キャスト・アウェイ

●565 キャスト・アウェイ 2000

 チャックはFedExで勤め、時間管理を徹底させるため、世界中を飛び回っていた。クリスマス、恋人ケリーにプレゼントを渡し、仕事のため飛行機に乗る。しかしその飛行機がトラブルを起こし海に不時着、不時着時に救命ボートを手にしていた彼は一人無人島へ漂着する。

 彼はボートやFedEXの配送荷物などを集め、一人で生活を始める。ココナッツで水分を取るのにも一苦労。同じ飛行機に乗っていた乗務員の死体が漂着、彼から懐中電灯なども手に入れるが、あっという間に電池切れに。

 ある時、地平線に船が通るのを見かけた彼は、懸命にボートを漕ぎ船に近付こうとするが、波に押し戻されてしまう。絶望した彼は配送荷物を開け必要な道具を手に入れる。捕まえたカニを食べるために火を起こそうとするが上手くいかず、手に怪我をしてしまう。そんな時荷物にあったバレーボールについた自分の血液が顔に見えたため、バレーボールにウィルソンと名前をつけ、話しかける。再度火を起こすことに挑戦、見事に火をつけた彼は歓喜する。

 それから4年。海岸にプスチックパネルが漂着する。それを見た彼はそれを帆にしてボートを作り、島から脱出することに。波をくぐり抜け島から遠ざかることに成功するが、嵐に遭遇、帆を吹き飛ばされてしまう。疲れ果てた彼が寝ている間にウィルソンも流されてしまう。

 またも絶望した彼だったが、漂流していると偶然タンカーが通りかかり救出される。

 本土に帰り、会社にも復帰。しかし飛行機事故で自分は死んだとされていたことに驚く。恋人ケリーとの再会を待ち焦がれる彼だったが、ケリーも彼が死んだと思い、その後彼が通っていた歯医者と結婚していたことがわかる。

 チャックはケリーに会いに彼女の家へ。そこにはケリーの娘や夫の写真が飾られていた。ケリーはチャックと最後に乗った車を残していた。その車に乗り、自分の想いを伝えられないまま彼女と別れようとするが、ケリーが走り寄ってくる。しかしチャックは自分の家に帰るようにケリーに話す。

 チャックは無人島で唯一開封しなかったFedEXの荷物を配達しに行く。受取人は不在だったため、感謝の気持ちをメモして置いていく。帰り道、交差点で地図を見ていたチャックに女性が声をかけ、道案内をしてくれる。お礼を言ったチャックだったが、彼女の車に、例の荷物に描かれたマークと同じものが描かれていることに気づく。チャックはそれぞれの道を眺め、女性の家の方向を見て微笑む。

 

 無人島に流されてしまう主人公の映画。昔やった無人島のゲームを思い出した(笑 そのゲームの最後は無事に無人島から脱出すること。そのつもりで観ていたので、2時間半弱の映画だが、あまり長さは感じなかった。

 飛行機事故まで30分、チャックが火を手に入れるまでで半分。ここから一気に4年が経過。島を脱出しタンカーに救助された時点で残り40分。ここで正直アレっとなった。残り40分をどうするのか。

 しかしここからがこの映画のテーマだったのだろう。絶望的な状況に追い込まれた主人公が、とにかく生きるのだ、と島で決意する。それが島から脱出した後も同じだということ。チャックとケリーの別れは悲しいシーンだったが、自分ではどうしようもない出来事が起こり、愛する男女が別れてしまう、というパターンは1940、50年代の映画でよくあったパターン。あちらは戦争で引き裂かれた二人、というのが定番だったが。

 ネットでの評価では、この二人の別れに対する賛否両論があるようだ。しかし何があろうとも生きていくのだ、という決意がテーマだとすれば仕方ない展開。ラスト40分をカットし、ハッピーエンドで終わるならば、単なる無人島サバイバル映画になってしまっただろうし、それは製作者の狙いではなかったということだろう。

 一つだけ気になった点を。主人公チャックはFedEXに勤め、時間に対する強い認識を持っていた。救出後も少しそのことについて語られたが、ここがもう少し重い意味を持てばより良かったのではないか。

 それでも映画の半分以上をたった一人で見せたトムハンクス。さすがである。