あの頃、レモンハートで BARで飲みたい31の名酒 古谷三敏・古谷陸

●あの頃、レモンハートで BARで飲みたい31の名酒 古谷三敏・古谷陸

 漫画「BARレモンハート」の作者である古谷三敏氏が、31種類のお酒をイラスト付きで紹介、そのお酒にまつわるエピソードを書く。氏の孫である古谷陸氏によるワンポイント解説も。エピソードにまつわる漫画「BARレモンハート」も3編含まれている。

 

 正月にBSフジでドラマ「BARレモンハート」の最新作が放映された。これまで放送された全作品を見ているが、見終わった後に本作があることを知り、早速読んでみた。

 古谷氏がお酒(カクテルなども含む)を紹介しつつ、その酒にまつわるエピソードを披露する形をとっているエッセイ集。

 酒を探して旅した話、満州での少年時代、手塚治虫赤塚不二夫のアシスタント時代、同世代の漫画家たちとの思い出、漫画と同名の店「BARレモンハート」のこと、などエピソードの種類は豊富で面白い話も多い。

 驚いたのは、赤塚不二夫のアシスタント時代に、天才バカボンのギャグを古谷氏が考えていたというエピソード。漫画「BARレモンハート」は相当読んだが、その中のギャグは正直あまり笑えないものも多い(笑 しかしよく考えてみれば「ダメおやじ」の著者でもある古谷氏なのだから、ギャグセンスがあって当たり前なのかも。

 面白かったのは、実際の店「BARレモンハート」にまつわる、あるエピソード。ミントハーブを自家栽培し、それを店に持ち込んでモヒートを作ってもらおうと運んでいた際に警察官に職務質問され、事情を理解してもらうまでにだいぶ時間がかかったとのこと。タチの悪い警官に捕まった話かと思いきや、当日がオウムによるサリンテロ予告の日だったというオチ。忘れつつある重大事件を思い起こさせてくれた。

 

 ドラマ「BARレモンハート」も面白かったが、漫画の方も久しぶりに読みたくなってきた。