鬼平犯科帳 第1シリーズ #06 むっつり十蔵

●第1シリーズ #06 むっつり十蔵

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 深夜、紙問屋大和屋で働く女が男を招き入れるが、盗賊たちも一緒に引き入れてしまう。盗賊は掛川の太平と呼ばれ残虐な手口で盗みを働くことで知られていた。翌朝調べに出向いた鬼平は太平一味の仕業だと判断する。同心小野十蔵は現場で瀕死の女を発見、誰の仕業だと尋ね、女は最期に助さんという言葉を発して死んでしまう。

 鬼平は虚無僧に化け、十蔵とともに伊三次に会いに行く。死んだ女が持っていた服の切れ端と助さんの名前を告げ、伊三次に心当たりを尋ねる。伊三次は浅草の小間物屋越後屋の主人助次郎の名前をあげる。鬼平は十蔵に調べるよう命じる。

 助次郎はやはり引き込みの男だった。彼は妻おふじを捨て江戸から逃げるつもりで仙吉を待っていた。身重のおふじは酒に酔って寝てしまった助次郎の首を絞めて殺してしまう。おふじの泣き声を聞いた十蔵は越後屋の中へ。そこで死んでいる助次郎を発見、おふじから事情を聞く。助次郎が仙吉を待っていたこと、おふじが身重であることを知った十蔵はおふじを匿うことを決意するが、それを仙吉に聞かれてしまう。

 鬼平は役宅で同心を集め太平一味を捕まえるようにハッパをかける。そこへ十蔵が戻ってくる。鬼平に聞かれた十蔵は、助次郎夫婦は店を畳んで逃げた後だったと嘘をつく。鬼平は十蔵を気遣い家に帰るよう話す。家に戻った十蔵は妻と喧嘩をする。十蔵は気遣いのない妻を責めるが妻は自分の持参金が目当てで結婚したのだろうと言い返す。

 十蔵は遠縁の者の家におふじをかくまっていた。おふじに会いに行った十蔵は感謝するおふじに対し、自分を卑下した話をするがおふじは十蔵の身に同情する。二人は一夜をともにしてしまう。

 役宅で十蔵に女ができたのではと噂になる。仕事だと言い外泊しがちだと村松は語る。その頃十蔵はまたおふじの元へ。おふじは亀戸天神にお参りに行った際に仙吉の姿を見かけ、男と明後日に会う約束をしていたと告げる。十蔵は鬼平に報告、鬼平は十蔵に仙吉とその男を捕まえるように指示する。2日後、十蔵はおふじや他の同心たちと亀戸天神へ行き連れの男は捕まえたが、仙吉には逃げられてしまう。十蔵はそのことを鬼平に知らせに行く。鬼平は労をねぎらい、おふじのことを話す。十蔵はおふじについて全て告白しようとするが、鬼平は何も言うなと諭す。

 十蔵はおふじの元へ。しかしおふじはそこにおらず、遠縁の者は殺されていた。そこに仙吉が現れる。そして十蔵とおふじのことを全て知っており、連れの男とおふじを交換することを要求する。十蔵は話を承諾するが、役宅に戻り牢にいた連れの男に刀を振りかざし、一味のアジトを吐かせる。

 鬼平は同心たちを集めアジトへ向かうが、十蔵はそれより早く単身でアジトへ乗り込む。おふじを人質に取られ身動きできない十蔵だったが、鬼平たちが駆けつけ一味を捕縛、鬼平は十蔵に愚か者めがと叱りつける。十蔵は一人現場から走り去るが、翌日腹を切った十蔵が遺書とともに役宅で見つかる。呼び出され冷ややかに十蔵を見守る妻のそばで、泣き叫ぶおふじの姿があった。

 鬼平はおふじが産んだ子供を引き取ろうと思うと久栄に話し、久栄も喜んでそれを受け入れる。

 

 あらすじを追加した修正版。

 第1シリーズ3話目から同心役で柄本明さんは登場していた。シリーズ序盤ということもあったのだろうが、忠吾はまだこの頃完全なコメディリリーフ的存在であり、柄本明さんが鬼平付きの同心のような役割を演じていたと思われる。4話目では、粂八を鬼平の前に連れてきたのが、柄本明さんだった。

 このようなレギュラーとして登場していた同心が話の主役となり、しかも最後には死んでしまうというのは、当時としては珍しいパターンだったと思われる。しかし第1シリーズ序盤であるがゆえ、ここまでの他の話と同様、そんな話の展開も見せたかったのではないだろうか。

 シリーズ中盤以降でも、同心が事件の主役となる話はいくつかあったが、どれもその回限りのゲスト出演という形だったように思う。そういう意味では、何話か登場していた同心が死んでしまうこの話はレアだと言える。

 シリーズ的つながりの話で言うと、本作終わりで、おふじが産んだ子供を久栄が育てるというオチ?がついているが、この子供についてはこの後登場しないんじゃなかったかしら?

 本作のゲスト、竹井みどりさんや宮内洋さんはやはり懐かしい。V3だもの(笑

 

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