マイ・インターン

●574 マイ・インターン 2015

 ベンは70歳。妻に先立たれ老後を一人で過ごしていたが、やりがいを求め、ファッション通販サイトのシニアインターンとして応募し採用される。ベンは女社長ジュールズの担当となるが、ジュールズは忙しく、必要な指示はメールでするとだけ話す。

 社長からのメールを待つベンだったが、ジュールズは忙しくベンへのメールはしなかった。しかしベンは若い同僚たちとの間で信頼を得て、だんだんと会社の中で居場所を作って行く。

 ある時ジュールズの運転手が待機中に酒を飲んでいるところを見たベンは彼にそのことを告げ運転を辞退するように言い、その結果ベンがジュールズの運転手となる。ジュールズの家庭にも出入りするようになったベンだったが、ジュールズはベンの気遣いを重く感じるようになり、彼を別の部署に回すように部下に命じる。

 しかしジュールズはベンと話すことで彼の良さに気づいていく。部下がベンの異動を実行して運転手が変わってしまった際にジュールズはベンの元へ行き、運転手として復帰するように頼み、ベンも受け入れる。

 ある時母親と電話をしていたジュールズは母親の言葉に嫌気がさし、友人に母親に関する愚痴をメールしたつもりが、母親本人に送ってしまったことに気づく。そのことを打ち明けどうすれば良いかを皆に相談すると、ベンが母親の家に忍び込みPCからメールを削除することを提案、ベンと若手たちで母親の家に忍び込み、見事にPCからメールを削除する。

 ベンは会社にマッサージ師と来ているフィオナと仲良くなり交際を始める。ベンはある日、ジュールズの娘が友人の誕生会に参加できなくなりそうと聞き、親の代わりに娘を連れて誕生日会に参加する。その帰り道娘を送ろうとしたベンは、ジュールズの夫が浮気しているのを目撃してしまう。ジュールズに話をするかどうか迷うベン。彼は会社のCEO候補である男性に会いに行くジュールズのお供をして一緒に旅行することに。

 旅行先のホテルでジュールズと話をするベンは、彼女が夫の浮気に気づいていることを知り、アドバイスを送る。旅行から戻ったジュールズは夫に全てを打ち明ける。翌日会社で夫との離婚を決断したジュールズだったが、会社に夫が来てジュールズに謝罪、仕事を続けてくれるようにお願いし、ジュールズは受け入れる。

 

 これまた全く内容を知らずに見た一本だったが、心に残るものとなった。デニーロが70歳の普通の男性を演じるが、これが見事にハマっている。物静かで落ち着いていながら、必要であれば若者に適切なアドバイスをする、という理想の高齢者。50代の自分から見ても、あぁなりたいと思わせてくれる男性だった。

 ストーリーは、高齢者のインターンがやり手の女社長とタッグを組む、というのがわかった時点で予想ができる展開だったが、この二人の信頼関係だけに焦点が当てられるだけでなく、映画の後半は女社長の生き方がテーマとなって行く。ラストも女社長がこれからの人生をやり直すことを決断するのだが、それについて話を聞かないままエンディングを迎える静かな終わり方も良かった。

 健さんでこんな一本を撮って欲しかったなぁと思える一本。