鬼平犯科帳 第1シリーズ #23 用心棒

 ●鬼平犯科帳 第1シリーズ #23 用心棒

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 味噌問屋佐野倉にゴロツキが来て店頭で因縁をつけていた。店の者は用心棒高木軍兵衛に頼み、ゴロツキたちを追い払う。この頃江戸の治安は悪く、裕福な商家は用心棒を雇っていた。高木も唐津藩浪人だったが、用心棒として佐野倉に雇われていた。

 その頃粂八は盗賊馬越の仁兵衛の盗人宿を見つけたと鬼平に知らせにくる。盗人宿は今戸の船宿舟長だった。舟長の向かいの蕎麦屋で忠吾が見張り役をしていた。舟長に仁兵衛が入るのを見た忠吾は粂八の帰りが遅いのを気にして、蕎麦屋に使いを頼み、そば屋の吉蔵が役宅へ走ることに。

 夜、盗賊改方が舟長に押し入るがもぬけの殻だった。吉蔵が舟長に知らせたと思われた。その頃仁兵衛一味は舟で逃げていた。そこには吉蔵もいたが、彼は舟長にいる博打仲間が捕まるものと思って知らせたのだが、彼らが盗人だと知らされ殺されてしまう。

 佐野倉の内儀は軍兵衛のことを気に入っており、36歳ならば所帯を持たせようと考えていたが、番頭が軍兵衛は店の女中おたみに気があるようだと話す。軍兵衛はおたみにヒゲを剃った顔を見たいと言われ指切りをしていた。その様子を手代の文六が見ていた。

 鬼平は浪人姿になり仁兵衛の足取りを追う。そして五鉄で粂八からも仁兵衛の足取りが消えたと聞く。鬼平は仁兵衛が江戸を売ったのではと考えるが、粂八は仁兵衛は仕事に時間をかける執念深い男なのでまだ江戸にいるはずだと答える。

 軍兵衛は手代文六の集金に付き合う。二人が茶屋で休んでいると浪人が1両を賭けての勝負がしたいと持ちかけてくる。実は剣の腕がからっきしの軍兵衛は持ち合わせがないと断ろうとするが、文六が代わりに1両出して勝負を受ける。軍兵衛はコテンパンにやられてしまい、文六は1両を取られてしまう。軍兵衛は文六に店の者にはこの事は黙っていれくれと頼む。軍兵衛が弱いことがバレれば用心棒として店に置いてもらえなくなるためだった。文六は軍兵衛の願いを聞き入れ、店に帰っても怪我をしたのは大勢の浪人から集金した金を守るために戦ったからだと皆に話す。その夜、軍兵衛の活躍を祝い宴が行われる。軍兵衛は文六に礼を言い、アンタのためなら命も賭けると話すと文六はそのうち死んでもらうかもと答えほくそ笑む。

 夜、文六は出かけある家へ。そこは仁兵衛たちの新たな盗人宿だった。文六は一味の引き込み役として佐野倉に入っていた。仁兵衛に軍兵衛が実は弱いことを伝える。用心棒がいたため計画が遅れていた仁兵衛はそれならばと計画を急ごうとするが、文六は軍兵衛を上手く利用することを思いついていた。

 軍兵衛はおたみに治療をしてもらっていた。そしておたみが叔父の家に行くのについていくことに。道中、武士たちのケンカを目撃する。そこにいたのは例の浪人2人で、若い侍に1両で立会いを申し込んでいた。おたみは軍兵衛に助けるように言うが、軍兵衛は腰が引けていた。そこに浪人姿の鬼平が現れ、浪人2人をあっという間に倒してしまう。見ていた人々は五鉄で見かける浪人だと話す。軍兵衛は鬼平を追いかけ名前を聞く。鬼平は上州浪人木村平九郎だと答える。

 店に帰ったおたみは軍兵衛に怒っていた。若者が絡まれたのを軍兵衛が助けようとしなかったためだ。そこへ文六が来て一緒に出かけることに。行った先は仁兵衛たちの盗人宿。そこで文六は軍兵衛に店の蔵の鍵を持ち出して欲しいと頼む。蔵の鍵がどれかは主人と番頭と軍兵衛しか知らなかった。軍兵衛が断ると仁兵衛や手下たちが現れ、軍兵衛はボコボコにされてしまう。さらに文六から手伝わないなら軍兵衛の本当のことを店に話してしまうと脅される。

 店に戻った軍兵衛は蔵の鍵を持ち出す。文六はそれで型を取る。それをおたみが盗み見ており、事情を聞こうとするが軍兵衛は何も答えられなかった。

 鬼平は役宅で村松に味噌味の深川めしを作らせ食べていた。村松深川めしは醤油味こそだと言い出すが、そこへ久栄がやって来て、鬼平に五鉄から急の使いが来たことを知らせる。鬼平は五鉄へ。そこに待っていたのは、軍兵衛とおたみで木村平九郎に会いたいとのことだった。二人は事情を平九郎に話す。平九郎は文六は盗賊の引き込みだと話し、自分で相手を倒せばと答えるが、お民が軍兵衛は実は弱いと話し、平九郎に助けを求める。平九郎は軍兵衛に盗人の頭の名前を聞き、それが馬越の仁兵衛だと知る。

 一味は文六の取った型から合鍵を作ることに。鬼平は佐野倉周辺の地図を元に盗賊たちの逃走ルートを検討、しかし基本的には自分一人で盗賊たちと相対すると与力たちと打ち合わせをする。鬼平は平九郎の姿となり、軍兵衛の長屋で待機することに。二人は酒を飲んで時間を潰す。翌日文六は軍兵衛に今晩盗みに入ると告げる。その夜も平九郎と軍兵衛は酒を飲む。軍兵衛は盗賊たちが来ることを恐るが、平九郎は自分も、そして盗賊たちも怖いのだと話す。そこへ一味がやってくる。鬼平と軍兵衛が一味と対決する。鬼平が一味を、逃げ出したものたちは控えていた盗賊改方が捕らえる。軍兵衛は文六と一対一の勝負となり見事に倒す。平九郎は軍兵衛にこれは皆軍兵衛一人でやったことにしろと言い残し去っていく。

 翌日軍兵衛は嘘をつけないと言い出すが、おたみはそれを止め、これから強くなれば良いと話す。そこへ長谷川平蔵が来たと知らせが入り、軍兵衛は会うことに。しかしそこにいたのは平九郎だった。驚く軍兵衛に鬼平は暇があるなら剣術の稽古をしろ、道場を紹介すると話す。その後、軍兵衛は坪井道場へ通うことに。

 後年、鬼平のことを聞かれた軍兵衛は必ずこう答えたという。

 『長谷川平蔵様という人は、つまり、怖くて優しくて暖かくて思いやりがあって、そして何よりも怖いお方じゃ』

 

 

 初見時の感想はこちら。あらすじを追加した修正版。

 

 鬼平が、実際には弱いのにそれを隠して用心棒を務める浪人を助ける話。シリーズでは鬼平が盗賊と仲良くなったりする話はあるが、本作はちょっと異例かも。

 佐野倉の用心棒である軍兵衛が弱い、という設定が良い。序盤終わりでそれが明らかになる。ここからはシリーズには珍しいコミカルな展開となる。冒頭のゴロツキこそ追い返すことに成功するが、手代文六と出かけた先でケンカを売られる。しかも金がないことを理由に断ろうとする軍兵衛に、文六が金を出すと言ってケンカを受けることになり、あっさりと負けてしまう。これだけでも笑えるシーンなのだが。

 その後、惚れているおたみと出かけた先で同じ相手を見かけてしまうことに。おたみは軍兵衛が強いと思っているので若侍を助けてあげてといわれるが、軍兵衛は尻込み。通常のドラマならこのシーンは、見ているのこちらも恥ずかしさを覚えるようなシーンなのだが、なぜかこの話では笑ってしまう。ジョニー大倉さんの気弱な軍兵衛ぶりが見事なのだ。

 

 その後軍兵衛は、盗賊の引き込み役だった文六に良いように使われるが、それを偶然目撃したおたみの進言によって、木村平九郎こと鬼平に相談し、無事事件は解決する、というめでたい結末。そうそう、おたみ役の森口瑤子さん。この時24歳らしいが実に可愛らしい。森口さん寅さん映画がデビュー作なのね。wikiで初めて知った。その作品もう一度見てみよう。

 

 少し気になったのは、木村平九郎に化けた鬼平が軍兵衛とともに長屋で酒を飲みながらした会話。軍兵衛は盗賊一味との対決を怖がっており、それに鬼平が自分も怖いし、盗賊たちも怖いと思っている、だから奴らは徒労を組んでいるのだ、と語る。その先を続けようとした鬼平だったが、その時盗賊たちが現れた気配を察知し話をやめてしまう。自分も盗賊たちも怖いと感じている、でその先鬼平は何を語ろうとしたのだろう。だから軍兵衛も恐れるのは普通なのだ、とでも言うつもりだったのか。

 

 全体的にコミカルな話だったが、終盤前に役宅で村松深川めしについて議論をしていた鬼平も良かった。味噌味を押す鬼平と醤油味だと断言する村松鬼平は幼少の頃家を飛び出し飲まず食わずの時に作ってもらった味噌味の深川めしが忘れられないと話すのだった。

 

 ゲストとしては記憶に残るキャラだった軍兵衛、第7シリーズで再登場するのだが、それはまた先の話。

 

 

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あきない世傳 金と銀11 風待ち篇 高田郁

●あきない世傳 金と銀11 風待ち篇 高田郁

 江戸本店8周年の日にお梅と梅松の結婚式が行われる。年が明け江戸が大火事に見舞われる。幸は寄合で仲間に型染めの技術を教え、火の用心の柄を売り出すことに。一方、音羽屋の陰謀で綿が買い占められたり、歌舞伎が流れたりするが、富五郎の協力で簪は売れ始める。五鈴屋に砥川がやって来て、力士の浴衣を発注、寄合仲間と協力し一斉に力士の名前が入った浴衣を売り出す。そして寄合仲間が呉服太物としてお上へ申請をすることに。

 

 以下の12章からなる。

 

1章 咲くやこの花 1759年

 五鈴屋江戸本店8周年を迎える

 来年宝暦十年辰の年に災いが起こるという噂で、正月の寿ぎを盛大に

 8周年の日にお梅と梅松の結婚式が開かれる

2章 十年の辰年 1760年

 五年前に店に来た下野国呉服問屋の商人が、綿栽培が盛んになったと知らせにくる

 菊栄 売りに出す簪が完成、4本を持ち帰る

 2月 江戸大火事に 噂が本当になる

3章 日向雨

 火事で歌舞伎小屋、日本橋音羽屋が全焼

 幸 井筒屋〜惣次に会いに 音羽屋証文が焼ける、結は無事だと聞く

 幸 五鈴屋の商品が品薄の町で倍の値段で売られていることを聞き確認に出向く

 幸 結と再会、しかし結は幸に怒りの表情を見せる

4章 英断

 菊栄 簪職人たちに火事で失った分の代金も支払うと約束

 幸 菊次郎から親和文字の存在、音羽屋が太物に手を出すこと教えてもらう

 幸 太物寄合で、型染めの技術を皆で共有し、火の用心の柄を売り出したいと話す

 お梅の飼っている小梅に子供ができる

 吉次の女道明寺の舞台が、音羽屋の横槍で流れる

5章 万里一空

 音羽屋再建、安値で木綿を売りに出す

 大阪からの手紙で、綿の不作、買い占めが行われていることを知る

 勧進相撲が行われる

 木綿不足のため、河内屋が寄合仲間に白生地を融通すると話す

6章 悪手、妙手

 霜月朔日に一斉に火の用心柄を売り出すことに しかし型染めの技術が漏れる

 霜月朔日 市村座音羽屋の型染め浴衣が披露される

 一連のことが音羽屋の仕業だと判明するが、それは悪手だと菊栄が話す

7章 錦上添花

 霜月朔日 火の用心柄が売れ始める 市村座で披露された柄も音羽屋で売り出す

 富五郎が江戸に戻り、いつかの借りを返したい、菊栄の簪を借りたいと話す

 富五郎、吉次とともに舞台で女道成寺の一幕を演じ、菊栄の簪を使う

8章 天赦日の客 1761年

 五鈴屋江戸本店9周年、いつも来る夫婦の客が店に顔を見せず 

 菊栄の簪が富五郎のおかげで売れ始める

 寄合で下野国の綿栽培が話題に 恵比寿屋が調べにいくことに

 2月 開店記念日に来る夫婦の男性がやって来て、砥川額之助と名乗る

 砥川は今年の勧進相撲の際に、力士全員に藍染め浴衣を着させたいと発注をする

9章 深川へ

 賢輔が力士の浴衣の図柄を考え始め、力士の名前を親和文字で入れることを思いつく

 書士親和先生に事情を説明し、力士の名前を書いてもらうことに

10章 土俵際

 幸 砥川に力士の名前を図柄にし、その浴衣を店でも売り出すことを了承してもらう

 幸 寄合でそのことを報告

11章 三度の虹

 梅松、誠二の型紙作りが佳境に 

 駒形町呉服商丸屋が店に客として来店

 型紙が出来上がり、染めに入る

 8月 火事で歌舞伎小屋が焼ける 五年で3回目

12章 触太鼓

 神無月十一日 力士浴衣を一斉に売り出すことが決まる

 勧進相撲が始まり、浴衣が爆発的に売れる

 寄合 丸屋が仲間に入る提案を受け、河内屋が自分たちが呉服太物仲間となることを提案

 

 シリーズ11作目。ざっくりとしたあらすじは冒頭に書いた通り。

 前作終わりでお梅の結婚が決まり、五鈴屋も型染めの太物が売れ、全てが良い方向へ進み始めた。著者のことを知っているファンとしては、本作でまた揺り戻しが起こるのではと思っていたら、案の定江戸が大火事に見舞われてしまう。五鈴屋は直接的な被害を被ることはなかったが、間接的に物が売れない状態に。さらに綿の入手が困難になってしまう。それでも幸はピンチをチャンスに変えるべく、寄合仲間に型染めの技術を伝授、庶民の願いを込めた火の用心の柄を売り出すことに。

 さらに毎年開店記念日に訪れていた上品な夫婦の客が、勧進相撲の関係者だと判明、力士のための浴衣の発注を受ける。賢介をはじめとした店の皆で、力士の名前入りの浴衣を作ることを思いつき、それを寄合仲間達と一緒に売り出すことに。

 

 全てがうまくいき始めた五鈴屋。一緒に頑張って来た菊栄の簪も売れ始める。

 菊栄といえば、型紙作りに熱中しすぎる梅松をお梅が非難した際に、菊栄がお梅にかけた言葉も見事だった。あまり笑いの多いシリーズではないが、この場面は流石に笑わせてもらった。

 

 そしてラストの河内屋のセリフ。仲間入りしたいという丸屋の提案を受け、呉服太物となることの申請を、と話す。丸屋のためだけかと思いきや、本作で皆のために行動を取った五鈴屋への恩返しとして、というセリフはシリーズ屈指の名セリフだった。富五郎が亡き智蔵を思って語ったセリフと双璧である。久しぶりに本シリーズで涙することになってしまった。

 

 いよいよシリーズも残すところあと2作。ラストの河内屋のセリフを読むまで、五鈴屋の呉服売りへの復帰は完全に忘れていた。これがシリーズの最後を締める大きな動きとなるのだろう。また火事にあい全てを失ったはずの音羽屋の無謀な買い占めはどう影響してくるのか。火事で店を失っても幸への敵対心むき出しだった結はどうなるのか。

 最後まで目が離せない展開になるんだろうなぁ。

 

 

 

 

銭形平次捕物控 女狐屋敷

●709 銭形平次捕物控 女狐屋敷 1957

 海で祭りが行われ観客は船に乗ってそれを楽しんでいた。八五郎は知り合いのお半が船に乗っているのを見て喜ぶが、その船がひっくり返ってしまい、八五郎はおはんを助けるために海へ飛び込む。しかし八五郎は泳げずお半に助けてもらう始末だった。

 藤間勘美津の社中大さらいが行われる。美濃屋の娘もそれで出ていた。その裏で美濃屋は天心教の赤座と話をしていた。天心教教祖がご託宣をしており、祭りでの水難を予言していた。さらにご託宣では剣難の相が出ているとのことだった。

 舞台では芸者染次が師匠勘美津と一緒に踊りを披露する。しかし踊りに使われていた鎌が本物だったため、染次は死んでしまう。

 同じ頃豆腐屋六兵衛は持病で苦しみ始める。しかし天心のお水を飲めば不思議と治るのだった。妻おさつは水をもらいに行き、娘おみよは六兵衛を見守る。

 その頃三ノ輪の親分が染次殺しの現場を調べ勘美津を殺しの下手人としてえ捕まえようとしていた。女目明しのお品も現場へやってきて、当日楽屋に出入りした人間としておさつとおみよがいたことを聞き出す。六兵衛はおさつが貰ってきた天心の水を飲み、回復する。

 天心教本部。六兵衛は赤座に対し、お水を飲めば症状は良くなるが、一向に病気が治る気配はない、お布施として出した金を返して欲しいと訴える。しかしお布施を返してもらえないと知り六兵衛は怒って帰っていってしまう。一方教祖はご託宣として、染次殺しは君香の仕業だと話す。

 六兵衛が川で死体となり発見される。お品と卵之吉は死体を調べ、心と書かれたの鏡を発見する。その頃、君香が毒を飲んで自殺する。しかしそれはご託宣通りだと皆は信じ驚かなかった。お品と卵之吉は夜道で男たちに襲われ、六兵衛が持っていた鏡を寄こすように言われる。争いになるが、そこへ平次が現れ男たちを一蹴する。

 美濃屋の主人が具合が悪くなり店に帰るなり床につく。勘美津は君香が犯人だとされたため釈放され、事情を聞く。しかし勘美津は君香が犯人だという話に疑問を持つ。六兵衛の葬式が天心の大宮司お滝により行われる。おさつは感謝するが、娘おみよは天心が父親を殺したと考えていた。

 平次は八五郎と将棋を指していた。そこへ美濃屋の娘がやってきて、父親が天心教教祖に二十六夜の月の日に龍に噛まれて死ぬというご託宣を受けて弱っていると話す。美濃屋は商売が上手くいかず奉公人も返した時、教祖がやってきて材木を買い占めるように話しその後江戸に大火事があり美濃屋はそれで息を吹き返したため、美濃屋は天心教のために屋敷も建てた間柄だとも話す。しかし平次は何も言わずに美濃屋の娘を帰してしまう。そこへお品がやってきたため、平次は頼み事をする。

 平次は天心教のことを調べたいと笹野に話す。笹野は采配違いもあるが、大奥のお蓮の方が天心教を信仰していると話す。天心教の屋敷では教祖がお蓮の方と酒を酌み交わしているのをお滝が盗み見ていた。お滝は教祖に惚れており嫉妬するが、それを聞いた赤座はお滝を戒める。

 勘美津がお参りをしていると平次がやってくる。そして染次殺しについて話を聞こうとすると男たちが二人を襲う。平次は戦いなんとかその場から逃げる。

 その頃天心教の屋敷へ八五郎へ信者のふりをして潜入していた。八五郎は倒れそうな老人が屋敷の奥へ行き、帰りには元気になっている姿を目撃する。男たちから逃げた平次と勘美津は船に乗り話をする。勘美津は対馬国武家の娘だったが、父親が目をかけた浪人に殺されたため仇討ちのため江戸にきている、相手はご法度である芥子で薬を作っておりそれを咎めた父親を殺し殺し逐電した、浪人の名は赤間新兵衛という。

 ご託宣の二十六夜がやってくる。平次は美濃屋の屋敷の守りを固めその時を待っていた。しかし美濃屋は女中おもとが薬を入れた水を飲んでしまい、時が来て叫んで龍の絵が描かれた屏風に突っ込んで死んでしまう。平次は女中のおもとを捕まえる。

 その頃天心教の屋敷では赤座が蓮華往生の儀式を行なっていた。選ばれた老人が蓮華の中に入ると下から槍で刺されて死んでしまう、という儀式だった。

 平次は笹野に会いに行くが、天心教が大奥へ参内することが決まり、それを止めに笹野が行っていて留守だった。平次は家へ戻り、お静に簪を渡し出かけて行く。お静は平次の覚悟を感じて取っていた。

 天心教の屋敷にお蓮の方がきて教祖と一緒だった。それを見たお滝はまたも嘆く。それを聞いた赤座はお滝を刺し殺す。平次はご託宣をもらいたいと赤座に会う。そして一連の事件の犯人が天心教だと話し、その動機も語る。しかし巫女に化けていたお品が囚われており、平次は十手を捨てさせられ捕まってしまう。

 その頃笹野が屋敷に戻り、平次からの手紙を受け取理、事件の真相を知る。

 平次は蓮華往生の儀式をさせられる。しかし開いた蓮華から平次は無事な姿を見せる。囚われていた八五郎やお半、お品に卵之吉も含め大乱闘となる。勘美津は父の仇である赤座を倒し、教祖も自害する。そして笹野が町方を連れて天心教の屋敷に踏み込んでくる。

 事件が終わり皆で海岸で地引網を楽しんでいた。そこへ八五郎が笹野からの手紙を持ってくる。そこにはゆっくり静養しろと書いてあった。

 

 BS12で放送された「銭形平次捕物控」シリーズをこれで全て観たことになる8作目。20本近く製作されたシリーズの中盤の作品。

 本作は、ニセ宗教が敵となる、現代にも通じそうな話。御宣託(予言)が当たることをウリにしつつ、病気持ちの信者に麻薬の入った水を飲ませて一時的に症状を軽くすることで信頼を得ていく、ニセ宗教天心教。御宣託の中には、人殺しの犯人も含まれており、それも一味の手の者が工作をして…という怖い話。

 

 ネットのレビューで、「豪華な女優陣」と書かれており、確かに大勢の女優が登場する。踊りの師匠、殺される共演者、父を宗教に殺される娘、教祖の元で働く宮司、教祖に惚れ込んでしまう大奥の女性。女目明し。しかし昔の女優さんのため、いまひとつピンとこない方ばかり。

 そのため、冒頭から出てくる多くの女優さんの区別がつかず、話の展開がよくわからなかった(笑

 

 一連の事件のおさらいのためにメモ。

 踊りの師匠と共演していた芸者が、小道具の鎌が本物だったため殺される。鎌をすり替えたのは、殺された芸者が好き合っていた若旦那に嫉妬した女性、というのが犯人の筋書き。〜すり替えたのは教祖の手下の女中おもと。

 その踊りの場にもいた豆腐屋の娘の父親が宗教を信じていたが、症状は軽くなるものの病気が治る気配がないため、お布施を取り戻そうとして殺される。〜症状が軽くなるのは、麻薬入りの水を飲んだためで、病気を治療しているわけではない。

 美濃屋の主人は御宣託で死を予言され、その娘が平次に相談。平次は美濃屋の警護に当たるが予言通りに主人が死んでしまう。〜これも教祖の手下の女中おもとが毒薬を主人に飲ませたため。

 

 笑ったのは、蓮華往生の儀式。この儀式だが、信者の老人が大蓮華の中に入るが、下から槍で刺されて死んでしまうというもの。なんだそりゃ?と思うが、一応「往生の儀式」なので死んでしまっても仕方ないというものなのか(笑 さらに可笑しいのは、お品が人質にされたため捕まった平次をこの蓮華往生の儀式で殺そうとする一味。いやいや、普通に殺せば良いでしょうよ。まぁここがこの映画の見せどころなのだろうけど。

 しかし儀式をクリアした平次だが、その直前に捕まった際に十手を捨てているため、乱闘となってもある武器は銭のみ。武術らしい技で悪党どもを投げ飛ばし、トドメは銭を投げるのだが、迫力不足は否めない。

 

 このシリーズの定番として、平次が上役笹野の前で、悪人を捕らえるためには身を捨ててでも、というシーンがあるが、本作ではそれだけでは足りないと考えたのか、平次が敵の本拠に乗り込む前に、妻であるお静に簪を買って帰り、それを渡して家を出ていくというシーンがある。平次がお静にプレゼントをするというのが珍しいため、お静は平次の覚悟をそれで感じ取り涙する、というシーンへつながるのだが、本作だけここまで覚悟を決めて臨む平次、というのに観客は違和感がなかったのだろうか。まだまだ浪花節の世界が当たり前の世の中だったのかしら。

 

 一番驚いたのは、終盤の大乱闘シーンでの一コマ。先に書いたように平次が一人大奮闘するシーンが続くのだが、ある場面で平次が悪漢たちに圧倒されてしまう。と思ったらそこへ平次が助けに入る。えっ?だったら先に襲われていたのは誰?と思うのだが、それは女目明しお品の子分、卵之吉だったとすぐに気づく。あぁそうだったのね、と思ったのだが、観終わった後に調べたら、この卵之吉役の林成年さん、長谷川一夫さんの実の息子さんなのね。道理でよく似た二枚目の役者さんな訳だ。

 

 前にも書いたが、TVがまだ普及する前の昭和30年代の映画。御都合主義のストーリーや無理のある立ち回りなど多いが、このような映画が大衆娯楽作品だったのだろう。

 

 

探偵はBarにいる3

●708 探偵はBarにいる3 2017

 トラックの運転手が食堂で若い女性と会い、二人はトラックに。道路の先に車が止まっていたため、運転手は拳銃を持って車に近づくといきなり射殺されてしまう。犯人はトラックの荷台の荷物の毛ガニを自分の車へ移し替える。

 その頃探偵の俺はクラブで停電中に店の女性の胸を触った犯人を教頭だと推理で突き止めていた。そこへ高田が後輩原田誠を連れてやってくる。

 誠は俺に彼女である諏訪麗子を探して欲しいと依頼してくる。麗子は突然行方不明となり携帯でも連絡がつかないとのことだった。俺と高田は誠を連れ麗子の部屋へ。家を調べ麗子が金回りがよかったこと、実家には帰っていないこと、ピュアハートという所からの多額の振込があることを突き止める。

 俺は情報屋の客引きにピュアハートのことを尋ねるが彼らは何も知らず。ただ店で騒ぎを起こした教頭が風俗王として知られているので彼ならば何か知っているのではと言われる。教頭からピュアハートがいかがわしいモデル派遣事務所だと聞いた俺はピュアハートへ。そこで麗子の写真を見せるが店員は何も知らないと答える。店の中を探索しているのを見つかった俺だったが、その場にいた女性に救われる。

 ピュアハートのことを飲み屋で高田に話し店を出ると男たちに襲われる。その中には波瑠という男もおり、高田も叶わないほどの強敵だった。俺は男たちの一人、工藤に麗子を調べているのはなぜかと問われケツを刺される。そこへ店にいた女性、岬マリがやってきて俺を助け、自分たちも麗子を心配し探していると話す。

 俺は相田にピュアハートのことを聞こうとするが、またも拉致され真冬の海で船の先頭に縛られパンイチで晒される。相田によれば、ピュアハートは花岡組の息がかかった北城仁也の組織で、密輸した毛ガニを奪われて血眼になって犯人探しをしているとのことだった。相田の桐原組も疑われており、俺は北城には手を出すなと忠告される。

 俺は新聞記者の松尾から北城がおもての世界では経済界のホープとされていること、毛ガニを奪った犯人は足跡から大柄の男だったこと、運転手椿は北城の右腕と呼ばれた男だったが北城と上手くいっていなかったこと、椿が若い女性と一緒だったこと、を聞く。俺は麗子が椿の事件に関係しているらしいと考える。

 俺と高田はピュアハートに侵入、PCから麗子が店のモデルとして働いていたことを知り、マリを張り込む。するとマリは隠れて暮らしていた麗子の家を訪ねる。俺も麗子に会い話を聞くが、北城たちに拉致されてしまい、もう事件に関わるなと忠告される。

 俺はマリのことを思い出す。以前風俗嬢だったモンローの店で働いていた若い女性がマリだった。俺はモンローに会いに行き、マリのことを尋ねる。マリは両親に死に別れたあと男ができ妊娠したが子供を失って自暴自棄になっており、自分の命も軽く考えるような女だった。俺はマリに自分が燃えるような何かを見つけろとアドバイスしていた。

 波瑠は工藤に家へ。しかし工藤は何者かに射殺されていた。俺は松尾から工藤殺害の情報を聞く。工藤は北城の麻薬を盗んだと思われたが、麻薬は見つかっていない。工藤の家に椿殺害現場にあった足跡と思われるブーツが見つかったがいかにも過ぎるとのこと。俺は相田に会い、北城が麻薬を探していること、マリはお金に執着していることを聞く。

 俺は街中でマリと出会う。俺は一連の犯行は全てマリの仕業だと話すが彼女は何も言わなかった。俺はマリと一夜をともにし、彼女が薬を飲んでいることを知る。翌朝マリは去った後で、100万円とともに依頼を引き受けてくれてありがとうとのメッセージが残されていた。そこへ波瑠たちがやってきて俺は北城の店へ連れていかれる。

 そこで麻薬のありかを聞かれ、マリにも裏切られる。しかし高田が救出にきて、マリとともに逃げることに成功する。俺はBarでマリに怒るが、マリは改めて俺に協力を依頼してくる。マリは麻薬を北城に1億円で売りつけるつもりだった。

 俺とマリはトークショーが行われているショッピング施設へ。そこで北城と取引をする。そして金を持って逃げようとしたとき、マリは金を俺に託し、拳銃で場内を混乱に陥れ、北城を殺そうとする。しかし警備に来ていた警官に捕まってしまう。金を持って逃げた俺は北城たちに捕まり金を奪われてしまうが、バッグをすり替えており金は無事だった。

 マリは捕まり麗子も誠の元へ帰ってくる。マリに殺されそうになった北城の店にも操作が入り北城は逮捕される。俺はマリに依頼された病院へ。そこである少女の治療のために1億円を使うことになっていた。俺はその少女がマリの実の娘だと考えたが、少女は何も関係のない少女で、マリが入院していたとき偶然知り合っただけの仲だった。俺はマリのことを考え、彼女がいつかの日か出所し自分の前に現れるのを待とうと思うのだった。

 

 シリーズ第3作にして、現在のところ最終作。

 謎そのものがミステリアスだった第1作、展開が比較的単純だった第2作だったが、本作も前作第2作同様、事件の展開がわかりやすい。冒頭で恋人を探して欲しいと頼まれた探偵である俺が、毛ガニ密輸に絡む殺人事件に巻き込まれていくというもの。

 もっと言ってしまうと、本作は謎が提示されるもののそれが次々と明かされていくイメージ。麗子はマリが匿っていることがすぐに判明するし、一連の毛ガニ〜麻薬強奪もマリの仕業だと早めに明らかにされる。つまり、謎は数多く提示されるのだが、観客がそれを考える間もなく、解決されてしまうのだ。そのため謎解きという意味ではあまり面白くないと感じる。

 

 それでもシリーズ3作目ということもあり、定番パターンとなったシーンはやはり面白い。情報屋でもあるヤクザ相田に俺が拉致されるシーン〜今回は船の先頭でパンイチに、その相田が所属する桐原組組長との短い会話シーン、喫茶店の峰子との絡み、俺と高田の乱闘シーン〜今回は強敵波瑠と高田との格闘が見もの、など。

 

 第2作でラストについて文句を書いたが、本作を観て、このシリーズはラストにヒロインの独白を持って来るのがパターンなのだと気づいた。前の2作に比べると、ヒロインの取った行動は共感ができにくいものだが、そこは昔俺がマリに話した会話のシーンがあるため仕方なし。

 

 本作を観終わった後、劇場公開当時の主役の二人、大泉洋松田龍平のインタビュー記事を読んだ。本作は脚本の出来に納得がいかなかった大泉洋が脚本を練り直した結果、公開が2年遅れたらしい。第1作が2011年、第2作が2013年、本作が2017年公開なのはそういった理由のようだ。ということは2019年に第4作があってもおかしくないのだが…。

 物語終盤、相棒である高田の学校の移籍の話が明かされ、シリーズの終わりを匂わせるが、映画の本当のラスト〜エンドロールの後、それに関するオチが明かされる。このオチがあったということは、製作陣はまだまだこのシリーズを続けるつもりがあったということなのだろう。しかし第4作が製作されていないのは、やはり大泉洋が大物になり過ぎたからなのだろうか(笑

 

 いつか第4作が作られることを期待しておこう。

 

刑事スタスキー&ハッチ 第1シリーズ #20 愛の思い出はかくも美しい

●刑事スタスキー&ハッチ 第1シリーズ #20 愛の思い出はかくも美しい

 

あらすじ

 スタハチは管轄内で事件を起こした連続強盗犯のことを調べ始める。次の事件が起こるが、その被害者はスタスキーの同級生シャーマンだった。かつて有名なモデルとして活躍していたシャーマンは1年前に失踪していた。シャーマンを見つけたスタスキーはマスコミに嗅ぎつけられないようにシャーマンを自宅で匿うことに。しかし強盗犯は顔を見られたシャーマンの命を狙い始める。

 

ストーリー

 アパートに一人の女性が帰ってくる。しかし部屋には強盗がおり、襲われてしまう。

 スタハチはある人物を探していた。それはキーコという11歳の少年で、彼は仲間たちとともに川べりにいた。ハッチはキーコの兄貴がわりとして付き合っていたが、警官と付き合いがあると友人たちに嫌われることを恐れたキーコはハッチとの付き合いを辞めようと考えており、ハッチはそれを受け入れ去っていく。

 署に帰ったスタハチはドビー主任からウエストサイドの強盗が管轄内で事件を起こしたと知らされる。ドアの開け方が同じなので同一犯だとのこと。1ヶ月半の間に殺人3件、強盗17件をしており、安アパート専門の強盗だった。

 その強盗が次の獲物を狙っていた。ドアをバールでこじ開ける方法である部屋を狙ったが住人がいて失敗。別の鍵がかかっていない部屋へ忍び込むが、住人の女性が寝ていたため、静かに金を探す。ベットサイドにブレスレットがあったためそれを取ろうとした際女性が起きてしまい騒がれ逃走する。アパート中が騒ぎとなり、先に侵入されそうになった住人が警察を呼ぼうとするが、襲われた女性は何も盗まれてないと言って警察を呼ぶことを拒む。

 街をパトロールしていたスタハチに通報が入る。強盗が故買屋パックと盗品のブレスレットの金額のことでもめていた。スタハチが現場に向かうが強盗はパックを射殺し逃走してしまう。現場でスタさんは殺されたパックが持っていたブレスレットを見つける。そこには「シャーマンへ トニーより」という文字が刻まれていた。シャーマンとはNYで活躍していたモデルだが、1年前に失踪した、その時に身につけていたものだと話し、スタさんはシャーマンの中学の同級生で、13歳のスタさんには天使に見えたと語る。しかしそのシャーマンは夜の街をさまよっていた。

 その頃強盗はモーテルに女とおり、怪我を治療してもらっていた。女はもうこの街はヤバいのでリノへ逃げようと話すが、強盗は認めなかった。ブレスレットを盗んだ部屋にいた女性に顔を見られていたためだ。

 署に戻ったスタハチはドビー主任から、ブレスレットがシャーマンのものであること、シャーマンの母親に連絡したが病気だと知らされ、シャーマンを探すことと強盗犯を捕まえることを命じられる。

 強盗の女はシャーマンのアパートでシャーマンが留守であること、夜は飲み歩いていることを確認する。強盗はシャーマンが帰ってくるのを待つことに。スタハチにはフィーターバーでオレンジの女性が待っていると通報が入る。スタハチはオレンジの女性に会い、シャーマンが写真とは異なりげっそりとして別人のようだった、10分前までこの店にいたと話す。そしてシャーマンが落とした部屋の鍵をもらう。

 その頃シャーマンはアパートへ戻る。それを強盗が見ており、彼女の部屋へ。スタハチが駆けつけ、強盗は逃げる。スタさんはやつれたシャーマンを見て驚くが、彼女が酒を飲もうとするのを止める。そして逃げて行った男がが昨夜押し入った強盗だと聞く。ハッチはシャーマンを警察へ連れて行こうとするが、スタさんはそれに反対する。スターだったシャーマンを警察に連れて行けば、マスコミの餌食になるためだ。それでもハッチはスタさんを説得しようとするが、スタさんは認めず、自分の家へ連れて行くと話す。

 スタさんの家についたシャーマンだったが、酒を求める。しかしスタさんは酒を飲ませない。スタさんは警官だと名乗り元のシャーマンに戻すと話すが、それを聞いたシャーマンは浴室のカミソリで自殺しようとする。スタさんはそれも止めシャワーを一緒に浴びる。

 署ではドビー主任が休んでいるスタさんのことをハッチに聞く。さらに強盗犯の報告書がデタラメであることを怒るが、ハッチは放っておけば解決すると答える。ハッチは友人に借りた服を持ってスタさんの家へ。ハッチはスタさんの母親がシャーマンが軽された雑誌を送ってくることやスタさんの卒業アルバムの話を聞く。ハッチは主任が怒っていると伝えるが、スタさんはシャーマンのことを話し出す。彼女の身内に不幸が連続して襲いその結果、シャーマンは自分の周りの人間が不幸になると思い込んで失踪してしまったとのことだった。ハッチはシャーマンは証人だと話すが、スタさんはシャーマンがシャキッとしたら連れて行くと答える。ハッチは覚悟はできているのかと尋ね、スタさんは頷く。ハッチが去った後シャーマンは悪夢を見て叫ぶ。スタさんはシャーマンに父が自殺した理由を述べ、シャーマンのせいではないと話し、彼女を慰める。

 警察で働くスミティが強盗に電話をし、情報を教えるので金を用意しろと話す。スタさんのおかげでシャーマンが少しずつ回復していく。スタさんは中学の同級生だったことをシャーマンに話すが、彼女は何も覚えていなかった。強盗はスミティを殺しシャーマンの居場所であるスタさんの家の住所を手に入れる。

 ハッチはヒョロ松から殺された故買屋パックと取引をしていたテキサスキッドと留置場で会う。テキサスキッドは強盗とリノで一緒だったこと、バーンという名前でヒドい悪党だったこと、3週間前に豚箱でパックに紹介したことを聞き、さらにバーンがウエスタンというモーテルにいることを聞き出す。

 スタさんはシャーマンに母親へ電話するように話す。電話したらここにいられなくなるとシャーマンは話すが、スタさんはそれでも電話するように言う。そこへハッチから連絡が入り、強盗がウエスタンにいると聞きスタさんは出かける。シャーマンは母親に電話をする。

 スタハチはウエスタンモーテルへ。もぬけの殻だったが、そこでスタさんの手帳を見つける。デスクにあったもので、スタさんの自宅が記載されていた。スタさんは自宅へ電話をするが、シャーマンはシャワーを浴びていて出ることができなかった。二人は急いでスタさんの自宅へ向かう。

 バーンと女はスタさんの自宅へ。バーンはいつもの手口でドアを開けるがシャーマンがそれに気づき反撃。バーンは裏口から家へ侵入、シャーマンは玄関から逃げるが女に撃たれそうになる。そこへスタハチが駆けつけ、ハッチがバーンを射殺する。

 スタさんはシャーマンを車で母親の屋敷へ送る。シャーマンは別れたくないと話すが、スタさんは別れようと告げる。彼女があいたいくなったらと聞くとスタさんは鍵はマットの下だと答える。シャーマンは母親に再会、スタさんを紹介しようとするがスタさんは車で去って行ってしまう。

 ハッチの家。スタさんは電話で母親にシャーマンのことを話していた。スタさんの母親はシャーマンのサインをもらわなかったことを怒っていた。そこへキーコがやってくる。兄と喧嘩したというキーコはハッチに代わりの兄さんになってくれると頼む。そして3人はドビー主任へのイタズラのための紙を作るのだった。

 

今回の登場人物

連続強盗犯バーン

最初の被害者

ハッチの知り合いの子供キーコ

連続強盗犯の被害者となったシャール 右は以前の写真

バーンの女エラ

故買屋パック 右

シャーマンの情報を伝えるオレンジ

バーンに警察情報〜シャーマンがスタさんの家にいる〜を流すスミティ

バーンの情報をハッチとの取引に使うテキサスキッド

シャーマンの母親とその夫

 

今回の捜査

バーン1件目の強盗 住人が帰宅したのに気づき彼女を襲う

キーコとその友人たち

キーコと話すハッチ

次の獲物を探すバーン

ドアを開けることに成功するが、住人がいて失敗

シャーマンの部屋に侵入し、金を探すバーン

ベッドの枕元にブレスレットを発見

しかしシャーマンが気づき、バーンともみ合いになる

シャーマンの部屋から逃亡するバーン

警察に通報しようとする住人を止めるシャーマン

故買屋パックの家

パックとバーンがブレスレットの値段で揉める

通報を受け、パックの家へ来たスタハチ、銃撃戦となる

スタさんはパックが持っていたブレスレットを発見 「シャーマン」の文字が

モーテルで話をするバーンとエラ

シャーマンのアパートで聞き込みをしたエラはバーンにシャーマンのことを伝える

オレンジがいた店と彼女が持っていたシャーマンの鍵

アパートに帰って来たシャーマンを襲うバーン

駆けつけたスタハチがシャーマンを救う

窓から逃亡するバーンを追うハッチ

スタさんはシャーマンを確保

ハッチはシャーマンを警察に連れて行かないと言うスタさんを説得しようとする

 

スタさんの家で眠るシャーマン

ハッチはシャーマンを匿っているスタさんの家へ 

友人に借りた女性の服を持ってくるハッチ

ハッチはシャーマンがモデル時代に出ていた雑誌を見つける

スタさんの家で回復に向かうシャーマン

警察で働くミスティは情報を得たとバーンに連絡

ミスティとバーンが会ったモーテル

ハッチはヒョロ松からバーンに関する情報を持っているテキサスキッドを紹介される

すっかり回復したため、母親に電話するようにスタさんに言われるシャーマン

スタさんに言われて、母親に電話をするシャーマン

スタハチはバーンのモーテルへ行くが、もぬけの殻 さらにスタさんの手帳を発見

そこにはスタさんの住所が記載されていた

スタさんが電話をするが、シャワー中のシャーマン

スタさんの家へ来たバーンとエラ

玄関ドアから侵入しようとするバーンにシャーマンが反撃

スタハチが駆けつける

逃げようとするバーンをハッチが射殺

母親の家へ帰るシャーマンを車で送るスタさん

 

ハッチの家 キーコが仲直りをしにやってくる

 

 

今回のカッコ良いスタさん 現場編

 強盗事件を追っていたスタハチ。しかしスタさんは被害者が中学時代の憧れの同級生シャーマンだったとブレスレットを見て気づいていた。そしてそのシャーマンと対面するが、その変わり果てた姿を初めて見た時に驚く

 さらにシャーマンは警察に連行しようとするのを拒む。そんなシャーマンをベッドに押さえつけ、言うことを聞かせようとするスタさん

 ハッチがシャーマンを警察へ連行しようとスタさんを説得しようとするが、スタさんはシャーマンの立場を考え、それを全く受け付けない。それに驚くハッチと冷静なスタさん

 スタハチはいろいろとムチャをするのは普通だが(笑 事件の証人であり、犯人に襲われる危険がある証人を警察へ連行せず自宅に匿おうとするスタさん。男だねぇ。

 

今回のカッコ良いスタさん 自宅編

 スタさんはシャーマンを自宅へ連れ帰る。協力的な態度を取るわけではなく、酒を飲みに出かけようとするのをスタさんは止める。そしてスタさんが警官だと知ったシャーマンは浴室でカミソリを見つけ自殺を図ろうとする

シャーマンを抱きしめ、落ち着かせるためにシャワーを一緒に浴び頭を冷やさせる

 以前、ヤク中になったハッチの話があったが、今回は落ちぶれた姿を世間に晒したくないシャーマンが警察に連れて行かれそうになり自殺を図る。それを全力で止めるスタさん。いつものフワッとした髪型がシャワーでペチャンコになっているのがわかる。

 

今回のカッコ良いスタさん 電話編

 自宅で回復したシャーマンと話すスタさん。いい感じになる二人だったが、お約束でそこへ電話がかかってくる。体制を変えずにその電話に出るスタさん

  連続写真で。(1)左上 後ろにある電話を見ずに手を伸ばす (2)右上 受話器を持ち上げ (3) 左下 受話器を前に持って来て (4) 右下 普通に話す

 

 何気ない動作だが、ちょっとカッコ良い。今はスマホなのでこんな動作はできないのが悲しい

 

今回のカッコ良いスタさん 慰め編

 スタさんの自宅で静養していたシャーマン。しかしベッドで寝ている時に悪夢を見て叫んで起きてしまう。スタさんは駆けつけ、真実を述べシャーマンのせいで周りが不幸になっているわけではないと語る。

 それを聞いてシャーマンをスタさんをビンタする

 それでもシャーマンは自分が触れた人は死んでしまうと嘆くが、スタさんは自分に触ってみろ、俺は死なないからにこやかに話す

 このやり取りでシャーマンはスタさんのことを完全に信頼するようになる

 

今回のカッコ良いスタさん ラスト編

 事件が解決し、シャーマンは母親の元へ帰ることに。しかし彼女はそれがスタさんとの別れを意味していることに気づいていた。送って行く車の中の二人

 シャーマンは別れたくないと話すが、スタさんは別れようと告げる。彼女が会いたくなったらと聞くとスタさんは鍵はマットの下だと答える。

 

シャーマンは母親に再会。そしてスタさんを紹介しようとするがスタさんは車で去って行ってしまう。

 うーん、カッコ良すぎだ、スタさん。

 

今回のイタズラとオチ

 スタハチを呼んだドビー主任。そこへ電話がかかり、ハンバーガーとミルクの注文をされ激怒する。

 主任は自分の電話番号が書かれた紙をスタハチに見せる。そこにはスナック出前迅速と書かれており、主任はスタハチの仕業ではないかと疑う。

 もちろんスタハチは自分たちではないと答えるのだが…。この主任の電話シーンは劇中にもう一度発生。そしてラスト…

 ハッチの家に来たキーコはハッチと仲直りをするが、その後スタハチがやっているイタズラを手伝うことに。

 今度は電話番号を変えたドビー主任の番号を使った、新たなイタズラで、今度は配管工事サービスの連絡先として主任の番号を記載した紙を作っていたのだった。

 今度は水道屋?!と驚くキーコとそれを聞いて笑うスタハチ

 

 そして主任の部屋にまた電話がかかる。トイレが詰まったから直せ?バカ野郎、水道屋じゃない!と叫ぶドビー主任だった

 

今回のオマケ

 ドラマ冒頭、キーコに会いに行ったハッチは彼と別れてスタさんとともに去って行くが、そのハッチの車の後部がアップとなる。そこには…

 COPS NEED LOVE TOO(警察にも愛は必要だ)

 この頃アメリカでは警察が相当嫌われていたんだろうと思わせる(笑

 

今回のまとめ

 スタさんの同級生が事件に巻き込まれ、その同級生はかつてスタさんの憧れだった人だったというストーリー。有名人だった過去を持つがいまは酒で落ちぶれているためスタさんが彼女を自宅に匿うが、いつしか二人に愛が芽生え始める。しかし事件が解決し彼女は元の生活に戻って行く、という悲しいラブストーリーだった。

 スタさんの彼女といえば第10話「俺が愛した女を殺したヤツ」ではスタさんの昔の彼女が殺されるという事件があったが、そちらは既に別れた彼女だったため、今回の話の方が悲しさは大きいのでは。

 彼女が元の姿に戻るのに協力し、それでもラストは彼女との別れと決意するスタさんがカッコ良い。スタハチシリーズでは、ハッチが女性にモテる役割で、スタさんはいわゆる女難の相が出ているタイプ、というのが定番だが、時にはこんな話もあったのね。

 

 翻訳について。50年前のシリーズということもあり、このシリーズでは翻訳と原語が異なることが多いのだが、今回の話では相当翻訳が異なっている点が。

 シャーマンが1年前に失踪しているのだが、その理由。劇中では周りの人間が不幸になっていくのに気づいたということになっている。

 スタさんが語る内容では、「父親が戦死、母親は再婚したがその相手が自殺」したためであり、「ブレスレットに書かれたトニーは父親のこと」とされている。

 しかし字幕(原語に忠実に訳したものと思われる)を読むと、「シャーマンの夫が戦死、再婚したがその夫が自殺(自殺理由は金の使い込み)」となっている。つまり「ブレスレットに書かれたトニーは夫の名前」と思われる。

 つまり、原語ではシャーマンが不幸にしたと思っていたのは結婚した二人の男性であり、父親(義父)ではない。原語の方、つまり夫が亡くなったから、としたほうが説得力があるのだが、今回の話がスタさんとの恋物語となるため、シャーマンが結婚していたことに隠すために、こんな改変をしたのだろうと思われる。

 この話を裏付けるのが、ラストでシャーマンが家に帰ったシーン。スタさんのセリフ通りならば母親の再婚相手も死んでいるはずだが、彼女を出迎えた母親の隣には夫らしき人物が写っている。

 まぁシャーマンが未婚?と思っていた方が、見ているこちらもスタさんとの恋を応援したくなるからね。

 

 ドビー主任へのイタズラはさすがに笑ったが、今回は規則を破る行動を取ったスタハチを目をつぶって見ていてくれたオヤジさんに対してちょっとヒドくない?笑 前回の話でもFBIに対して二人を庇ってくれたばっかりなのに。でもまぁスタハチとオヤジさんの仲の良さを象徴するイタズラということなのだろう(笑

 シリーズもあと2話を残すだけとなってしまったが、楽しんで見ることにしよう。

 

 

 

さよならの夜食カフェ マカン・マランおしまい 古内一絵

●さよならの夜食カフェ マカン・マランおしまい 古内一絵

 路地裏にあり見つけにくいマカン・マランはドラァグクイーンであるシャールが営む夜食カフェ。そこに様々な悩みを持つ人間が客として訪れる。

 以下の4編からなる短編集。

 

さくらんぼティラミスのエール

 秋元希美は亡くなった母が憧れていた名門女子高校へ入る。学費は高かったが、父は入学を喜んでくれた。しかしバレンタインデーを境に友人たちの態度が冷たくなったと感じていた。ある日友人の一人和葉が自分を除く皆でグループラインを作っていることに気づいてしまう。さらに彼女は友人たちと出かける約束をするが、その待ち合わせ場所で友人たちが自分の悪口を言っているのを聞き嘆く。希美は一人家に帰ろうとするが、いつも通うビーズ屋で見かける男性を目撃、彼について行き、マランマカンへ。そして比佐子とともにジャダからビーズ作りを習うことになる。


幻惑のキャロットケーキ

 料亭ASHIZAWAをオープンさせた芦沢庸介はTVにも出演するようになり忙しさを極めていた。そんなある夜、SNSに書かれたメッセージに本音での反論をする。その後TV番組で店が紹介されたテープが元となり、庸介の店は非難され、SNSでの反論もありさらに炎上してしまう。店の信用を失い絶望した庸介は省吾が勤める料亭へ出向き彼に会う。そして省吾の誘いでマランマカンを訪れることに。


追憶のたまごスープ

 かつて中園燿子が暮らしていたタワーマンションで暮らす平川更紗は相変わらず同じマンションに暮らす相沢圭伊子たちと行動をともにしていた。ある時更紗は自分が妊娠したことに気づく。しかしその頃夫は浮気で家を空けることが多くなって来ていた。更紗は妊娠したことを夫に告げるが、夫は離婚歴がありもう子供はいらないと告げる。相談する相手のいない更紗は中学時代の友人、伸世に会いに行く。しかし本音を話せなかった更紗は伸世と別れた後、街中で燿子の離婚式に現れた男性を目撃、彼の後を追いマランマカンへ。

 

旅立ちのガレット・デ・ロワ

 年末シャールは仕事納めの28日に店じまいをすることにし、常連客を招待する。多くの常連客と時間を過ごしたシャールは店じまいがお開きになり、皆が帰る際柳田に大晦日に店に来るように話す。大晦日、店にやって来た柳田の他にもう一人の客がくる。それは柳田の以前の生徒であり、性同一性障害のエリックこと雪村襟香だった。学生だった雪村の水泳大会の日、柳田は雪村のため掟破りの行動に出たのだった。その頃シャールもネットで幸村の相談に乗っていた。エリックは性転換手術の同意書を両親からもらうためにアメリカから一時帰国していたのだった。シャールはエリックを見送り、これまでマランマカンに来た客たちのことを思い出す。

 

 シリーズ第4作にして完結編。それにふさわしい作品となっていると思う。

 1話目は、無理して亡くなった母親の後追いのような生活を送っている女子高生希美がゲストキャラ。その希美が友人と思っていた仲間に悪口を言われているのに気づく話だが、希美自身が発した言葉が友人たちを傷つけており、よくあるイジメがテーマの話とはちょっと異なる。シャールにより、亡くなった母親の後追いをするのではなく、自分の生きる道を探し当てるというのが救いになっている。

 2話目、3話目は前作で登場したゲストキャラの脇にいたキャラが主役となっているというひねりのある話。2話目は前作省吾の話で登場したスター料理人がSNSがきっかけでどん底を味わう。3話目は前作燿子の話で登場したトロフィーワイフに収まっていたはずの若い妻が、夫の浮気もありつつ、妊娠した自分の子供をいらないと言われてしまう。脇役でゲストキャラを引き立てるためだけにいたような存在が、シャールの言葉で救われていく展開は見事だった。

 最終4話目は、まさに完結編らしく、これまでのゲストキャラたちのその後が明かされる展開に。それぞれの生活で悩んでいた彼ら彼女らが、新しい人生を歩んでいるのがわかる。そして柳田とシャールがおそらく一番最初に関わったエリックこと雪村が登場、マカン・マランの存在理由のようなものが明らかになる。

 

 2話目3話目の展開はこのようなシリーズではある意味掟破りのようなもの。これをやってしまうとこの先いくらでも同じような話を作れてしまうので。でも完結編だからこそ著者はこんな展開を持って来たのだろうと思う。

 第1作目は少しとっつきにくいシリーズだったが、作品が進むにつれ面白くなって来た珍しいシリーズだった。同じ著者の別の作品もちょっと読んでみようか。

 

銭形平次捕物控 まだら蛇

●707 銭形平次捕物控 まだら蛇 1957

 ある屋敷に武家の大沼を始めとした商人、医者などが集まっていた。彼らは現在の文政小判ではなく金の含有率の高い元文小判の贋金を作り儲けようとしていた。彼らの背後には勘定奉行の谷田部が付いており万全の構えであり、穴蔵と呼ぶ地下室にいる囚人たちに贋金作りをさせていたのだった。

 囚人たちの扱いは酷く、その中には抗議のための血書を書く者もいたが、見張りの侍たちは目もくれなかった。そんな中、一人の囚人が地下室から贋金を持って脱走する。

 とある旅籠。源太に頼まれた男たちが調べてきたことを報告する。源太が探していたお吉は小吉という名で叔母お栄の営む舟栄で働いており、彼らは小吉に源太から預かった小判を渡してきていた。その旅籠に門つけ芸人の新三がやって来る。さらに旅籠に役人が宿改めにやって来るが、それを見た源太は逃げ出すが捕まってしまう。

 旅籠の飲み屋に客がやってきて、元文小判と文政小判のことを話す。彼は新三に頼まれ、賭場へ入るために必要な元文小判を手に入れてきたのだった。そこへ小吉がやってきて源太のことを聞き彼を探しに行く。それを見ていた新三も小吉を追いかける。その頃役人に捕まった源太は頭巾をかぶった武家に預けられていた。

 小吉は舟に乗り、橋の下で源太の死体を見つける。それを新三が見かけ声をかける。岡っ引きがその辺りを調べにきたためだった。岡っ引きは何も発見できず去っていく。小吉は源太の片腕が切り落とされているのを発見する。その片腕は囚人たちを監視している侍が持って帰り、囚人たちに見せしめのために見せていた。

 とある賭場。師匠と呼ばれる女お絹が博打に負け簪や着物をカタに入れてまで夢中になっていた。他の男客たちはそれを楽しんで見ていた。賭場に居合わせた新三はお絹に上着を貸してやる。お絹は賭場を出て医師桂周庵の家へ。お絹は周庵から金をもらい賭場の囮としてわざと負けて男客を呼び寄せているのだった。

 お絹は小吉の舟でとある屋敷へ。舟に乗っている時に赤毛が舟に落ちているのを見つけ指に巻く。お絹が行ったのは上賭場と呼ばれる場所だった。その鳥羽の控え室には、橋を調べにきた岡っ引きや源太を殺した浪人などがいた。岡っ引きは子分の九六に尋ねて、お絹が乗ってきた舟が小吉のものだと知る。

 小吉は源太の墓へ。そこには新三がいた。新三は源太が小吉の父清兵衛の弟で、金銀細工ができる源太であり、二人が牢屋から御赦免になった後、行方不明になっていることを告げる。そして父の居場所が知りたいなら、と小吉が源太から預かった小判を見せろと話しそれを見せてもらうが、小吉がそれを取り返そうとするのを知って、信用できないならばと去って行ってしまう。

 新三は小吉の小判を調べ、贋金だと確信する。さらに小判の裏にあった符牒から龍神社を思いつき、そこへ向かう。そこには元火付盗賊改の大沼の屋敷があった。その屋敷では入るためには元文小判10枚が必要な賭場が開かれているとの情報も得る。

 その賭場にいたお絹が呼び出され賭場から出て行く。その頃大沼たちは源太が逃げた時に偽小判2枚がなくなっていることに気づく。お絹は小吉の舟に乗っていたが、それを男たちが乗った舟が追い、お絹と小吉は襲われる。しかし男たちは小吉が持っていた小判が本物であることを知ると去って行く。お絹はそこに居合わせた新三のことを銭形の親分だと話すが、新三はそれを認めなかった。

 後日、小吉が新三を訪ねて来る。新三は小吉に前に小判を見せてもらった時に源太から預かった小判を本物とすり替えておいたと話す。そして今後何か連絡を付けたかったら、橋に銭を隠せと話す。小吉は新三にあなたは誰と尋ねると、新三は銭形平次だと名乗る。

 平次は笹野に会い、大沼の屋敷で偽金作りがされていることを話し、屋敷が銭座だった頃の図面を手に入れるために、その頃の支配だった勘定方の安部に引き合わせて欲しいと頼む。そこへ八五郎がやってきて、大川でまた片腕のない死体が見つかったと知らせる。平次は八五郎にその死体のことを調べにやらせる。

 平次は安倍の屋敷へ。しかし安倍は直前に亡くなっていた。その娘喜久江から父は殺されたのだと聞いた平次は詳しい事情を聞くことに。安倍は金座の不正を取り締まる役目をしており、金座の招待を受けた先で倒れ、それ以降声も出ず、医師桂周庵の治療を受けていたとのことだった。さらに喜久江は平次に証拠の品として、父が持っていた試金石と偽小判を受け取る。平次は銭座の工場のことを尋ねる。喜久江は工場は大川の水を使って水車を回していたため、地下にあったと答えるが、その図面は勘定奉行に差し出してしまったと答える。しかし喜久江は父が不正をしていた犯人を知っており、それを口の動きだけで平次に伝える。平次は読唇術でそれを読み取る。喜久江は父の仇を取って欲しいと平次に頼む。

 平次は全てを笹野に報告するが、笹野は身分を越えたこととなるので、手を出すなと平次に忠告し、賭場に出入りするための元文小判30両を渡す。

 小吉と八五郎は橋で出くわす。そこへそこへ平次がやってくる。小吉が片腕を見つけたと話すと平次は小吉と八五郎に片腕がどこから流れ着いたか、木の枝を流して確かめてくれと頼む。平次は敵の本拠地に乗り込むことに。

 平次は大沼の屋敷の賭場にいた。お絹もその場にいた。しかし岡っ引きが平次に気づき、屋敷内を調べようとしていた平次を地下へ落とす。平次はそこで偽金作りをさせられている囚人たちを見かけるが、川へ落とされてしまう。その頃小吉と八五郎は木の枝を追って大沼の屋敷までたどり着く。そこで平次の紙入れを見つけ、平次の身の上に何かが起きたと心配する。

 平次が賭場に戻ってこないことを不審に思ったお絹は控え室にいた岡っ引きに声をかけるが、あれは銭形平次であり、今頃もう土左衛門になっていると告げられる。お絹は賭場から去るが、岡っ引きはお絹は色々知りすぎたと考え殺そうと企む。

 小吉と八五郎は橋で平次が死んだのではと嘆いていた。そこへ平次が現れる。そして八五郎に喜久江が図面を描いてくれたはずなので取りに行けと命じる。小吉にはお絹のことを聞くが、小吉はお絹は桂周庵の家へ行ったと答える。周庵の家へ戻ったお絹を九六が呼び戻ろうとする。お絹は抵抗するが、九六に襲われる。それを新三が助ける。お絹は新三が平次であることを見抜き、命がけで手伝うと話す。平次は大沼の家の水門を開けるのを手伝って欲しいと頼む。

 平次は喜久江が描いた図面を持って笹野に会いに行き大沼の屋敷に乗り込むことを伝える。しかし笹野は町方の分際を越えると平次の言い分を認めなかった。平次は十手を置き、単独で大沼の屋敷へ乗り込むことに。

 大沼の屋敷に小吉が女中として乗り込む。八五郎も一緒だった。お絹は平次と一緒に水門から屋敷に入りこむ。屋敷では大沼や谷田部などが集まっており、偽金作りの総決算として、工場を閉鎖、働いていた囚人や岡っ引き、用心棒などを始末する計画を話していた。平次は囚人たちがとらわれている地下へ。しかし牢には鍵がかかっていた。その頃小吉は牢の鍵を探し出していた。八五郎がそれを持って地下へ行き、平次は囚人たちを解放する。しかし屋敷の侍たちに見つかり大乱闘となる。

 逃げようとする桂周庵をお絹は銃で撃ち殺す。小吉は父親を探し当て一緒に逃げようとする。その時、笹野が町方を連れ大沼の屋敷に討ち入ってきた。

 事件が解決し、小吉が操る舟に八五郎とお絹が乗っていた。平次は笹野と舟に乗っており、笹野は平次に礼を言い、十手を返すのだった。

 

 BS12で放送された「銭形平次捕物控」シリーズ。鑑賞は7本目となる。製作された順番でいうと、前回鑑賞した「人肌蜘蛛」の次に作られた作品らしい。

 前作「人肌蜘蛛」に豪華な祭りがあったのに比べると、セットそのものは見劣りする。地下にあるという偽金工場が登場するがそのセットは大きさは凄いものの、映画全盛だと思われるこの時代としてはいささか普通に思える。

 しかし本作はやはり共演者の美空ひばりがウリなのだろう。小粋な若い衆の扮装で登場、小舟の船頭をしながら歌うシーンは見応えがある。しかも終盤では女中の姿とは思えないほどの豪華な衣装を身にまとい、美しさを見せつける。美空ひばり出演の映画は初めてキチンと観たが、wikiによれば美空ひばりは生涯に約170本の映画に出演しているのね。TVが家庭に普及する前、映画全盛期の大スターだったのがよくわかる。

 

 話は冒頭から悪人どもを描くためとてもわかりやすい。勘定奉行まで入った悪の組織が牢屋から御赦免になった囚人を捕らえ偽金作りをさせる、というもの。そんな悪事を働いているのだから、おとなしくしていれば良いものをなぜか賭場を開いており、それが事件解決の糸口となっっている。

 

 平次が別人に変装するのは、このシリーズの定番。それでも中盤自分の父親のことをよく知っている小吉に、アナタは誰と聞かれ、銭形平次だと名乗るシーンは他の作品にはない見せ場なのだろう。これまで見た他の作品では、別人に変装していても終盤突然平次に戻っているパターンが多かったので。

 

 もう一つのこのシリーズの定番が、平次が笹野に命をかけてでも、と訴えるシーン。本作ではそれでも町方が勘定奉行支配の事件に手を出そうとする平次を笹野が最後まで認めようとせず、平次は十手を置いて現場へ向かう。これも他の作品にはないパターンで見せ場だったのだろうなぁ。もちろんラスト、反対していた笹野が町方を連れて屋敷に乗り込んできて事件は終わるのだが(笑

 

 このラスト、牢に閉じ込められていた囚人たちを救い出し、彼らとともに屋敷の悪人たちと戦うのだが、侍相手に平次が一人で戦うのはさすがにちょっと無理があった(笑 鉄砲まで持っている相手だったが、いつの間にか彼らはいなくなり、大勢での大乱闘となってしまう。さすがの平次もこれを納めるのは無理筋だと思っていたところへ、笹野が乗り込んできて、いきなり事件は解決。支配違いの件は触れられないまま(笑

 

 それでも、十手を置いて戦いに挑んだ平次へ笹野が十手を返して映画は終わる。定番中の定番とはいえ、このシーンがないと締まらないからなぁ。

 

 今回も八五郎役は堺正章さんのお父さん。しかも顔のアップがありその尊顔をじっくりと拝見できたが、やっぱりマチャアキにそっくりなのね。

 

 蛇足だが、これまで観た7本のこのシリーズで、楽天でDVDが売られているのは本作だけ(記事下の楽天の紹介ページ参照)。やっぱり長谷川一夫美空ひばりの共演作だから人気が高いんだろうなぁ。

 

 BS12での放送はあと1本残されている。楽しみにしておこう。