ライフ・イズ・ビューティフル

●348 ライフ・イズ・ビューティフル 1998

 1939年ユダヤ系イタリア人のグイドは、友人で詩人のフェルッチョとともに都会に住む叔父の家にやって来る。フェルッチョは椅子作りの手伝いを、グイドは叔父がやっている店でウェイターとして働く。グイドは街でドーラと出会い一目惚れし、再会した時に彼女が学校の教師であることを知る。

 グイドは店で医者の客となぞなぞ遊びをし気に入られ、またローマからの視察官が翌日ドーラの学校に視察に行くことを知り、視察官に化けて学校に潜り込み、休日ドーラが観劇に行くことを聞き出す。

 劇場へ行ったグイドは婚約者といたドーラを車で連れ出し雨の中家まで送る。

 グイドの店でドーラの婚約披露パーティが行われる。グイドがいることに気づいたドーラはテーブルの下でグイドとキスをし、店から連れ出してと頼む。グイドはケーキとともに馬に乗って現れドーラを店から連れ出し家へ連れて行く。

 二人は結婚し子供ジョズエが生まれる。ジョズエが成長し平和な日々を送るが、戦争の影が迫って来ており、ユダヤ人は迫害され始めていた。そしてグイド、ジョズエ、叔父は収容所へ連れて行かれることに。列車で連れて行かれることを知ったドーラは自分も列車に乗ることに。

 収容所では男と女は別々に収容され、叔父はガス室送りになる。それでも常に明るく振舞っていたグイドはジョズエにこれはゲームだと言って聞かせる。子供達がガス室送りになる中、かくれんぼだと言いグイドはジョズエを隠し続ける。

 そして戦争が終わる。収容所内は大騒ぎになる。グイドはジョズエを隠しドーラを探しに行くが、ドイツ兵に見つかってしまい射殺される。しかしジョズエはグイドの言いつけを守り最後まで隠れていたため、連合軍の戦車によって助けられ、収容所から逃げ延びた母親と再会する。

 

 この映画はズルい(笑 何から何まで良くできている。

 前半、驚くほど陽気なグイドの姿と生き方が描かれ、後半、それが一気に反転する。グイドの生き方そのものは変わらないが、「あの」収容所での暮らしとなってしまう。

 その前半には、様々な伏線が張られている。帽子の取り替え、窓から投げられる鍵、医者とのなぞなぞ遊び、お風呂嫌いのジョズエ、他にもあるかも…。これらの伏線が見事に回収されて行くのは本当に見事。最初は昭和時代のコントかと思うようなこれらのシーンも伏線だったとは、と驚いた。

 後半、収容所内での生活で普通ならば悲惨な状況を描くのだろうが、この映画ではひたすらに明るくジョズエに話すグイドを描く。先日読んだ山田洋次監督の「悲劇を悲しく描くのは簡単だが、悲劇を明るく描くのは難しい」という言葉が思い出される。

 さらにさりげなくグイドのドーラへの愛も表現されている。ドーラに知らせるために放送を使ってメッセージを流すシーンやレコードで音楽を聴かせるシーンも。

 そして映画の冒頭。ラスト近くでグイドがジョズエを抱いて霧の中を歩くシーンがあるが(この映画で収容所の悲惨さを唯一?見せるシーン)、この霧の中のシーンが映画冒頭に使われていた、と映画を見終わって気付いた。

 後半、気の重くなるシーンの連続だったが、ラストのジョズエとドーラの再会シーンで本当に救われる。いやぁ久しぶりに名作を観た、という感じがする。

 

 

ライフ・イズ・ビューティフル (字幕版)

ライフ・イズ・ビューティフル (字幕版)

  • 発売日: 2016/12/01
  • メディア: Prime Video
 

 

キッド

●347 キッド 1921

 女性が慈善病院で子供を産み退院するが、身寄りのない彼女は路上に駐車していた車に手紙を添えて赤ちゃんを置き去りにする。2人組の泥棒がその車を盗むが、途中で赤ちゃんの存在に気づき、街中に捨ててしまう。浮浪者チャーリーが赤ちゃんを見つける。他の人に赤ちゃんを押し付けようとするがことごとく失敗、彼は育てることに。

 5年後、捨て子キッドとチャーリーは一緒に生活をしていた。キッドが石を投げ窓を割り、チャーリーがそれを修理する、ということで生計を立てていた。キッドの母親はスターになっていた。彼女は慈善活動をしており、チャーリーたちの家のそばにやってきて、捨て子におもちゃを与える。そのおもちゃがきっかけでキッドは近所の悪ガキと喧嘩になるが相手をやっつける。するとその兄が出てきてチャーリーと戦うことに。その喧嘩はスターになった彼女の仲裁で収まったが、キッドが病気になってしまう。

 医者が来てキッドを診察、看護が必要だと話す。チャーリーはキッドが捨て子だったことを説明。キッドは回復に向かうが、医者の手配で施設がキッドを迎えに来る。嫌がるキッドだったが、施設の人間に連れ去られてしまう。チャーリーは車を追いかけキッドを取り戻す。その頃スターになった母親が2人の家を訪ねて来て、医者から捨て子だったキッドに添えられていた手紙を見せられ自分の子供だと判明する。

 施設に追われたチャーリーとキッドは家に帰れず安宿に泊まる。そこの主人が新聞でキッドに懸賞金がかけられていることを知り警察へ寝ているキッドを連れて行く。チャーリーは朝目が覚めキッドがいないことに気づき大騒ぎするが、キッドは見つからない。家に戻ったチャーリーは夢を見る。夢の中でチャーリーもキッドも天使になって楽しい生活をしていた。しかしチャーリーは警官に起こされ車で連れて行かれる。そこはキッドの母の住む豪邸で、チャーリーをキッドと母親が出迎えてくれる。

 

 昨年春にチャップリンの有名な作品はほぼ見尽くしたと思っていたが、この作品が残っていた。

 51分のサイレント映画、しかも今からちょうど100年前の作品。だが今観ても十分面白いし感動する。特にキッド役の子役の演技はスゴい。赤ちゃんもスゴいが(笑 これまで観たチャップリンの作品の中で最も古い作品だが、既にチャップリンの映画のスタイルが完成されているのもスゴい。

 

映画館(こや)がはねて 山田洋次

●映画館(こや)がはねて 山田洋次

 山田洋次監督が新聞や雑誌に発表したコラムやエッセイをまとめたもので、1972年から84年に掲載されたもの。

 72年から84年というと、男はつらいよの第9作から34作までの期間。実際に「今、『男はつらいよ ◯◯作』を撮っています」みたいな文章が何度か現れる。

 内容は「美しい女」「修行時代」「寅さんと共に想う」「ズームレンズ」の4章からなる。人生で出会った美しい女性のこと、寅さんについて全般、映画のスタッフについて、などが語られる。

 この本を読んだのは、「男はつらいよ 50年をたどる。」に触発されたから。監督が自らの少年時代の思い出を幾度となく書いている。向田邦子さんのエッセイを読んでも同じことを思ったが、お二人とも本当によく子供の頃のことを覚えているなぁと感心する。「美しい女」はほとんど子供時代に出会った女性のことだし、中国での子供時代のエピソードが本当に多く、しかも細かいことまでよく覚えていらっしゃる。

 もう一つの収穫は、まさに「男はつらいよ」を作っている最中の文章なので、今でこそ「男はつらいよ」は国民的映画、と言われているが、このころはまだ「マンネリ」だという批評を多く受けていただろう時期で、それに対しての監督の決意のようなものが書かれているのが素晴らしい。

 山田洋次監督は昔から変わっていないのだ。 

 

 

本所おけら長屋 十二 畠山健二

●本所おけら長屋 十二 畠山健二

 「しにがみ」

 馬助は辻蔵親分に拾われた盗っ人。しかしドジばかりで辻蔵には盗っ人は無理だと言われていた。その辻蔵が死んで1年、馬助は立派な盗っ人になろうとしていた。

 ある時馬助は湯屋で万松の二人が大家徳兵衛が金を隠し持っているとの話を聞き、おけら長屋へ盗みに入ることに。徳兵衛の家に忍び込むとそこには泥棒が。二人が騒いでいると長屋の女連中が集まってきた。馬助は自分は長屋を見せてもらおうとしたところで泥棒と鉢合わせたと話す。女たちは泥棒に話を聞く。

 男は天神長屋の屑屋の留吉で、巾着長屋に住むお道さんという後家さんが死んだ夫の残した5両の借金のために岩本屋という金貸の妾にされそうになっているのを助けるために、お金を盗みに入ったと告白する。

 お染とお咲はお道に会いに行き話を確かめる。そして馬助と留吉には岩本屋のことを調べさせる。女たちはこの件は万松など男たちの力を借りずに解決しようとする。八五郎や万松は長屋の女連中の動きに気づいていた。八五郎はお里に酒を飲ませ話を聞き出す。万松は女たちに、お道に岩本屋の世話になると言うように話す。

 5両の返済期限15日前、お道の家に岩本屋の番頭滋平がやってくる。お道の伯母を語ったお染は、滋平にお道には男がいたが別れさせた、と話すとそこへ男馬之助が入ってくる。しかし馬之助は急に死んでしまう。

 5両の返済期限10日前、岩本屋の主人曽根助は用心棒の島田と会う。島田はお道の名前を出し、死神と呼ばれているのを知っているかと尋ね、お道と関わった男たちは次々と死んでいったと話す。

 番頭滋平はお道の家にやってきて今回の話はなかったことに、と言い5両を置いて去っていく。お道は留吉に礼を言い、死神を買い取って欲しいと話す。

 

 「ふうぶん」

 三祐で飲んでいる万松、八五郎の元へ大工の寅吉がやってきてラクダの話をする。ラクダは天竺舶来の獣で神の使いと言われていて、今度江戸にやってくるという。それを聞いていた備前屋の末蔵が話に加わる。彼はラクダを京で見てきた、ラクダの糞や尿は高い薬になると話す。

 万松はラクダの糞や尿を手に入れようと計画を立てる。まず牛や馬の糞や尿を取る訓練をしようと押上村の農家を訪れる。そこで糞や尿をさせる手立てを聞く。

 浅草でラクダの見世物が始まる。研ぎ屋の半次はラクダにイチモツを舐められると吉原夕月花魁のマブになれると聞いたと話す。万松は見世物小屋の当たり券を引けなかったが、ラクダが逃げ出したとの話が入ってくる。万松が見にいくと半次がラクダの前で裸で立っていた。しかしラクダはくしゃみをし半次はヨダレまみれに。万松も糞を手に入れるが… 騒動を気にしたお上がラクダの糞尿にご利益はないとお触れを出す。

 

 「せいがん」

 島田の道場に京谷信太郎が訪ねてくる。彼は1年前鳥羽藩に仕官していた。この度4つの藩の剣術交流会が開かれることになり、それに参加することになったので稽古がしたいと言う。そこへ黒石藩家老の工藤と赤岩がやってくる。赤岩も交流会に出ることに。島田は二人に立ち合い稽古をさせる。二人は意気投合する。工藤は京谷を飲みに誘う。

 工藤の家に行った3人は酒を飲む。そこへ工藤の妹扶美がやってきて、赤鰯と呼ばれた赤岩の代わりに自分を交流会に出して欲しいと訴える。工藤は扶美を諌めるが彼女も引かない。京谷は自分が扶美と立ち合うと言い出す。

 島田の道場で扶美と京谷は立ち合うことに。不意の一撃で京谷は体制を崩すが、京谷は扶美に打ち勝つ。扶美は大人しく引き下がったが、翌日道場に来て京谷に京谷の妻になると言い出す。

 島田の家に黒石藩藩主の高宗がやってくる。そこへ扶美も。扶美は京谷の心の思いを夢で見たと話し、それがあっているかどうか島田に尋ねる。島田の家を出た扶美を高宗は追いかけ、何かあれば力になると話すが、扶美が工藤の妹と知り逃げようとして転んでしまう。それを見た侍が笑う。扶美は侍を諌め、刀を抜こうとした侍に当て身を食らわせ、名前を名乗る。

 工藤は京谷に扶美の生い立ちについて話す。年の離れた妹のことを工藤は2年前まで知らずにいたのだった。

 工藤は扶美とともに高宗に呼び出される。侍との騒動の件だった。そこで扶美は島田の家にいた黒田という浪人が高宗だったことを知る。高宗は扶美に京谷ともう一度立ち合い、扶美が勝ったら京谷の嫁にすること、と話す。

 島田の道場で扶美と京谷は立ち合う。そして扶美は京谷に勝ち嫁になることに。

 

 「おまもり」

 お糸が家にいるときに母娘が訪ねて来て、黒塀長屋のありかを聞かれる。黒塀長屋は1年前に取り壊されていた。母娘はお邦とお妙の親子で、夫幹助を訪ねて常陸国久慈からやって来たのだった。幹助は百姓で江戸に出稼ぎに来ていたが、春になっても戻ってこなかったために探しに来たのだった。江戸が初めてでお金のない母娘を不憫に思ったお糸はおけら長屋に二人を連れていく。

 事情を聞いたおけら長屋の連中が動き出す。大工の仕事を手伝っていた幹助は普請場で事故にあい記憶をなくしてしまった、同じ長屋にいた病持ちの夜鷹の女が幹助を引き取った、ということが判明する。そして魚屋の辰次が幹助の居場所を聞き出してくる。

 お染とお糸は幹助のいるという家へ行く。そこで元夜鷹の貞と会って話をする。彼女は病持ちで今は幹助が働き貞を助けていた。お染とお糸は母娘を幹助に会わせるが、彼の記憶は戻らない。娘お妙は父に買ってもらったお守りを幹助に渡す。

 万松に言われて貞を診たお満は貞の命が長くないと話す。万松は幹助の記憶を取り戻すために、材木屋でもう一度幹助が体験した事故を起こす。幹助は見事に記憶を取り戻し、貞を看取り、久慈へ親子3人で帰ることに。三祐で送別会をしているところへ、お糸文七お満の3人がやって来て、お糸に赤ちゃんができたことを報告する。お妙は父から返してもらったお守りをお糸に渡し、元気な赤ちゃんが生まれるよ、と話す。

 

 これまでおけら長屋シリーズは1冊5話構成だったが、本作は4話。その分1話1話が濃い内容となっている。

 「しにがみ」はおけら長屋に泥棒に入ろうとした間抜けな泥棒とその事情を聞いた長屋の女連中が彼を助ける人情話。女連中が頑張るが、万松が一枚噛んで一気に話が解決する。金の力で女を妾にしようとする金貸しを見事に騙す痛快な話。

 「ふうぶん」は滑稽話。江戸の町にラクダが来ることになり大騒動。万松が一儲けしようと企むが… 「おけら長屋 十」で登場した半次が再登場。なかなか笑わせてくれる。

 「せいがん」は珍しい女剣士?の話。事情を知らないとは言え、赤岩に無礼な態度を取るが、代わりに立ち合った京谷に打ち負かされ考えを改める。ちょっと「居眠り磐音」シリーズを思い出させる作品だった。京谷は「おけら長屋」以来の再登場。

 「おまもり」はシリーズらしい泣かせる人情話。田舎から江戸に出て来て困っている母娘をおけら長屋が全力で助ける。しかしその夫が記憶喪失で… 記憶を取り戻させるための行動が強引だが、仕方なしだろう。ここでも金太が活躍するが、そのセリフにまたも大笑い。金太のセリフはいつもツボだ(笑

 

 以前登場した人物が再登場した話が2話。半次は笑いを取るし、京谷はなかなかオイシイところを持っていった(笑 シリーズも長くなってきたので、今後も再登場するキャラクターが増えて来ることを期待したい。

 

かぐや様は告らせたい

●346 かぐや様は告らせたい 2019

 同タイトルの漫画が原作の実写映画化。映画チケット、かぐやの病気、夏休みの花火大会、生徒会長選挙、のエピソードが描かれる。

 

 原作漫画を何冊か読んでいたし、アニメも何話か観ているので気楽に鑑賞。ラブコメディというより完全なコメディ漫画だと思うので、これぐらいの映画化で良かったのでは? 佐藤二朗が相変わらずで、福田監督作品かと思ってしまった(笑

 橋本環奈の演技は初めて観たかも。声があの可愛い顔と合ってないのが残念。

 

 

鬼平犯科帳 第7シリーズ #13 二人女房

第7シリーズ #13 二人女房

https://www.fujitv.co.jp/onihei/photo/s7-13.jpg

 高木軍兵衛は深川の味噌問屋佐野倉の用心棒(第1シリーズ#23「用心棒」)。以前盗賊改方が盗賊馬越の仁兵衛の捕縛をする際に協力、実は剣術は全くダメだったが、鬼平の勧めで坪井道場に入門、腕を上げてきていた。

 郡兵衛が夜回りをしていると店の者が向かいの店に盗賊が入ったらしいと言ってくる。見てみるとまさに盗賊が逃げていくところ。軍兵衛は盗賊を追いかけ、船で逃げる一味を二人切り捨てるが、残りは逃げてしまう。その中に軍兵衛を知る男佐吉がいた。

 軍兵衛は鬼平に報告。盗賊たちは彦島の仙右衛門一味。仙右衛門は手下たちが奪ってきた金から自分の取り分を取り、残りを皆で分けるように話す。そして妾おとしのところへ行ってしまう。手下たちは不満を言うが捨蔵が戒める。手下の一人、佐吉が家に帰るとそこに仙右衛門の妻お増が待っていた。お増は仙右衛門が妾を作っていることに気づいていた。

 佐吉は仙右衛門に会いにいく。そしてお増が妾のことに気づいていること、お増から仙右衛門殺しを50両で頼まれたこと、を話す。驚く仙右衛門だったが、佐吉が仙右衛門を殺すつもりがないことを聞き安心する。そして100両でお増殺しを依頼する。ただ佐吉はお増に世話になっていたため、殺し屋を雇うように勧める。

 佐吉は軍兵衛を訪ねる。二人は昔街道筋のゴマのハエをしていた仲間だった。佐吉は軍兵衛に30両で仙右衛門殺しを依頼する。その夜軍兵衛は鬼平に会いに五鉄へ行くが会えなかった。彦十とおまさに五鉄には来なかったことにしてくれと言い残し店を去る。彦十は鬼平に報告する。

 佐吉が家に帰るとお増が待っていた。お増はおとし殺しの手配ができたかと確認する。その夜二人は一夜を共にする。軍兵衛は佐吉に殺しの依頼を断ろうとするが、佐吉は佐野倉の主人に会いに行き、昔の悪事をバラすと脅す。軍兵衛は佐吉の言うことを聞き、仙右衛門の家へ一緒に行き彼の家で世話になることに。佐吉は仙右衛門を殺すように言う。困っている軍兵衛の元へ彦十が現れる。

 同心たちは仙右衛門のことを調べ始める。鬼平は軍兵衛から全てのことを聞く。鬼平は軍兵衛に仙右衛門宅へ戻るように話す。佐吉はお増におとし殺しではなく、仙右衛門を殺すつもりだと話す。佐吉は仙右衛門はすでに親分の資格はないので、仙右衛門を殺し自分が彦島一家を束ねるつもりだと話す。

 翌日佐吉は仙右衛門宅を訪ねるが、まだ軍兵衛が仙右衛門を殺していないことを詰る。軍兵衛は30両では人殺しは安いと言うと佐吉は50両を払うと答える。

 佐吉が家に帰るとお増の他に彦島一家の手下たちが集まっていた。佐吉は捨蔵に仙右衛門を今夜中に殺し、殺し屋を始末するのでその後に連れてくるように、と命じられる。佐吉は仙右衛門宅にいる軍兵衛を訪ね、殺しをするよう催促する。軍兵衛は仙右衛門の寝床へ。そこには鬼平もおり、仙右衛門とおとしを気絶させた後、殺したかのような芝居を打ち、佐吉に聞かせる。そして佐吉は軍兵衛を連れて仲間の元へ。斬り合いになるが、そこには鬼平を含め盗賊改方が待っており、一味を捕縛する。

 お増もおまさの誘いで捕まり、一味の調べが行われる。佐吉はとぼけたことを言うが、そこへ仙右衛門が現れ佐吉を殴り倒す。忠吾が心配するが鬼平は捨て置け、と相手にしなかった。仙右衛門、佐吉、お増は死罪となる。

 

 第1シリーズ以来となる高木軍兵衛が登場。だいぶ懐かしいサブキャラクター。第1シリーズの時には見た目とは裏腹に剣術はまるっきりダメだったが、本作では道場で腕を上げた、という設定。それでも気弱なところは変わっていないのがミソ(笑

 ストーリーは昔一緒に悪さをした男に軍兵衛が殺しを依頼される、言うことを聞かなければ今の用心棒稼業ができなくする告げ口をする、と脅される、というもの。まぁよくある話。ただ軍兵衛は鬼平の仲間のようなものなので、事はあっさりと解決。

 殺しの依頼人が実は二人(仙右衛門とお増、の夫婦二人)いて、それを佐吉が上手い事やって自分の利益になるようにしようとするが、こちらもあっさりと女(お増)に裏切られる。

 単純に「見せ場のない」話、なのがここまで映像化されなかった理由だろう。かろうじて最後の調べで、とぼける佐吉の前に仙右衛門が現れるサプライズがあるが、これも直前に仙右衛門宅での人芝居を見ているのでこちらとしてはあまり驚きはない。

 さらにラストで何も知らなかった仙右衛門の妾が無実を訴える、というシーンがあったがこちらも話の中で特にその部分(妾が仙右衛門が盗賊だと知らなかった)が描かれていないので、共感はできない。

 そもそもタイトルが「二人女房」なのに、妾のことがあまり描かれていないので、タイトル自身にも疑問符か。「二人」は正妻と妾のこと、だよね?

 

追憶

●345 追憶 1973

 ラジオ局で働くケイティは上司と酒場を訪れる。そこで大学時代の友人ハベルに出会う。

 大学時代、学生運動を主体的に行なっていたケイティ、彼女の演説を聞いてハベルは彼女に興味を持つ。二人は授業で同じ創作クラスだった。ケイティは自分が書いた短編小説に自信を持っていたが、教授が選んだのはハベルの作品だった。その夜、酒を飲んでいたハベルは通りかかったケイティに声をかけ、一緒に酒を飲む。彼の本は売れることが決まったのだ。そして大学卒業のダンスパーティで二人は一緒にダンスを踊った。

 酒場でハベルと出会ったケイティは家に彼を誘い、酒に酔ったハベルと一夜を共にする。翌朝足早に部屋から出て行こうとする彼にケイティは電話番号を渡す。後日ハベルは電話をして来る。ケイティは喜び彼のために料理を用意する。そして彼に新しい本を書くように勧める。

 ハベルは友人たちのパーティにケイティを連れていくが、ケイティは呑気な友人たちの会話についていけなかった。ハベルは新しい小説を書き始める。二人はまた友人のパーティに参加するが、ケイティはそこで友人たちの会話に噛み付いてしまう。ハベルは止めるが彼女はいうことを聞かなかった。彼女はパーティから帰ってしまう。ハベルが彼女の仕事場に来て別れを告げ去っていく。しかし彼女はハベルに電話をし友人として付き合ってほしいと謝罪、二人はよりを戻し、結婚することに。

 ハベルの小説がハリウッドに売れ始める。そして映画人たちとの付き合いが始まる。しかし世の中では赤狩りが始まっていた。そんな時ケイティは妊娠する。友人たちのパーティに出かけるとそこに盗聴器が仕掛けられていた。ケイティはハベルの反対を押し切り、ニューヨークへ抗議活動に出向く。ハベルは大学時代の女友達と浮気をしてしまい、ケイティに知られることに。二人は会話をし別れを決意するが、ケイティは子供が生まれるまでは一緒にいて欲しいと頼む。

 その後しばらくして二人は再会する。二人ともに再婚していた。ケイティは二人に家に遊びに来てと話すが、ハベルはそれはできないと断る。そして二人は別れる。

 

 映画のテーマ曲が昔コーヒーのCMで使われていて、そのCMを休みの日によく見た記憶がある。とても優雅なイメージのCMで気に入っていた。曲のタイトルも映画のタイトルも原題は「The Way We Were」、これを「追憶」と訳したセンスに脱帽する。映画そのものは今回初めて観た。

 よくある恋愛もののような形を取っているが、二人の主義主張の相違と恋愛が成立するか、というのがポイント。女性が政治的主義を強く持っており、それが原因で男とぶつかる、というのは映画ではあまり観たことがない。しかも途中赤狩りまでが描かれる。1973年でもう赤狩りが過去のものになりつつある時期だから出来たんだろうけど。

 映画としては、特に「ロープ」を観た次の日だから余計に感じるのだろうけど、カット割りを多用していて、それが時の経過をうまく表現している。ただ途中どれだけ時間が経ったんだよ、と思う箇所もあったが(笑

 恋愛ものだが、結果的に二人は別れることになり、しかもラストシーンで偶然再会し会話をする。その時のケイティの表情が素晴らしく、人生のほろ苦さを感じさせてくれる。テーマ曲の良さに引かれ、若い時に観なくて良かった(笑 若い時に観てもこの映画の良さは全く理解できなかったろうから。