイモンが退院してくる。子犬を返すことになりユドールは落ち込んでしまう。一方サイモンは破産状態になってしまう。フランクはサイモンと断絶状態である両親に援助をしてもらうべきだと考え、サイモンを両親の元へ連れて行こうとするが、自身は別の仕事があるため、ユドールにその役割を頼む。ユドールはサイモンがゲイであるため、二人だけで行動はしたくないと、キャロルに同行することを求め、3人でサイモンの両親の家へ向かう。

 息子の病状が良くなったことを知ったキャロルはご機嫌になり、ユドールを夕食に誘う。ユドールはキャロルとテーブルに着くが、不要な言葉を発してしまい、キャロルはホテルに帰ってしまう。入浴をするキャロルを見たサイモンは絵を描く力を取り戻す。サイモンは両親に会うことをやめる。3人は家に帰ってくる。家を失ったサイモンにユドールは自分の家の一室を与える。ユドールとキャロルは仲違いしたままだったが、サイモンはユドールに勇気を出すようにアドバイスする。

 キャロルに会いに行ったユドールは、初めて彼女に素直な気持ちを伝える。

 

 タイトルは知っていたが、今回が初見。ニコルソンが変人であるところが、「愛と追憶の日々」を思い出させるが、あちらは脇役で本作は主役というところが大きな違い。

 観ている途中から、笑って泣いた映画は久しぶり。序盤のニコルソンと子犬との関係は最初は笑っていたが、子犬との別れ以降は泣いてしまった。子犬の演技?も最高。子犬との関係性がメインかと思っていたが、中盤ヘレンの息子の話が出てくる。いかにも人の良さそうな医師の話にまた涙。アメリカの医療保険制度の闇と言えるかも。

 そして後半はいよいよニコルソンとヘレンの恋物語。サイモンの登場理由がわからなかったが、3人の旅でその理由がわかる。そしてラスト前、ニコルソンを励ますサイモンの言葉でも。

 いやぁニコルソンは本当に偏屈な人物をやらせたらピカイチ。我らが健さんが我慢強い役をいつもしていたように、ニコルソンもそんな扱いの俳優さんなのかしら。