ジュディ 虹の彼方に

●582 ジュディ 虹の彼方に 2019

 ジュディガーランドは少女時代映画に出演しスターとなっていたが、実情は大人たちに強制的に仕事をさせられていた。

 現在。娘と息子とともに場末の舞台に出ることでお金を稼いでいたジュディだったが、定宿であるホテルから支払い滞納で追い出されてしまう。仕方なく親権を争う夫の家へ子供達を預けるが夫からの言葉に怒り、もう一人の娘ライザの家へ行く。そこでミッキーという男性と知り合い仲良くなる。

 子供たちと一緒に暮らすためお金が必要になったジュディは、エージェントにロンドンで仕事を勧められるが子供と離れ離れになるため拒否をする。しかし他に手段のないジュディはロンドンへ行くことに。

 ロンドンでは大歓迎を受けるが、子供時代から服用していたクスリの影響でジュディは情緒不安定な状態だった。練習やリハーサルも拒否し、本番当日も出演が危ぶまれたが、助手のロザリンの助けもあり舞台に立つ。そしてショーは大成功。しかしジュディは眠れない夜を過ごしていた。

 ある時楽屋口にかつてからジュディのファンだという男性2人組が待っていた。ジュディは彼らと食事をともにしようとするが、時間が遅く店はどこもやっていなかった。仕方なく彼らの家で時間を過ごすジュディ。彼らはゲイで世間から認められていなかった時にもジュディの歌に励まされていたと聞いたジュディは感激する。

 ホテルに帰ったジュディをミッキーが訪れる。ジュディは彼に一緒に暮らそうと提案、ミッキーは受け入れる。そしてジュディに新しい仕事をするようアドバイスする。TVのトークショーに出演したジュディは、子供のことを聞かれ不機嫌になってしまう。その日の夜のショーでは観客のヤジに激怒、ショーを台無しに。そんなジュディにミッキーは新たな仕事の提案、実現すれば子供たちと一緒に暮らせると話す。ジュディはミッキーにプロポーズをし二人は結婚する。

 幸せな生活を送り始めるジュディだったが、夫が子供のことで相談にやってくる。子供たちは今の状態を続けたいと言っていると言われたジュディは激怒。ホテルに帰るとミッキーが新しい仕事は先日のショーの出来事を理由に契約できなかったと話す。ジュディは怒りミッキーを追い出してしまう。その日のショーは散々な出来だった。

 ジュディは子供達に電話をする。彼らの思いが夫の言う通りだと知ったジュディはショックを受ける。さらにショーの失敗を受け、ロンドンでの公演もクビになってしまう。ロザリンと最後の食事をしたジュディは、ショーを見たいと頼み舞台袖に。その日の主演者に頼み、1曲だけ歌を歌わせてもらう。大歓声を受けたジュディは、もう1曲over the rainbowを歌う。そしてショーから半年後ジュディは47歳の若さで亡くなる。

 

 これまた何も知らずに観た一本。ジュディガーランドの名前は知っていたし、「オズの魔法使」も観たことはあるが。

 晩年のジュディの生活が描かれる。そこにはかつて大スターだった面影はない。子供たちと小銭稼ぎをしている姿、ホテルからも支払い滞納を理由に追い出されてしまう姿が痛々しい。

 そこからロンドンでの公演に話は展開、そこでハラハラさせながらも大成功することで、ここから良い方向に話が進むのかと思ったが、やはりジュディの状態が尋常ではない。子役時代のクスリの影響だが、所々で挟まれる子役時代の思い出、その時周りにいた大人たちのひどい振る舞いが明かされる。まるでジュディは商品のように扱われる。

 自分の子供時代、TVで夜遅い時間になると小さい子供スターが出演できなかったのを思い出した。あの頃は残念に思ったが、ジュディのような子供を生み出さないための法律だったのね。

 

 劇中ジュディが4曲歌うが、それぞれがその時のジュディの思いと見事にダブっており歌詞が刺さった。しかしジュディと言えばコレというover the rainbowが出てこないと思っていたら、ラストで感動的に歌い上げられる。「オズの魔法使」では、夢見る子供が歌う一曲だったが、本作ラストでジュディが歌うそれも見事に彼女の思いを表していたのに思わず涙してしまった。

 主演のゼルウィガーは、「ブリジット・ジョーンズの日記」の彼女だったのね。全く気づかなかった。アカデミー主演女優賞も納得の一本。

 

野伏間の治助 北町奉行所捕物控 長谷川卓

●野伏間の治助 北町奉行所捕物控 長谷川卓

 裏表紙内容紹介より

 北町奉行所定廻り同心・小宮山仙十郎は、見回りのさなか殺しの報告を受けた。先月の殺しとの関係を考えながら駆けつける仙十郎。死体は、年の頃六十くらいで明らかに勒死(絞殺)であった。一方、仮牢の詰所で入牢者を調べていた北町奉行所臨時廻り同心・鷲津軍兵衛も報告を受けて現場に向かうことに。翌日死体の身元が〈善兵衛店〉の大家・善兵衛であることが判明し、殺される前の善兵衛の足取りを調べることになるのだが、そんな中、ある盗賊一味の存在が浮かび上がってきた……。大好評の北町奉行所捕物控シリーズ、第八弾!

 

 北町奉行所同心鷲津軍兵衛が、同僚の同心や岡っ引や下っ引と共に事件を解決していくシリーズの第8作。以下の5章からなる長編。

 「死神仙十郎」「赤腹の音蔵」「信太小僧松吉」「波銭」「隠居・柘植石刀

 

 同心小宮が3件の殺人に遭遇する。2件は袈裟斬りで殺されており、1件は絞殺と手口が違っていた。鷲津は絞殺で殺された善兵衛店の大家善兵衛の一件に手をつける。その長屋に新たに入ろうとしていた満三郎のことを調べていたが、満三郎の長屋への請け人一之助が請け人家と呼ばれる犯罪者を紹介することを商売にしている男だと宮脇の記憶で判明、研ぎ屋満三郎を見張ることに。

 満三郎が酒屋で会った男をつけた千吉ははおり屋にたどり着く。鷲津は町で偶然平三郎に出会う。3年前の事件で世話になった男だった。平三郎にはおり屋を調べさせ、主人音吉の言葉から備前出身だと推測、蛇骨の清右衛門配下の得治に確かめさせることに。得治は音吉が盗賊野伏間の治助の配下の赤腹の音蔵だと告げる。

 鷲津は島村に報告、さらに宮脇の調べで野伏間の治助一味は2年ごとに江戸と大阪で大仕事をしており、秋の月末、天気の悪い時に仕事をしていると判明する。

 鷲津は町で掏摸を斬ろうとする侍を見かけ止める。相手は八巻日向守の三男鼎之助だとわかる。2件の殺人を追っていた加曽利は、被害者が賭場に出入りしていたことを突き止め、2人が共通して出入りしていた賭場を探し当てる。そのうち1軒が八巻家で、三男が凄腕の剣士だと判明する。

 周一郎は妹尾に挨拶に行った帰りに、養生所へ来なくなった患者を見舞いに行くが、そこで幼い女の子、菊が迷子になっているのに出くわす。そして彼女の親、双吉と初に会う。そこには松吉もいた。彼らは野伏間の治助一味のもので、そこには治助、徳八、お澄などもいた。

 はおり屋を見張っていた新六は、店の障子を直した男をつける。老舗京屋に寄ったあと、長屋に帰るが、彼こそ双吉なのだった。治助は久しぶりに町に出る。その際鷲津と遭遇し、からかい半分で声をかけ、波銭を鷲津からもらう。

 加曽利は八巻家の賭場に侵入するために源三の手を借りる。そしてそこで知り合った客から賭場で大儲けした人間が2人殺されたという話を聞く。話を聞いた鷲津は、旗本が相手となるため、火盗改の松田に会いに行き事情を説明する。そして賭場で大儲けする手段を考える。

 家に帰った鷲津は徳八の人相書きを書き写す。それを見た周一郎が知った男だと話し、それを聞いた新六が京屋が野伏間の治助一味の狙いだと話す。鷲津たちは一味が住む家を見張ろうとするが、手頃な場所がなかった。向かいの西念寺を使おうと考えた鷲津は明屋敷番の柘植を訪ね、西念寺を見張所に使う許可を取ろうとする。柘植はすでに隠居していたが、3人の組頭たちが鷲津の話に乗り、西念寺で見張ることに。さらに3人は一味の家の床下に潜り込み、話を聞き出してくれ、一味の全貌が明らかになった。

 鷲津は源三の博打の才能を買って、八巻家に潜り込ませ大勝させる。その帰り道を狙った鼎之助たちを捕まえることに成功する。そして月末、野伏間の治助一味が動き出す。南町奉行所にも知らせ、火盗改、柘植たちとともに一味の捕縛に成功する。しかし松吉とお澄は取り逃がしてしまう。松吉は周一郎への復讐を誓う。

 

 前作に続く第8作にして、シリーズ最終作。完結作でないのが悲しい。

 シリーズの定番である、2つの事件が並行して描かれるパターン。袈裟斬りでの連続殺人と意外なことで発覚した野伏間の治助一味の件。

 軍兵衛は野伏間の治助一味の件で奔走。こちらがメインかと思わせるが、ひょんなことでその犯人である鼎之助とも出会ってしまう。加曽利の捜査で鼎之助が浮上、これまた例によって火盗改の力も借りることに。

 一方、野伏間の治助一味の方もこれまた例によって手下たちの見張りにより、次第に一味の全貌が明らかになってくるのだが、最終段ではなんと前作に登場した明屋敷番の柘植をはじめとする組頭たちが協力してくれ、あっさりと一味の内情が判明する。

 

 本作の見所は、何と言ってもこれまでのシリーズに登場したサブキャラたちが総登場することだろう。蛇骨一味はもちろん、火盗改、上司である三枝、明屋敷番の組頭たち。それぞれにキャラが立っているのはもちろん、見せ場もあり、シリーズを読んできた読者には最高のプレゼントだった。

 前々作で登場した松吉もいよいよ登場。今回捕まる一味の仲間となっているが、捕縛からは逃れ、次回作以降で登場する構想だったのだろう。

 その相手をなるだろう周一郎が見事に成長している姿も描かれる。これまた例によって、本作の犯人たちとの遭遇もあるが、流れとしてそこまで不自然さを感じさせないのは著者長谷川卓の上手さである。

 周一郎と松吉との闘い、蕗と周一郎の行く末、軍兵衛のさらなる活躍、などまだまだ読みたいシリーズだった。著者が亡くなってしまったのが本当に残念で仕方ない。

 

源氏物語 解剖図鑑 佐藤晃子

源氏物語 解剖図鑑 佐藤晃子

 源氏物語全54帖を見開き2ページを使い解説。右ページにはあらすじ、解説はもちろんその帖の代表的な源氏絵をイラストで紹介しその見所もポイントで説明。左には、その帖に関する平安時代の習慣、考え方、登場人物の関係図などがイラスト入りで紹介されている。

 

 源氏物語関連本はこれで4冊目。

 同様な解説本として「錦絵で楽しむ源氏絵物語」を最初に読んだが、あちらは正統な源氏絵と各帖のあらすじ、和歌の3つで構成されているのに対し、本作はあらすじを非常にコンパクトにまとめ〜その長さは文庫本の裏表紙の解説程度〜、さらに和歌の紹介はカット〜何作かは紹介されている、その分関連する事象をイラスト付きで事細かく解説しているのが特徴。

 この解説(左ページ)がことの外わかりやすく、これまで読んだ作品の中で最も良かったと思う。解説本としては「カラダで感じる源氏物語」も読んだが、あちらは全てが文章で構成されているのに対し、本作はイラストで解説しているため、当時の家屋や家具、服装や髪型、人間関係図などは圧倒的に本作の方がわかりやすい。

 また用語解説や登場人物などについても、一度解説したものやこの先解説するものに対し、その言葉の後に参照ページが記載されているのも嬉しい。読み進めて行くうちに忘れてしまうことが多いため、このシステムは非常に役に立った。さらに巻末には同様に言葉の記載ページ一覧があり、源氏物語本編を読み進めるのに本作は脇にあると非常に便利なのでは、と思う。

 もう一つだけ。

 先にあげた既に読んだ2作でも触れられていたと思うが、数多くいる女性の登場人物たちの気持ちについて本作では重点的に触れていると思う。源氏物語は男性の主人公が数多くの女性に手を出す話(笑 だが、その時その主人公のそばにいた女性の気持ちが結構リアルに説明されている。源氏物語は登場人物が多いため、その関係性を理解するだけでこちらの理解が止まってしまう場合が多いが、これだけ劇的に変化して行く男性の気持ちを女性がどう受け止めていたかと理解しなくては、源氏物語の本当の姿は見えてこないのかもしれない。

 ちなみに、最終段で書かれる「二人の男性が同じ一人の女性を好きになってしまう話」について。この関係性はこのブログでもよく取り上げる西部劇の定番パターンとまったく同じだと気付いた。1000年前から人間のやっていることは変わらないんだね(笑

 

 本作唯一の弱点は、あらすじの分量が少ないため、これだけを読んだだけでは、本編のストーリーがわかりにくい、というところだろうか。つまり源氏物語をこれから読もうとしている読者にとっては、最初の解説本とはしない方が良いのでは、と思う。

 

鬼平犯科帳 第1シリーズ #02 本所・櫻屋敷

●第1シリーズ #02 本所・櫻屋敷

https://www.fujitv.co.jp/onihei/photo/s1-2.jpg

 小川や梅吉の犯行は凶悪無残な急ぎ働きの典型だった。鬼平は梅吉の盗人宿を突き止め押し入るが取り逃がしてしまう。その夜機嫌が悪かった鬼平を久栄が料理でもてなす。

 数日後鬼平は梅吉を見たとの情報を得て、本所を酒井とともに見廻る。そこで老人と御家人の喧嘩を見かけ酒井に止めさせる。その老人は相模の彦十で、鬼平の昔馴染みだった。鬼平は彦十に小遣いを渡して別れるが、それを見ていたチンピラがいた。

 その足で本所の桜屋敷に寄った鬼平は旧友の岸井左馬之助と再会する。左馬之介は鬼平と同じ高杉道場の門弟だった。その頃二人は道場でお互いに鍛えあっていたが、隣の桜屋敷にいたおふさに惚れていた。しかし二人ともおふさに抜け駆けはしない約束をし、その間におふさは他家へ嫁に行ってしまったのだった。左馬之介は未だにおふさのことを忘れられないでいた。左馬之介はおふさが離縁したこと、今は服部角之助と一緒になって本所に住んでいると鬼平に話す。

 彦十は服部家の賭場に出入りをした時に、手配書の梅吉を見かけ、鬼平に知らせる。さらにおふさがその屋敷で男と戯れているのを見たことも話す。鬼平は酒井に梅吉の居場所が知れたことを話すが、服部の屋敷を見張るようにだけ言い渡す。そして伊三次におふさのことを調べさせる。おふさは最初の嫁入り先で死産をした上、夫を亡くしてしまい、家からイビリ出されたとのことだった。その後のおふさは酒や男、博打に溺れていってしまっていた。

 彦十はまた服部家の賭場に出入りし、屋敷の内情を探っていた。さらに梅吉たちが次の仕事の打ち合わせをしている部屋に入ってしまう。そこで彦十が鬼平と話をしていたのを目撃していた男にそのことを告げられてしまう。それが本当かどうか確かめるために彦十は拷問にあうが何も話さなかった。ボロボロにされた彦十を見た鬼平は怒りとともに全ての同心を集め服部家へ押し入ることを酒井に命じる。

 そして服部家に押し入り梅吉たちを捕らえ、さらにおふさも捕まえる。そして調べが始まる。梅吉は次の仕事先が呉服問屋大宮だと話し、それを決めたのはおふさだと語る。大宮はおふさの元の嫁ぎ先だった。

 鬼平の屋敷に左馬之助がやって来て、おふさを見逃してやってほしいと頼む。鬼平は調べたことを話すが、左馬之介は受け入れなかった。鬼平はおふさの取り調べに左馬之助を立ち合わせることに。

 おふさの取り調べが始まる。おふさは大宮に復讐することをずっと思い続けてきたと話す。鬼平はおふさの言葉を非難し反省することを求めるが、おふさは何も語らなかった。左馬之助がその場に飛び出すがおふさはやはり何の反応もしないままだった。

 1年後、鬼平は酒井と見回りの最中、桜屋敷に立ち寄る。そこには左馬之助がいたが声もかけずに立ち去るのだった。

 

 初見時の感想はこちら

 約4年ぶりに観たが、やはり鬼平はカッコ良い。第1シリーズが始まったばかりということで、彦十や左馬之助との再会が描かれる。二人とも今後のシリーズで大活躍をする二人である。

 彦十に至っては、最初の密偵としての登場ということもあり、だいぶ危ない橋を渡り、情報を得る。その分拷問にかけられるという痛い目にあうが、今後このようなシーンはなかったように思う。久しぶりに再会した鬼平のために少しでも役に立ちたいという彦十の想いが伝わるシーンだった。

 左馬之助はこの話のメインゲストキャラということになるだろう。若い頃好きだった女性への想いが忘れられないというのは、男性なら誰しもあることだろう。鬼平のセリフからそれが20年前のことだったことがうかがえる。ラストのお裁きのシーンは左馬之助の想いが詰まっていながら残念な展開で終わる。それがこの話の見せ所でもある。

 脇役について言えば、久栄が良い味を出している。冒頭、梅吉を取り逃がし機嫌が悪い鬼平に、料理を出すことと忠吾の名前を出すことで、鬼平の機嫌を取る場面は名場面と言えるだろう。久栄の想いを汲んだ鬼平も良い。忠吾の口上はまぁおまけみたいなものか(笑

 

 以前に書いた鬼平に関するブログは、あらすじがなかったので、修正版として描きなおそうと思った。全シリーズを観た上での第1シリーズの見直し。これはこれでなかなか面白い。

 

 

ビューティフル・マインド

●581 ビューティフル・マインド 2001

 1947年ナッシュはプリンストン大学院へ入る。人付き合いが苦手なナッシュだったが、ルームメイトとなったハーマンとは仲良くなる。授業にも出ず、論文も提出しなかったナッシュは希望する研修所への推薦を受けられない状態だった。それを教授に指摘されたナッシュは落ち込むが、ハーマンの助言もあり、新たな理論を論文にし教授に認められ、無事希望するウィーラー研究所へ入ることに。

 ナッシュは、国防省に呼ばれソ連の暗号を一目見て解読。その能力を認められることに。ある日バーチャーと名乗る男が彼に接触、秘密基地へ連れて行かれたナッシュはそこでソ連が新聞や雑誌を使ってやりとりしている暗号の解読への協力を求められる。

 一方、ナッシュは講師をしている授業で知り合った女学生アリシアと知り合い付き合うことになる。人付き合いが苦手なナッシュだったが、アリシアは彼を受け止め、二人は結婚することに。幸せな生活を送り始めるが、バーチャーとの仕事で危険な目に会うことになってしまう。自分がソ連に狙われていると考えたナッシュは次第に精神的に病んでしまう。

 ナッシュは他大学での学会に出席、講義をするが、途中ソ連のスパイたちを見かけ、講義の途中で抜け出してしまう。しかし男たちに捕まってしまう。捕まえた男は精神科の医師だと名乗り、ナッシュは精神病院へ入院させられてしまう。事情を聞いたアリシアは大学に行き、ナッシュの研究仲間から事情を聞く。そしてナッシュが投函していたという暗号解読の封筒を発見する。アリシアはナッシュに会いに病院に。ナッシュはソ連の仕業だと訴えるが、アリシアはナッシュが話しているのは幻覚を見たものであると話す。ナッシュは統合失調症で、現実と幻覚の区別がつかない状態になっていた。

 ナッシュは病院で治療を受け、退院できることに。自宅に戻り服薬をしながら、子育てをする生活をし始めるが、薬のせいで頭が働かないナッシュは、内緒で薬を飲むのをやめる。やがてナッシュの前にバーチャーが現れ、暗号解読の仕事をまた手伝って欲しいと頼まれる。ナッシュは暗号解読の仕事を再開する。ある時異変に気付いたアリシアは庭裏にあった小屋へ。そこで大学で見たのと同じ、新聞や雑誌の切り抜きを見つけ、ナッシュの病状が戻ってしまったことに気づく。そのことをナッシュに告げようとするが、ナッシュはバーチャーに脅されアリシアに手を上げてしまう。彼女は家を出て行こうとするが、寸前でナッシュは自分が見ているものが幻覚であることに気づく。

 ナッシュは自分が病気であることを自覚、治療に専念することに。しばらく後、ナッシュは大学に戻りたいとかつての仲間で今は教授である友人に相談、聴講生として大学に戻ることに。50歳となったナッシュの元を学生が訪れ、自分の考えた理論が正しいかと問う。それをきっかけにナッシュは学生たちに数学について語り始める。

 1994年、ナッシュはノーベル賞を受賞することに。授賞式の壇上でナッシュは妻アリシアへの感謝を述べる。

 

 数学の天才、ジョン・ナッシュの物語。同じ数学の天才を扱った「イミテーション・ゲーム」を思い出したが、本作は似て非なる作品。天才と呼ばれた数学者が実は統合失調症を患っており、それに悩まされたという話。

 中盤、ナッシュの病状がハッキリとするまでは、途中ナッシュが入院するハメになったのはソ連の仕業だと思ってしまっていた(笑 その後も何が本当かわからず、思わずネットでナッシュのことを調べようとしてしまった。もちろん、結末を知ることになるのでしなかったが。

 この何が本当かわからない映画の展開にしたのは、ナッシュ自身が感じたものと同じ体験を観客にさせるためだったのだろう。それが大成功していると言える(ナッシュの人生を事前に知っていた観客はこの点不幸だ(笑 )。この一点だけで本作は観るのに値する。

 自分の病状を知った後も幻覚が見えることを本人はどう思っていたのだろう。ノーベル賞受賞を伝えに来た男性のことを、学生を捕まえ、「この人見える?」と聞いたのは学生にはユーモアに思えただろうが、本人にとっては当たり前のことだったと思うと切なくなる。

 ラスト、ノーベル賞受賞のスピーチも、その後のハンカチのエピソードもお見事。実際のスピーチでも同じことを言ったのかしら?

 

ブロンコ・ビリー

●580 ブロンコ・ビリー 1980

 ブロンコビリーは旅回りのワイルドウエストショーを公演する一団。先住民とカウボーイのショーを子供達に見せる。しかし売り上げも少なく団員たちに給料を支払えない状態。団員たちの不満もたまりビリーに窮状を訴えるが、ビリーはいつか牧場を買いみんなで暮らす夢を持っていた。

 新しい街に着いたビリーは役所に許可証をもらいに行く。そこにいたのは、結婚申請をするリリーとアーリントンだった。リリーは父の遺産を手に入れるために30歳までに結婚をするという条件を果たすため、仕方なくアーリントンと結婚したのだった。新婚旅行に出かけるつもりのリリーたちだったが、車の故障により街のモーテルに泊まることに。

 翌日銀行にいたビリーは銀行強盗に出くわすが、得意の早撃ちで強盗たちを退治、一躍ニュースで取り上げられる。その頃リリーはアーリントンに逃げられ、車も金もない状態で困っていた。義母に電話するための電話代もなく、そこにいたビリーに声をかけ電話をするが、義母と連絡を取れなかった。ビリーはリリーを連れて次の街へ。

 その頃リリーの義母は娘が行方不明になったと弁護士から連絡を受ける。弁護士は娘リリーはアーリントンに殺されたこととし、遺産を受け取ろうと提案、アーリントンには出所後にお金が入ると説得する。

 リリーはビリーのショーに助手として参加、ショーは成功するがビリーに言われた通りにしなかったことでビリーは怒る。リリーは一団から去ろうとするが、街にあった新聞で自分が殺されたこととなっているのを知り、一団について行くことに。

 ビリーたちは次の街へ。そこで団員の夫婦に子供が出来たことを知り皆で街へ繰り出す。店で飲んでいたが、ケンカを始めてしまい大騒ぎに。騒ぎが収まり皆は戻るが、若者レナードが一人店に残る。翌日レナードが警察に逮捕されたと連絡を受け、ビリーは警察に向かう。そこでレナードが軍からの脱走兵だったと知らされる。ビリーは署長に金を払うことでレナードを釈放してもらう。その日の夜のショーにレナードが間に合い一安心したが、客の少年がつけた花火で火事を起こしてしまい、テントが燃えてしまう。

 ビリーは定期的にショーを行なっている精神病院へ行き、テントを縫ってもらうことに。テント完成まで病院で厄介になることにするが、その病院にはアーリントンがおり、リリーを見た彼が事情を全て告白する。マスコミがリリーを追いかけ集まってくる。リリーは実家に戻り、ビリーたちはショーを再開することになるが、リリーが去りビリーは落ち込んでいた。ショーが始まりビリーの番になるが、助手として現れたのはリリーだった。

 

 ショーを見せながらアメリカを旅回りしている一団の話。リーダーのイーストウッドが団員たちの揉め事などをクリアしながら、女性と恋に落ちる。恋もトラブルも予想ができる範囲内で収まる展開がわかりやすいストーリー。

 意外だったのは見終わった後に読んだwikiの記述。イーストウッド自身が「自分のキャリアの中で最も魅力的な作品の一つ」としている点。ストーリーも展開も単純なものであったので意外に思えるが、言われてみると主人公ビリーは、現代でありながらカウボーイに憧れ都会には住まないと決意している点や一団の多人種である仲間たちを大切にしている点、不幸な生い立ちであるヒロインと最初は反発しながら最後は愛し合う点など、西部劇で名を馳せたイーストウッドらしい物語なのかもしれない。

 全く関係ないが、タイトルと同名のファミレスチェーン店があるが、あの店名はこの映画を意識しているのかしら?しかしブロンコが荒馬という意味だとは知らなかった。あぁだからテリーファンクはテキサスブロンコなのか。

 

シベリア超特急2

●579 シベリア超特急2 2001

 老作家がインタビューに答える形で、満州菊富士ホテルで起きた殺人事件のことを話し始める。シベリア鉄道のトラブルでホテルに泊まることになった山下大将をはじめとするシベリア鉄道の一等車の乗客たち。その夜、武器商人の田宮が密室で殺される事件が発生。外部との連絡手段もなくなり、山下大将たちは事件を捜査し始める。女医家入が捜査の結果として山下大将犯人説を唱えるが、山下は別の真相にたどり着いていた…。

 

 前作に引き続き、パート2も鑑賞。前作が『超カルトムービー』だとすると、本作は『超』が取れた『カルトムービー』と言ったところか。

 本作を観た記憶はなかったが、エンドロールで出演俳優陣が階段の踊り場に次々と現れるシーンを観て、あぁ昔観たことがある映画だと気づいた(笑

 本作は密室殺人を取り扱っている。前作もある意味同様な事件だったが、前作に比べると事件の展開は随分とマシになっている。密室のトリックは、死の寸前の被害者を放置したというとんでもないものだが、使い方によってはもっとマシなストーリーにもなりそうな感じ。ただ、殺人の時間誤認のトリック〜電話トリック〜は目も当てられないヒドさ(笑 まぁ本シリーズにツッコミを入れても仕方ないのだが。

 驚くべきは、前作よりもさらに豪華な俳優陣。その分かどうかわからないが、前作のスタッフの超一流どころはみなさん本作から手を引いているようだ(笑 若き日の尾上松也なども出演、ネットによる解説がなければ現在活躍中の松也と同一人物だとは思えないほどだったが(笑

 最後にもう一つ。恒例の冒頭での表示で、「真相は3つの逆転のあと判明します」とあったが、その3つがわからない(笑 事件の真相、山下大将の射殺、で2つだと思うが、もう一つはなんだったのだろう。まさか、本当のラストのラストに演じられる数十秒のシーンのことを言っているのか。楽屋オチのような、メタセリフまで発せられるアレなのか?うーん、まさかなぁ。