戦場のメリークリスマス

●697 戦場のメリークリスマス 1983

 1942年ジャワ島。日本軍の俘虜収容所。責任者であるヨノイ大尉のもと、ハラ軍曹は厳しく俘虜たちに接していた。ハラは日本語を話すことができるロレンスを通訳として使っていた。

 兵士カネモトが俘虜であるオランダ兵を犯す事件が発生。ハラはカネモトに切腹を命じるがヨノイが駆けつけたため刑は中断される。

 ヨノイは俘虜となったイギリス空軍のセリアズ少佐の裁判に立ち会う。検察は死刑を求刑するがヨノイにより系は執行されず収容所に収監されることに。しかしセリアズは反抗的な態度を崩さずヨノイは対応に苦慮する。そんなヨノイのためにセリアズを殺そうとする柄まで現れてしまう。

 カネモトの切腹を執行することになり、ヨノイは俘虜全員をその場に立ち合わせる。カネモトに襲われたオランダ兵がそれを見て自害をしようとする。この事件で俘虜長はヨノイに反抗的な態度を取り始める。ヨノイが俘虜長に俘虜の中で兵器に詳しい人間の名前をあげるように命じても彼はそれを拒んだ。

 収容所内で無線機が見つかり、セリアズとロレンスは独房へ。二人は塀を挟みお互いのこれまでを告白する。セリアズは弟に対して自責の念に駆られていた。クリスマス当日、ハラは酒に酔い、セリアズとロレンスを独断で独房から釈放する。

 ヨノイは俘虜長が命令に応じないことに腹を立て俘虜全員を集めるように指示。病棟にいる俘虜も出頭するように命じたため、重症の俘虜はその場で死亡する。それに抗議した俘虜長に対しヨノイは彼を刀で斬殺しようとするが、そこへセリアズが歩み寄り、ヨノイにキスをする。ヨノイはそれに驚き失神してしまう。

 ヨノイは更迭され新しく責任者となった大尉は、セリアズを首だけを出した生き埋めの刑に処す。その刑によってセリアズは死亡、ヨノイは夜彼のもとに歩み寄り彼の髪の毛を切って立ち去る。

 4年後の1946年。戦争は終わりヨノイは処刑されていた。クリスマス、ロレンスが収監されているハラのもとへやってくる。二人は4年前のクリスマスの思い出を語る。ロレンスはヨノイから預かったセリアズの髪をヨノイの頼み通り日本の神社に奉納したことを告げる。二人は戦争について語る。ロレンスが去る時、ハラは彼を呼び止め、4年前と同じようにクリスマスを祝う言葉を投げかける。

 

 40年ぶりぐらいに鑑賞。あの当時タケちゃんのファンだったので、本作の撮影秘話などを「たけしのオールナイトニッポン」で聞いたことを思い出した。その話の面白かったこと。すげぇ懐かしい(笑

 公開後に観た時は何が言いたい映画なのかよくわからず、坂本龍一がキスされるシーンとラストのタケちゃんのセリフのシーンしか覚えていなかった。

 この歳になって改めて観ると監督が込めた思いが少し理解できるようになった。あれだけ軍人としてのプライドを持っていたタケちゃんが、ラストでは普通の人間に戻ってしまっていたこと。戦争が人を狂わしてしまったこと。ロレンスが語る、相手を責めることのない言葉。だからこそ生きてくるラストのタケちゃんのセリフ。

 

 それでも全てを理解できたわけではない。坂本竜一演じるヨノイの心の揺れはよく理解できない。デヴィットボウイに心を奪われたのは理解できるが、終盤の俘虜たちに対する行動は何だったのだろう。

 

 ラストに流れるテーマ曲はこの映画にふさわしい名曲。タケちゃんの最後のセリフの後に流れるのにふさわしい。そう言えば坂本竜一さんも昨年亡くなってしまったんだなぁ。