鬼平犯科帳 第1シリーズ #05 血闘

●第1シリーズ #05 血闘

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 江戸の町は平安な状態だった。鬼平は酒井と門前の茶屋で休んでいる時に女を見かけるが、誰だか思い出せなかった。

 その女は札差の店で働いていたが、店の用心棒に襲われそうになり、外へ連れ出す。そこには女の仲間、盗賊吉間の仁三郎たちが待っていた。女は引き込み女として店に入っており、用心棒を脅かしてもらうつもりだったが、仁三郎は用心棒を斬って殺してしまう。

 鬼平は役宅で忠吾に剣の稽古をつけていた。その時不注意で袖を破いてしまう。役宅の小女に袖を縫ってもらうがその姿を見ていた鬼平は、茶屋で見かけた女がおまさだと思い出す。おまさは鬼平が若く荒くれ者だった時に面倒を見てくれた女だった。鬼平は事情を知る彦十を呼び出し、おまさのことを尋ねる。3年前彦十はおまさを見かけていたが、引き込み女をやっていると思い、鬼平にはおまさのことを黙っていたのだった。

 2日後、役宅へおまさが訪ねてくる。おまさは仁三郎は父を助けてくれた男であり世話になっていたため、引き込み女として一緒に働いていた、これまでの仕事は人も傷つけない仕事だったが、次の仕事は侍を10人集め皆殺しにしようと考えている、と鬼平に話す。しかし押し込み先も日取りもわからなかったため、鬼平はおまさにこのまま仲間のふりをしてそれを聞き出すように命じ、例の茶屋をつなぎ場所とすることに。

 おまさを仁三郎が訪ねてくる。店の内情を聞いた仁三郎におまさは、押し込みの日取りを訪ね、仲間にも引き合わせてくれと頼む。いつもよりも積極的なおまさに不信を抱いた仁三郎は手下におまさをつけさせる。

 おまさは茶屋の主人につなぎをつけ、寺の裏で待つことに。しかし手下がそれを見ており、茶屋の主人は火盗改の人間が来ないために役宅へ話に行ってしまう。全てがバレおまさは仁三郎たちに拉致されてしまう。茶屋の主人の言付けを聞いた鬼平は待ち合わせ場所へ行くが、すでにおまさは拉致された後だった。しかしおまさが前に見せた針が落ちていることに気づき、針の跡を追う。そして一味の隠れ家を発見、鬼平が残り彦十に役宅への連絡を頼む。しかし彦十は籠に乗っていた際に暴れ馬に蹴られてしまう。

 夜になっても配下の者が来ないため、鬼平は一人隠れ家に乗り込む。おまさが浪人たちの慰め者にされていたのを知り鬼平は激怒。一味を斬って捨てる。おまさはその後、鬼平密偵となることに。

 

 あらすじを追加する修正版の4回目。

 今回はおまさの登場回。盗賊を父に持つおまさが、やはり引き込み女となっており鬼平を落胆させるが、今の仲間のことを鬼平に告げに役宅へやってくる。さらなる情報を得るために仲間たちとともに過ごすが、急に積極的になったおまさを怪しんだ仁三郎により、裏切りが発覚してしまう。

 おまさが犯されてしまうというショッキングなシーンがあるが、この時代であっても20時台のドラマとしてはかなり挑戦的だったのでは?しかしそれを忘れさせるほどのその後の鬼平の捕物のシーン。おまさが犯されたと知った鬼平が、怒りの殺陣を演じる。途中目立たないが、悪役の雑魚と斬り合う場面で、相手の刀を叩き折るシーンは映画でもあまり観たことがない。現場の事故とは思えず、鬼平の怒りを現したシーンだったと思われる。

 今回も久栄が良い味を出している。おまさの名前が出て久栄がやきもきするシーンもあるが、役宅に事情を告げにきたおまさのことを佐嶋が不思議がる中、久栄はおまさが鬼平のことが好きだったのだと話す。それを聞いた鬼平は面食らうが、久栄の言葉に鬼平も納得するのが良い。

 おまさの残した針を追うシーンは少し間延びした感じがあるが、原作が意外と短いのかもしれない。それでもおまさ初登場の話、やはり見応えは十分だった。