●763 プロヴァンスの休日 2014
パリで暮らしていた3人の兄弟たちは両親が離婚状態にあり、母親と暮らしていた。しかし母親が仕事の関係でカナダへ出かけることになり、祖父母の家で夏休みを過ごすことに。祖母であるイレーネが迎えにきて3人は電車でプロヴァンスへ向かう。しかし祖父であるポールには3人が来ることは知らされていなかった。
3人が駅へ到着。ポールが駅まで迎えにきていたが、3人の孫が来ることを知らなかった彼は驚き不機嫌となる。3人の母は家出同然で家を飛び出して以来17年間父親であるポールとあっておらず、孫たちも同じだった。
3人はポールとイレーネの家へ。そこは携帯の電波も入りづらい場所で、都会っ子の長男アドリアンと長女レアは不機嫌となる。アドリアンはPCとゲームが好きで、レアは環境破壊問題に真面目に取り組んでおり、次男のテオは聴覚障害で話すことができなかった。3人のために夕食が用意されるが、彼らは口に合わないと食べるのを辞めてしまう。それを見てポールは怒る。そんなことが続き、とうとうアドリアンとレアはポールと激突、家に帰ると言い出す。しかしビデオ通話で母親に叱られる。さらに母親は自分が親子の縁を切ったのだと話す。
3人は街へ出かける。アドリアンは旅行者の娘と知り合う。レアはピザ屋の男性から牛飼い祭りに誘われる。アドリアンはアイス屋の若い女性マガリにも惹かれる。
家に帰ったレアはイレーネから若いときにポールと2人世界中をバイクで旅したことを聞かされる。アドリアンも一緒にその時の写真を見て驚く。その夜、アドリアンたちはポールが泥酔して帰ってきたのを目撃する。翌日アドリアンはポールの名でSNSをアップすると何人から反応があり、それを知ったアドリアンたちは驚く。その頃テオはポールの農作業に興味を持ち始め一緒に作業をしていた。
牛飼い祭りに皆で出かける。アドリアンは若い女の子たちと過ごし、レアはピザ屋の男性チアーゴに誘われダンスをする。アドリアンは地元の若者からパリに行った話を聞かされる。レアがチアーゴとキスしているのを見たポールは強引に2人を引き剥がす。家に帰ったレアはイレーネに泣きながらポールの文句を言う。レアはチアーゴからデートに誘われたがポールが許してくれないと話し、イレーネは仲裁すると答える。その後、レアはチアーゴとデートをし、アドリアンはマガリに会いたくてアイス屋へ通う。
ポールの家にバイク乗りたちがやって来る。彼らはポールとイレーネの昔の仲間で、SNSで彼らの家を知ったのだった。彼らは再会を喜び、夜まで宴会が続く。アドリアンとレアもその場に参加していたが、友人たちの会話で、ポールが若いときに弟を亡くしたことを知る。
宴会が終わり、客たちはマガリの家に泊まることに。アドリアンが彼らを送って行くが、そこでマガリがチアーゴと仲良くしているのを目撃してしまう。彼はそのことをレアにも伝える。
アドリアンに父親から連絡が入りビデオ通話をする。父親は会いたいと話すが、自分たちを捨てた父親に対しアドリアンは冷たかった。翌日アドリアンはポールのオリーブ農園での仕事の手伝いをする。ポールは彼にお前が家長になるのだと話すが、アドリアンはそれを聞いてその場から逃げて行く。ポールは彼に寄り添い、悲しいときは泣いて良いんだと話す。
皆で闘牛場の祭りへ行く。そこでレアはチアーゴと会いマガリのことを話すが、彼はマガリは姉だと話す。帰り道、ポールは泥酔しており、運転する車が事故ってしまう。同乗していたレアはポールに怒る。イレーネも孫の前で失態を見せないでと話す。
ポールに手紙が届く。それはポールのオリーブ油が品評会で優勝したという知らせだった。アドリアンとレアもその手紙を見るが、その凄さが理解できなかった。
街へ繰り出した皆はお祝いをする。レアはチアーゴと仲直りをしており派手な格好で踊っていた。その姿を見たポールはまたしても激怒しチアーゴを突き飛ばしてしまう。レアはそんなポールに怒り、アルコール依存症であることを非難する。非難されたポールはレアに手をあげてしまう。その夜、レアは家に帰って来ずチアーゴと旅に出てしまう。
ポールはアドリアンに協力を求める。彼はアルコール依存症と戦うつもりだった。医者に診てもらい、アドリアンとともに運動を始める。レアはチアーゴと楽しい時間を過ごしていた。体を求める彼を拒もうとするが、チアーゴはレアに薬を飲ませる。
ポールは街で地元の友人たちと会っていた。彼らはレアの姿が見えないことを心配し、チアーゴは麻薬の売人だとポールに話す。それを聞いたポールは昔のバイクを持ち出しレアの元へ。アドリアンが携帯でレアの居場所がわかると伝えたのだった。ポールはアドリアンや友人たちとともにレアの元へ向かうが、途中1人で先行してしまう。ポールはチアーゴを見つけすぐに追い払う。そしてレアを発見する。医師にレアを診せ通報をしないように頼む。
レアは数日で回復する。彼女を湖に連れ出したポールは恋についてレクチャーする。自分のことを聞かれたポールはイレーネはポールの弟の恋人だったことを告白し、人生の予測などできないと話す。
ポールのオリーブ油品評会のセレモニーが行われる。そして3人が家に帰る日がやって来る。ポールはテオに最高の夏休みだったとお礼を言う。駅まで3人を送ったポール。そこには3人の母親が待っており子供達との再会を喜ぶ。テオがポールの手を引いて母親の元へ連れて行く。2人は17年ぶりの会話をする。ポールはうちに来ればいいと話し母親もそれを受け入れる。2人はいつまでも話を続けるのだった。
タイトルも内容も知らない映画だったが、冒頭の数分で、反発し合う祖父と孫の話だとわかったので結末は見えたようなもの(笑 祖父役がジャンレノなのでそこだけがみるべきポイントかと思って見始めたが、意外な展開もあり十分楽しめる一本だった。
祖父対孫の激突は序盤から早くも起こり、その後の展開をどうするのかと思ったが、その後は孫たちの恋愛モード。軟派なアドリアンに対し、レアは本気の初恋に。中盤にはアドリアンがSNSに祖父のことアップしたことが原因で、祖父母の昔の友人たちが訪ねてくる。ここで祖父の意外な過去がひとつ明かされる。で、牛追い祭りでまたも蒼太孫レアの激突。レアが初恋の相手と旅に出てしまう。そして終盤、その相手がヤクの売人だと知った祖父が昔のバイクを持ち出し、レアを救う。
「頑固な祖父と都会っ子の孫の激突」というテーマがメインでありながら、途中ちょっとだけアドリアンが地元の若者と会話する内容からは、「都会と田舎」というテーマもさりげなく織り込まれている感じもする。50代の自分からすれば、プロヴァンスの風景はこれ以上ない贅沢なモノに思えるので、こちらのテーマに気を引かれてしまう。
終盤、レアを助けに行くポールが昔のバイクを持ち出すあたりは見せ場だろうが、その後のレアの相手チアーゴを追い払うシーンもそこまでのカタルシスはなく、事件後のレアとの会話やチアーゴが地元を去った理由も適当に済ませるあたりは、老人である祖父のリアルな姿を見せた、ということなのだろう。
孫をアドリアンとレアの2人だけにせず、テオを登場させたのは大正解。劇中とにかく可愛く祖父といち早く仲良くなったということもある。しかしそれだけではない。冒頭のシーンでSound Of Silenceをバックにテオの寝姿が映し出された時には、どうしてあのあまりに有名な「卒業」のテーマを持ってくるのかと思ったが、テオの病気とこの映画でのジャンレノの行動を示唆していたと見終わって気づいた。
ラスト、3人の子供たちと久しぶりに再会する母親も良かったが、その後のジャンレノとの会話シーンもそれ以上に良かった。ほとんど登場しなかった母親であり、母親や途中ちょっとだけ登場した父親も登場せずとも成立した映画だと思うが、このラストシーンがあるのならば、母親は登場せずにはいられなかったわけね。
蛇足。祖母役のアンナ・ガリエナ、「髪結いの亭主」のあの人だったのね。全然気づかなかった。
- 価格: 4138 円
- 楽天で詳細を見る