鬼平犯科帳 第5シリーズ #09 盗賊人相書

 第5シリーズ #09 盗賊人相書

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 盗賊が蕎麦屋に盗みに入り、店の者を皆殺しにしていた。しかし小女およし一人だけが生き残った。およしは盗人の頭の顔を見ており、顔に傷がある男だった。特徴のある顔なので人相書を作ることになるが、いつも人相書きをしている者が京へ行っているため、石田竹仙が選ばれる。忠吾がおよしを竹仙のところへ連れて行くが、出来上がった人相書が似ていないとおよしは訴える。およしによると、最初は上手く行っていたが、途中からおかしくなった、それでも下絵はおよしの話通りに出来上がったが、仕上げをする時になり別のものになってしまった、とのこと。およしは竹仙の前ではそのことを言わず、鬼平は忠吾に尋ねる。忠吾はその時別室で寝ていたのだった。

 竹仙は下絵を燃やし、一人泣いていた。

 伊三次は竹仙のことを調べ鬼平に報告する。彼の描いた絵も見るが良い出来だった。

 忠吾はおよしに愚痴を言い、およしは口答えする。忠吾はおよしを打とうとするが、およしも負けていなかったが、泣いてしまう。それを見た鬼平は二人に浅草の船宿島やへ行くように命じる。

 鬼平は島やへ行き、竹仙を呼ぶ。鬼平は自分の絵を描いて欲しいと頼む。そして盗賊改方の鬼平だと自己紹介し、竹仙のことを話す。酒井が座興にと絵筆を持って来させるが、持ってきたのはおよしだった。

 翌日竹仙は籠で出かける。沢田と忠吾があとをつけるが、途中で巻かれてしまう。竹仙は熊次郎に会いに行く。熊治郎こそ人相書の男だった。竹仙は蕎麦屋におよしと言う生き残りがいて顔を見られていたことを話し江戸から逃げるように言う。しかし熊次郎は、竹仙が10年前まで一緒に盗人をしていたことがバレるのが怖いのだろうと話し、仲間を呼び入れる。そして竹仙を襲うが、竹仙はなんとか逃げる。

 竹仙は家に帰るが、酒井が待っており捕まる。

 およしは蕎麦屋の主人の墓を参る。熊次郎の仲間がそれを見ていたが忠吾がそこに来る。

 竹仙は取り調べに何も話さなかった。

 島やにいるおよしに忠吾からの手紙が届き、真崎の招来(おいで)稲荷に呼び出される。しかしおよしは今まで一度も呼び出されたことがないのにと不審がる。およしが出かけた後、忠吾が島やにやって来る。女中から手紙の件を聞いた忠吾は飛び出して行く。およしは熊次郎の仲間に捕まり殺されかけるが、既のところで忠吾が助けに来る。

 竹仙が人相書をもう一度描かせて欲しいと訴え出る。竹仙はおよしが襲われたことを聞いたのだった。人相書をおよしに確認させるが、よく似ていた。鬼平は竹仙を褒め、、お上にも血も涙もある、そしてこの一件が終わったら俺の顔を描くのを忘れるなよと話す。そして熊次郎一味を捕まえる。

 竹仙は鬼平の姿絵を描きあげる。忠吾はおよしと竹仙の家に行くが、家の中は空っぽだった。鬼平は竹仙の絵をいつまでも見ていた。

 

 色々珍しい話だと思う。まず大きいのは、関係者に一人の犠牲者が出ないと言う点。もちろん蕎麦屋の店の人間たちは殺されてしまうのだが。そして忠吾とおよしの関係性。これまでも忠吾が女に惚れる話は多々あったが、いずれも最終的には別れてしまう話ばかりだった。しかしこの話では、命を救うだけではなく、最後まで仲が良い二人の姿が描かれる。そして最後に、自分の肖像画を見続けてしまう鬼平。どこか笑えるシーンだった。

 悲劇的な話が多い鬼平犯科帳、たまにはこんな話があっても良いと思う作品だった。

 

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