●660 Shall we ダンス? 1996
ハリウッドのリメイク版「Shall We Dance?」を観て面白かったので、オリジナル版を鑑賞。ストーリーはリメイク版とほぼ同じなので、そちらを参照。
気になった相違点をいくつか。リメイク版を観たばかりなので、オリジナル版の役名が頭に入ってこなかったので(笑 役者名で表記。
・序盤で竹中直人が渡辺えりに罵倒されたのに腹を立て、金持ちの婦人が暇を持て余してスクールに通っているのでは、と悪口を言う。これが渡辺が倒れた際に彼女の生活面を娘が話す際の上手い前フリになっている。
・役所広司が草刈民代を食事に誘うシーン。リメイク版では、スクール内で起きたトラブルで落ち込むヒロインを慰めた後に食事に誘い断られてしまうが、オリジナル版では、役所が直球勝負で、スクール帰りの草刈にアタックして断られる。役所演じる主人公は、ここまでのスクール内のシーンでも、自分のレッスンそっちのけで草刈を見つめることが多く、完全に草刈目当てでスクールに入ったことが裏打ちされている。
・上記、食事に誘い断られた後の主人公の行動。リメイク版では、スクールに通うことをためらっていた主人公が、息子に誘われた店でダンスをする若者を見て自分もダンスがしたいとスクールに戻るのだが、オリジナル版ではそのような描写はない。通勤電車でスクールの窓を見た主人公が、一瞬戸惑うがすぐにホームに駆け下りスクールへ向かっている。
・ヒロインの前年大会への想い。前年大会で失敗をしたヒロインは父親からスクールで講師をするように命じられる。また中盤新たなパートナー探し(本木雅弘)もしている。リメイク版にこのようなシーンは一切ない。
・大会で竹中直人がズラをマッチョにいじられるが、このマッチョとはダンスホールで踊っていた時にトラブルがあった、という伏線があった。リメイク版ではなかったと思うが…。
・ラスト、ヒロインの送別パーティ。リメイク版では主人公がまず妻の職場に現れダンスに誘いその後パテーィ会場へ向かうが、オリジナルでは妻の職場シーンは全くなく、その代わりにパチンコ屋で時間を潰すシーンがある。これは大会での失敗からダンスを辞めると決心した主人公の気持ちそのもの。その主人公が家へ帰ろうと乗った通勤電車からスクールの窓を見て、そこに書かれたメッセージを見てパテーィ会場へ向かうことになる。ちなみにこのメッセージが「Shall we ダンス」であり、「ダンス」の3文字は元々の「岸川ダンス教室」の中の「ダンス」を使用したもののため、ここだけが日本語となっており、そのまま映画のタイトルにもなっている。
「Shall We Dance?」にの方にも書いたが、とにかく話の展開が上手い。オリジナルはさらにそれを伏線含め丁寧に説明しているところが良い。リメイク版は文化の違いなどもありカットした部分もあったのだろうが、オリジナル版を観て、なるほどと思ったシーンも多かった。
さらに憎いのは探偵の存在。夫の浮気を心配する妻を助ける役割が大前提だが、ラストの大会で、探偵が探偵助手に大会内でのダンスについて説明するシーンがあった。おそらく社交ダンスというその当時はあまりメジャーでなかった競技を映画の題材としたため、より丁寧に説明するために必要だったのだろう。もちろん、大会に主人公の妻と娘を呼ぶという役割も重要だったが。
ラストのエピソードラッシュだけはリメイク版が優れているが、やはりオリジナルの方が邦画というだけでなく、丁寧に作られているためわかりやすく物語に入っていきやすかった。
そうそう、やはり主人公はリチャードギアより、大スターになる直前の役所広司の方が役に合っている。しがないサラリーマンが本当によく似合っていた。
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