新源氏物語

●814 新源氏物語 1961

 帝が桐壺ばかりを可愛がるため、弘徽殿女御たちは面白くなかった。そのため桐壺への嫌がらせが行われる。桐壺はそんな生活に嫌気が指し、実家へ戻り御子を産むことに。桐壺はそこで光源氏を産むが産後の肥立ちが悪く、光源氏の幸せを祈りながら死んでしまう。

 成長した光源氏左大臣の娘葵の上と結婚することに。その儀式の日、光源氏藤壺を見かける。藤壺光源氏の母によく似ているとの評判だった。葵の上を妻とした光源氏だったが、葵の上は光源氏のことを嫌っていた。

 その頃六条御息所は年を取り光源氏がもう会いに来てくれないことを嘆いていた。六条御息所光源氏が葵の上と結婚したことを聞き涙する。

 光源氏は愛のない結婚をしたことを惟光に嘆く。惟光は愛する人を探せば良いと話す。光源氏藤壺に恋したことを告げ、夜1人で彼女に会いに行き、一夜を共にしてしまう。藤壺はもう帝にあわす顔がないと嘆く。朝、光源氏は帰っていくが、これ以降藤壺は帝のお召しを断り続ける。

 右大臣が光源氏藤壺の仲を知ってしまう。しかしその娘朧月夜は光源氏に会いに行き、藤壺に会いに行くのはやめるよう話し、光源氏と一夜を過ごす。

 御前で光源氏が踊りを披露する。光源氏は帝から褒美をもらう。夜、祝いの宴が開かれ、光源氏は葵の上が身ごもったことを知る。それと同時に藤壺も身ごもったことを知り、光源氏藤壺に会いに行く。そしてそれが自分の子供であることを知る。

 光源氏六条御息所の家へ。そこで光源氏六条御息所に甘える。惟光は光源氏藤壺への思いを紛らわせているのだと話す。

 藤壺が無事出産をし、祝いの宴が開かれる。帝は子供が光源氏によく似ていると話す。

 気晴らしに出かけた光源氏だったが、嵐にあい、馬が足を折ってしまい、近くの家に助けを求め、その家にいた末摘花と出会う。惟光が迎えにくるが、光源氏は末摘花の家に泊まることに。翌朝末摘花が2人のために自ら食事を用意する。

 帰り道、竹林から笛の音が聞こえる。光源氏は笛の音を頼りに家を探し、そこで藤壺の兄の娘だという紫の上と出会う。その美しさに惹かれた光源氏は紫の上自分の手で育てようと強引に連れ去ってしまう。

 葵の上の出産が近づく。葵の上は光源氏の子供など生みたくないと話すが、光源氏は謝り葵の上をますます愛していると告げる。六条御息所光源氏に会えなく寂しい思いをしていた。光源氏葵祭りに参加すると知った六条御息所は娘とともに牛車で見物に出かける。しかし葵の上の牛車に場所を譲ることになり、さらに光源氏が葵の上には挨拶したのに自分には何もしなかったことから、葵の上への怒りを爆発させる。そして生き霊となり葵の上を襲う。光源氏は葵の上を見舞うが、そこで生き霊となった六条御息所と話し、祈祷を辞めることに。

 光源氏は帝から呼び出される。体調の悪い葵の上だったが、光源氏に早く帰って来てと頼み、光源氏は帝の元へ。光源氏がいなくなった隙を狙って、六条御息所の生き霊がまた葵の上を襲い、彼女は死んでしまう。

 帝は右大臣に言われ、退位することを決断する。その代わり帝の子を次の東宮にするのが条件だった。しばらく右大臣の天下が続くが耐えてくれと光源氏に話す。

 六条御息所から光源氏に手紙がくる。娘が斎宮になるので一緒に伊勢へ行くと告げる内容だった。紫の上は自分が書いた習字を光源氏に見せる。光源氏が褒めると紫の上は大きくなったら自分が光源氏の妻になると話す。

 朱雀帝に斎宮宣命を渡す。弘徽殿は東宮光源氏の子供だと見抜いていた。朧月夜はなぜ弘徽殿が藤壺を目の敵にするのかと言い、自分は好きなように生きると話す。朧月夜は藤壺に会いに行こうとする光源氏を呼び止め、明日からは帝の妻となるが今日だけは、と言い光源氏に抱かれようとする。しかし弘徽殿がその場に現れ、光源氏は逃げて行く。弘徽殿はその場に光源氏の扇が残されているのを発見し、帝に知らせる。帝は光源氏は自分をないがしろにするのかと怒る。

 夜、光源氏藤壺の屋敷へ。そこで藤壺が自分の名前を呼んだのを嬉しく思い彼女を抱いてしまう。藤壺は拒否しようとしたがこれが最後だ、女としての終わりだと光源氏に抱かれてしまう。

 光源氏の家に帝の使いがやってくる。朧月夜とのことを問いただされた光源氏は、感触を返上し京都を離れ須磨明石で余生を送ると答える。

 藤壺は出家をする。東宮光源氏が会いに行くるが、藤壺は出家し尼となってしまう。光源氏は紫の上に別れを告げ、須磨明石へ向けて旅立つ。

 

 

 一昨年末から去年にかけて「源氏物語」の解説本などを何冊と「源氏物語」の現代語訳も10帖分は読んだ。大河「光る君へ」にあわせたわけではなかったが。本作はそれが役に立った初めての例となった(笑

 

 本作の中でも光源氏が様々な女性たちと性の関係を持つが、上記した知識がなければ、なんだこのエロ映画は、と思ったことだろう。まぁ知識を持っていてもその感想に違いはないのだが(笑

 藤壺役の寿美花代さん、高島ファミリーでよく知った方だったが、俳優業をしているのは初めて観た。

 

 本作は「源氏物語」の序盤?前半?に出てくる女性とのエピソードをダイジェストで紹介しているストーリーになっている。藤壺、葵の上、六条御息所、朧月夜、末摘花。しかし見どころは、六条御息所が生き霊となるシーンだろう。1961年、昭和36年での特撮は技術的には劣ったものだが、それが逆に生き霊の怖さを上手く表現しているようにも思える。

 映画の結末をどうするのかと思ったが、光源氏が須磨明石へ旅立つシーンで終わっている。54帖ある「源氏物語」の12帖分といったところか。市川雷蔵主演でまだまだ続編が作れそうな感じだが、続編がないのはそこまでヒットしなかったのか、それともさすがにセットなどに金がかかりすぎたのか。でも本作で「源氏物語」の序盤だけでも映像化されたものを見ることができて良しとしよう。