燃える平原児

●533 燃える平原児 1960

 男が二人、夜バートン家に帰ってくる。家の中では帰ってきたクリントの誕生日を祝うために父サム、母ネディや友人たちが待っていた。その中にはクリントの恋人ロズもおり、クリントの弟ペイサーは歌を歌う。パーティが終わり、皆は帰って行く。ハワード家の兄弟も家へ帰るが、家が先住民カイオワ族に襲撃されており、彼らも襲われてしまう。兄ウィルはなんとか逃げ出す。

 その夜、家にカイオワ族の親族長バッファローホーンがやってくて話がしたいと言うが、ペイサーは明るい時間に来いと彼を追い返す。母ネディはカイオワ族の女で父サムと結婚していた。ペイサーはその子供で白人と先住民のハーフだった。

 翌日クリントとペイサーは街で出かけ、ロズの店へ。そこでハワード家が襲われたことを聞く。ペイサーはハーフのため店から追い出される。その夜、家に町の男たちがやってきて、バートン一家が白人側につくのか、先住民側につくのかを尋ねる。サムは自分たちの敵と戦うと話すが、男たちはサムの妻ネディが先住民であることをバカにする。クリントは男の一人を撃つ。彼らは帰って行くが、バートン家の牛を逃す。

 翌日、サムとクリントは牛を探しに行く。家に先住民に襲われたと言う男たちがやってきて飯を食べたいと話す。ネディは彼らを受け入れるが、ペイサーがいない間にネディに言い寄ろうとする。ペイサーは彼らをぶちのめし追い返す。

 翌朝、バッファローホーンがやってきて、ペイサーに仲間になれと話す。それを聞いたネディは、自分が先住民の村に行って、知り合いに頼んでみると話す。ペイサーは母親と先住民の村へ。話し合いをするが、ネディの願いは聞き入れてもらえなかった。村からの帰り道、ネディとペイサーは、逃げていたウィルに間違って襲われてしまう。ネディが負傷、ペイサーがウィルを殺す。

 家に母を連れ戻ったペイサーは、クリントとともに街へ医者を呼びに行くが、住民たちは先住民であることを理由に、医者が行くのを断る。ペイサーは医者の子供を拉致し、強引に医者を家に連れて帰る。それを見ていたロズも一緒に行くことに。

 その頃家では母親ネディが意識を取り戻していた。父サムが目を離した隙に、ネディは家を出て山へ向かって歩いて行く。サムが気付いた時にはネディは平原に倒れていた。

 ネディを埋葬する。父を墓の前に残し、家に戻ったペイサーは医者に向かって、来るのが遅れたから母が死んだと言い、医者を襲おうとする。クリントはペイサーを止める。ペイサーは家を出て、バッファローホーンとともに戦うと宣言、家を出て行く。出て行くペイサーを父サムは止めずに、自慢の息子だと語る。

 先住民の村に行ったペイサーはバッファローホーンと話をし、仲間になると伝える。しかし家族とは戦わないと話し、バッファローホーンもバートン家の人間は襲わないと誓う。

 クリントはロズをついて街へ。ロズを送り届けるが、また新たな一家が先住民に襲われたことを聞き、嫌味を言われる。その頃サムは一人で牛の放牧をしていたが、若い先住民たちに襲われ死んでしまう。クリントは父の姿を発見、母の隣に墓を作る。クリントは先住民たちを見かけ、一人で戦いを仕掛ける。負傷したクリントをペイサーが助け匿う。先住民たちをうまく巻いたペイサーはクリントを家に連れて帰る。そこで父サムが死んだことを聞かされる。ペイサーは負傷したクリントを馬に乗せ、ロズに家に向かわせ、自分は一人で先住民たちと戦うことに。

 ロズの家で目覚めたクリントは、街にペイサーが帰ってきたと聞き、彼の元へ。ペイサーは先住民との戦いで負傷し死を迎えようとしていた。彼は両親の眠る丘で死ぬと言い残し街から去って行く。

 

 プレスリーの映画は初めて。序盤の家の中での歌唱シーンで、スター歌手にありがちなアイドル映画かな、と思って観ていたが、これが大間違い。同じ序盤の楽しげな誕生日パーティの最中に、白人とそうでない人種との差別がさりげなく描かれ始める。

 話が進むに連れ、プレスリーが白人の父と先住民の母との間にできたハーフであり、白人たちからは敵扱いされているのがわかって来る。それに耐えていたプレスリーだったが、終盤母が治療もしてもらえず死んでしまったことで怒りを爆発させる。人種問題を真っ向からとらえたシーンであり、アイドル映画とは全く言えない映画だった。

 

 「折れた矢」が1950年の製作で先住民側から描いた一本であり、本作は1960年製作でその手のテーマとしては必ずしも早い段階ではないが、白人と先住民のハーフの主人公という難しい役柄を演じたプレスリーは評価して良いのでは。ただwikiによると、プレスリーの映画はあまり評価されていなかったようだ。