仕掛人・藤枝梅安

●669 仕掛人・藤枝梅安 2023

 梅安は久留米藩の伊藤を仕掛けで殺す。「蔓」である元締、羽沢の喜兵衛から伊藤が配下の者の妻であるお香を手篭めにしその後も関係を続けていたこと、仕掛けの「起こり」はそのお香であったこと、そのお香も伊藤の死の後、自害したことを聞く。

 梅安は仲間である彦次郎の家で一夜を過ごす。翌朝帰り道、梅安は一人の浪人石川が大勢の侍たちと斬り合いになっている場面に出くわす。石川は一人で侍たちを返り討ちにしていた。梅安は石川と言葉を交わしその場を後にする。

 梅安は喜兵衛からまた仕掛けを依頼される。相手は料理屋万七の女将おみのだった。梅安は彦次郎に、万七の先代女将おしずを仕掛けたのは自分で、蔓は田中屋だったと話す。梅安は万七に客として訪れ、女中のおもんと深い仲になる。おもんの話によれば、万七はおみのが女将になってから評判は落ち、奉公人も辞めて行ったが、売り上げだけは伸びていると聞く。おみのは若い女中を雇い、常連たちを客として取らせていたのだった。梅安は万七でおみのに会うが、その顔を見て驚く。

 その頃彦次郎が田中屋から仕掛けの依頼をされる。相手は大工の万吉だったが、万吉と彦次郎は以前同じ盗人一味の一員として一緒に働いていたことがあった。彦次郎は万吉がおみのを脅しているのを知り、彼を仕掛けで殺す。彦次郎は梅安に昔のことを話す。万吉と一緒だった盗人一味の親分、孫八を二人で殺害したこと、孫八には子供がおりそれがおみのだったこと、万吉はそのおみのを脅していたこと。それを聞いた梅安はおみのの本名を尋ね、彦次郎がお吉だと言うと、おみのことお吉は自分の別れた妹だと告白する。梅安の母は幼いお吉だけを連れ、男と逃げた過去があった。

 梅安は善逹和尚から寺に呼ばれる。重病人お千枝のことを診て欲しいという依頼だった。寺に通う梅安は何者かにつけられているのに気づき、逆にその者のあとを追う。それはあの浪人石川だった。梅安は石川から事情を聞く。お千枝の母がお側衆嶋田の配下の者の妻だったが、嶋田に手篭めにされ亡くなっていた。事情を知った娘のお千枝は嶋田に直訴したが、お千枝も手篭めにされた挙句拉致されたのを石川が救い出したのだった。その結果石川もお千枝も嶋田から命を狙われることになったのだった。

 彦次郎は田中屋からまたも仕掛けを依頼される。相手は石川だった。石川のことを調べていた彦次郎は梅安と出くわし真実を教えてもらう。嶋田は寺に石川とお千枝がいることを突き止め刺客を送る。しかし彦次郎の助けもあり石川はまたも返り討ちにする。

 梅安は田中屋を仕掛け、次におみのも仕掛け殺す。新年になり、梅安と彦次郎は石川とお千枝を上方へ逃がすことに。同時に二人も上方へ向かうが、その道中彦次郎は自分の妻と子の仇である峯山を目撃する…。

 

 池波正太郎生誕100年を記念して製作されたシリーズの第1作。BSフジで放送されたので早速鑑賞。

 梅安の妹を仕掛けるこのエピソードは、梅安シリーズの中でも有名なもののうちの一つ。TVシリーズとして製作された渡辺謙版、岸谷五朗版で見たのか、さいとうたかをの漫画版で読んだのかは忘れてしまったが。

 梅安役は主人公のキャラ設定が強烈なため誰が演じてもそれっぽく見えるのだが、彦次郎役はちょっと難しいのかもしれない。先にあげた2つのTVシリーズでは、それぞれ橋爪功小日向文世が演じており、梅安に比べ少し疲れたオジサンといったイメージがあったが、本作では片岡愛之助が演じている。先の2シリーズに比べ、若くしかも2枚目過ぎないかと思うが、どうだろうか。

 もう一人のレギュラーメンバーであるおもんもそうかも。先の2シリーズでは美保純、高岡早紀という肉体派?女優だったのに対し、本作では菅野美穂が演じており、これもTVシリーズとはちょっと異なっている。と考えると、彦次郎にしてもおもんにしても先のTVシリーズのイメージを覆すのが本作の狙いなのだろう。この2人がこの先のシリーズでどれだけ馴染んでくるか楽しみである。