●994 紳士協定 1947
フィルは妻を亡くし、母と息子トミーとNYへやってくる。週刊スミス社の編集長ミニフィに呼ばれたためだった。ミニフィはフィルに反ユダヤ主義について記事を書いて欲しいと頼む。夜、ミニフィの家のパーティに呼ばれ、そのテーマを思いついたミニフィの姪キャシーを紹介される。離婚歴があり、保育園で働く彼女にフィルは惹かれる。
フィルは家で母親に記事のテーマについて説明、もっと楽しいものを書きたかったと話す。それを聞いた息子トミーから反ユダヤ主義とは何かと問われるが、フィルは上手く説明ができなかった。それをきっかけにフィルは反ユダヤ主義について書くことを決意する。
フィルはミニフィにそのことを伝え、資料を用意して欲しいと頼むが、ミニフィは資料に頼るのではなく、無関心な人に問題の核心をつく記事を書いて欲しいと言われ、資料に頼らずに書くことに。
フィルはキャシーと付き合い始める。一方で、記事をどのように書くかで悩んでいた。友人でユダヤ人のデイヴに相談したかったが、彼は海外にいた。
そんな折、フィルの母親が心臓発作を起こす。医者を呼び診てもらい、悪性ではないと言われ安心する。フィルは母親に記事を書けないと愚痴る。フィルは母親にこれまで書いてきた記事のことを話している途中に、今回の反ユダヤ主義について書く切り口を見つける。それは6ヶ月ユダヤ人になりきり、その経験を書くことだった。
フィルは早速ミニフィにそのことを伝える。ただし、ユダヤ人になりきることは、ミニフィ、キャシー、母親だけが知る秘密とすることに。ミニフィは昼食会で社の幹部にフィルを紹介。フィルが反ユダヤ主義をテーマに記事を書くことを説明すると、一部の人間が反対する。それでもミニフィは日和見主義では何も進まないと反論する。フィルは自分がユダヤ人だと話す。
フィルに秘書ウェールズがつく。フィルはユダヤ人の就職について調べるため、いろいろな会社にユダヤ人名とそうではない名前で書類を出すように指示。それを聞いた彼女は自分がユダヤ人であることを明かし、この会社に就職するために同じことをしたが、採用されたのはユダヤ人名ではない方だったと明かし、不正と闘う自由な雑誌と歌っていることをあざ笑う。そしてフィルがユダヤ人だと噂されていると話す。
フィルがユダヤ人になり切ろうとすると様々な障害が生まれ始める。
フィルは家で母親を診る医者にユダヤ人の医者の評判を聞くが、別の医者を勧められる。アパートのポストにユダヤ人名を書くと大家にやめて欲しいと言われる。
フィルはキャシーにも話をするが、それを聞いた彼女の様子が変わってしまう。2人は気まずくなり彼女の部屋を出るが、フィルはすぐに戻り謝罪、キャシーもフィルに謝る。
フィルはミニフィに秘書の話を伝える。ミニフィは人事部長を呼び、人種や宗教を問わないという新たな採用広告を出すことに。それを知った秘書は、本当に大丈夫かとフィルに話す。彼女自身もユダヤ人に偏見を持っていた。それを聞いたフィルは怒る。
フィルは同僚でファッション担当のアンにパーティに誘われ酒場へ。そこでもフィルをユダヤ人だと思っている男性からからかわれてしまう。アンは翌日のパーティにフィルを誘う。
フィルはキャシーとアンのパーティに参加する。キャシーは姉にフィルのことを話したと告げ、週末に姉の家でのパーティに行きたいと話す。フィルは姉にもユダヤ人になりきっていることは秘密にして欲しいと頼む。パーティは2人はユダヤ人教授と会う。彼は反ユダヤ主義について問われてもユーモアで返す。
夜2人になったフィルとキャシー。キャシーは姉に本当のことを話してしまったと告白。姉の住むコネチカットは古い土地なので姉夫婦に迷惑がかかるからと話す。それを聞いたフィルは怒り、2人は言い合いになる。
デイヴが海外から戻ってくる。息子トミーがフィルに、自分はユダヤ人なのと問う。フィルは記事のためにユダヤ人と名乗っている、友達にもユダヤ人だと言えと話す。
デイヴはNYで家探しをすると話す。そしてフィルの記事のテーマのことを聞き、ばかな真似をと驚き、数週間で様々な経験をするぞと話す。
レストランにフィル、デイヴ、アンが集まる。デイヴがユダヤ人だということで酔客に絡まれるが、デイヴは冷静に対応する。キャシーからフィルに電話が入り、姉に全てを話した、明日のパーティにきて欲しいと頼まれる。
フィルはキャシーの姉の家へ。しかし問題を起こしそうな人々は呼ばれていなかった。キャシーは自分の家へフィルを連れて行く。そこは前夫と結婚しているときに建てたものだったが、完成した時には離婚していたため、全く使っていないものだった。キャシーはここでフィルと幸せに暮らしたいと話す。
フィルとキャシーはデイヴとアンと会う。2人は新婚旅行にフルームインホテルを予約したと話す。しかしそこはユダヤ人に非開放のホテルだった。
フィルの母親が倒れたと知らせが入り、皆で家へ。フィルとキャシーの結婚は延期される。デイヴはユダヤ人のため家が見つからず、仕事を諦めると話す。それを聞いたフィルは怒り、ホテルの件を問いただしに行く。しかし受付で上手くあしらわれてしまう。
フィルは家に戻り、キャシーにデイヴの家のことを話す。キャシーの家のそばでもユダヤ人に家を課さない人がいるとキャシーは話す。フィルはキャシーがそれに抗議しないのかと怒るが、キャシーは排斥されたら食べ物も買えないと答える。そこへトミーが帰ってくる。彼は友達にユダヤ人だからと差別を受けたと泣く。
フィルはキャシーの家へ。彼女は常に自分が間違っていると言われることに疲れた、デイヴやトミーに起きたことは事実だと話す。フィルは表面上反ユダヤ主義に反対している態度は逆に連中を助けているのと同じだと反論。差別を卑怯だと思ってるリベラルの人たち、「いい人」がこの問題を根深くしていると話す。キャシーは大声で怒鳴る人と結婚はできない、あなたは自分がユダヤ人でないことを喜んでいない、私はひどいことだが喜んでいる、それは偏見ではなく現実だと話し、別れましょうと告げる。
夜、フィルの家へデイヴとアンが訪ねてくる。フィルはトミーの件を話す。デイヴは子供のことが一番堪えると話す。
フィルは社に行き、「8週間私はユダヤ人だった」という原稿を秘書に渡す。フィルが本当はユダヤ人ではなかったことを知り、秘書は驚くが、フィルは自分は昨日と何も変わっていないと答える。フィルはミニフィに残りの原稿は家で仕上げると話す。
フィルの原稿が社内で大評判となる。アンもフィルを祝福するが、表情がさえない彼を見て、家で飲まないかと誘う。アンはフィルに、フィルや編集長は闘っているが、キャシーや彼女の姉は闘っていない、たまに偏見に反対するだけ、口だけで行動する勇気がないのだと話す。そしてフィルと一緒に進んで行きたいと話す。
キャシーはデイヴとレストランで会う。キャシーは自分が反ユダヤ主義に見えるかと尋ねる。そして夕食会での出来事を話す。ある人間がユダヤ人の悪口を言い皆を笑わせたが、私は不愉快だったと。しかしデイヴはその時何か言ったかと問う。そしてそんな時に何も言わないのが、ホテルやトミーの件を引き起こすのだ、と。それを聞いたキャシーは自分に何が足りなかったのか、言葉よりも行動が大切なことに気づく。
フィルが家へ戻る。母親が彼の原稿を読み、夫にも読ませたかったと、現行の一部を読み上げる。フィルは現実は厳しい、キャシーだけでなく、この世の中に多くのキャシーがいると答える。
デイヴがやってくる。彼は電話をする。彼は仕事を引き受けると言い、キャシーの家のそばに引っ越す、キャシーも隣の家に引っ越してきてくれると話す。それを聞いたフィルはキャシーの家へ。キャシーはフィルを受け入れるのだった。
これもアカデミー作品賞受賞作。
タイトルから、ラブロマンスにおける男性同士の約束みたいな話を想像していたが、全く違った(笑 まさか差別問題に正面から取り組む話だったとは。この作品での「紳士協定」とは、反ユダヤ主義が暗黙のうちに世間に認められていることを指す。
ストーリーは、反ユダヤ主義を記事にするため、主人公の記者がユダヤ人を名乗ることに。そして彼は様々な差別の現実に直面、さらに恋人との仲もそれが原因でおかしくなって行くが…という話。
戦後間もない頃の作品だが、これが当時のアメリカの現実だったという驚きとそれを見事に映画にしたハリウッドの凄さを感じずにはいられない。ホテルの件や息子の受けるイジメ、そして軍隊帰りと思われる友人が戦地で体験したエピソードなど、どれもいかにもありそうな話。
しかしこの映画のメインは、主人公が取った行動に対する恋人の思い、ということなのだろう。ブ男、貧乏、病気に対する優越感は現実のものだと話す恋人。紳士協定に対し1人では何もできないという恋人。キャシーの言葉はどれも賛同できるものばかりだが、主人公フィルはそれに対し声を上げて行くことの大切さを何度も唱える。
理想論といえばそれまでだが、紳士協定となっている様々な問題に対し、声を上げた人がいたから、現在の状況がある、と改めて思う。自分は喫煙者だが、煙を嫌う人々は昔から周りにいたが、彼らの声が今の喫煙のルールをここまでにしたのは、よくわかる。個人的にはもう少し緩くしてほしいと思うけれど(笑
ラスト、主人公の母親が読み上げるフィルの原稿の一部が圧巻。差別される側のデメリットを訴え、最後は憲法の精神にまで行き着く。そして「自由と平等の確立こそが、人間をそして国家を守って行くのだ」という言葉に痺れる。
一つだけ不満をあげると、ラストのデイヴの話がよくわからなかったこと。鑑賞後、wikiを読んで、キャシーがデイヴの家のために行動をしたことが理解できたが、映画を観ている時は何を言っているのかわからなかった。私の理解力が不足しているのか(笑
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