刑事スタスキー&ハッチ 第1シリーズ #20 愛の思い出はかくも美しい

●刑事スタスキー&ハッチ 第1シリーズ #20 愛の思い出はかくも美しい

 

あらすじ

 スタハチは管轄内で事件を起こした連続強盗犯のことを調べ始める。次の事件が起こるが、その被害者はスタスキーの同級生シャーマンだった。かつて有名なモデルとして活躍していたシャーマンは1年前に失踪していた。シャーマンを見つけたスタスキーはマスコミに嗅ぎつけられないようにシャーマンを自宅で匿うことに。しかし強盗犯は顔を見られたシャーマンの命を狙い始める。

 

ストーリー

 アパートに一人の女性が帰ってくる。しかし部屋には強盗がおり、襲われてしまう。

 スタハチはある人物を探していた。それはキーコという11歳の少年で、彼は仲間たちとともに川べりにいた。ハッチはキーコの兄貴がわりとして付き合っていたが、警官と付き合いがあると友人たちに嫌われることを恐れたキーコはハッチとの付き合いを辞めようと考えており、ハッチはそれを受け入れ去っていく。

 署に帰ったスタハチはドビー主任からウエストサイドの強盗が管轄内で事件を起こしたと知らされる。ドアの開け方が同じなので同一犯だとのこと。1ヶ月半の間に殺人3件、強盗17件をしており、安アパート専門の強盗だった。

 その強盗が次の獲物を狙っていた。ドアをバールでこじ開ける方法である部屋を狙ったが住人がいて失敗。別の鍵がかかっていない部屋へ忍び込むが、住人の女性が寝ていたため、静かに金を探す。ベットサイドにブレスレットがあったためそれを取ろうとした際女性が起きてしまい騒がれ逃走する。アパート中が騒ぎとなり、先に侵入されそうになった住人が警察を呼ぼうとするが、襲われた女性は何も盗まれてないと言って警察を呼ぶことを拒む。

 街をパトロールしていたスタハチに通報が入る。強盗が故買屋パックと盗品のブレスレットの金額のことでもめていた。スタハチが現場に向かうが強盗はパックを射殺し逃走してしまう。現場でスタさんは殺されたパックが持っていたブレスレットを見つける。そこには「シャーマンへ トニーより」という文字が刻まれていた。シャーマンとはNYで活躍していたモデルだが、1年前に失踪した、その時に身につけていたものだと話し、スタさんはシャーマンの中学の同級生で、13歳のスタさんには天使に見えたと語る。しかしそのシャーマンは夜の街をさまよっていた。

 その頃強盗はモーテルに女とおり、怪我を治療してもらっていた。女はもうこの街はヤバいのでリノへ逃げようと話すが、強盗は認めなかった。ブレスレットを盗んだ部屋にいた女性に顔を見られていたためだ。

 署に戻ったスタハチはドビー主任から、ブレスレットがシャーマンのものであること、シャーマンの母親に連絡したが病気だと知らされ、シャーマンを探すことと強盗犯を捕まえることを命じられる。

 強盗の女はシャーマンのアパートでシャーマンが留守であること、夜は飲み歩いていることを確認する。強盗はシャーマンが帰ってくるのを待つことに。スタハチにはフィーターバーでオレンジの女性が待っていると通報が入る。スタハチはオレンジの女性に会い、シャーマンが写真とは異なりげっそりとして別人のようだった、10分前までこの店にいたと話す。そしてシャーマンが落とした部屋の鍵をもらう。

 その頃シャーマンはアパートへ戻る。それを強盗が見ており、彼女の部屋へ。スタハチが駆けつけ、強盗は逃げる。スタさんはやつれたシャーマンを見て驚くが、彼女が酒を飲もうとするのを止める。そして逃げて行った男がが昨夜押し入った強盗だと聞く。ハッチはシャーマンを警察へ連れて行こうとするが、スタさんはそれに反対する。スターだったシャーマンを警察に連れて行けば、マスコミの餌食になるためだ。それでもハッチはスタさんを説得しようとするが、スタさんは認めず、自分の家へ連れて行くと話す。

 スタさんの家についたシャーマンだったが、酒を求める。しかしスタさんは酒を飲ませない。スタさんは警官だと名乗り元のシャーマンに戻すと話すが、それを聞いたシャーマンは浴室のカミソリで自殺しようとする。スタさんはそれも止めシャワーを一緒に浴びる。

 署ではドビー主任が休んでいるスタさんのことをハッチに聞く。さらに強盗犯の報告書がデタラメであることを怒るが、ハッチは放っておけば解決すると答える。ハッチは友人に借りた服を持ってスタさんの家へ。ハッチはスタさんの母親がシャーマンが軽された雑誌を送ってくることやスタさんの卒業アルバムの話を聞く。ハッチは主任が怒っていると伝えるが、スタさんはシャーマンのことを話し出す。彼女の身内に不幸が連続して襲いその結果、シャーマンは自分の周りの人間が不幸になると思い込んで失踪してしまったとのことだった。ハッチはシャーマンは証人だと話すが、スタさんはシャーマンがシャキッとしたら連れて行くと答える。ハッチは覚悟はできているのかと尋ね、スタさんは頷く。ハッチが去った後シャーマンは悪夢を見て叫ぶ。スタさんはシャーマンに父が自殺した理由を述べ、シャーマンのせいではないと話し、彼女を慰める。

 警察で働くスミティが強盗に電話をし、情報を教えるので金を用意しろと話す。スタさんのおかげでシャーマンが少しずつ回復していく。スタさんは中学の同級生だったことをシャーマンに話すが、彼女は何も覚えていなかった。強盗はスミティを殺しシャーマンの居場所であるスタさんの家の住所を手に入れる。

 ハッチはヒョロ松から殺された故買屋パックと取引をしていたテキサスキッドと留置場で会う。テキサスキッドは強盗とリノで一緒だったこと、バーンという名前でヒドい悪党だったこと、3週間前に豚箱でパックに紹介したことを聞き、さらにバーンがウエスタンというモーテルにいることを聞き出す。

 スタさんはシャーマンに母親へ電話するように話す。電話したらここにいられなくなるとシャーマンは話すが、スタさんはそれでも電話するように言う。そこへハッチから連絡が入り、強盗がウエスタンにいると聞きスタさんは出かける。シャーマンは母親に電話をする。

 スタハチはウエスタンモーテルへ。もぬけの殻だったが、そこでスタさんの手帳を見つける。デスクにあったもので、スタさんの自宅が記載されていた。スタさんは自宅へ電話をするが、シャーマンはシャワーを浴びていて出ることができなかった。二人は急いでスタさんの自宅へ向かう。

 バーンと女はスタさんの自宅へ。バーンはいつもの手口でドアを開けるがシャーマンがそれに気づき反撃。バーンは裏口から家へ侵入、シャーマンは玄関から逃げるが女に撃たれそうになる。そこへスタハチが駆けつけ、ハッチがバーンを射殺する。

 スタさんはシャーマンを車で母親の屋敷へ送る。シャーマンは別れたくないと話すが、スタさんは別れようと告げる。彼女があいたいくなったらと聞くとスタさんは鍵はマットの下だと答える。シャーマンは母親に再会、スタさんを紹介しようとするがスタさんは車で去って行ってしまう。

 ハッチの家。スタさんは電話で母親にシャーマンのことを話していた。スタさんの母親はシャーマンのサインをもらわなかったことを怒っていた。そこへキーコがやってくる。兄と喧嘩したというキーコはハッチに代わりの兄さんになってくれると頼む。そして3人はドビー主任へのイタズラのための紙を作るのだった。

 

今回の登場人物

連続強盗犯バーン

最初の被害者

ハッチの知り合いの子供キーコ

連続強盗犯の被害者となったシャール 右は以前の写真

バーンの女エラ

故買屋パック 右

シャーマンの情報を伝えるオレンジ

バーンに警察情報〜シャーマンがスタさんの家にいる〜を流すスミティ

バーンの情報をハッチとの取引に使うテキサスキッド

シャーマンの母親とその夫

 

今回の捜査

バーン1件目の強盗 住人が帰宅したのに気づき彼女を襲う

キーコとその友人たち

キーコと話すハッチ

次の獲物を探すバーン

ドアを開けることに成功するが、住人がいて失敗

シャーマンの部屋に侵入し、金を探すバーン

ベッドの枕元にブレスレットを発見

しかしシャーマンが気づき、バーンともみ合いになる

シャーマンの部屋から逃亡するバーン

警察に通報しようとする住人を止めるシャーマン

故買屋パックの家

パックとバーンがブレスレットの値段で揉める

通報を受け、パックの家へ来たスタハチ、銃撃戦となる

スタさんはパックが持っていたブレスレットを発見 「シャーマン」の文字が

モーテルで話をするバーンとエラ

シャーマンのアパートで聞き込みをしたエラはバーンにシャーマンのことを伝える

オレンジがいた店と彼女が持っていたシャーマンの鍵

アパートに帰って来たシャーマンを襲うバーン

駆けつけたスタハチがシャーマンを救う

窓から逃亡するバーンを追うハッチ

スタさんはシャーマンを確保

ハッチはシャーマンを警察に連れて行かないと言うスタさんを説得しようとする

 

スタさんの家で眠るシャーマン

ハッチはシャーマンを匿っているスタさんの家へ 

友人に借りた女性の服を持ってくるハッチ

ハッチはシャーマンがモデル時代に出ていた雑誌を見つける

スタさんの家で回復に向かうシャーマン

警察で働くミスティは情報を得たとバーンに連絡

ミスティとバーンが会ったモーテル

ハッチはヒョロ松からバーンに関する情報を持っているテキサスキッドを紹介される

すっかり回復したため、母親に電話するようにスタさんに言われるシャーマン

スタさんに言われて、母親に電話をするシャーマン

スタハチはバーンのモーテルへ行くが、もぬけの殻 さらにスタさんの手帳を発見

そこにはスタさんの住所が記載されていた

スタさんが電話をするが、シャワー中のシャーマン

スタさんの家へ来たバーンとエラ

玄関ドアから侵入しようとするバーンにシャーマンが反撃

スタハチが駆けつける

逃げようとするバーンをハッチが射殺

母親の家へ帰るシャーマンを車で送るスタさん

 

ハッチの家 キーコが仲直りをしにやってくる

 

 

今回のカッコ良いスタさん 現場編

 強盗事件を追っていたスタハチ。しかしスタさんは被害者が中学時代の憧れの同級生シャーマンだったとブレスレットを見て気づいていた。そしてそのシャーマンと対面するが、その変わり果てた姿を初めて見た時に驚く

 さらにシャーマンは警察に連行しようとするのを拒む。そんなシャーマンをベッドに押さえつけ、言うことを聞かせようとするスタさん

 ハッチがシャーマンを警察へ連行しようとスタさんを説得しようとするが、スタさんはシャーマンの立場を考え、それを全く受け付けない。それに驚くハッチと冷静なスタさん

 スタハチはいろいろとムチャをするのは普通だが(笑 事件の証人であり、犯人に襲われる危険がある証人を警察へ連行せず自宅に匿おうとするスタさん。男だねぇ。

 

今回のカッコ良いスタさん 自宅編

 スタさんはシャーマンを自宅へ連れ帰る。協力的な態度を取るわけではなく、酒を飲みに出かけようとするのをスタさんは止める。そしてスタさんが警官だと知ったシャーマンは浴室でカミソリを見つけ自殺を図ろうとする

シャーマンを抱きしめ、落ち着かせるためにシャワーを一緒に浴び頭を冷やさせる

 以前、ヤク中になったハッチの話があったが、今回は落ちぶれた姿を世間に晒したくないシャーマンが警察に連れて行かれそうになり自殺を図る。それを全力で止めるスタさん。いつものフワッとした髪型がシャワーでペチャンコになっているのがわかる。

 

今回のカッコ良いスタさん 電話編

 自宅で回復したシャーマンと話すスタさん。いい感じになる二人だったが、お約束でそこへ電話がかかってくる。体制を変えずにその電話に出るスタさん

  連続写真で。(1)左上 後ろにある電話を見ずに手を伸ばす (2)右上 受話器を持ち上げ (3) 左下 受話器を前に持って来て (4) 右下 普通に話す

 

 何気ない動作だが、ちょっとカッコ良い。今はスマホなのでこんな動作はできないのが悲しい

 

今回のカッコ良いスタさん 慰め編

 スタさんの自宅で静養していたシャーマン。しかしベッドで寝ている時に悪夢を見て叫んで起きてしまう。スタさんは駆けつけ、真実を述べシャーマンのせいで周りが不幸になっているわけではないと語る。

 それを聞いてシャーマンをスタさんをビンタする

 それでもシャーマンは自分が触れた人は死んでしまうと嘆くが、スタさんは自分に触ってみろ、俺は死なないからにこやかに話す

 このやり取りでシャーマンはスタさんのことを完全に信頼するようになる

 

今回のカッコ良いスタさん ラスト編

 事件が解決し、シャーマンは母親の元へ帰ることに。しかし彼女はそれがスタさんとの別れを意味していることに気づいていた。送って行く車の中の二人

 シャーマンは別れたくないと話すが、スタさんは別れようと告げる。彼女が会いたくなったらと聞くとスタさんは鍵はマットの下だと答える。

 

シャーマンは母親に再会。そしてスタさんを紹介しようとするがスタさんは車で去って行ってしまう。

 うーん、カッコ良すぎだ、スタさん。

 

今回のイタズラとオチ

 スタハチを呼んだドビー主任。そこへ電話がかかり、ハンバーガーとミルクの注文をされ激怒する。

 主任は自分の電話番号が書かれた紙をスタハチに見せる。そこにはスナック出前迅速と書かれており、主任はスタハチの仕業ではないかと疑う。

 もちろんスタハチは自分たちではないと答えるのだが…。この主任の電話シーンは劇中にもう一度発生。そしてラスト…

 ハッチの家に来たキーコはハッチと仲直りをするが、その後スタハチがやっているイタズラを手伝うことに。

 今度は電話番号を変えたドビー主任の番号を使った、新たなイタズラで、今度は配管工事サービスの連絡先として主任の番号を記載した紙を作っていたのだった。

 今度は水道屋?!と驚くキーコとそれを聞いて笑うスタハチ

 

 そして主任の部屋にまた電話がかかる。トイレが詰まったから直せ?バカ野郎、水道屋じゃない!と叫ぶドビー主任だった

 

今回のオマケ

 ドラマ冒頭、キーコに会いに行ったハッチは彼と別れてスタさんとともに去って行くが、そのハッチの車の後部がアップとなる。そこには…

 COPS NEED LOVE TOO(警察にも愛は必要だ)

 この頃アメリカでは警察が相当嫌われていたんだろうと思わせる(笑

 

今回のまとめ

 スタさんの同級生が事件に巻き込まれ、その同級生はかつてスタさんの憧れだった人だったというストーリー。有名人だった過去を持つがいまは酒で落ちぶれているためスタさんが彼女を自宅に匿うが、いつしか二人に愛が芽生え始める。しかし事件が解決し彼女は元の生活に戻って行く、という悲しいラブストーリーだった。

 スタさんの彼女といえば第10話「俺が愛した女を殺したヤツ」ではスタさんの昔の彼女が殺されるという事件があったが、そちらは既に別れた彼女だったため、今回の話の方が悲しさは大きいのでは。

 彼女が元の姿に戻るのに協力し、それでもラストは彼女との別れと決意するスタさんがカッコ良い。スタハチシリーズでは、ハッチが女性にモテる役割で、スタさんはいわゆる女難の相が出ているタイプ、というのが定番だが、時にはこんな話もあったのね。

 

 翻訳について。50年前のシリーズということもあり、このシリーズでは翻訳と原語が異なることが多いのだが、今回の話では相当翻訳が異なっている点が。

 シャーマンが1年前に失踪しているのだが、その理由。劇中では周りの人間が不幸になっていくのに気づいたということになっている。

 スタさんが語る内容では、「父親が戦死、母親は再婚したがその相手が自殺」したためであり、「ブレスレットに書かれたトニーは父親のこと」とされている。

 しかし字幕(原語に忠実に訳したものと思われる)を読むと、「シャーマンの夫が戦死、再婚したがその夫が自殺(自殺理由は金の使い込み)」となっている。つまり「ブレスレットに書かれたトニーは夫の名前」と思われる。

 つまり、原語ではシャーマンが不幸にしたと思っていたのは結婚した二人の男性であり、父親(義父)ではない。原語の方、つまり夫が亡くなったから、としたほうが説得力があるのだが、今回の話がスタさんとの恋物語となるため、シャーマンが結婚していたことに隠すために、こんな改変をしたのだろうと思われる。

 この話を裏付けるのが、ラストでシャーマンが家に帰ったシーン。スタさんのセリフ通りならば母親の再婚相手も死んでいるはずだが、彼女を出迎えた母親の隣には夫らしき人物が写っている。

 まぁシャーマンが未婚?と思っていた方が、見ているこちらもスタさんとの恋を応援したくなるからね。

 

 ドビー主任へのイタズラはさすがに笑ったが、今回は規則を破る行動を取ったスタハチを目をつぶって見ていてくれたオヤジさんに対してちょっとヒドくない?笑 前回の話でもFBIに対して二人を庇ってくれたばっかりなのに。でもまぁスタハチとオヤジさんの仲の良さを象徴するイタズラということなのだろう(笑

 シリーズもあと2話を残すだけとなってしまったが、楽しんで見ることにしよう。