探偵はBarにいる3

●708 探偵はBarにいる3 2017

 トラックの運転手が食堂で若い女性と会い、二人はトラックに。道路の先に車が止まっていたため、運転手は拳銃を持って車に近づくといきなり射殺されてしまう。犯人はトラックの荷台の荷物の毛ガニを自分の車へ移し替える。

 その頃探偵の俺はクラブで停電中に店の女性の胸を触った犯人を教頭だと推理で突き止めていた。そこへ高田が後輩原田誠を連れてやってくる。

 誠は俺に彼女である諏訪麗子を探して欲しいと依頼してくる。麗子は突然行方不明となり携帯でも連絡がつかないとのことだった。俺と高田は誠を連れ麗子の部屋へ。家を調べ麗子が金回りがよかったこと、実家には帰っていないこと、ピュアハートという所からの多額の振込があることを突き止める。

 俺は情報屋の客引きにピュアハートのことを尋ねるが彼らは何も知らず。ただ店で騒ぎを起こした教頭が風俗王として知られているので彼ならば何か知っているのではと言われる。教頭からピュアハートがいかがわしいモデル派遣事務所だと聞いた俺はピュアハートへ。そこで麗子の写真を見せるが店員は何も知らないと答える。店の中を探索しているのを見つかった俺だったが、その場にいた女性に救われる。

 ピュアハートのことを飲み屋で高田に話し店を出ると男たちに襲われる。その中には波瑠という男もおり、高田も叶わないほどの強敵だった。俺は男たちの一人、工藤に麗子を調べているのはなぜかと問われケツを刺される。そこへ店にいた女性、岬マリがやってきて俺を助け、自分たちも麗子を心配し探していると話す。

 俺は相田にピュアハートのことを聞こうとするが、またも拉致され真冬の海で船の先頭に縛られパンイチで晒される。相田によれば、ピュアハートは花岡組の息がかかった北城仁也の組織で、密輸した毛ガニを奪われて血眼になって犯人探しをしているとのことだった。相田の桐原組も疑われており、俺は北城には手を出すなと忠告される。

 俺は新聞記者の松尾から北城がおもての世界では経済界のホープとされていること、毛ガニを奪った犯人は足跡から大柄の男だったこと、運転手椿は北城の右腕と呼ばれた男だったが北城と上手くいっていなかったこと、椿が若い女性と一緒だったこと、を聞く。俺は麗子が椿の事件に関係しているらしいと考える。

 俺と高田はピュアハートに侵入、PCから麗子が店のモデルとして働いていたことを知り、マリを張り込む。するとマリは隠れて暮らしていた麗子の家を訪ねる。俺も麗子に会い話を聞くが、北城たちに拉致されてしまい、もう事件に関わるなと忠告される。

 俺はマリのことを思い出す。以前風俗嬢だったモンローの店で働いていた若い女性がマリだった。俺はモンローに会いに行き、マリのことを尋ねる。マリは両親に死に別れたあと男ができ妊娠したが子供を失って自暴自棄になっており、自分の命も軽く考えるような女だった。俺はマリに自分が燃えるような何かを見つけろとアドバイスしていた。

 波瑠は工藤に家へ。しかし工藤は何者かに射殺されていた。俺は松尾から工藤殺害の情報を聞く。工藤は北城の麻薬を盗んだと思われたが、麻薬は見つかっていない。工藤の家に椿殺害現場にあった足跡と思われるブーツが見つかったがいかにも過ぎるとのこと。俺は相田に会い、北城が麻薬を探していること、マリはお金に執着していることを聞く。

 俺は街中でマリと出会う。俺は一連の犯行は全てマリの仕業だと話すが彼女は何も言わなかった。俺はマリと一夜をともにし、彼女が薬を飲んでいることを知る。翌朝マリは去った後で、100万円とともに依頼を引き受けてくれてありがとうとのメッセージが残されていた。そこへ波瑠たちがやってきて俺は北城の店へ連れていかれる。

 そこで麻薬のありかを聞かれ、マリにも裏切られる。しかし高田が救出にきて、マリとともに逃げることに成功する。俺はBarでマリに怒るが、マリは改めて俺に協力を依頼してくる。マリは麻薬を北城に1億円で売りつけるつもりだった。

 俺とマリはトークショーが行われているショッピング施設へ。そこで北城と取引をする。そして金を持って逃げようとしたとき、マリは金を俺に託し、拳銃で場内を混乱に陥れ、北城を殺そうとする。しかし警備に来ていた警官に捕まってしまう。金を持って逃げた俺は北城たちに捕まり金を奪われてしまうが、バッグをすり替えており金は無事だった。

 マリは捕まり麗子も誠の元へ帰ってくる。マリに殺されそうになった北城の店にも操作が入り北城は逮捕される。俺はマリに依頼された病院へ。そこである少女の治療のために1億円を使うことになっていた。俺はその少女がマリの実の娘だと考えたが、少女は何も関係のない少女で、マリが入院していたとき偶然知り合っただけの仲だった。俺はマリのことを考え、彼女がいつかの日か出所し自分の前に現れるのを待とうと思うのだった。

 

 シリーズ第3作にして、現在のところ最終作。

 謎そのものがミステリアスだった第1作、展開が比較的単純だった第2作だったが、本作も前作第2作同様、事件の展開がわかりやすい。冒頭で恋人を探して欲しいと頼まれた探偵である俺が、毛ガニ密輸に絡む殺人事件に巻き込まれていくというもの。

 もっと言ってしまうと、本作は謎が提示されるもののそれが次々と明かされていくイメージ。麗子はマリが匿っていることがすぐに判明するし、一連の毛ガニ〜麻薬強奪もマリの仕業だと早めに明らかにされる。つまり、謎は数多く提示されるのだが、観客がそれを考える間もなく、解決されてしまうのだ。そのため謎解きという意味ではあまり面白くないと感じる。

 

 それでもシリーズ3作目ということもあり、定番パターンとなったシーンはやはり面白い。情報屋でもあるヤクザ相田に俺が拉致されるシーン〜今回は船の先頭でパンイチに、その相田が所属する桐原組組長との短い会話シーン、喫茶店の峰子との絡み、俺と高田の乱闘シーン〜今回は強敵波瑠と高田との格闘が見もの、など。

 

 第2作でラストについて文句を書いたが、本作を観て、このシリーズはラストにヒロインの独白を持って来るのがパターンなのだと気づいた。前の2作に比べると、ヒロインの取った行動は共感ができにくいものだが、そこは昔俺がマリに話した会話のシーンがあるため仕方なし。

 

 本作を観終わった後、劇場公開当時の主役の二人、大泉洋松田龍平のインタビュー記事を読んだ。本作は脚本の出来に納得がいかなかった大泉洋が脚本を練り直した結果、公開が2年遅れたらしい。第1作が2011年、第2作が2013年、本作が2017年公開なのはそういった理由のようだ。ということは2019年に第4作があってもおかしくないのだが…。

 物語終盤、相棒である高田の学校の移籍の話が明かされ、シリーズの終わりを匂わせるが、映画の本当のラスト〜エンドロールの後、それに関するオチが明かされる。このオチがあったということは、製作陣はまだまだこのシリーズを続けるつもりがあったということなのだろう。しかし第4作が製作されていないのは、やはり大泉洋が大物になり過ぎたからなのだろうか(笑

 

 いつか第4作が作られることを期待しておこう。