キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

●628 キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 2002

 TV番組に、史上最年少の天才詐欺師としてアバグネールが登場する。

 1969年クリスマス、フランスの刑務所にFBI捜査官のカールが現れアバグネールと面会、ひどい扱いを受けていたアバグネールをアメリカに護送することに。

 1963年、アバグネールの父はロータリークラブで表彰される。彼らは幸せな生活を送っていたが、父が脱税容疑をかけられ生活は一変。家も狭いアパートに引っ越すことに。アバグネールは新しい学校に通うが、他の生徒にバカにされたことに腹を立て、教師と偽り授業を行う。アバグネールは母の浮気を目撃、程なく両親は離婚することに。それを受け入れられないアバグネールは家を飛び出し一人で生活を始めるが、すぐに小切手で不渡りを出してしまう。

 なんとか小切手で生活しようとするが金を貸してくれる銀行はなかった。そんな時彼はパイロットが人々の信望を集めていることに気づき、パイロットに化け、その信頼を使い、小切手詐欺を働き金を稼ぐ。FBIのカールはその小切手詐欺に注目、アバグネールの居場所を突き止め踏み込むが、アバグネールはシークレットサービスだと名乗り、カールから逃れる。

 アバグネールはパイロット詐欺が新聞で空の007と呼ばれているのを知り、次はジェームズボンドのように化ける。それでも心の渇きを抑えられないアバグネールは、クリスマスにカールに電話をし話をする。話の内容、アバグネールの偽名などから、犯人像に迫る。そしてアバグネールの母親との接触に成功する。

 そのころアバグネールは病院で看護婦をしていたブレンダと知り合い愛し合うようになる。彼女と一緒にいるためにアバグネールは医者に化ける。カールはアバグネールの父に接触、父宛にきていた手紙からアバグネールの住所を突き止める。アバグネールはブレンダの両親に会い、ブレンダの父が弁護士であると知り、今度は弁護士だと名乗り、ブレンダの父と一緒に働き始める。

 アバグネールは父と会い話をするが、母が父の友人と再婚したことを知り、自分もブレンダとの結婚を機会にこんな生活を辞めようと考え、カールに電話、しかしカールはアバグネールの逮捕を諦めようとはしなかった。カールは彼が結婚をするという情報からその居場所を突き止め、屋敷に踏み込む。直前でそれに気づいたアバグネールはブレンダと空港で待ち合わせする約束をし逃げていく。

 約束の日、空港がFBIに見張られていることに気づいたアバグネールは、身分を偽り学生をCAとして採用すると嘘をつき空港に現れる。さらにカールには偽情報を伝え、その隙に飛行機で高飛びをする。

 カールはアバグネールの偽小切手の印刷方法からその居場所を突き止める。それは彼の母の実家のフランスの町だった。カールはその町に印刷設備を整えていたアバグネールを逮捕する。

 1969年に戻る。飛行機でアメリカにアバグネールを連れてきたカールだったが、飛行機内から彼に逃げられてしまう。アバグネールは母のいる家へ行くが、そこには新しい夫と娘がいた。それを見た彼はおとなしくカールに捕まる。

 服役したアバグネールにカールは面会に行く。そこで新たな小切手詐欺の話をすると彼がその偽小切手を見て手口を当てる。それを聞いたカールはアバグネールをFBIの偽小切手捜査の担当とする。アバグネールは普通の生活をし始める。彼が逃亡しようとしたことに気づいたカールはそのまま彼を見送るが、彼は戻ってきて、新たな小切手詐欺の手口を見破るのだった。

 

 ディカプリオが稀代の詐欺師に扮する、実話を基にしたストーリー。それは映画冒頭でも表示されるので理解して観ていたが、私はこの手のいつバレるのかとドキドキする展開はハラハラしてまともに観ていられない(笑 共感性というヤツだろうか。

 パイロットだけでも無理なのに、途中から医者へ変身。しかもTVドラマで見た知識だけで勝負する主人公を見ていて、さすがにこれはやりすぎだと思ったが、これすらも実話らしい。その後も展開も同様。空港で待ち伏せされる主人公がどうするのかと思ったが、内容は異なるが「ルパン三世」第1シリーズの「どちらが勝つか三代目」を見ているかのようだった。

 2時間20分の映画、2時間を越えたところで主人公がやっと逮捕され、ラスト20分どうするのかと思ったが、これまた意外な展開。詐欺師のプロとしてFBIの捜査に協力するというのはあまりに出来過ぎな話だが、これすらも実話らしく驚かされる。

 

 途中の主人公が父親に接触し、別れた母親との仲を取り持とうとするシーンが繰り返されることに違和感を覚えたが、ラストにつながる伏線だったのね。違和感で言えば、ラスト、FBIに協力していた主人公が週末の休みを利用し逃亡を図るシーンはいらなかったように思うが、ラストを締めるために仕方なかったのかなぁ。

 一番の感想は、50年前の世の中(舞台はアメリカだけど)は、こんなに平和で、性善説で暮らしていたんだということ。主人公がカッコ良く描かれた一本だが、こんな詐欺師たちが多くいたから、現代のようなセキュリティにうるさい世の中になったんだと実感する。