星のない男

●506 星のない男 1955

 デンプシーは列車にタダ乗りをしていたが、その列車に同じようにタダ乗りをしていた若者ジェフは乗組員に叩き出される。しかしデンプシーはジェフを助け、隠れて乗車させる。列車が進む中で、またも別のタダ乗りの男が乗組員に追われるが、男は乗組員を殺してしまう。列車が駅に到着、ジェフは殺人犯だと疑われるが、デンプシーの証言によりジェフは助かる。

 街に向かうデンプシーにジェフは着いていく。街で酒場女アイドニーと出会ったデンプシーは酒場で三角牧場の牧童頭ストラップと知り合い、ジェフとともに牧場で働くことに。デンプシーはジェフに馬の扱い、銃の撃ち方などを教える。

 ある日、牛追いをしていたデンプシーたちは隣のキャシディ牧場に立ち寄る。そこでキャシディの娘テスとジェフは仲良くなり、食事をすることに。和やかに食事をしていたが、キャシディが有刺鉄線を持ち出したことでデンプシーは怒って家を去ることに。

 三角牧場の新しい牧場主、女性のボーマンがやってくる。彼女は牛を1万頭増やすと話すが、牧童頭のストラップは牧草の関係からキャシディと揉めることになると言い反対する。しかし彼女は話を強引に進める。ボーマンはデンプシーを新しい牧童頭にすると誘い、彼も受け入れる。

 三角牧場に牛を連れスティーブがやってくる。キャシディ牧場では、公有地に鉄線を張り巡らせ、ジェフや仲間が怪我をする。ジェフはキャシディ一味に復習をしようとするが、デンプシーはそれを止める。ジェフと争いになるが、デンプシーは弟を有刺鉄線騒動で亡くしたことを語り、デンプシーは牧場を出ていく決意をする。しかしデンプシーがボーマンと話している間にジェフはいなくなってしまう。ジェフを探しに酒場に行ったデンプシーだったが、そこへボーマンとジェフが現れる。デンプシーはジェフに街を出ようと言うが、ジェフは反抗する。その後些細なことでスティーブの部下と争いになったジェフは相手を撃ち殺してしまう。怒ったデンプシーはジェフと殴り合いになり去っていく。

 デンプシーはアイドニーの元にいたが、街を去ろうとしていた。しかしスティーブたちに捕まりリンチを受ける。怒ったデンプシーはキャシディ側につき、有刺鉄線の作業を続ける。邪魔しにきたスティーブ一味を捕らえ、三角牧場に突きかえす。戻ってきたスティーブはその場にいたジェフを叱責し撃ってしまう。怪我をしたジェフはデンプシーの元へ行き、スティーブが西部のやり方で仕返しに来ると告げる。牛を追い鉄線を壊そうとするスティーブの狙いを見破ったデンプシーたちは牛を回避させ、スティーブと決闘、彼を殴り倒す。キャシディたちに引きとめられるデンプシーだったが、有刺鉄線を嫌い断る。ジェフも一緒にいこうとするが、デンプシーはテスと暮らせと言って去っていく。

 

 カークダグラスがバンジョーを弾きながら歌ったりもするちょっと珍しい西部劇。

 テーマは、公有地をめぐる法の問題かと「牛泥棒」に似たテーマを思わせるが、実際には、有刺鉄線を嫌い、自由な土地を選ぶ男の話。タイトルの「星のない男」とは、迷った時に皆があてにする星(進むべき方向を見極めるもの)を持たずに、自由に進むべき道を選ぶ男、という意味だろう。

 デンプシーとジェフのような、兄弟分の関係というのは西部劇でよく出てくる。デンプシーがジェフに銃の撃ち方、牛への焼印の押し方などを教えるシーンは定番。終盤前に、デンプシーが弟を亡くしたことが告げられ、ジェフへの態度や有刺鉄線を嫌っていた理由が明かされ、一気にラストのハイライトシーンとなる展開は見事。

 西部劇を何本も見てきたが、牛の数と牧草の問題というのは初めて見たかも。これがひいては土地の問題となり西部劇でありがちな争いごとになっていくんだと改めて実感した。現実にあった問題だろうが、公有地については実際はどのように解決されていたんだろう?