銭形平次捕物控 雪女の足跡

●681 銭形平次捕物控 雪女の足跡 1958

 江戸城の金蔵から3万両が盗まれる。盗んだのは、花蝙蝠の一味だったで、江戸中の話題となる。しかし銭形平次伊勢参りで江戸を留守にしていたため、八五郎は女目明しのお品と協力し、花蝙蝠一味を追っていた。一味は松前屋を襲い、偶然にも八五郎たちは現場近くにいたため、付近の住民の助けも借り、一味を佐久間町の袋小路へと追い込む。奉行所の連中もそれに続き、一味を銃殺し捕まえることに成功する。しかし南町奉行は、3万両の行方を追うように命じられる。

 逮捕に協力した6名がお上から褒賞を受けることに。八五郎も飲み屋で英雄扱いされ有頂天となる。酒に酔った八五郎とお品は帰り道、悪漢に襲われる。それを助けたのは江戸に戻ってきた平次だった。

 駕籠かきの亀と鶴が雪女を目撃。さらにそこでは女きよが殺されていた。知らせを受けた平次は現場を確認、女にしては大股の足跡と丸い穴の跡を見つける。そこへ三ノ輪の親分がやってきて、現場に残されていた印籠が浪人大場のものだと突き止めたと話す。皆は大場の家に行くが、大葉は自害していた。三ノ輪の親分は大場がきよに惚れていたがフラれたため殺害し自分も自害したと推理するが、平次は大場の家の状況から他殺だと断言する。奉行所は3万両の行方を調べるが、その際おみねの死体が見つかる。きよ、大場、おみねの3人は、花蝙蝠一味逮捕に協力し褒賞をもらった6人のうちの3人だった。さらに逮捕に協力した長屋で火事が起こる。

 火事の知らせを聞いた平次は一味の首が晒されている小塚原へ。そこでおれんという女性と出会い、彼女が一味と関係があると考え、八五郎に跡をつけさせる。おれんは伝蔵という男の行方を捜していた。その伝蔵を捜して田舎からお光と三吉という二人が江戸へやってくる。お光から伝蔵とは谷中の妙法寺へ行けば連絡がつくと聞いた平次は寺へ行き和尚に話を聞くが和尚は何も知らないと答える。しかし和尚は平次の跡をつけさせる。平次はその男を巻き逆に男をつける。男は浅草の掛小屋の男に文を渡す。平次は八五郎に掛小屋に潜入するように、お品にはお光と三吉を見張るように命じる。

 褒賞を受けた新助が殺されて発見される。これで褒賞を受け、生き残っているのは船宿の女将だけとなった。その女将が賊に襲われるが、平次が身代わりとなって潜んでいた。賊は逃げる際に煙草入れを落としていく。八五郎がおれんから文を受け取る。そこには妙法寺の和尚から花蝙蝠一味の伊太郎に当てた文章が書かれていた。

 お光と三吉が悪漢たちに襲われる。お品が助けに入るが、お光とお品はさらわれてしまう。平次は妙法寺に出向く。和尚が出かけたまま帰ってこないと小坊主に聞く。庭にあった筵を剥がすと殺害された和尚が出てくる。そこにいた寺社奉行は、町方である平次のこれ以上の取り調べを許さなかった。平次は奉行所妙法寺を調べられるようにお願いに行くが、南町奉行は職を辞す決意をしたと聞く。平次は奉行に会いに行き、必ず今日中に事件を解決してみせると宣言する。

 和尚の葬式が行われる。受付にあった煙草入れを伍平が自分が寺に忘れたものだと言って引き取る。それは船宿の女将を襲った際に賊が落としていったものだった。掛小屋が旅に出る準備をしていた。荷物の中には、お光とお品の姿もあった。一座を率いていたのは、花蝙蝠の伊太郎こと伍平だった。そこへ平次が現れ伍平と対峙する。八五郎の助けに入り、一味を捕縛する。

 無事に年が明け平次たちはお参りに。八五郎は事件の謎について平次に尋ねる。伝蔵は花蝙蝠の伊太郎の身代わりとなっており、雪女は伊太郎の化けたもので、足跡がなかったのは竹馬を使ったからだと答える。平次たちはお光と三吉と合流する。

 

 

 長谷川一夫銭形平次3本目。本作は、盗まれた3万両の行方と雪女と連続殺人と盛り沢山。メインは、盗賊花蝙蝠一味捕縛に協力し褒賞を得た町民の連続殺人か。盗賊一味は皆捕まったはずなのに、その復讐に思え一体誰が?というのが一つ目の謎。その連続殺人の最初の事件で目撃されたのが雪女で、その足跡が見事に消えているというのが二つ目の謎。そして江戸城から盗まれた3万両もの大金が見つからないというのが三つ目の謎。以上三つの謎を平次が解決していく、というストーリー。

 この3つの謎があるため、これまで観た2本の映画よりもミステリー調になっている。加えて、連続殺人の2件目、浪人が切腹(自害)した現場を見た平次が、現場の状況からそれが他殺であることを指摘するという場面もミステリーっぽく、しかもTV大川橋蔵版では平次のライバル役となっていた三ノ輪の親分の推理を覆す、という定番のシーンでもあった。

 ただ3つの謎が明かされるのは全てが終わったラストシーン。しかも八五郎の問いかけに平次が口頭で答えるだけ、というのはミステリーとしてはお粗末だったが(笑

 

 ちょっと驚いたのは、平次と南町奉行とのやりとり。3万両の行方を突き止めることができない奉行がお上から厳しい条件を突きつけられ(年内での解決)、それができそうもないと辞職を申し出用としたところに、平次が駆けつけ思いとどませる。しかもこの奉行役、前回観た「鬼火燈篭」で平次が化けた清次の幼馴染にして今は殺し屋となっている巳之吉役を演じていた黒川弥太郎という俳優さん。時代劇で主演や準主演として活躍されていたらしい。

 

 珍しい俳優さんということで言えば、八五郎役が船越英二さん。熱中時代の校長先生(笑 だが、とても若い。見た目にはピンとこなかったが、あの特徴ある声ですぐにわかった。もう一人、駕籠かき役の一人が三代目猫八さん。吉右衛門鬼平の彦十として有名だが、こちらもとても若く見た目で全くわからなかった。

 

 もう一つ驚いたこと。この時代の立廻りでは刀と刀がぶつかっても効果音はないのね。だからか、イマイチ迫力が感じられない。平次の投げ銭シーンには「ビュッ」という効果音があるのに(笑

 

 ストリー展開などに荒さは目立つが、長谷川一夫平次に少しずつハマってきている。次の作品の放送もあるようで、また観てしまいそう。