忠臣蔵外伝 四谷怪談

●682 忠臣蔵外伝 四谷怪談 1994

 元禄14年3月、浅野内匠頭1周忌が行われ赤穂藩士たちが集まっていた。浅野内匠頭吉良上野介に松の廊下で斬りかかり切腹をさせられていた。当時藩士たちは赤穂城に仇討ちをしようと集まったが、大石内蔵助は藩再興の願いが叶うかどうか1年待つ必要があると話す。

 藩士たちは貧しい暮らしをしながらその日を待っていた。赤穂藩に仕えていた民谷伊右衛門は幼い頃父の琵琶弾きで暮らしていたが、父が病で倒れたため辻斬りをして金を稼いでいたことがあった。今も伊右衛門は琵琶を弾いて金を稼いでいたが、そんな彼に一目惚れした女性、お岩がいた。伊右衛門は彼女の勤め先を突き止める。彼女は湯屋の女だった。二人は一緒に暮らし始め、お岩は湯屋を休むようになる。湯屋の宅悦はお岩に惚れており、彼女を訪ね店に出るように促す。町にいた伊右衛門はお供を連れ歩くお梅と出会う。彼女が酔客に絡まれていたのを助け彼女に惚れられる。

 町に暴れ犬が現れ、人々が襲われる。藩士たちのいる長屋をその狂犬が襲い仲間が殺されてしまう。狂犬を殺すが、役人がきて狂犬の始末代などとして20両を請求されてしまう。藩士たちは大石内蔵助に金を工面してもらおうと言うが、内蔵助の様子を知っている安兵衛は反対する。そこへお梅が祖父とやってきて、伊右衛門にお礼と金を渡そうとする。しかし祖父が吉良家家臣伊藤喜兵衛だとわかり、皆は金を受け取れないと答える。伊右衛門は以前と同じように辻斬りをし金を稼ぐ。安兵衛も同じことをしていた。

 お岩が伊右衛門の家にやって来る。赤ちゃんができたと喜ぶが、伊右衛門は自分の正体を明かし仇討ちのために生きていると話す。そこへ仲間がやってきて、藩再興の道が絶たれたこと、仇討ちの意思のあるものは京へ集まるよう指示があったことを告げ去っていく。残った高田が仇討ちに参加しないと話し、それを聞いた伊右衛門も仇討ちへの参加を辞める。

 お岩と二人暮していた伊右衛門だったが金がなくなり町へ出かける。お梅一行が彼を待ち構えており、伊藤の屋敷へ案内される。一人家にいたお岩を宅悦が盗み見ていた。そこへお梅の侍女がやってきて宅悦に金と薬を渡す。宅悦は安産の薬を伊右衛門から預かってきたと言って薬をお岩に。伊藤の屋敷では喜兵衛が伊右衛門にその事実を伝える。伊右衛門は吉良家へ推挙してもらうことを条件にお梅と祝言を挙げると約束する。喜兵衛は伊右衛門清水清水一学に引き合わせる。

 その頃毒を飲んだお岩は流産し顔が醜く爛れてしまう。騙されたことを知ったお岩は宅悦に斬りかかるが誤って自分を刺してしまう。その様子を見ていた伊右衛門はお岩を殺したとして宅悦を斬る。そこへ清水一学たちがやってきて二人の死体を始末する。

 伊右衛門はお梅と祝言を挙げ初夜を迎える。しかしお岩の亡霊に取り憑かれ、お梅を斬ってしまう。それを見られた喜兵衛なども斬り殺し逃げる。一学は家に戻り隠れていた伊右衛門を見つけ、大石内蔵助が川崎に入ったので彼を殺すように命じる。

 伊右衛門は内蔵助に会いにいく。そして藩士たちと斬り合うが斬られてしまう。なおも逃げる伊右衛門藩士たちは追うが突然吹雪が襲う。

 気がついた伊右衛門は吉良邸の前に。そこへ藩士たちが討ち入りにやって来る。その様子を見守る伊右衛門のそばにお岩が現れる。二人とも幽霊となって藩士たちの討ち入りを見ていた。お岩は吉良家家臣たちを襲い、藩士たちは無事吉良を討ち取る。伊右衛門が弾く琵琶の音を藩士たちが聞いていた。

 

 タイトルは以前から知っており、二つの有名な作品のコラボ?ということも知っていたが、今回が初見。

 忠臣蔵は子供の頃から何度も見ていて話はよく理解しているつもり。四谷怪談も昔かわぐちかいじの漫画で読んだ記憶がある。で、この2つの作品が一本にされた映画はどうなるの?と思って鑑賞したが、正直期待外れと言って良いだろう。

 四谷怪談伊右衛門が、赤穂浪士の一人だったという設定で2つの作品をドッキングさせているが、ほぼそれぞれ元の作品を並行して描いているだけ。ラスト、吉良邸討ち入りに幽霊となった伊右衛門とお岩が立ち会っている、という展開で、伊右衛門を吉良の家臣に奪われたお岩が赤穂浪士の助太刀をしている格好になっているが、もともと吉良邸討ち入りは成功しているわけで。お岩の加勢ぶりがCG?で描かれこれが30年前のものなのでお粗末なのは仕方ないにしても、もう少しひねりがあっても良かっただろうにと思う。

 この結末も含め、先に書いたように単純に2つの作品を並行して描いただけとなってしまっているのが残念。俳優陣は豪華であり、高岡早紀の脱ぎっぷりも見事。脇役も懐かしい人が多く、下元勉さんや奥村公延さんは一目でわかる俳優さんだった。

 

 元々が歌舞伎で同日の昼と夜の演目としてこの2つが演じられていたのを見た監督がこの映画を思いついたようだが、もう少し脚本をブラッシュアップすることができたのではないか。まぁ高岡早紀含め、いろいろと楽しめたので良いけれど(笑