シネマの記憶から 名優・名監督と映画評論家の五十年 品田雄吉

●シネマの記憶から 名優・名監督と映画評論家の五十年 品田雄吉

 映画評論家である著者が、10年ごとに区切り、それぞれの時代の名作の思い出を語る。1940年代以前〜6本、50年代〜11本、60年代〜8本、70年代〜10本、80年代〜6本、90年代以降〜11本。巻末には、邦画、洋画それぞれで著者が選ぶベストテンも掲載。「KADOKAWA世界名作シネマ全集」の監修をした著者が全集にとりあげた作品に関する読み物をメールマガジンで書いたものがまとめられている。

 

 「名作全集」の名の通り、取り上げられている作品は、どれも有名なものばかりで、これぞ「名作」と言われるものばかりで嬉しい。子供の頃に映画雑誌の付録についてきた「名作映画ベスト100」みたいな本を思い出した。このブログでも、ここに登場するものの半分以上は取り上げている。

 

 他の映画本と大きく異なるのは、それぞれの作品についての内容紹介は皆無。公開年、監督、主演の名前が紹介されているぐらいで、あとは著者のその作品に対する思いでのみ。そのため、映画によっては作品のプロデューサーや監督、俳優にまつわる脱線エピソードのみが記載されている場合も(笑

 

 もともと「メンフィスベル」のwikiに記載されていた内容を確認しようとした借りた本だったが(wikiの内容は正しかった)、著者の脱線ぶりが可笑しく楽しんで読むことができた。以下にいくつか抜粋。

 

 「カサブランカ」のトリビアクイズ〜ラストシーン、ヴィクターとイルザが乗る飛行機のプロペラは左右どちらが先に回り始めたか。

 「第三の男」で触れられる、夢がカラーかモノクロか。

 「生きる」で語られる、三船敏郎志村喬のセリフの喋り方の違い。

 「サイコ」の有名なシャワーシーン、ヒッチコックはサイレントでまとめるつもりだった話。

 「荒野の七人」はTVの人気を利用した?

 「犬神家の一族」で語られる、市川崑監督がコメディが得意だという話。

 「エイリアン」で語られるシガーニーウィーヴァーのシガーニーという芸名の由来。

 「E.T.」で語られる、スピルバーグが平和主義者だという話。

 「ニューシネマパラダイス」で語られる、映画好きなら気がつく映画館のウソ。