鬼平犯科帳 第1シリーズ #03 蛇の目

●第1シリーズ #03 蛇の眼

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 五十海(いかるみ)の権平一味の捕縛からスタート。翌日権平一味は磔にされるがそれを見ていた男が一人。その他にも名うての盗賊たちを鬼平は捕まえ、盗賊たちは江戸から去る者も多かった。そんな鬼平を付け狙う輩も多かったが鬼平は皆返り討ちにしていた。

 ある日鬼平は忠吾に連れられ天ぷら蕎麦が評判の店に入る。そこで鋭い目をした男を見る。45、6歳のその男のことを鬼平は屋敷に帰って酒井に話し、その年齢を元に同心たちに調書から人相の割れていない犯罪者を調べさせる。鬼平はそれを見て、男が蛇の平十郎だと悟る。平十郎は大口の仕事専門で、時間をかけ準備をするが仕事仲間にもなかなかその顔を見せないことで有名だった。

 その平十郎を紋蔵が訪ねてくる。紋蔵は他の盗人たちが江戸から逃げ出していることを告げる。しかし平十郎は今の政のやり方を怒り、鬼平に一泡拭かせようと御典医となった千賀道有の屋敷に盗みに入ることを狙っていた。平十郎は一人になっても仕事を遣り抜くと話し紋蔵もその決意に同調する。

 紋蔵の仲間たちは6人、船宿の親父、船頭、蕎麦屋となり千賀屋敷の様子を見守るもの、女たらしの鶉の徳太郎、合鍵作り、屋敷に入り込んだ座頭の彦の市など。その彦の市は屋敷の蔵の錠前の型を取り紋蔵へ渡す。

 彦の市は女おそのを囲っていたが、そのおそのの家に行った際に男の匂いを感じ取る。平十郎は仕事を明後日にすると決める。

 忠吾と村松は蕎麦の食い方でもめ、二人で蕎麦屋へ行く。その頃おそのは男徳太郎と舟で密会していた。それを彦の市が襲い徳太郎を殺し逃げるが、蕎麦屋の帰り道の忠吾たちと出くわす。村松は叫び声を聞き舟に行き殺されている徳太郎とおそのを見つける。鬼平はおそのが彦の市に20両で囲われていることなどを怪しむ。

 紋蔵は彦の市の事件を知り、仕事を取りやめることを平十郎に提案するが、平十郎は受け付けなかった。鬼平はおそのを解き放ち、彦の市が狙ってくるのを待ち、彼を捕まえ拷問にかける。

 千賀屋敷で籠の出入りがあった。平十郎たちは新たな仲間を加え仕事へ向かう。しかし蔵に金はなかった。事前に鬼平が籠を用い金は持ち出していたのだった。捕まった平十郎は鬼平にお上のやってきたことを非難し、さらに盗人たちは今後もいなくならないと告げる。

 鬼平は酒井と町の茶屋で休む。そこにはおそのがいた。酒井は平十郎の最後の言葉を気にするが、鬼平はおそのの生き方のたくましさを見習えと話す。

 

 初見時の感想はこちら。あらすじを追加する修正版の2回目。

 今回も本格派の盗人、蛇(くちなわ)の平十郎を捕まえる話。しかし肝心の火盗改が一味の仕事を突き止める方法はちょっと意外な展開だった。平十郎は用心深いため、仲間たちも引き合わせずに仕事を進めていたのが仇となり、女の子とで仲間同士の殺しが起こってしまう。そこで殺しをした彦の市を捕まえるのだが、(本編では描かれないが)鬼平の厳しい拷問で彦の市が仕事の話を吐いたと思われる。シリーズが進むと、鬼平が厳しい拷問の手口を口にして犯罪者をビビらせるシーンがあったと思うが、第1シリーズの3話目ということで、その部分をカットしたのだろうか。

 見せ場は多々あるが、一つは忠吾と村松の蕎麦問答。天ぷら蕎麦の美味さを主張する忠吾に対し、蕎麦はもりが一番と訴える村松。もりそばの食い方を指南する下りはさすがに池波正太郎らしさが出ている。

 また、彦の市の妾おそのを解き放つシーンで、久栄が酒井に鬼平の若い頃のことを話すシーンも面白い。前作でも久栄の見せ場があったが、シリーズ冒頭ということもあり、久栄がコメディリリーフ的役割を担っているのがわかる。

 パターンということで言えば、本作には密偵は誰も登場しない。これまたシリーズ冒頭ということで、様々なパターンがあるということを示したかったのかも。盗賊蛇の平十郎側にも言い分があるというのも、存分に見せつけているし。

 4年ぶりの鬼平。やはり面白い。