ビフォア・サンセット

●804 ビフォア・サンセット 2004

 ジェシーは作家となりフランスの本屋でインタビューを受けていた。ジェシーは9年前のセリーヌとの一夜を小説にしその本が売れた。彼は人生は平凡ではなくドラマチックだと語り、インタビュアーは小説に出てくるフランス人女性は実在したのか、結末での約束は果たされたのかなどを聞いてくる。ジェシーは2人が再会したら全てがオジャンだと語り、次回作の構想を話す。インタビューが終わり、ジェシーが乗る飛行機の時間が迫っていたが、彼は1人の女性が見つめていることに気づく。それはセリーヌだった。

 ジェシーは飛行機の時間を確認した後、セリーヌと再会を果たす。2人はカフェへ行こうと街を歩き出す。歩きながらセリーヌジェシーの小説のことについて話す。そして9年前の12月に約束した場所へ行ったかとジェシーに尋ねる。ジェシーは行かなかったと答えると、セリーヌは祖母の葬儀があり私も行けなかったと話す。セリーヌはなぜ行かなかったのかとジェシーに聞くが、その表情を見てセリーヌは彼が約束した場所へ行ったことを悟る。

 ジェシーセリーヌに会えなかったことで凹んだこと、数日街に滞在したことを正直に話す。さらに小説では再会をしたヴァージョンも書いたが、編集者に不評だったことも。セリーヌジェシーに謝る。

 女子ーはセリーヌの今の仕事について尋ねる。彼女は環境保護団体で働いていた。ジェシーは環境問題について問われ楽観的なところを見せるが、セリーヌは現状の問題を話す。

 2人はカフェに到着する。そこでも2人は会話を続ける。

 セリーヌは96年から99年までNYの大学に行っていたことを話す。ジェシーは自分も98年からNYに住んでいることを告げる。セリーヌアメリカでの生活が嫌だったこと、10代の頃ワルシャワに行って自分が変わったことなどを話す。2人は前の出会いから9年が経ったこと、セリーヌは32歳になったことをを実感していた。宗教の話もし、2人は人間はあまり変わらないと話す。あの夜sexをしたかどうかの話からsexについてもあけすけに話をする。

 2人はカフェを出てセーヌ川ぞいを歩く。ジェシーは妻や4歳の息子のことを、セリーヌも報道写真家の恋人のことを話す。2人は観光船に乗る。ジェシーは運転手に次の停泊所で待つように連絡する。ジェシーは小説を書いたのはセリーヌのことを忘れないためだと言うと、セリーヌは人は恋をして別れると忘れてしまうが、私は忘れられず傷つくと話す。その人の特徴を思い出すのは子供の時からだと言いジェシーのヒゲについて話す。そして今の自分は老女となった自分の夢の登場人物だと語る。ジェシーは約束の場で会えていたら人生が変わっていたと話す。ジェシーは結婚した経緯を話す。

 船が停泊所に到着する。ジェシーは運転手にセリーヌを家まで送って行くと話す。車の中でも会話は続く。セリーヌジェシーの小説を読み、昔は愛と希望があった、あの一晩で愛する気持ち全てを使ってしまった、恋人たちは私と別れて他の女と結婚してしまう、なぜ自分にプロポーズをしてくれないのかと嘆く。

 車がセリーヌの家のそばに到着する。ジェシーは家まで送ることに。ジェシーは妻との暮らしの不満を述べ、息子がいるから夫婦として成り立っていると話す。そしてセリーヌとのことを夢にみると話す。

 セリーヌの家に到着、ジェシーは家に寄ることに。セリーヌの飼っている猫が2人を出迎える。ジェシーセリーヌが作った曲を聞きたがり、3曲の中からワルツを選ぶ。セリーヌは歌い始める。それはジェシーとのことを思った歌だった。歌を聞き終えたジェシーはCDをかける。それはニーナシモンのものだった。セリーヌは彼女のコンサートに行ったことを話し、ジェシーに飛行機の時間だと告げる。

 

 前作「恋人までの距離」から9年後に製作された、主人公2人の9年後の話。前作同様、映画はほぼ全て2人の会話で終始する。

 作家となった男性が本屋で女性と再会するところからスタート。このパターンは、男はつらいよ50作「おかえり寅さん」の満男と泉のパターンと全く同じ。まさか山田洋次監督はこの作品をパクったのだろうか(笑 そこから2人はパリの街を移動しながらとにかく話し続ける。

 観客の一番知りたいのは、前作終わりの再会の約束が果たされたかどうかだが、それは叶わなかったらしい。2人とも約束の場へ行くつもりだったが、女性の祖母が亡くなり行けなかったということ。男性はその場へ行っており、そのことで話が続くのかと思ったが、それは意外にあっさりと終わる。その後も9年前のあの晩と同じように2人は自分の考えなどを語り合う。ただ20代だった2人が30代となっており、話の中身は微妙にアップデートしている。

 それでも後半、つまり男性の飛行機の時間が近づくに連れ、男性は約束の場で会えなかったことを悔やみ始める。そこには今の妻との生活が上手く行っていないことへの愚痴も含まれる。女性は男性運が悪いことを嘆きつつ、やはり男性への思いを正直に告白するが、恋愛には期待しないということも告げる。

 そしてラスト。時間がないはずの男性は女性の家で彼女の歌を聴く。CDから流れる曲も聴き、女性から飛行機の時間だと告げられるが、動く気配はない。とここで画面はフェイドアウトし映画は終わる。

 2人の仲の結末を描かない前作と同様、本作も終わる。2人の恋の行く末を暗示しているような終わり方だが、これが良いのだろう。映画内の時間通り、9年歳をとった2人がまた9年前と同じように会話し続ける、それだけで良い。

 wikiによれば、また9年後に3作目が製作されたらしい。しかしどの配信サービスでも観ることはできないようだ。これは困った(笑