紳士協定

●994 紳士協定 1947

 フィルは妻を亡くし、母と息子トミーとNYへやってくる。週刊スミス社の編集長ミニフィに呼ばれたためだった。ミニフィはフィルに反ユダヤ主義について記事を書いて欲しいと頼む。夜、ミニフィの家のパーティに呼ばれ、そのテーマを思いついたミニフィの姪キャシーを紹介される。離婚歴があり、保育園で働く彼女にフィルは惹かれる。

 フィルは家で母親に記事のテーマについて説明、もっと楽しいものを書きたかったと話す。それを聞いた息子トミーから反ユダヤ主義とは何かと問われるが、フィルは上手く説明ができなかった。それをきっかけにフィルは反ユダヤ主義について書くことを決意する。

 フィルはミニフィにそのことを伝え、資料を用意して欲しいと頼むが、ミニフィは資料に頼るのではなく、無関心な人に問題の核心をつく記事を書いて欲しいと言われ、資料に頼らずに書くことに。

 フィルはキャシーと付き合い始める。一方で、記事をどのように書くかで悩んでいた。友人でユダヤ人のデイヴに相談したかったが、彼は海外にいた。

 そんな折、フィルの母親が心臓発作を起こす。医者を呼び診てもらい、悪性ではないと言われ安心する。フィルは母親に記事を書けないと愚痴る。フィルは母親にこれまで書いてきた記事のことを話している途中に、今回の反ユダヤ主義について書く切り口を見つける。それは6ヶ月ユダヤ人になりきり、その経験を書くことだった。

 

 フィルは早速ミニフィにそのことを伝える。ただし、ユダヤ人になりきることは、ミニフィ、キャシー、母親だけが知る秘密とすることに。ミニフィは昼食会で社の幹部にフィルを紹介。フィルが反ユダヤ主義をテーマに記事を書くことを説明すると、一部の人間が反対する。それでもミニフィは日和見主義では何も進まないと反論する。フィルは自分がユダヤ人だと話す。

 フィルに秘書ウェールズがつく。フィルはユダヤ人の就職について調べるため、いろいろな会社にユダヤ人名とそうではない名前で書類を出すように指示。それを聞いた彼女は自分がユダヤ人であることを明かし、この会社に就職するために同じことをしたが、採用されたのはユダヤ人名ではない方だったと明かし、不正と闘う自由な雑誌と歌っていることをあざ笑う。そしてフィルがユダヤ人だと噂されていると話す。

 

 フィルがユダヤ人になり切ろうとすると様々な障害が生まれ始める。

 フィルは家で母親を診る医者にユダヤ人の医者の評判を聞くが、別の医者を勧められる。アパートのポストにユダヤ人名を書くと大家にやめて欲しいと言われる。

 フィルはキャシーにも話をするが、それを聞いた彼女の様子が変わってしまう。2人は気まずくなり彼女の部屋を出るが、フィルはすぐに戻り謝罪、キャシーもフィルに謝る。

 フィルはミニフィに秘書の話を伝える。ミニフィは人事部長を呼び、人種や宗教を問わないという新たな採用広告を出すことに。それを知った秘書は、本当に大丈夫かとフィルに話す。彼女自身もユダヤ人に偏見を持っていた。それを聞いたフィルは怒る。

 

 フィルは同僚でファッション担当のアンにパーティに誘われ酒場へ。そこでもフィルをユダヤ人だと思っている男性からからかわれてしまう。アンは翌日のパーティにフィルを誘う。

 フィルはキャシーとアンのパーティに参加する。キャシーは姉にフィルのことを話したと告げ、週末に姉の家でのパーティに行きたいと話す。フィルは姉にもユダヤ人になりきっていることは秘密にして欲しいと頼む。パーティは2人はユダヤ人教授と会う。彼は反ユダヤ主義について問われてもユーモアで返す。

 夜2人になったフィルとキャシー。キャシーは姉に本当のことを話してしまったと告白。姉の住むコネチカットは古い土地なので姉夫婦に迷惑がかかるからと話す。それを聞いたフィルは怒り、2人は言い合いになる。

 

 デイヴが海外から戻ってくる。息子トミーがフィルに、自分はユダヤ人なのと問う。フィルは記事のためにユダヤ人と名乗っている、友達にもユダヤ人だと言えと話す。

 デイヴはNYで家探しをすると話す。そしてフィルの記事のテーマのことを聞き、ばかな真似をと驚き、数週間で様々な経験をするぞと話す。

 レストランにフィル、デイヴ、アンが集まる。デイヴがユダヤ人だということで酔客に絡まれるが、デイヴは冷静に対応する。キャシーからフィルに電話が入り、姉に全てを話した、明日のパーティにきて欲しいと頼まれる。

 フィルはキャシーの姉の家へ。しかし問題を起こしそうな人々は呼ばれていなかった。キャシーは自分の家へフィルを連れて行く。そこは前夫と結婚しているときに建てたものだったが、完成した時には離婚していたため、全く使っていないものだった。キャシーはここでフィルと幸せに暮らしたいと話す。

 

 フィルとキャシーはデイヴとアンと会う。2人は新婚旅行にフルームインホテルを予約したと話す。しかしそこはユダヤ人に非開放のホテルだった。

 フィルの母親が倒れたと知らせが入り、皆で家へ。フィルとキャシーの結婚は延期される。デイヴはユダヤ人のため家が見つからず、仕事を諦めると話す。それを聞いたフィルは怒り、ホテルの件を問いただしに行く。しかし受付で上手くあしらわれてしまう。

 フィルは家に戻り、キャシーにデイヴの家のことを話す。キャシーの家のそばでもユダヤ人に家を課さない人がいるとキャシーは話す。フィルはキャシーがそれに抗議しないのかと怒るが、キャシーは排斥されたら食べ物も買えないと答える。そこへトミーが帰ってくる。彼は友達にユダヤ人だからと差別を受けたと泣く。

 

 フィルはキャシーの家へ。彼女は常に自分が間違っていると言われることに疲れた、デイヴやトミーに起きたことは事実だと話す。フィルは表面上反ユダヤ主義に反対している態度は逆に連中を助けているのと同じだと反論。差別を卑怯だと思ってるリベラルの人たち、「いい人」がこの問題を根深くしていると話す。キャシーは大声で怒鳴る人と結婚はできない、あなたは自分がユダヤ人でないことを喜んでいない、私はひどいことだが喜んでいる、それは偏見ではなく現実だと話し、別れましょうと告げる。

 夜、フィルの家へデイヴとアンが訪ねてくる。フィルはトミーの件を話す。デイヴは子供のことが一番堪えると話す。

 

 フィルは社に行き、「8週間私はユダヤ人だった」という原稿を秘書に渡す。フィルが本当はユダヤ人ではなかったことを知り、秘書は驚くが、フィルは自分は昨日と何も変わっていないと答える。フィルはミニフィに残りの原稿は家で仕上げると話す。

 フィルの原稿が社内で大評判となる。アンもフィルを祝福するが、表情がさえない彼を見て、家で飲まないかと誘う。アンはフィルに、フィルや編集長は闘っているが、キャシーや彼女の姉は闘っていない、たまに偏見に反対するだけ、口だけで行動する勇気がないのだと話す。そしてフィルと一緒に進んで行きたいと話す。

 

 キャシーはデイヴとレストランで会う。キャシーは自分が反ユダヤ主義に見えるかと尋ねる。そして夕食会での出来事を話す。ある人間がユダヤ人の悪口を言い皆を笑わせたが、私は不愉快だったと。しかしデイヴはその時何か言ったかと問う。そしてそんな時に何も言わないのが、ホテルやトミーの件を引き起こすのだ、と。それを聞いたキャシーは自分に何が足りなかったのか、言葉よりも行動が大切なことに気づく。

 フィルが家へ戻る。母親が彼の原稿を読み、夫にも読ませたかったと、現行の一部を読み上げる。フィルは現実は厳しい、キャシーだけでなく、この世の中に多くのキャシーがいると答える。

 デイヴがやってくる。彼は電話をする。彼は仕事を引き受けると言い、キャシーの家のそばに引っ越す、キャシーも隣の家に引っ越してきてくれると話す。それを聞いたフィルはキャシーの家へ。キャシーはフィルを受け入れるのだった。

 

 

 これもアカデミー作品賞受賞作。

 タイトルから、ラブロマンスにおける男性同士の約束みたいな話を想像していたが、全く違った(笑 まさか差別問題に正面から取り組む話だったとは。この作品での「紳士協定」とは、反ユダヤ主義が暗黙のうちに世間に認められていることを指す。

 

 ストーリーは、反ユダヤ主義を記事にするため、主人公の記者がユダヤ人を名乗ることに。そして彼は様々な差別の現実に直面、さらに恋人との仲もそれが原因でおかしくなって行くが…という話。

 戦後間もない頃の作品だが、これが当時のアメリカの現実だったという驚きとそれを見事に映画にしたハリウッドの凄さを感じずにはいられない。ホテルの件や息子の受けるイジメ、そして軍隊帰りと思われる友人が戦地で体験したエピソードなど、どれもいかにもありそうな話。

 

 しかしこの映画のメインは、主人公が取った行動に対する恋人の思い、ということなのだろう。ブ男、貧乏、病気に対する優越感は現実のものだと話す恋人。紳士協定に対し1人では何もできないという恋人。キャシーの言葉はどれも賛同できるものばかりだが、主人公フィルはそれに対し声を上げて行くことの大切さを何度も唱える。

 理想論といえばそれまでだが、紳士協定となっている様々な問題に対し、声を上げた人がいたから、現在の状況がある、と改めて思う。自分は喫煙者だが、煙を嫌う人々は昔から周りにいたが、彼らの声が今の喫煙のルールをここまでにしたのは、よくわかる。個人的にはもう少し緩くしてほしいと思うけれど(笑

 

 ラスト、主人公の母親が読み上げるフィルの原稿の一部が圧巻。差別される側のデメリットを訴え、最後は憲法の精神にまで行き着く。そして「自由と平等の確立こそが、人間をそして国家を守って行くのだ」という言葉に痺れる。

 

 一つだけ不満をあげると、ラストのデイヴの話がよくわからなかったこと。鑑賞後、wikiを読んで、キャシーがデイヴの家のために行動をしたことが理解できたが、映画を観ている時は何を言っているのかわからなかった。私の理解力が不足しているのか(笑

 

 

 

紳士協定 (字幕版)

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イヴの総て

●993 イヴの総て 1950

 サラシドンズ賞の授与式会場。会場には、歴代受賞者の他に、主役のイヴ、批評家のドゥイット、劇作家ロイドとその妻カレン、製作者ファビアン、演劇界のスター女優マーゴなどがいた。会長がスピーチをし、受賞者イヴを紹介する。そしてカレンの階層が始まる。

 昨年10月、カレンはマーゴが出演する劇場でいつもマーゴの出待ちをしている若い女性イヴに声をかけられ、彼女をマーゴに会わせてあげることに。楽屋でカレンはマーゴにイヴのことを説明し、引きあわせる。イヴはマーゴの作品は総て見ていると話す。彼女に興味を持ったマーゴが彼女のことを尋ねる。イヴは出身地や両親のこと、ビール会社に勤めたが退屈だったこと、その職場でエディと知り合い結婚したが、彼が戦死したことなどを話す。マーゴは彼女に同情し、帰ろうとするイヴを引き止める。演出家でマーゴの恋人ビルが来る。彼はハリウッドへ行くため飛行機に乗る時間が迫っていた。3人は空港へ。マーゴたちはビルを見送り、ビルはイヴにマーゴのことをお願いすると言って旅立つ。その夜からイヴはマーゴの家に住むことに。

 イヴはマーゴの妹であり、医者でもあり、付き人がいらないほどに全てをこなす。一方で、マーゴの舞台をみると必ず彼女は涙するのだった。ある時イヴはマーゴの衣装を衣装部へ返しに行くと話すが、マーゴは彼女が衣装を身につけているのを目撃する。

 

 マーゴの元に電話が入る。ハリウッドにいるビルとの通話で、マーゴが予約をしたと言われる。ビルは自分の誕生日を祝うパーティを開いてくれることを喜ぶ。訳のわからないマーゴだったが、イヴがビルに毎週手紙を送っていることが判明。マーゴは付き人と話す。そこへイヴがやって来る。ビルの電話の件を確認すると、マーゴが忙しそうだったので手配しておいた、自分も誕生日を祝う祝電を送ったとイヴは答える。

 ビルの誕生日パーティが開かれる。しかしマーゴは不機嫌だった。ビルがハリウッドから戻ったが、マーゴに会いに来ず、イヴと話をしていた。マーゴはイヴを褒めるビルに噛み付く。ビルはそんなマーゴを叱る。カレンが夫ロイドとやって来るが、ロイドもイヴのことを褒め、マーゴはますます機嫌を悪くする。批評家のドゥイットが新人女優カズウェルを連れて来て、ファビアンに売り込もうとする。ファビアンはカズウェルに酒を飲まされ、胸焼けになったとマーゴに薬をもらいに来る。ファビアンはカズウェルをオーディションすると約束したと話し、マーゴも協力することに。その代わりに、マーゴはイヴをファビアンのところで雇って欲しいと頼む。

 カレンとロイドが帰ることに。マーゴはロイドが書く新しい劇の主役が若い女性であり、自分はもう40歳だと話す。ロイドはマーゴは若いと言い、マーゴもコーラ役は演じると答える。その頃イヴはカレンと話していた。マーゴの代役がお産で休むことになったため、カレンにマーゴの代役をやってみたい、あなたからファビアンに勧めて欲しいと頼む。

 2人は部屋を出る。階段で皆が演劇について議論をしていた。そこへマーゴがやって来て皆に絡む。カレンがその態度に怒り、マーゴは寝室へ引き上げる。ロイドとカレンは帰ることになるが、イヴはあの話をお願いとカレンに頼む。

 

 マーゴは劇場へ。しかしオーディションは終わった、イヴが代役になることになった、とドゥイットに言われる。マーゴは中へ入り、ビルたちと話をする。最初はイヴが代役になったことを知らないふりをしていたが、本音を漏らし始め、イヴが代役をやることに不満をぶちまける。ビルとマーゴは喧嘩となる。ビルは結婚しようと言うが、マーゴは受け付けず。愛想を尽かしたビルは1人去ってしまう。

 ロイドが家に帰り、カレンに代役がイヴに決まったこと、マーゴが不機嫌だったことを話す。カレンは週末マーゴたちとドライブに行く予定だと話す。そしてカレンは害のないジョークを思いつく。

 ロイド、カレン、マーゴがドライブへ行く。月曜マーゴが舞台に出るため車で送る。マーゴは自分が子供のように嫉妬したことを反省し、ビルのことを愛しているとカレンに話す。車がガス欠となり、マーゴは舞台に間に合わなかった。

 

 イヴの代役は大成功だった。楽屋でイヴはビルと2人きりで話をしていた。イヴは初めて会った時から好きだったとビルに迫るが、ビルは自分が愛しているのはマーゴだけだと楽屋を出て行ってしまう。その様子をドゥイットが見ていた。彼は今日の代役の芝居のことを新聞に書くと言い、夕食でもとイヴを誘う。そしてイヴの過去の話を聞きたいと話す。

 新聞にイヴの記事が出る。カレンはマーゴと食事のためレストランへ行くが、そこで新聞を読み、マーゴの家へ。記事を読んだマーゴは激怒する。記事にはイヴの言葉として、熟年の女優が若手の祈祷を妨げていると書かれていた。ビルがやって来て、マーゴを慰める。カレンが家に帰るとロイドも新聞を読んでいたが、ロイドはドゥイットがイヴの言葉を都合良く変えたのだ、イヴはさっきまでここにいた、マーゴに合わせる顔がないと言っていた、とカレンに話す。ロイドは、家計が苦しいので次の作品「天井の足音」の公演を早めたい、マーゴには今の作品をやってもらい、「天井の足音」のコーラ役はイヴにやらせたいと話す。それを聞いたカレンは怒り、コーラ役はマーゴがやるべきだ、イヴは裏切り者だと反対する。そこへマーゴから電話が入り、4人で飲むことに。

 

 マーゴ、ビル、ロイド、カレンが4人で酒を飲む。ビルは明日マーゴと結婚すると話し、4人は祝杯をあげる。その時、カレンにイヴからお話がある、化粧室で待つというメモが来る。代役を降りることになったイヴが何を言うのか皆関心を持っていた。カレンは化粧室へ。

 イヴはカレンに新聞記事の言い訳をする。カレンは何かあれば力になると話す。するとイヴは頼みがある、コーラ役をやりたいと話す。あの役はマーゴのものとカレンは答えるが、イヴはあの役は私のものと言い出す。そしてマーゴが舞台に遅れた理由を私は知っている、マーゴがそれを知ったらどう思うか、とカレンを脅す。

 イヴはドゥイットの元へ戻る。カレンも皆の待つテーブルへ戻る。カレンがどう切り出そうか迷っていると、マーゴは結婚をするのでコーラ役はやりたくない、普通の女になると話す。それを聞いたカレンは1人笑い出す。

 

 イヴを主役にした舞台の稽古が始まる。ロイドとビルはイヴの役柄のことでぶつかる。カレンは恐れていたことが現実になったと感じる。

 夜カレンの家へ電話が入る。イヴの隣に住む者だという女性が、イヴが泣き叫んでいる、明日の公演が怖い、逃げ出すと言っていると話す。電話を聞いたロイドはイヴの元へ向かう。

 翌日。イヴはドゥイットと一緒にいた。夕方舞台のために寝ようと部屋に戻るイヴは、話があるとドゥイットを部屋へ呼び込む。イヴは、ロイドがカレンと別れ私と結婚する、彼が書いて私が演じる、と。そしてドゥイットに私を褒めてと迫るが、ドゥイットはロイドが離婚してもお前への想いからではないと突っぱね、今夜からお前は私のものだと宣言する。そして、イヴの本名や過去の話がほとんど嘘だったことを暴く。イヴは泣きながら全てを認める。

 

 冒頭の授与式に戻る。イヴは受賞のスピーチをし、その場にいた関係者、カレン、マーゴ、ビル、ロイドへの感謝を述べる。式が終わり、皆ファビアンの家でのパーティに向かうが、イヴは行きたくないと断る。ドゥイットが車でイヴをホテルに送る。

 イヴが部屋に戻ると見知らぬ若い女性が部屋にいた。彼女はボーイが占め忘れたドアから入った、そのまま寝てしまったと話す。そして高校のイヴのファンクラブに入っていることなどを話す。女性はドゥイットが授与されたトロフィーを持って来たのを受け取るが、ドゥイットだったことは話さなかった。そしてイヴの脱ぎ捨てたドレスを着て、鏡に写った自分の姿を見るのだった。

 

 

 「或る夜の出来事」に続き、アカデミー作品賞受賞作を鑑賞。「或る夜〜」も面白かったが、本作も別の意味で興味深い作品だった。

 

 田舎から出て来たばかりの若い女性イヴが、大好きなスター女優と出会う。女優もイヴの経歴に同情し、自分の家に住まわせることに。イヴは女優の信頼を勝ち得て行くが、女優は、恋人を含め周りの仕事仲間の男性たちがイヴを褒めるため、徐々にイヴを毛嫌いするように。そんな中、イヴが女優の代役を舞台で務め、それが評判になる。しかしイヴが新聞に語った記事を見て女優は激怒。イヴは代役を降りることになるが、彼女にはさらなる企みがあった…という話。

 

 「或る夜〜」がストーリーそのものの面白さで魅せたのに対し、本作は、演劇界(今でいう芸能界か)の裏側の醜さを描くことで魅せている。物語中盤まで、イヴの健気さが強調されたため、マーゴの嫉妬が醜く感じられたが、イヴがカレンを脅迫するあたりからガラッとイヴの雰囲気が変わる。マーゴの結婚により、イヴの企みは全て叶うのかと思われたが、そこからドゥイットが本領を発揮。ある種のどんでん返しが披露される。ネットレビューでは、多くの方がイヴは最初から怪しかったと書いているが、自分にはわからなかった、というか見事にイヴに騙されてしまった(笑

 

 冒頭でイヴの授与式を描き、カレンの回想で話が続き、最後にまた授与式に戻る展開も見事。映画を見終わった後、再度冒頭の登場人物の表情を見直してしまった。

 

 授与式に戻り、イヴのスピーチで映画は終わるかと思ったが、まだ続きが。イヴのホテルの部屋に忍び込んでいた女子高校生とイヴの会話。なんで最終盤にきて、新たな登場人物が出てくるのかと思ったが、「歴史は繰り返す」ということなのね。なんという皮肉。演劇界の裏側を描いただけでなく、それがこれからも繰り返されるのだろうというメッセージなのだろう。見事なラストシーン。

 

 

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銀二貫 高田郁 最終章

●銀二貫 高田郁 最終章

 

最終章 銀二貫 (1797年、1800年)

 松吉、真帆に気持ちを伝える

 お広の初七日が終わり、真帆も落ち着いて来たと山城屋のご寮さんが井川屋へ知らせに来る。ご寮さんは送ってくれる松吉に、真帆にどうして会いにいかないのかと尋ねる。松吉は真帆には縁談があるからと答えるとご寮さんは怒りの表情を見せ、真帆は松吉が好き、松吉も真帆が好きなのは見ていたらわかると言い、松吉にお広が真帆の縁談話をした時に松吉が、相手は真帆を大切にしてくれる人かと尋ねたことを話し、お広は真帆の相手はこんな人が良いとすぐに縁談を断りに行った、それは真帆も知っていることだと話す。それを聞いた松吉は真帆の店へ走る。そして真帆に一緒に生きて欲しいと頼む。

 真帆はお広の最後の言葉、もうええよ、について、お広が真帆が本当の娘ではないことに気づいていたのではと話すが、松吉は、もう幸せになってもいいよという意味ではと答える。

 夜、店に戻った松吉は和助と善次郎に真帆と一緒になることを許して欲しいと話すが、2人は先刻承知のことで、さっさと一緒になれと話す。しかし松吉は婚礼は天満宮への寄進が済んでから、真帆も同意していると話す。

 

 松吉、真帆に餡のことを教えてもらう

 翌朝、店に梅吉が来て、松吉と真帆のことを祝う。そして餡のことを真帆に相談してみたらどうかと話す。松吉は真帆に苗村でもらった小豆を渡し、これまでの事情を話し、餡を作って欲しいと頼む。真帆は、松吉が使って来たのが漉し餡であることを確かめると、手伝えるかもしれないと答える。

 夜、真帆は餡を作る工程を松吉に見せ、晒し餡を作って見せ、漉し餡との違いを説明する。松吉は晒し餡を作って羊羹を作ってみる。朝になり、松吉が望んでいた羊羹が出来上がる。

 

 羊羹作りの完成

 松吉と真帆は和助と善次郎にその羊羹を食べてもらう。その出来に驚いた和助は、井川屋とは別にこの羊羹を売るための菓子店を作ることができるが、と話すが、松吉は井川屋の寒天を使って菓子店が美味しい羊羹を作ってくれれば本望だと答える。和助は真帆にも同じことを確かめるが、真帆も同じ気持ちだった。

 和助は善次郎を連れ、桜花堂を訪れる。そして主人に松吉が作った羊羹を食べさせる。主人はその美味さに驚く。

 

 2人の婚礼 和助銀二貫の寄進

 1800年睦月。松吉の作った練り羊羹の技を独占せず、広く伝えたことで井川屋の名前が大阪中に広まり、菓子店からの注文が井川屋に殺到、井川屋は大店になった。

 和助、善次郎、和助の養子となった松吉は天満宮へ銀二貫の寄進へ出向く。3人の後には真帆の花嫁行列が続く。和助は32年かかり、やっと銀二貫を寄進する。

 

 和助は寄進後、寝込むことが多くなる。松吉や真帆は和助の病状を心配していた。店に桜花堂が来て、松吉が対応する。寝床にいた和助は店の賑わいを天神祭のお囃子と聞き間違え、善次郎に話しかける。そして善次郎に、私は良い買い物をしたなと話す。善次郎も、本当に安くて良い買い物でしたと答える。

 

 この章のポイント

 山城屋のご寮さんからお広の言葉を聞いた松吉は真帆の元へ駆けつけ、一緒に生きて欲しいと話す。真帆も受け入れる。梅吉の言葉をきっかけに、松吉は真帆に羊羹に使う餡について教えてもらい、これまでの失敗の理由に気づき、羊羹作りに成功する。松吉が羊羹作りを独占することなく、菓子店に教えることで、井川屋の名が広まる。

 3年後、和助は銀二貫と天満宮に寄進、その日松吉と真帆も婚礼を挙げることに。

 

・1800年が最終章ラストの場面となるが、この時、松吉32歳、真帆27歳。和助が松吉とともに誓いを立ててから22年。第1章で和助が仇討ちを銀二貫で買ったのが1778年であり、その時松吉10歳なので、当たり前だが計算は合う。1783年が舞台の第3章で初登場した真帆はその時10歳なので、これまた計算はピッタリ。

 

 最後の最後に、羊羹作りを失敗して来た原因が餡にあったことがわかる。それを助けてくれたのが、真帆だというのが見事な展開。行方不明になっていた真帆が団子屋の娘になっていた、というのが伏線だったとはなぁ。

 長年の苦労の末、羊羹作りを完成させた松吉が、その方法の独占を放棄するのはもったいないとも思うが、もともと嘉平の言葉を実現させようとしていた、そしてそれが真帆の望みでもあったことを考えれば、この展開は当然か。更に言えば、第1章の時点で和助に後継者がいないことが明かされており、井川屋の後継者に松吉がなる(松吉が羊羹で菓子店を開くのではない)、というのも最初から想定されていたことかと思うと、著者の上手さに感服するまでである。

 

 ラスト、82歳となった和助(これも第1章で60歳だったから計算は合っている)の病状が心配されるが、和助が亡くなることなく、善次郎に「私はええ買い物、したなあ」と呟くシーンは、この小説を締めくくるにふさわしい結末だった。

 

 

 

或る夜の出来事

●992 或る夜の出来事 1934

 富豪の娘エリーは、恋人ウエストリーとの結婚を父親に反対され、船に監禁されてしまう。エリーは絶食で抵抗するが、父は娘の前で食事をして見せる。怒ったエリーは食事を引っくり返す。それを見た父は娘にビンタ。エリーは海に飛び込んで逃げる。父親は探偵に娘を探させることに。

 エリーはNY行きのバスに乗ろうとしていたが、探偵が切符売り場を見張っていた。エリーは老女に切符を買ってもらい、バスに乗り込むことに成功する。

 記者のピーターは上司と喧嘩しクビだ、NYへ来てもオフィスに近づくなと言われ電話で文句をいう。彼もNY行きのバスへ乗る。しかし座席がなく後部座席に積まれていた新聞を投げ捨て、運転手と揉める。その間に乗って来たエリーはピーターが空けた席に座ってしまう。ピーターがそこは2人席だと隣に座る。

 

 バスが休憩所に停車する。エリーとピーターはタバコを吸うが、泥棒がエリーのバッグを持って行ってしまう。ピーターが泥棒を追いかけるが逃げられる。エリーはバッグを盗まれたことに気づいていなかった。ピーターは運転手に知らせたほうが良いと助言するが、エリーは通報されたくない、私に構わないでと答える。バスは出発する。

 エリーは席を移るが、隣に座った男性が寝てしまい、エリーにもたれかかって来たため、結局ピーターの隣に戻る。2人は寝る。

 

 ジャクソンビルで30分の朝食休憩となる。エリーが寝ていたため、ピーターも降りることができずにいた。エリーが起きてピーターに謝罪する。そしてウィンザーホテルへ朝食を食べに行くと話す。30分に間に合わないとピーターは話すが、エリーは運転手に断って行くので大丈夫と答え、行ってしまう。

 エリーが戻って来るとバスは20分前に出発してしまっていた。次のバスは12時間後だと言われエリーは困る。ピーターがその場におり、エリーが席に忘れて行った切符を渡す。ピーターはエリーのことを新聞で知った、マイアミの詐欺師の婚約者の元へ帰りなさいと話す。エリーは大きなお世話だと怒るが、父には知らせないでほしいと頼み、黙っててくれたらあとでお礼をすると話す。ピーターはそうやって何でも金で解決して来たのだろう、謙虚という言葉を知らない、素直に助けてといえば良い、しかし君の財産にもトラブルにも興味はないと言って去ってしまう。

 ピーターは社に富豪の娘の居場所を知っている、特ダネだという電報を打つ。

 

 夜のバスの時間になり、エリーとピーターは乗車。エリーの隣にシェブリーという男性が座り、エリーに話しかけて来る。エリーがうんざりしているとピーターがエリーは自分の妻だと席を代わってもらう。車内販売のチョコを買おうとしたエリーをピーターが止める。彼女の財布にはほとんどお金がないため、NYまで持たないと忠告する。

 雨で橋が流され、バスは足止めを食らい、乗客はキャンプ場に泊まることに。ピーターはエリーと夫婦ということにして部屋を借りる。ピーターは、エリーがウエストリーに会うのを手伝う代わりに独占取材をさせろと話す。それを聞いたエリーは出て行こうとするが、ピーターは拒否するなら父親に連絡するとエリーを脅す。

 2人は同じ部屋で寝ることに。ピーターは2人のベッドの間にロープを張り毛布をかけ目隠しにする。彼はそれを「ジェリコの壁」だと話す。

 

 翌朝、エリーの父親は飛行機でNYへ向かっており、探偵からの調査報告を聞いていた。

 エリーは外のシャワーを浴びに行くが、行列ができており、時間がかかってしまう。部屋へ帰る途中、シェブリーが声をかけてくる。部屋ではピーターが朝食を作っていた。エリーはこれまで親のいう通りに生きて来たこと、見張り役の探偵を出し抜くのを楽しみにして来たことなどを話す。そして買い物途中で店から逃げ出したときに出会ったのがウエストリーだということも。

 探偵がエリーを探しにキャンプ場へやってくる。それに気づいた2人は夫婦喧嘩の芝居をし探偵を騙す。

 社では、上司がピーターからの電報を受け取るが、無視してしまう。

 エリーの父は探偵と相談する。ウエストリーは探偵が監視していた。父親はラジオ放送や新聞を使い娘を探すことに。

 

 シェブリーが新聞に掲載された記事を見る。エリーに1万ドルの報奨金が出されていた。その頃バスの中では、乗客たちが「空中ブランコの歌」を皆で合唱していた。

 バスが悪路にハマる。乗客の女性が倒れる。その子供が昨日から何も食べていないと訴える。ピーターはお金を子供に渡そうとするが、ママに怒られると答える。ピーターはお金持ちだから大丈夫だとお金を渡す。

 車の外に出たピーターにシェブリーが寄って来て新聞を見せ、あんたと山分けで5000ドルで黙っていると話す。ピーターは彼を人気のいないところへ連れて行く。そして自分たちはエリーを誘拐し100万ドルを手に入れるつもり、警察とも撃ち合いになるかもと脅す。シェブリーが怖気付いたため、彼の住所や子供のことを聞き出し口止めする。

 

 ピーターとエリーはバスを降りる。ピーターはシェブリーとの会話を話し、彼もそのうちに気づくからと話す。そしてエリーに父親に連絡しろ、子供に渡した十ドルが全財産だと話す。エリーはひもじくてもNYへ行くと答える。2人は山の中を歩いて行く。

 2人は山中で野宿をする。ピーターが藁でベッドを作る。エリーはお腹が空いたと文句を言うが、怖くなればお腹も空かないはずだとピーターは話す。エリーはベッドに横になり、また不機嫌になった、イヤなら私を置いて行ってと語りかける。しかしピーターはそこにいなかった。1人になりパニックになったエリーの元へピーターが戻ってくる。彼は食べるものを探しに行っていただけだった。ピーターはコートをエリーにかけてやる。2人の顔が近くが、ピーターは何もせず離れる。

 

 エリーが疲れたと言ったため、2人は休憩する。ピーターは生の人参をかじるが、エリーは生では食べられないと拒否する。ピーターはヒッチハイクをすることに。ピーターがヒッチハイクの極意を説明し車を止めようとするが上手くいかない。エリーはスカートめくり足を見せることで一発でヒッチハイクに成功する。2人を乗せてくれた男性は容器に歌い、2人は新婚だろと話しかけてくる。車はハンバーガーショップへ。男性は買いに行くが、2人は金がなく買えない。エリーが男性を誘惑して買ってもらおうとするが、ピーターが止める。2人は車を降り、ピーターが謝罪するが、男性がピーターのカバンを積んだまま行ってしまう。ピーターは車を追いかける。しばらくしてピーターは車に乗って戻って来てエリーを乗せて出発。男性はヒッチハイクを狙った泥棒だった。ピーターが顔に怪我をしていたためエリーはハンカチで怪我を押さえる。車がガス欠に。2人とも金がなくなったため、ピーターはコートを売って金を作ろうと話す。それを聞いたエリーは人参をかじり始める。

 

 エリーの父親はウエストリーと相談、お前は嫌いだが、お前たちの勝ちだ、娘を助けてくれ、記者を待たせてあるので声明を出してくれ、娘が戻って来たら結婚を許すと話す。

 エリーはその新聞記事を読む。ピーターはモーテルを1週間借りる契約をする。金は明日までになんとかすると話す。モーテルを借りたのはエリーの頼みだった。ピーターはNYまで3時間なのにと話すが、エリーは朝NYに着きたくないからと答える。

 2人は部屋へ。ピーターはいつも通り2人のベッドの間に毛布をかける。ピーターはNYに着いたら夫に会えるなと話すが、エリーはNYでも会える?とピーターに聞く。そしてピーターが女性と恋をしたらどうするのかを尋ねる。ピーターが答えると私を連れて行って欲しい、逃げましょう、あなたのいない人生なんて、とエリーは話す。しかしピーターはベッドに戻れと答える。エリーは自分のベッドに戻り涙ぐむ。

 ピーターは本当に一緒に逃げたいかと尋ねるがエリーはすでに寝ていた。ピーターは着替え外へ。ピーターはカバンを売って金を作り、店で原稿を書く。そして上司に会いに行き、原稿を渡し特ダネだから1000ドルが欲しい、エリーはウエストリーと結婚しない、自分と結婚すると言い、事情を話し、金がなければ結婚できないと話す。

 モーテルの主人夫婦の妻がピーターが外出したことに気づき、逃げたんだと夫を起こす。夫婦はエリーが残る部屋へ。ピーターがいないことを確認し、エリーに金を作るよう要求する。ピーターがいなくなったことに気づいたエリーは電話をさせて欲しいと頼むが、400m先に保安官事務所があるからと言われてしまう。

 社では、上司が、1面を差し替えるからと輪転機を止めさせ、ピーターに1000ドルを渡す。その時、部下からエリーが父親に迎えに来て欲しいと連絡が入ったと上司に知らせる。上司はピーターを警察に捕まえさせとと命令、記事は娘が戻ったというものにする。

 何も知らないピーターは1000ドルを持って車で戻る。エリーの父とウエストリーも車は保安官事務所へ。そして娘を連れて帰る。ピーターはその車を目撃、後を追うが諦める。

 

 新聞に、エリーが自宅に戻ったこと、ウエストリーとの愛の勝利だという記事が出る。

 ピーターは社に行き、上司に1000ドルを返し、あれは冗談だったと話す。上司は彼を慰める。

 エリーとウエストリーの結婚式当日。父親は娘の様子がおかしいことに気づき、何かあったのかと尋ねる。エリーは泣き出し、他に好きな男ができたことを話す。父親は式を中止にしようと言うが、娘はこれ以上騒ぎを起こしたくないと式をあげると話す。エリーがピーターの名前を出したため、父親は彼からもらった手紙を見せる。そこにはお金のことで相談があると書かれていた。エリーは自分にかけられた懸賞金1万ドルのことだと気づき、ピーターに報奨金を出すのは当然だと話す。

 父親はピーターに連絡、会いたいと話す。最初は拒否していたピーターだったが、式の様子を見たいと会いに行くことに。

 ピーターが屋敷に。父親は娘も報酬を受け取る権利が彼にはあると言ったが、要求を聞いてみないと話す。ピーターはリストを渡す。そこにはエリーを助けるために使った39ドルの請求内容が書かれていた。父親は1万ドルではないのかと問うが、ピーターは誰がそんなことを言った、これは信念の問題だと答える。父親は小切手を切り彼に渡すが、娘のことを愛しているかと尋ねる。ピーターは答えをはぐらかしていたが、最後には愛していると答える。

 小切手をもらったピーターは部屋を出る。そこにエリーがいたが、彼女はピーターが懸賞金をもらったと勘違いしていた。エリーはパーティに参加するように話すが、ピーターは調子が悪いからと帰ってしまう。父が来てピーターのことをエリーに話そうとするが、彼女は拒否する。

 

 式が始まる。娘エリーと歩きながら、父親はピーターが39ドルしか請求してこなかったこと、お前を愛していると言ったことを告げ、本当にウエストリーで良いのか、気が変わったなら裏に車を待たせてあると話す。神父の前での宣言が始まる。エリーの番になったが、彼女は答えず裏へ行き車で去って行く。

 その後。父親はウエストリーに電話をし、結婚取り消しのため10万ドルを振り込んだと話す。

 電報が父親に届く。それを読んだ父親は壁を崩してしまえと話す。

 とあるモーテル。主人夫婦が話している。妻は2人の客が夫婦かと疑っていたが、夫は証明書を見せてもらったと答える。しかしロープと毛布を貸してくれとはおかしな夫婦だ、おもちゃのトランペットも貸してやったと話す。2人の部屋、毛布が取られ、灯りが消えるのだった。

 

 

 1000本のゴールを前にアカデミー作品賞受賞作を見ようと選んだ1本。選んだのにはもう一つ理由があったがそれは後述。

 

 富豪の娘が結婚を反対され家を飛び出したのを、偶然新聞記者が発見、彼女のことを独占取材しようと彼女の逃亡を助ける。金を持たない2人にピンチが連続して訪れるが、なんとか乗り切って彼女の婚約者の待つNYを目前とするが…というお話。

 ネットレビューで多く書かれているように、「ローマの休日」や「卒業」を思い出すストーリー。この2つの作品が本作を参考にした、と言われても納得できるほど。

 

 父親の反対や娘の捜索、途中現れ娘の正体を見破る男性、主人公のカバンを盗んで行く泥棒など、エピソードはどれも良くできている。ヒッチハイク狙いの泥棒から車を奪い取ったシーンがあるが、そういえば主人公のカバンはどうなったのだろう(笑 まぁテンポよく話が進むので、そんなことすら気にならないけれど。

 

 終盤、エリーとピーターの間に行き違いがあって、お互いが誤解をしてしまう。これ以降のシーンは冗長かとも思ったが、これがエリーの父親の見せ場も生むし、エリーが結婚式から逃げるシーンも生むことになる。なるほど、本当によく練られたストーリーだと思う。そしてラストの「ジェリコの壁」でダメ押し。劇中、何度も登場したこの毛布の壁はラストへの伏線だったのね。

 

 この映画を選んだもう一つの理由。何を観ようかとAmazonプライムを探していた時にこのタイトルを見て、最近この映画が劇中で話題となった作品を見たなぁと思い出した。それがなんだったか思い出せず、本作鑑賞後にChatGPTに相談(笑 何度も質問を繰り返したが、全く埒が明かない。で、後日ChatGPTが言ったことから自分で調べてみて、「愛と哀しみの旅路」の中でそんなセリフがあったことが判明。あぁスッキリ。

 

 

或る夜の出来事(字幕版)

或る夜の出来事(字幕版)

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オセロ

●991 オセロ 1951

 男性と女性の葬儀が行われ、多くの人々、兵士が参列する。罪人が連れてこられ、檻の中へ入れられ、高い場所に掲げられる。罪人は檻の中から葬儀を見ていた。

 

 昔ベニスに戦争で名を馳せ、皆から尊敬されていたオセロというムーア人がいた。オセロは貴族の娘デスデモーナと恋に落ちたが、デスデモーナの父は2人の交際に反対。2人は秘密裏に結婚をする。オセロの部下で旗持ちのイアーゴは邪悪な心の持ち主で、オセロを憎んでおり、幸せに毒を盛ってやると誓う。イアーゴは、デスデモーナに惚れていたロダリーゴに2人の結婚がうまくいくはずはない、金を貯めておけと話す。

 デスデモーナの父は娘が駆け落ちしたことを知り怒る。元老院にトルコ艦隊がキプロス奪還のため島へ向かっていると連絡が入る。元老院はオセロを指揮官に任命するため、呼び出す。デスデモーナの父は元老院で、娘がオセロの魔術に騙され連れ去られたと訴える。オセロはデスデモーナと恋に落ちた経緯を正直に話す。そこへデスデモーナ本人もやってくる。彼女は父親に母が父に従ったように私もオセロに従うと宣言。父は勝手にすれば良いと言い、オセロには父を裏切った娘だから、夫も裏切るはずだと言い残し去っていく。

 

 イアーゴはオセロが自分ではなく、キャシオーを副官にしたことを恨んでいた。イアーゴはキャシオーを利用することを思いつく。オセロはデスデモーナをイアーゴに託し出発する。

 トルコ艦隊は嵐のため引き上げていく。島では勝利の宴が開かれ、オセロの結婚も祝われる。

 イアーゴはロダリーゴにデスデモーナはキャシオーに惚れていると嘘を吹き込む。そして今晩キャシオーを怒らせろ、自分は島を大混乱に陥れると話す。

 イアーゴはキャシオーに酒を勧め、酔っ払わせる。そして酔っ払ったキャシオーにデダリーゴが喧嘩をふっかける。2人は大喧嘩を始め、皆も注目する。オセロが気づき喧嘩を止める。そしてイアーゴに誰が喧嘩を始めたのかと問う。イアーゴはキャシオーをかばうふりをしながら、彼だと告白。それを聞いたオセロはキャシオーの副官を罷免する。

 名誉を失ったとショックを受けるキャシオーにイアーゴは、名誉を取り戻す唯一の方法はデスデモーナに事情を話すことだと助言する。その後イアーゴは、ロダリーゴにこれは罠だと話す。

 デスデモーナがオセロにキャシオーのことを話したあと、イアーどはオセロにデスデモーナがキャシオーと不貞を働いていると話しつつ、詮索はしない方が良いと話す。それを聞いたオセロは妻を疑い始め、妻が差し出したハンカチを踏みつけて去ってしまう。デスデモーナの御付きをしていたイアーゴの妻エミリアはそのハンカチを拾い、夫イアーゴに渡す。

 オセロはイアーゴに会い、妻の不貞の証拠を見せろ、さもなければ殺すと脅す。イアーゴはキャシオーが寝言でデスデモーナの名前を言ったと答える。それを聞いたオセロはイアーゴに、3日以内にキャシオーを殺せ、今からお前が副官だと話す。

 イアーゴは妻から受け取ったハンカチをキャシオーの家へ投げ入れる。

 デスデモーナはオセロにキャシオーをお許しに、と話す。オセロはデスデモーナにハンカチを見せろ、母がエジプト人からもらった神聖なものだ、と話すが、妻は話をはぐらかさないでと反論、オセロは妻に出ていけと命令する。

 イアーゴはキャシオーと会う。キャシオーの家にいた彼の恋人がハンカチを持ち出し、他の女と会っているのねと問い詰める。キャシオーはハンカチなど知らない、お前にやると答える。イアーゴはキャシオーにデスデモーナの手を借りるしかないと訴える。

 イアーゴはオセロと会い、これからここにキャシオーがやってくる、彼の薄ら笑いとご覧くださいと言い、キャシオーと2人で会い、それをオセロが影から見守る。イアーゴはキャシオーに彼の恋人との話を持ちかける。キャシオーは笑って話をする。そこへ恋人がやってきてハンカチの話をする。イアーゴは2人を行かせオセロの元へ。そしてキャシオーがハンカチを売春婦にあげたと話す。全てを知ったと勘違いしたオセロは絶望する。オセロは妻を見かけ、いい女だったと話す。それを聞いたイアーゴはオセロを煽る。オセロはだから悔しい、切り刻んでやると話す。イアーゴはキャシオーがデスデモーナと寝たと言っていたと追い討ちをかける。

 ベニスから本国の船で役人がやってくる。役人は書状を持ってきており、それはキャシオーをオセロの後任とし、オセロの帰国を促すものだった。話を聞いたデスデモーナは喜ぶが、オセロはキャシオーのことで喜んでいると勘違いし妻を殴る。それを見ていた役人はオセロの気が触れたのかと疑う。

 妻と2人斬りになったオセロは妻を売春婦だと罵倒する。そしてイアーゴに毒を入手しろと命じるが、イアーゴは自分の手で首を絞めるのですと助言、キャシオーは私が始末しますと話す。オセロは妻に寝室にくるように命じる。

 イアーゴはロドリーゴと会う。彼はデスデモーナとの仲が進展しないことを嘆く。イアーゴはベニスから通達が来て、キャシオーを後任としオセロが帰ることになった、しかしキャシオーが後任になれなければオセロの滞在が延期される、だからキャシオーを殺せと話す。ロドリーゴはキャシオーの殺そうとして失敗、逃げる。皆がロドリーゴを探す中、彼を見つけたイアーゴは彼を殺す。

 オセロは寝室でデスデモーナに話をする。彼女は不貞は誤解ですと話すが、キャシオーがお前と寝たと話したと言い、キャシオーはイアーゴが殺したと話し、妻の首を絞める。

 朝になりオセロは妻が死んだことを嘆く。そこへエミリアが来る。デスデモーナに駆け寄った彼女は、デスデモーナが最期に優しい夫をよろしくと話したのを聞く。エミリアは皆を呼ぶ。オセロは自分が殺したと白状し、妻の不貞とハンカチが証拠だと話す。エミリアはそのハンカチは私が夫イアーゴに渡したのものだと言う。それを聞いたイアーゴは妻エミリアを刺し逃げようとするが、捕まる。エミリアは奥様は潔白であなたを愛していたと話す。役人がきて、オセロの指揮権を剥奪、後任をキャシオーに任じる。オセロは剣で自分を刺す。そして役人に今回のことは全てありのまま報告をして欲しい、騙されて醜態を演じたとと話す。

 場面は冒頭の葬儀のシーンへ戻る。

 

 

 このブログの1000本のゴールのカウントダウンに入ったので、Amazonプライムで「それっぽい」作品を探していて見つけた1本。

 「オセロ」がシェイクスピアの作品なのは知っていたが、他に知っていたのは、あの白黒のボードゲームの名前の由来になった、ということぐらい(笑 だからもっと大逆転〜どんでん返し(ゲームオセロのように)があるのかと思って観ていたが…。

 ストーリーは至って単純。戦争の英雄オセロが、部下のイアーゴにいとも簡単に騙され、最愛の妻の不貞を疑い、殺してしまう。しかしその直後、イアーゴの妻により真実を知ることとなり、自らも自殺してしまう、という話。

 

 シェイクスピアはその有名な作品ほとんどが悲劇であることも知っていたが、こんな単純な話だったとは。そう言えば「ロミオとジュリエット」もストーリーそのものは単純だったなぁ。あちらが結末に向け、話が盛り上がっていくのに対し、本作は執拗なぐらいイアーゴにより嘘を吹き込まれていくオセロが、1人その疑いを濃くしていく様が描かれる。

 人間なんてこんな単純なものか、と思わせるが、何気に冒頭でのデスデモーナの父親の「父を裏切ったのだから、夫も裏切る」というセリフが効いて来るのかとも感じた。危機管理的に言えば(笑 オセロはイアーゴ以外の人間にも妻の不貞について確認すべきだったと思うが、英雄視されている彼は恥ずかしくてそんなことができなかったのだろうし、イアーゴの企みが上手かったということになるのかも。

 

 映画そのものは画面が暗く、わかりづらいシーンもあったが、wikiによればオーソンウェルズ渾身の一作だったらしい。確かに終盤の影を使った映像やオセロを中心に画面がくるくると回るシーンなど、この時代の作品としては見事な映像も多くあったように思う。

 

 

 

谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題 東川篤哉

●谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題 東川篤哉

 女子大生、岩篠つみれは、兄の経営する飲み屋「鰯の吾郎」にやってくる友人や客が持ち込んでくる謎の事件を、谷根千の路地裏にある店「怪運堂」の主人竹田津優介に相談、竹田津はその謎を解いていく。

 以下の4篇からなる短編集。

 

足を踏まれた男

 つみれの大学の先輩、高村沙織は、サークルでのBBQのとき、片思いの男性倉橋稜の足を踏んだことにされてしまう。しかし沙織は「鰯の吾郎」にきて、つみれに自分は倉橋の足は踏んでいない、踏んだのは石だと話す。

 その頃、商店街の石材店に泥棒が入ったが、何も盗まれなかったという事件も発生する。

 相談を受けた竹田津は、石材店やBBQにいたサークルの学生などから話を聞く。竹田津は、サークルの女子学生で最近姿を見かけていないというジュリアの家へ行く。そこでジュリアの死体を発見する。

 

中途半端な逆さま問題

 滝口久枝は友人たちとの温泉旅行から家へ帰ると、家の中のものの多くが逆さまになっているのに気づく。滝口の孫の足立瑞穂が「鰯の吾郎」へ来て、その話をつみれに聞かせる。つみれは竹田津に相談、彼は滝口の家へ行き現場を確認、事件発覚時に滝口の甥が駆けつけていたことを聞く。

 竹田津はもう一度滝口に旅行に行ってもらい、留守を狙って犯人が忍び込んでくるのを待ち受ける。

 

風呂場で死んだ男

 つみれは店の客寺島の忘れ物を届けに彼の家へ。寺島は留守だったが、店の常連西崎と会い、彼女を「吾郎」へ連れ帰ることに。翌朝、再度寺島の家へ行くと、斎藤巡査と会う。事情を聞いた斎藤は寺島の家の玄関へ。鍵がかかっていなかったため、中へ入ると風呂場で死んでいる寺島を発見する。死後硬直した死体の格好から、寺島は別の場所で殺され、自宅へ運ばれたと思われた。

 つみれは寺島のことを調べ、彼に恋敵がいることが判明、その相手谷岡の店に会いに行くが、追い返される。店のそばにあった空き家を不審に思ったつみれは家の中へ。そこの風呂場で、水や毛髪を発見し、ここが殺害現場だと確信するが、そこへ空き家の幽霊の噂を聞いた竹田津がやって来る。さらに斎藤巡査まで。谷岡が連行されたと聞いた竹田津に、これまでの事情を説明すると彼は寺島の家へ行く。そこで初めて寺島の家へ行った時のつみれの記憶から、事件の真相が解明される。

 

夏のコソ泥にご用心

 つみれは友人千秋と飲みに誘うため、梓のアパートへ。部屋へたどり着くが、梓が泥棒に入られたと出て来る。部屋に忍んでいた泥棒は窓から逃げたとのこと。すぐに警察に連絡、つみれは店でその話をする。すると泥棒が逃げた時刻に現場周辺にいたという客がおり、逃げてきた男の写真を撮影したと話す。その男を警察が見つけたが、すぐに釈放され、男は店に文句を言いに来る。話を聞いた竹田津は、関係者に話を聞きに行く。そして梓のアパートから逃げた犯人を見たという別の目撃者を見つけ、話を聞く。

 

 

 ここのところ、ちょっと重たい話の本ばかり読んでいたので、気分転換に東川篤哉の本を読むことに。気分転換にはなったが、この方の小説は相変わらずだった(笑

 どこにも明示されていないが、どうやらこの本は「泥棒」がテーマらしい。タイトルは「散歩」を謳っているが、それより様々な泥棒が目立ってしまっている。

 

 ミステリとしては、可もなく不可もなく。「泥棒」がメインらしいことと、もう一つ「意外な犯人」というのもテーマなのかも。探偵役の竹田津が推理が必ずしも当たらない、というのもポイントか。で、結局このシリーズの売りは何なのだろう(笑

 

 続編もあるらしいが、この調子では、続編は読まなくても良いかな。

 

丘の上の本屋さん

●990 丘の上の本屋さん 2021

 リベロは古書店を営んでおり、毎朝店を開ける。隣のカフェの店員ニコラはいつもコーヒーを持ってきてくれる。

 常連客の一人ボジャンが、ゴミ箱で見つけたという日記を持ってくる。リベロは15ユーロでそれを買い、読み始める。

 

 日記。

 1957年1月9日。ミケーレが働き口を紹介してもらう。家政婦の仕事はもうたくさん。20歳の私はミケーレと将来を誓い合う。

 2月6日。ミケーレと結ばれた。

 

 リベロは店に来た「我が闘争」初版本を探す客にうちにはないと答え、別の本を勧める。

 リベロが店先にいると少年エシエンがやって来て、店先の本を眺める。本が好きかと問うと好きだ、でもお金がないから買えないとエシエンは答える。リベロは1冊持って行って良い、明日返しに来いと話す。エシエンはミッキーマウスと書かれた漫画を持っていく。

 「持ち主が代わり 新たな視線に触れるたび 本は力を得る」という言葉が表示される。

 店にキアラがやってくる。彼女は家政婦をしており、女主人にフォトコミックを探してくるように言われていた。ニコラが店に来て、キアラに休みの日に一緒に探そうかと話すが、キアラは私は婚約しているのと断る。

 

 日記。2月16日。ご主人様が夫婦ケンカをしたため、とばっちりが私に。ミケーレの仕事がうまくいきますように。

 

 エシエンが本を返しにくる。リベロは別の本を貸し、また返せば良いと話す。

 ニコラが店に来る。リベロはニコラに、病院によって来るので明日店を開けてほしいと頼む。客がきたら、注文を聞いておいてくれと。

 翌朝、ニコラが店を開ける。夕方、リベロが店に。ニコラは結果はどうだったと尋ねるが、リベロは変わりないと答える。ニコラはボジャンが本を持ってきたこと、客がメドゥーサ文庫を探していたと話す。

 

 日記。2月28日。金髪にしたら女主人にふしだらだと怒られた。この人たちとはやっていけないが、他に働き口もない。

 

 店に女性客がくる。彼女は友人が特殊な本を探していると言い、SMの本のタイトルをあげる。しかしリベロはそれはうちにはないと答え、ネットで探して見たらどうかと話す。女性客は通販では管理人に本のタイトルを知られてしまうからダメだと答え、店を後にする。

 リベロは文庫を探していた客に電話をし、いつでも取りにくるようにと話す。

 エシエンがやってくる。リベロは漫画は卒業だと言い、「ピノキオ」を貸し、読み終えたら感想を聞かせてくれと話す。

 

 教授が店にやってくる。彼は自分の著書を探していたが、どこでも見つからなかった。教授は辞書を売るが、10ユーロにしかならず、文化も安くなったものだと不満を述べる。

 

 日記。3月3日。悲しい。ミケーレの働き口がダメになった。彼は半泣きだ。

 

 キアラが店にやってくる。彼女は未だフォトコミックを見つけられないで困っていた。そこへニコラがフォトコミックを持ってやってくる。彼は代金は明日の夕食を共にすることと話す。キアラが帰ったあと、ニコラはフォトコミックはネットでいくらでも見つかるとリベロに話す。

 エシエンがやってくる。彼は感想として猫と狐が頭がいいと褒めるが、リベロは人の無知につけ込むのが良いことかと話し、次の本だとイソップ物語を渡す。そしてそれは2500年前の話で、エシエンと同じアフリカの作者が書いたものだと話す。

 ボジャンが店にやってくる。彼は、いい家の婆さんに家の整理を頼まれた、古い本がどっさりある、がっぽり儲けると話す。

 教授がやってくる。自著を探す方法として図書館に問い合わせる方法を思いついたと話す。

 エシエンがやってくる。感想をリベロと話し合う。リベロは「星の王子様」を貸す。

 

 日記。3月16日。アメリカに移住した彼の叔父から手紙がきて、暮らしは順調、生活も豊かになったと知らせてきた。それを読んだミケーレの表情は輝いていた。彼の考えがわかった。

 

 収集家の客がやってくる。リベロと意気投合し、難解とされる本について語り合う。彼は初版本を購入する。

 神父がやってくる。彼は発禁本のコーナーを見て、権力は考えを統制したがると話す。彼はコーナーの中の一冊を手に取り、唯一読んでない本だと話すと、リベロは進呈すると話す。神父は読み終えたら返しにくると答える。ニコラがその様子を見ていた。リベロは、発禁本の普及は本屋の務めだと話す。ニコラはあんたって人は、と呆れる。ニコラはフォトコミックを置いて行く。

 エシエンが来る。「星の王子様」の感想として、どうやって地球に来たのかと話す。リベロは、どうやってきたかではなく、何をしたかが重要だと答える。2人は感想を言い合う。リベロは次の本だと「白鯨」を渡す。

 

 

 日記。4月2日。ママ100リラちょうだい。アメリカに行くの。移住について話し合った。

 

 キアラがやってくる。リベロはコミックを渡す。そこへニコラがやってくる。キアラは2冊分として、ピザと映画ねと話す。

 収集家がやってくる。彼は発禁本コーナーから詩人の本を購入する。

 ボジャンが来る。例の未亡人が本を競売にかけたと残念がる。リベロは、長い時間をかけて集めた蔵書がバラバラになるのかと残念がる。

 

 日記。5月23日。2人で移住することに決めた。アメリカが待っている。でもここを捨てて良いのか。正しい選択なのか。単なる逃避ではないのか。

 

 ニコラが来て、教授の本が図書館で見つかったと話す。そして今夜キアラとデートだと話す。リベロは彼女には婚約者がいたのではと問うが、ニコラは婚約者なんていなかった、誘いを断る言い訳だったと答える。

 エシエンが来る。「白鯨」を一言で言うと「復讐」だと答えるが、リベロは多分正解だが、じっくり読むことでもっと思いつくはずだと話す。医者になりたいと話すエシエンに、シュバイツァーの伝記本を渡す。

 キアラが店へ。彼女はニコラのことをどう思うかとリベロに尋ねる。リベロは、彼は大切な友人で、根は正直だと答える。

 

 リベロはエシエンに本を貸し続ける。「アンクルトム」「白い牙」「ロビンソンクルーソー」「ドンキホーテ」。

 

 そしてリベロはこれは君への贈り物だとエシエンに1冊の本を渡す。

 リベロはニコラに、少し早いが今日は疲れたから早く帰ると告げる。

 

 日記。7月4日。明日出発。ナポリから船で。この国ともお別れ。アメリカに行って豊かになる。過去を捨て、新しい未来へ挑戦する。心は2つに。1つはこの地に、もう一方は海の向こう。

 

 エシエンが未成にやって来ると張り紙がしてあった。「喪中のため閉店」と。ニコラがエシエンに気づき、慰める。そして彼からだと手紙を渡す。エシエンは走って去って行く。

 いつもの公園についたエシエンは手紙を読む。

 

 この手紙を読んでいるということは、私の身に覚悟していたことが起こったということ。お別れを言いたかったが、間に合わなかった。遺言として、店から君が好きなだけ本を持ち出せるようにしておいた。一番大事なのは最後にあげた本だ。人生の助けになる。何があっても忘れるな。人に最も大切なのは幸せになる権利だ。

 エシエンは最後にもらった本を見る。それは「世界人権宣言」だった。

 

 

 Amazonプライムオススメの1本。映画のサムネイルで使われている主人公の笑顔に惹かれて鑑賞。

 

 小さな古書店を営む主人公。店には様々な客がやって来る。ある日、少年が店先の本を眺めていることに気づいた主人公は、お金がなくて本が買えないという少年に漫画本を貸すことに。その後も少年は店に来て、主人公が勧める本を借りて行く。少年が読んだ本の感想を語り合う2人だったが、最後の日が訪れてしまうことになる、という話。

 

 店に来る様々な客が面白い。ゴミ箱を漁り、せどりをしている男性。友人が探しているとSMの本を探す女性。自著が本屋にないと嘆く教授。そして主人の命令でコミックを探すキアラとキアラを誘いたい隣のカフェに勤めるニコラ。彼らとの会話で、主人公がいかに本を大切にしているかがわかる仕掛けになっている。

 

 そしてボジャンが持ち込んだ1冊の日記。若い女性が書いた半年間の日記を読む主人公。付き合っている彼も彼女自身も今の生活に不満があり、最後はアメリカへ希望を託し渡って行く。

 この日記はどんな意味があるのだろう。書き手の女性のことも、その後のことも明かされないまま。人が密かに書いた日記ですら、1冊の本になり得る、ということだろうか。

 

 少年とのやりとりはこの映画のテーマそのもの。主人公が次々と少年に渡す本のタイトル。昔子供の頃「新潮文庫の100冊」で見たようなタイトルばかり。名作と言われる本はどこの国でも同じようなものなのか、と思って観ていたが…。

 鑑賞後、この映画のことを調べようとネットで調べたら、珍しいことに本作のwikiは存在しない。その代わりになるサイトをいくつか観ていたら、とある方が少年が勧められた本について考察しているページがあった。移民である少年が読むべき理由がそこに書かれており、驚かされた。それぞれの本にそんな意味があったとは。主人公が少年に勧めた理由も同じなのだろう。了解もなくリンクを貼るわけにはいかないので、ぜひ探して読んでみて欲しい。

 

 映画序盤で、主人公が病気であることが明かされているので、結末はある程度予想がつき、その通りの展開となった。主人公は手紙を少年に残す。そのメッセージは心温まるものだったのだが、一番大事なのものとして渡されたのは「世界人権宣言」だった。

 確かに、移民の少年にとっては大事なことかもしれないが、映画のオチとしてはどうなのよ(笑 と思ったが、先に書いたように鑑賞後本作のことをネットで調べたら、この映画ユニセフが協賛しているのね。それなら仕方なしか。

 

 本を読むのが今でも好きな自分にとって、少年時代の読書でワクワクする気持ちを思い出させてくれた良い映画だった。

 

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