遺跡発掘師は笑わない まだれいなの十字架 桑原水菜

●遺跡発掘師は笑わない まだれいなの十字架 桑原水菜

(ネット紹介記事より抜粋)

 天才発掘師・西原無量が手がけることになった長崎県南島原市日野江城下のキリシタン遺跡から、天正遣欧少年使節団ゆかりとみられる黄金の十字架が出土する。だがそれは何者かが意図的に仕込んだ、いつわりの遺物だった。捏造疑惑に巻き込まれ窮地に陥った無量を、つらい過去の記憶が容赦なく苛む。果たして誰が、何のために十字架を埋めたのか。そして事件の裏に張り巡らされた驚くべき陰謀とは…?シリーズ第3弾!

 

 前作に続きシリーズ第3作。

 冒頭の文章から、前作の事件1ヶ月後あたりの出来事らしい。今回の舞台は長崎。物語は、例によって無量が黄金の十字架を発掘し、その後殺人が起こり…といういつものパターン。

 世界遺産、聖遺物、島原の乱天正遣欧少年使節団、聖釘、第二次世界大戦和平工作バチカン、など今回も真偽織り混ざった話題が続々なのもいつも通り。

 本作の特徴は、祖父の事件を取り扱ったスクープ狙いの新聞記者如月が登場することか。多くの遺物を発掘して来た無量のことを怪しんでまとわりつき始めるが、殺人事件が起こり意外な形で無量たちを手助けするキャラとなる。

 

 今回の対象は江戸時代、とこれまでの作品の中では比較的新しめの時代であり、殺人は起こるがいつもの謎の組織は出てこないだろうと思っていたが、やっぱり最後には謎の悪い組織が出て来てしまう(笑 まぁまさか世界遺産にするために殺人は起こさないだろうし、このぐらいの組織が登場しないと殺人まで行かないからなぁ。なぜかこのシリーズは殺人事件が起きることが前提のようだし(笑

 

 それでもいつも通り、よく知らない遺跡に関して勉強することができたのはためになった。隠れキリシタンについては遠藤周作の名作を昔読んだことがある程度だったので、久しぶりに彼らの悲惨な最期を知ることができた。ラスト、萌絵が大浦天主堂で語る、迫害された人々に250年後にはこんな立派な教会ができることを教えてあげたい、というセリフはなかなか重い。ただ単にキレイだと思うだけでなく、もし長崎に行くことがあれば250年前の出来事に想いを馳せるのも良いかもしれない。