誰が為に鐘は鳴る

●444 誰が為に鐘は鳴る 1943

 冒頭、「誰が為に鐘は鳴るのか」という詩が流れる。

 1937年内戦状態のスペイン。2人の男が列車爆破をさせ逃亡するが、追っ手に追われカシュキンは撃たれる。相棒のロバートは彼の希望通りカシュキンを撃ち殺し逃げる。

 アジトに戻ったロバートはゴルツ将軍から次の指令を受ける。反乱軍として政府軍に攻勢を仕掛けるため、政府軍の援軍ルートとなる橋を爆破するように命じられる。アンセルモという土地に詳しい老人とともに現地へ行き、4日後の夜明け味方の攻撃を待って作戦決行をすることに。

 ロバートはアンセルモと現地のゲリラ軍に会う。ボスのパブロ、その妻ピラー、市長の娘で彼らに匿われた若い娘マリア、その他にも大勢の仲間がいた。ロバートとマリアはお互いに惹かれ始める。ロバートの作戦を聞いたパブロは爆破に反対するが、ピラーの言葉で皆爆破に賛同する。パブロが反対した理由の一つは、爆破後に皆で逃げるための馬がいないことだった。

 ロバートはピラー、マリアとともに仲間のゲリラであるエルソルドに馬の調達を頼みに行く。帰り道、ピラーが気を利かせロバートとマリアは二人きりで話しをする。マリアは自分が受けた恥辱を話そうとするがロバートはそれを遮る。二人はキスをする。

 夜、この季節には珍しく雪が降り始める。エルソルドたちが馬を盗むのに際し雪が降ると足跡が残るため馬の調達が難しくなるとパブロは話しアジトから逃げて行く。しかししばらくしてパブロは戻り、仲間になることを誓う。皆は彼を許さそうとしなかったが、パブロは逃亡時のルートを知っているため彼を許すことに。

 翌日、エルソルドたちが馬を盗んだ際の足跡が発見され、軍の追っ手が現れる。ロバートたちは警戒していたが、追っ手の目的がエルソルドたちだとわかり、手を出さずに黙視していた。エルソルドたちは軍と銃撃戦となり、大尉を撃ち殺すが、飛行機による爆破で全員死亡する。

 皆が出払っているアジトに、馬の足跡をごまかす為に出ていたパブロが戻ってくる。彼は飛行機爆破に恐れをなし、橋の爆破のための起爆装置を燃やしてしまう。皆が戻り、ロバートは軍が反乱軍の攻撃を察知していることを知り、ゴルツ将軍へ攻撃中止の連絡を取ろうとし伝達を仲間に頼む一方で、橋爆破の準備もする。

 翌朝に爆破となった最後の夜、ロバートとマリアは二人の時間を過ごす。そして翌朝未明、橋爆破に向かう。ゴルツ将軍への伝達はなされたが、時すでに遅く、反乱軍の攻撃は開始されていた。飛行機による攻撃を確認したロバートたちは橋の両端にある待機小屋を攻撃し、橋にダイナマイトを仕掛ける。何人かの仲間がやられる中、ロバートは敵部隊が通行する直前に橋の爆破に成功する。

 仲間たちとともに馬のいる場所に逃げ、皆で逃亡を図るが最後に対岸に敵軍がいる場所を馬で駆け抜ける際に、ロバートだけが被弾し足に怪我を負ってしまう。乗馬し逃げることができないと判断した彼はマリアに別れを告げ、一人現地に残り皆が逃げ去った後、軍に対し機関銃で対抗を始める。

 

 言わずと知れた名作。バーグマンファンの自分からすれば、「カサブランカ」の翌年に公開されバーグマン初のカラー作品という貴重な一本。

 まるで舞台劇のように場面転換の少ない映画であり、ほぼアジト周辺でのシーンばかり。ちょっと暗めのシーンが多い中でも、ショートカット?のバーグマンの美しさは変わらない。特にゲリラ仲間たちが小汚い格好(笑 をしている中でのバーグマンの美しさは尋常ではない。「マリアカット」が流行したのも頷ける。また原作者ヘミングウェイがマリアはバーグマンしかいない(by wiki)と言った理由も十分納得。

 2時間半を超える映画で久しぶりにインターミッションまである一本だったが、ゲリラ内の人間関係やエピソードがてんこ盛りで飽きなかった。人間の異常性を発揮したパブロ、女性の力強さと弱さ両方を見せたピラー、政府軍に対する心意気を見せたエルソルド、誰もとても印象に残る脇役たちだった。もう一人の主役カッコ良いゲーリー・クーパー。有名なバーグマンとのキスシーンもある。

 ラスト、無事に逃げ切ったと思われた後に悲しい結末が待っている。ここで冒頭の詩が大きな意味を持っていたことに気づかされる。

 

 誰も人の死より逃れられぬ

 ゆえに問うなかれ

 「誰がために鐘は鳴る」と

 そは汝がために鳴るなり

 

 いやぁ久しぶりに名作らしい名作を観た。

 

追われる男

●443 追われる男 1955

 マット・ダウは一人で山中の川で休憩しているところへ若者が後ろから近づく。マットは彼に不用意に後ろから近づくなと注意をする。若者はデイビー。マットがマディソンを目指していることを知りデイビーはついて行く。彼はそこの住人だった。

 途中列車が通り過ぎる際に、二人は鳥を撃つ。列車は給料運搬をしており前に強盗にあっていた。二人が銃を撃ったのが前の強盗の時と同じだったため、列車に乗っていた男たちは金の入った袋を二人の前に投げ出す。マットは強盗を勘違いされたことに気づき、金を持ってマディソンの街へ急ぐ。

 列車はマディソン駅へ。そこで乗組員たちは強盗にあったことを報告、知らせを聞いた保安官は追跡隊を組み現場へ向かう。マットたちが金の袋を持っていることを発見しマットたちを射撃。デイビーは足に怪我を負い、マットも軽傷を負う。しかし追跡隊は一人がデイビーであることに気づき、そばのスウェンソンの農場へ連れて行き治療をする。街に戻ったマットは列車の乗組員に抗議、強盗だという誤解が解ける。

 マットはスェンソンの家へ。そこで娘のヘルガと出会いデイビーを見舞う。医者は回復には奇跡が必要だと話す。マットはヘルガとともにデイビーの看病をする。夜、マットとヘルガはお互いの身の上話をし互いに惹かれ合う。ヘルガから人手が足りないと聞いたマットは農場の仕事を手伝うことに。

 デイビーは奇跡的に回復したが、足は元に戻らないと医者は診断する。デイビー本人もそれに気づくが、マットはデイビーに厳しく接しデイビーは不自由ながら歩けるようになる。

 街の住人たちがやって来て一連の事件を謝罪し、償いのためマットに保安官になるように勧め、マットは承諾、さらにデイビーを保安官助手とすることに。二人は街で保安官の仕事を始める。街の銀行に2人組の強盗が押し入る。1人は撃たれ捕まるが、もう1人は逃亡、マットが追いかける。マットは山中で強盗を捕まえ街へ戻るが、先に捕まった犯人が吊るし首にされていた。デイビーに事情を聞くと街の住人たちが暴走し裁判もせずに刑を執行したのだった。デイビーは何もできずにいた。

 マットは残った1人を護送し連邦保安官に元へ連れて行くことに。デイビーが名誉挽回のためその役を買って出たため、マットはデイビーにそれを任せる。マットは酒場に行き勝手に刑を執行した住人たちを捕まえ裁判にかける。しかし裁判は罰金刑で済んでしまう。

 デイビーが山中で倒れていたところを発見され街へ連れてこられる。彼は強盗犯に逃げられてしまっていた。心配したヘルガがマットを訪ねる。そこで二人は結婚の約束をし、マットはヘルガの父に承諾をもらいに行く。

 復活祭の日、教会に街の皆が集まっている際に強盗犯が教会へやってくる。強盗犯の一人ジェントリーはマットの昔の仲間だった。強盗犯は銀行を爆破に金を奪って逃げる。その際、復活祭に遅れていたヘルガの父が強盗犯に撃たれ死んでしまう。住人たちはマットが強盗犯と知り合いだったことを非難するが、マットは無実の罪で刑務所に入れられていた時に一緒だった、刑は取り消されたと話す。そして追跡団を組み犯人たちを追跡する。

 コマンチ族の住居地に差し掛かり皆はこれ以上進むことを躊躇する。マットはデイビーと二人だけで追跡を続ける。ひどい嵐に見舞われる中、デイビーがマットを撃ち、マットは左腕を負傷するが、デイビーを取り押さえる。デイビーは前の強盗犯護送の時に犯人たちと取引をして強盗の仲間になっていた。マットはデイビーを連れ追跡を続けるが、強盗犯たちはコマンチ族に殺されており、金は無事だった。金を持って街へ戻るが、途中休憩している時にコマンチ族と出くわす。二人は金を隠しコマンチ族から逃げるが、川を渡る際に怪我をしているマットは流されてしまう。

 なんとか岸にたどり着いたマットは廃墟を見つけ中に入る。そこは強盗犯たちのアジトで、強盗の1人とデイビーがいた。マットは強盗犯を撃ちデイビーと話をする。撃たれた強盗犯はまだ生きており密かにマットを狙う。それに気づいたデイビーが銃を抜き強盗犯を撃つが、マットはデイビーを撃ち殺してしまう。

 金を持って街へ戻ったマットをヘルガや住人たちが出迎える。

 

 これまたちょっと変わった西部劇。

 冒頭、いきなり主人公が列車強盗に間違えられてしまうがここはあっさりと誤解が解ける。しかし主人公と一緒にいた若者が怪我を負い足が不自由になってしまう。父親のような目で若者を見守る主人公、親に反発するように主人公にも反発する若者。何度となく失敗を繰り返す若者だが、主人公は常に温かい目で若者を見つめる。それは自分にも死んでしまった息子がいたためだった。

 ジョンウェインの西部劇にありそうな、男2人と女1人の組み合わせだが、恋はあっさりと成就する。しかし男2人、主人公の思いが届かず若者は楽な道を選んでしまい、悲劇的な最後を迎える。

 映画の大きなテーマは冤罪。冒頭の列車強盗もそうだし、主人公の過去もそう。劇中最初の強盗犯を住人たちが裁判にかけずに絞首刑にしてしまうのは冤罪ではないだろうが、正当な裁判が行われないことの怖さを描いている。映画が公開されたのは1955年、赤狩りの影響があったのかしら。

 

ホームズ連盟の冒険 北原尚彦

●ホームズ連盟の冒険 北原尚彦

 前作「ホームズの事件簿」の続編。今回もホームズ物語の脇役たちが主人公となる6編からなる短編集。

 

「犯罪王の誕生」モリアーティ教授

〜モリアーティ教授が大学をクビになると同時に犯罪王となるきっかけの事件


「蒼ざめた双子の少女」メアリ・ワトスン夫人

〜ワトスン夫人が友人の子供たちの身に起きた事件を解決する


アメリカからの依頼人」少年給仕ビリー

〜ビリー少年がホームズの留守に出迎えた男の正体は…


ディオゲネス・クラブ最大の危機」マイクロフト・ホームズ

〜マイクロフトの所属するディオゲネスクラブに女性の入会希望者が現れ…

 

「R夫人暗殺計画」副官モラン大佐

〜「空家の事件」でお馴染みのモラン大佐が空気銃を使用するきっかけになった事件


「ワトスンになりそこねた男」医学助手スタンフォード

〜ホームズとワトスンを引き合わせた男の物語

 

 前作の続編であり、本作も十分楽しめた。中の4編〜夫人、ビリー、マイクロフト、モラン大佐〜については、いかにも彼ら彼女らの周辺で起こりそうな出来事だし、モリアーティとスタンフォードについては、原作の前日譚とも言える話になっている。

 前作と同様、原作を知る人間をニヤリとさせるエピソードが含まれていたりする一方で、推理小説としてもしっかりと体裁が整っている。ワトスン夫人の話はほんわかとさせられるし、マイクロフトの話はクリスティの夫婦探偵モノに出て来たような話で懐かしかった。

 いずれの話もレベルが高く、さすがに北原尚彦さんの作品だと思わせる。

 

菜の花食堂のささやかな事件簿 碧野圭

●菜の花食堂のささやかな事件簿 碧野圭

 食堂で開かれる料理教室を舞台にその生徒たちの身のm割で起こる日常の謎を、教室の下川辺靖子先生とその助手館林優希が解いていく短編集。以下の6編からなる。

 

「はちみつはささやく」〜教室の生徒香奈が欠席、教室を辞めるを言い出す
「茄子は覚えている」〜唯一の男性生徒杉本が妻の思い出の品を食べたいと言い出す
「ケーキに罪はない」〜優希の前の会社での苦い思い出の謎を先生が解き明かす
「小豆は知っている」〜高齢の生徒村田が教室を欠席、彼女の家に料理を届けに行くと
「ゴボウは主張する」〜いつも3人でくる生徒の一人八木と二人のママ友
「チョコレートの願い」〜靖子先生に娘から贈り物が届く。その真意は?

 

 碧野圭さんのことは全く知らず、偶然ネットで評判を見て読んでみたが、ここ最近読んでいた日常の謎系のシリーズの中でも、まさに人情話系として最高。「おけら長屋」シリーズと比べると、一作一作が短くコンパクトにまとまっている印象を受けるが、どの話も困っている登場人物を靖子先生が見事に解決していく。というか、「謎」というより、日常生活の中でいかにもありそうな話ばかり。その裏にある真実を見抜く靖子先生の眼力の凄さやその言葉に感動。

 特に2作目「茄子は覚えている」のラストで靖子先生が語る一言。

 助手の優希が男性生徒杉本とその妻との仲を羨んだ時に

 

「出会えるかどうかは運だけど、その関係をキープするためには努力がいるのよ」

 

 いやぁ、まさに至言。

 シリーズ化されている作品のようなので、早速続編を読んでみよう。

 

透明人間

●442 透明人間 1992

 男たちが温度センサグラスを身につけ街で誰かを探していた。その頃透明人間であるニックはカメラの前に立ち、ビデオに真実を語ろうとしていた。

 3月のある火曜日、ニックはアカデミークラブで一人時を過ごしていた。しかし知り合いのジョージと出会い酒の席に誘われる。そこにいたのはアリスという女性だった。二人は惹かれあい、金曜日に一緒に食事をする約束をして別れる。ニックはバーに戻り酒を飲み、翌日二日酔いでマグナ社の会議に出席する。講演がつまらなかったニックはマグナ社の中で休める場所を探ししばらく昼寝をする。しかしコンピュータの誤作動でマグナ社内で爆発が起こり、社屋の一部が透明化するとともに、ニックも透明人間になってしまう。

 自分が透明人間となったニックはパニックを起こす。そこへCIAのジェンキンスが事態収拾のためにやって来て、ニックに一緒に来るように話す。しかしニックは人体実験されることを拒否する。やがてマグナ社の社屋がまたも爆発を起こし現場はパニックに。ニックはその場から逃げ出す。

 ニックは家に戻る。ジェンキンスは上司にニックの件について上への報告を取りやめ、自分たちで捕まえることに。透明人間であることの持つ優位性を自分たちの力にしようと考えていた。

 翌日ニックは秘書に病気だと偽りしばらく会社を休むことに。しかし留守番電話にジェンキンスからの連絡が入っており、自分の正体がバレていることに気づいたニックは自宅から逃げ出し、街をさまよい、アカデミークラブに身を隠すことに。そしてマグナ社のワックス博士に事情を説明することに。博士に会いに行き事情を説明するが、彼はニックの体を元に戻す方法は知らず彼の体を調べたいと話す。その場にもジェンキンスが現れたためニックは逃亡しクラブに戻る。

 ニックは敵のことを知るためにジェンキンスの事務所へ。彼からCIAの仕事を手伝うように誘われるがニックは断る。そしてジョージの別荘へ逃げる。そこで電話で食べ物や飲み物をジョージのツケで頼み過ごすことに。しかしジョージたちがアリスを連れ別荘にやって来る。

 ニックは別の別荘へ入り、そこへアリスを呼び出し事情を全て告げる。ニックはアリスに協力してもらい株を買いその儲けで暮らすことを考える。ジョージたちは別荘から帰ることになるが、アリスは一人別荘に残ることに。仕事に戻ったジョージは友人に自分の別荘でツケで買い物をした人間がいたことを電話で告げ、それがニックだと話す。それを盗聴したCIAは別荘へ。

 ニックとアリスはCIAから逃げ、列車でメキシコへ逃亡することに。しかしジェンキンスは駅員にアリスの写真を見せ列車に乗ったことを確認、追跡、列車へ乗り込んで来てアリスを確保する。ニックは列車から逃亡、川へ落ちる。

 ここで冒頭のビデオ撮影の場へ戻る。ニックは自分と引き換えにアリスの解放をジェンキンスに要望する。そしてジェンキンスの事務所のそばで自分とアリスの交換をする。しかし包帯などで身を隠した男はニックではなく、ジョージだった。ニックとアリスはタクシーで逃げるが、CIAはすぐに追跡することに。

 そしてジェンキンスの追跡劇が始まる。工事現場で砂まみれになったニックをジェンキンスは執拗に追い、ビルの屋上へ。ニックは自殺すると見せかけ、一部だけが砂まみれになったジャケットをビルから落とし、ジェンキンスもそれを追って屋上から飛び降りる。CIAはジェンキンスの死を病気のせいに。落ちて来たジャケットを見て悲しむアリスの元にニックが現れ二人は現場から去っていく。二人は雪山で過ごし、アリスはニックの子供を妊娠していた。

 

 昔友人に勧められた一本。やっと観ることができた。

 「透明人間」という映画でも小説でもドラマでも多く取り上げられて来た題材。しかしこの映画は、その透明人間を使ったコメディのような、SFのような作品に仕上がっている。透明人間の特性を生かし「何か」を成し遂げるのではなく、透明人間になってしまった人間の悲しみを前面に押し出し、それでいてハートフルな一本に仕上がっている。

 愛する人の前に現れることのできない悲しみや、友人たちが自分がいないことを良いことに好き勝手自分のことを話すのを聞く悲しみなど。それでもアリスに全てを告白し二人で先へ進む展開はなかなか良かった。

 30年前の特撮も良い。今の時代ならば何の違和感もないようなCGで製作されるのだろうが、この時代の特撮もやはり捨てがたい。中には特撮というより、俳優さんたちの演技で魅せる場面も多く、時代を感じさせる。

 SFの世界では有名な監督さんの作品らしい。他の作品も観てみたい。

 

 

 

ブレードランナー

●441 ブレードランナー 1982

 2019年タイレル社の作ったレプリカント(アンドロイド)は奴隷労働などに使われていたが、製造後しばらくすると感情を持ち始め、反乱を起こし始めていた。タイレル社は安全のためレプリカントを4年の寿命とすることに。

 反乱を起こし脱走したレプリカントをを捜査するのがブレードランナーだった。ブレードランナーの一人デッカードは引退していたが、元上司ブライアントにより呼び戻され、地球に潜伏している4人のレプリカントの捜査を命じられる。

 デッカードタイレル社社長と面会、彼の秘書だったレイチェルのテストを依頼され、彼女がレプリカントであることを見抜く。彼女はデッカードの家に来て真相を尋ね彼は真相を伝える。

 デッカードレプリカントが住んでいたアパートから、踊り子をしていたレプリカントにたどり着き、彼女を射殺。その場に来たブライアントはレイチェルが逃げたことを知らされ、レイチェルも捜査するように命じられる。一人になったデッカードは別のレプリカントに襲われるが、レイチェルがデッカードの銃でレプリカントを射殺、デッカードとレイチェルはあ互いに愛し合うようになる。

 残った2人のレプリカントは、レプリカントの眼を製造する男の元を訪れ、タイレル社社長と面会するための方法を聞き出す。2人はタイレル社のセバスチャンに接触、彼の仲介でタイレル社社長と面会、4年の寿命を延ばすように依頼するが、その方法はないと答えられ、社長やセバスチャンを殺害する。

 知らせを受けたデッカードはセバスチャンの家へ。そこでレプリカント1名を射殺、最後の1人と対決する。ビルからの転落の危機に陥ったデッカードだったが、レプリカントに助けられる。彼は最後の言葉を残し寿命を迎える。デッカードは家で待つレイチェルの元へ急ぐ。

 

 SFの古典と言える作品だが今回が初見。ずっと観たいと思っていたがチャンスがなかったがAmazonプライムにあることを知り視聴。

 圧倒的な世界観。同年に日本でアニメ化された「コブラ」に似たものを感じる。コブラの原作はその4年前から掲載が始まっているが、実写であるため世界観としてはこの映画の方が圧倒的。今回が初見のため、この映画の中の風景は、他の映画などで既視感を感じるが、全てこの映画が始まりだったというのがよくわかる。

 ストーリーは意外に陳腐(笑 だが、記憶にまつわるエピソードはやはり流石だと思わせる。「博士の愛した数式」や「私の頭の中の消しゴム」などは、この映画からヒントを得ているのではと思えるほど。この映画の原作者の別作品「トータル・リコール」よりも本作の方が、記憶という曖昧なものの怖さを上手く表現していると思う。

 35年後に製作された続編があるのでそちらも観てみたい。

 

決斗!一対三

●440 決斗!一対三 1953

 1894年刑務所からウェスが出所する。彼は駅へ向かう途中、新聞社へ寄って自分が書いた自伝の原稿を手渡し、出版して欲しいと頼む。新聞社の人間がそれを読み始める。

 ウェスは1853年生まれ、7歳の時に南北戦争が始まり、兄の一人は戦士、もう一人も脚に怪我をした。父は牧師だった。ある日、ウェスは博打で勝った金で拳銃を手に入れるがそれを見た父に鞭で打たれる。ウェスは家を出ることを決意、同居していた孤児のジェーンに牧場を持つ夢を語り、必ず戻ってくると約束をして家を出ていく。

 ウェスは酒場でカード賭博とし、相手のガスと争いになり撃ち殺してしまう。ウェスは逃げるが、ガスの兄達であるハンドリー兄弟に追われることになる。ウェスは叔父であるジョンを頼る。叔父はちょうど牛追いのため一家でアビリーンヘ向かうところだったため、ウェスは同行する。

 アビリーンの街に着いた一行、ウェスはジェーンのためにウェディングドレスを頼む。しかし街にはハンドリー兄弟が待ち構えていた。兄弟3人はウェスと決闘することに。叔父一家が味方につき、1対1の決闘となりウェスは相手を倒す。酒場に戻ったウェスをヒコック保安官が捕まえにくるが、ウェスは兄弟はまだ2人残っていると話し、保安官は逮捕はせず、1時間以内に街から出ていくことを命じる。ウェスはウェディングドレスが出来上がるのを待って街から出て、家に戻る。

 ウェスはジェーンにウェディングドレスを見せ結婚するために家から出ようとするが、ジェーンは父に式を挙げてもらうつもりだった。ウェスは父に談判、父はガス殺しの裁判を受けるように勧め、ウェスは納得する。判事に相談し、良い弁護士をつけるためにウェスが持っていた1200ドルを渡す。しかし判事が勧める弁護士をつけるためには800ドル足りなかった。ウェスはコリン郡の馬レースで儲けることに。ウェスは見事にレースに勝ち800ドルを稼ぐ。賞金をもらいに酒場へ行くが、そこに兄弟に買収された保安官がいてウェスを逮捕しようとする。ウェスは結婚式を挙げ、週明けには出頭すると話しその場を立ち去ろうとするが、保安官はウェスを撃ってしまう。ウェスは保安官と兄弟の一人を撃ち殺し街から逃げる。

 ウェスは家に戻り事情を説明する。しかしジェーンは人を殺したウェスをなじる。その時保安官達が家に来る。ウェスは逃げるが、ジェーンが保安官に撃たれ死んでしまう。怪我を負ったウェスは叔父に助けられる。そして酒場の女ロージーの馬車でカンザスへ行くことに。二人はウェスの賭博で生計を立てていたが、テキサスレンジャーが二人を追ってホテルまでやってくる。それに気づいた二人は逃げ、アラバマへ。

 アラバマで牧場を手に入れた二人は結婚をする。しかしテキサスレンジャー達はまだウェスを追っていた。彼の実家の郵便物などをチェックしていた。ロージーは妊娠し、ウェスの実家へ手紙を書く。それが元でウェスの居所がバレてしまいウェスは逮捕されてしまう。そして裁判が行われ、ウェスは懲役25年の刑を言い渡される。

 ここで自伝を読み終える。ウェスは16年目に釈放されたのだった。そしてウェスは家に帰り、ロージーと再会、初めて大きくなった息子と対面する。しかし息子がウェスの持っていた拳銃を扱うのを見て、彼は息子を殴ってしまう。息子は家を飛び出し酒場へ。そこで酔客が息子を挑発する。息子は相手にしようとしたが、ウェスが入ってきて息子を止める。そして二人で店から出ようとするが、酔客はウェスを撃ってしまう。しかしウェスは丸腰だった。息子が酔客に復讐しようとするのをウェスは止める。ウェスは治療をしてもらい、ロージーとともに家に帰って行く。

 

 実在した人物(wiki)の自伝を基にした映画らしい。道理で途中少し展開が無謀だと思われるところがあるが、実話なら仕方なしか。

 父親に反発して家を飛び出し、賭博の場で人を殺してしまう。イカサマが元での正当防衛だったが、それが元で被害者の兄弟から狙われることになり、次から次へと主人公にとっては裏目にでることばかりが続く。

 映画が刑務所から出所してくるところから始まり、自伝を読む=映画のストーリーが始まる、という図式だったので、ラスト家に帰り、妻と子供と会って終わりだと思っていたら、最後にもう一山あってビックリ。なるほど、最後の酒場でのシーンが本当に描きたいシーンだったのかと思う。そう思うと、新聞社の人間が自伝を読み終わったところで、「結末はまだこれからだ」と言ったのが効いてくる。

 80分ほどの短い映画だったが、テンポよく話が進み、ラストもちょっとひねりがあって面白い一本だった。