ズートピア

●687 ズートピア 2016

 田舎で暮らしていたウサギのジュディは希望を叶えることができる街ズートピアで警察官になることが夢だった。警察学校を優秀な成績で卒業したジュディは憧れだったズートピアで警官になる。

 しかし配属先で彼女は事件を追うのではなく、駐車違反を取り締まる役割を与えられる。それでも役割をしっかりとこなす。取り締まり中に彼女はアイスクリーム屋で困っていたキツネの親子を助ける。しかし彼らは詐欺師だった。そのキツネ、ニックと話している最中に彼女はイタチが起こした泥棒騒ぎに出くわし、イタチを追い小動物の住むエリアへ入ってしまう。イタチを追いかける途中ネズミの女の子を助けるなどするが、署に帰った彼女は騒動を起こしたことで署長に怒られてクビにされそうになる。

 そこへカワウソの奥さんがやってきて行方不明になっている夫エミットを探して欲しいと訴えてくる。しかし街中で起こっている連続失踪事件のため彼女の訴えは聞き入れずに終わっていた。ジュディはエミットを自分が担当すると言い出すが、署長は48時間以内に見つけられなければ警官を辞めろと条件をつける。

 行方不明となったエミットの写真からジュディはニックに捜査協力を求める。聞き込みの結果、エミットが乗った車を突き止めその車を探すが、それは街のボス、ミスタービッグのものでジュディとニックは拉致され屋敷へ連れて行かれる。2人は殺されそうになるが、ジュディが助けたネズミの女の子がミスタービッグの娘だったため許され、エミットの情報を得る。2人はエミットを最後に目撃した運転手の元へ。エミットは車の中で突然凶暴化したと聞くがその運転手もやはり凶暴化して2人を襲う。ジュディは警察に連絡、応援を要請。しかし応援が駆けつけた時には運転手は消えていた。

 2人は道路にある監視カメラの映像記録から運転手の行方を追うために、副市長ベルウェザーの助けを借りる。運転手はオオカミたちの屋敷へ連れて行かれていた。2人は屋敷に忍び込む。そこには行方不明となっていた14人の凶暴化した動物たちとエミットが檻に収容されており、市長もそれを黙認していた。

 エミットだけでなく行方不明者たちを発見したジュディは一躍ヒーローとなる。記者会見を求められ出席したジュディだったが、肉食動物たちだけが危険であるかのような発言をしてしまい、ズートピアでは肉食動物たちが差別を受けることになってしまう。それにショックを受けたジュディは警官を辞め、田舎に帰ることに。

 実家で野菜売りの手伝いをしていたジュディは、虫除けの花が夜の遠吠えと呼ばれていること、その花を食べた動物が凶暴化したことなどを聞く。凶暴化の原因を突き止めたジュディはズートピアへ向かい、ニックとともに捜査をすることに。

 以前泥棒をしたイタチに話を聞き、花から凶暴化する薬を作っているのがヒツジのダグだと判明。彼らのアジトに忍び込み、証拠品を持ち出し警察へ向かう。そこへ副市長から市長となったベルウェザーがやってくる。彼女こそが肉食動物たちを凶暴化させズートピアから彼らを追い出そうとした張本人だった。しかし駆けつけた署長たちにより彼女は逮捕される。

 ニックはジュディの勧め通り警官になる。ジュディとニックはコンビとなり事件解決のために働き始める。

 

 

 以前に観たことがあったが、内容はすっかり忘れていたため再鑑賞。ディズニー映画では珍しく?テーマがハッキリとしている作品だが、そのテーマを上手く織り込んだ楽しい作品となっている。

 おそらくズートピアアメリカそのものであり、多くの動物たちは多人種である人間たちを模しており、様々な差別がある現代を揶揄しているものと思われる。主人公であるジュディが警官になっても受ける差別、キツネであるニックが幼少時代に受けた差別、観客はどれも実際に心当たりがあることばかりと受け止めるだろうが、そんなことにへこたれないジュディの姿が良い。

 さらに言えば、事件解決をして記者会見で図らずも差別を助長するような発言をジュディがしてしまうのも良い展開だった。本人が思っていないことでも、言葉によってはそう受け止められかねない、という今のネット時代そのもののようなエピソード。

 

 これらだけ見れば重いテーマの話に思えるが、描き出されるかわいい動物たちの姿や、ナマケモノを使った見事なコメディシーンなど、テーマを一瞬忘れさせてくれるほどの楽しいシーンも多い。正義感溢れるジュディと斜に構えニヒルなニックのコンビも良い。

 続編の製作も決定されている。今後の発表を楽しみにしたい。