探偵はBarにいる

●701 探偵はBarにいる 2011

 「俺」は札幌すすきので探偵をしている。相棒は高田、北大の助手をしており、喧嘩が恐ろしく強い。

 新聞記者松尾からの依頼を片付けた俺は松尾に依頼された写真を渡しにいく。その夜霧島グループ社長霧島敏夫が何者かに撲殺される事件が起きていた。

 俺にコンドウキョウコから電話があり、法律事務所の南から加藤の2月5日の居場所を確認してくれという依頼だった。南に面会した俺はその直後拉致され雪の中に埋められる。高田に助けられた俺は南たちに復讐することを決意する。南の事務所を見張っていたところ、俺を拉致した男たちが現れる。彼らをつけたところ、彼らが花岡組の人間であり、そのアジトのそばに則天道場があった。俺は松尾から花岡組が皆楽会館に放火、犯人の田口はその後口封じで殺されたことを聞き、その放火事件で死亡したのがコンドウキョウコだと知る。

 俺は情報の代償として松尾と飲み歩く。そして高級クラブで沙織というママと知り合う。彼女は霧島社長の妻だった。

 俺はコンドウキョウコのことを調べる。彼女は地上げにあっていたがそれを拒否。彼女に店をもたせてくれたのは足長おじさんだったことを知る。次に俺は田口の家に行き彼の母から話を聞く。貧乏な家庭だが大きなTVがあることに違和感を覚えるが、帰宅した田口の父に追い出されてしまう。俺が次に会ったのはコンドウキョウコの母。彼女の元夫は霧島社長でコンドウキョウコは彼の娘であり、あしながおじさんは霧島社長のことだった。さらに放火事件も霧島社長が殺されたのも同じ2月5日であることを知り、俺は二つの事件が関係していることに気づく。

 俺は昔馴染みのヤクザ相田と出会い、弁護士南のことを聞く。彼は悪徳弁護士であり、花岡組と組んで放火事件も起こしていた。その後俺は偶然田口の父と出会う。彼に田口が則天道場にいたアリバイを父親が知っており、それをネタに金をもらっていただろうと話し、父親はそれを認める。父親は切り札となるテープを持っていた。

 俺は則天道場へ。そこで話を聞くが、俺を雪に埋めた男たちがやってきたので逃げる。コンドウキョウコからの電話依頼で、俺はカトウと会うことに。そこにやってきたのは雪に埋めたあの男たちだった。俺は田口の父が持っているテープのことを思い出し田口の家に行くが、両親ともに射殺されていた。

 自分のせいで田口の両親が死んだことに怒った俺はカトウに会いに行くが、彼は何者かに射殺されていた。俺は相田からの情報で空港へ。ヘリから降りてきたのは関西のフィクサー岩渕とその息子だったが、同乗していたのは沙織だった。沙織は岩渕の息子と結婚する予定らしい。俺は沙織が一連の事件の黒幕だと判断、沙織の店に行き話をする。さらに岩渕たちがいるVIPルームにも乗り込む。

 しかし俺は松尾の行きつけの店の従業員に拉致されボコボコにされてしまう。回復した俺は沙織に会いに行き闘うことを宣言する。

 コンドウキョウコから最後の依頼があり、沙織を小樽へ呼び出し俺も小樽へ向かう。沙織の結婚式前日に彼女がそこに現れる時に一緒にいる人間が決定的な証拠になると告げられた俺は見張りを続ける。しかし沙織は現れなかった。俺はもう一度全てを考え直す。そして沙織がコンドウキョウコであることに気づき彼女に電話をする。彼女は結婚式当日、ある決意を持って式に臨んでいた。彼女からの手紙を読んだ俺は全てを理解する。沙織は式の途中、復讐のため、弁護士南と岩渕親子を射殺し自殺する。

 俺は現場に駆けつけるが全ては終わった後だった。俺はいつものBarに行く。マスターが出してくれた箱を開けるとそれは沙織からのプレゼントの腕時計だった。

 

 

 BS松竹東急でシリーズ3部作を放送するということで鑑賞。

 第1作である本作は前に観たことがあるが、記憶にあるのは松田龍平のカッコよさだけだった(笑 初見時にはあまり思わなかったが、今やスターとなった大泉洋が本作の探偵によく似合っている。必ずしも正義漢ではないが、依頼人を守ろうとする姿勢やコケにした相手に復讐する態度、どんなにボコられても再度立ち向かって行く姿など、どれも大泉洋らしさが出ていたのではないか。

 ただ原作がある話なので仕方ないが、ラスト全てに気づいた俺が沙織との電話で取り乱すのはどうだったか。ハードボイルドに徹しきれていない探偵像はいかにも日本っぽく、そこがちょっと残念だったかも。

 それでも悪役風に見えた西田敏行が善人だったり、裏切り者だと思っていた小雪が復讐のために行動していたり、とストーリー展開はなかなかのもの。高田のボロ車も良いし、喫茶店で俺に絡んでくる女性峰子や結果的に情報屋のような活躍をする相田も良い。当たり前のように松田優作のTVドラマ「探偵物語」を思い出してしまった。

 

 シリーズは後2作品ある。楽しみに観ることにしよう。