きのう何食べた?

●587 きのう何食べた? 2021

 シロさんはケンジの誕生日プレゼントとして京都旅行を提案する。京都の旅を満喫するケンジは大喜びするが、同時に不安に思い始め、理由をシロさんに尋ねる。シロさんは実家に帰った際に母親から、今度の正月はケンジを連れて来るのを辞めてほしいと言われたことを告白する。

 旅行から戻った二人に小日向から連絡があり、冷蔵庫が壊れたので食材をもらってほしいと言われる。小日向とジルベールが二人の家へ。シロさんは買い物仲間の佳代子を呼び、食材で料理をしてもらう。皆で食事をする中、ジルベールが正月の一件を知り、シロさんの態度を非難する。

 ケンジは気にしていないと話すが、シロさんは母親と会い、母親の態度を非難し正月は帰らないと宣言したことをケンジに話す。二人は一緒に正月を迎える。

 職場で髪が薄くなって来たことをケンジは店の若者から指摘される。さらに別れて暮らしていたケンジの父親が死亡、ケンジは実家に。そこで話す中、母から実家の床屋を継がないかと言われる。

 家に帰ったケンジは、薄毛対策として油物を控えるようになる。職場の若者の恋人が店にやって来て別れ話となり、若者はあっさりと別れを認める。そんな彼を見直したケンジは彼と一緒に帰るが、その姿をシロさんが目撃してしまう。不安を抱いたシロさんは休日一人出かけるケンジの後をつける。ケンジは薄毛対策のため病院に行くのだが、事情を聞いていないシロさんは、ケンジが病気なのではないかと心配する。

 シロさんは今晩こそケンジと話し合うつもりで会社を出るが、そこに小日向が待っていた。ジルベールが家出をしたため困惑する小日向をシロさんは慰めるが、小日向は大切な人が自分の前から消えてしまうかもしれないと叫ぶ。それを聞いたシロさんはケンジのことを思う。

 家に帰ったシロさん、少し遅れてケンジが帰ってくるが、彼は髪を切り金髪にしていた。シロさんは自分の気持ちを打ち明ける。ケンジから事情を聞いたシロさんはやっと安心する。

 シロさんは佳代子とスーパーで会い、孫にシロさんの名前の一文字をもらったと聞かされる。それを聞いたシロさんは実家に帰った際、母親に子供に親の名前がつくのって良いなと話す。

 シロさんはケンジとレストランで食事をし、その後花見をする。シロさんはケンジに両親のことを話し、二人で弁当を食べる。

 

 TVドラマはレギュラー放送もSP版も見ていたので、映画もすんなりと観ることができた。もともとこのドラマは、孤独のグルメに続く「深夜のテロ飯」ものとして有名。ゲイのカップルを描く作品だが、そこにあるであろう障害などについてはあまり深く描かれず、どちらかといえばコメディ色の強いドラマだった。

 しかし映画ではゲイカップルの問題点をいきなりぶつけてくる。初の?京都旅行に大喜びするケンジがその後だんだんと不安になって行く様は、ちょっとだけミステリー風。その答えが問題点そのものだったという展開。この両親との関係性が映画のストーリーの軸となっている。

 が、その後の展開はいつものドラマのようにコメディタッチで描かれる。冒頭の旅行の件は観客にもその理由が明かされずに話が展開するが、映画中盤から後半にかけてのケンジの謎の行動は、先に理由が明かされているため、観客は安心してシロさんの不安な気持ちを観ていることができる。そして小日向のセリフもあり、この件は見事に大団円を迎え、映画も幕を閉じる。wikiによれば、映画は原作8巻をベースにしているらしい。原作も途中まで読んでいたが、この話には記憶がなかったのが逆に良かったかも。

 TVドラマが映画化されることには賛否両論あるが、本作に関してはなかなか成功していると言って良いのではないか。TVのSP版でも成立する話だが、内容が内容だけに映画の方が似合っていると思う。

 ドラマでの新作を見たくなった。