イエスマン "YES"は人生のパスワード

●576 イエスマン "YES"は人生のパスワード 2008

 銀行で融資係として働くカールは、友人からの誘いでも仕事の融資でも全てNOと断るタイプ。彼はそんな生活に満足していたが、友人ピーターの婚約祝いのパーティに参加しなかったことで、彼から非難され、友人ニックから誘われた「YESと言って人生を変える」セミナーへ出席する。

 そこでセミナー主のテレンスから指名され、今後YESと答えることを誓約させられてしまう。会場から出て車で帰ろうとしたカールにホームレスが声をかけてきて、公園まで連れて行って欲しいと頼まれる。ニックがいたためカールはYESと答え、さらに携帯も貸してしまう。公園へ着いたカールだったが、金をせびられた上、携帯は電池切れ、車もガス欠となってしまう。ガソリンスタンドまで歩いていきタンクにガソリンを補充していると、女性ライダーアリソンと知り合う。彼女に乗せてもらい車まで戻ったカールはアリソンとキスをする。

 アリソンとのことがあったため、カールはYESと答えるようになる。休日出勤をし、融資にも全てOKを出す。私生活では韓国語やギター、飛行機操縦を習い始める。ある日、バンドの呼び込みのチラシも受け取ったカールは、その店でアリソンと再会。二人は付き合うようになる。

 仕事先に幹部がやってきてクビになるかもと思いきや、小口融資の成功率の高さが認められ、重役へ昇進する。ピーターの結婚のブライダルパーティの幹事も引き受ける。ピーターの婚約者といる際に店で自殺者騒ぎが起こるが、ギターでそれを思いとどませる。

 カールはアリソンと成り行き任せの旅行に出かける。アリソンはカールに旅行から戻ったら同棲をしようと言われるが、即答できず、アリソンに非難される。その後、旅行先で警察に捕まる。理由はカールがやってきたことがスパイ行為と誤認されたためだった。弁護士であるピーターが駆けつけ、カールはYESの誓約を立てたことを説明、誤解は溶けるが、アリソンにもそのことを知られてしまい、アリソンは何にでもYESと誓いのため自分を受け入れていたのだと勘違いされ、二人は別れてしまう。

 家に戻ったカールはピーターのブライダルパーティを成功させる。元妻からの誘いがあったがそれを断ると、エレベータが止まり、駐車禁止を食らってしまう。誓約を破ったからだと考えたカールはテレンスのところへ行くが、事故にあい怪我をし入院する。入院先で事情を説明すると、テレンスはYESはきっかけに過ぎないと話す。カールはそれを聞いてそのままアリソンに会いに行く。そして本音を伝え、縁を戻す。

 

 2000年代に入り本作のような、人生を成功に導くことをテーマにした映画が増えたように思う。本作では、何にでも「YES」と答えることがその手法となる。

 セミナーから出てきて、ホームレスに痛い目にあわされた直後に、若い女性と出会うまでは予想の範囲内。その後も本人の本音とは別にYESということで、人生が好転して行くのも予想できた。こんな話を積み重ねて行くだけか、と思っていたら、後半はこの「誓約でYESと言ってきた」ことが見事に罠となる出来事が発生。これは上手い。女性の心理的にもそうだろうし、映画としても見事な展開だった。

 一旦別れた女性と縁を戻すことも予想でき、ある意味予定調和的なラストだと思い観ていたが、本当のラストシーンで大笑い。原作がバスの中での会話でYESと答えることに目覚めた主人公だったらしいが、それをセミナーに参加して…と変えた理由がラストシーンに活きてくる。エンドロール横で繰り広げられるエンド後のエピソードも可笑しかった。

 年初めに観るにはもってこいの一本かも。