逆説の日本史1 古代黎明編 井沢元彦

●逆説の日本史1 古代黎明編 井沢元彦

 以下の5章からなる。

 序論 日本の歴史学の三大欠陥
 第一章 古代日本列島人編-日本はどうして「倭」と呼ばれたのか
 第二章 大国主命論-「わ」の精神で解く出雲神話の〝真実〟
 第三章 卑弥呼編-女王殺害と紀元二四八年の重大事件
 第四章 神功皇后編-邪馬台国東遷説を裏付ける宇佐神宮の拝礼方法
 第五章 天皇陵と朝鮮半島編-日本人のルーツと天皇家の起源

 

 以前このシリーズの10巻を読んだが、長時間の旅をすることになり、このシリーズを最初から読んでみようと思い選んだ一冊。

 

 とにかく面白く、序論からグイグイと引き付けられてしまった。歴史学の専門家の弱点を具体的な例をあげて指摘する序論。

 第1章では、「和」こそが日本において最も大切にされて来たことだと論じ、その理由を聖徳太子の17条憲法の最初の3章で説明する。1章が「和」、2章が「仏教」、3章が「天皇」、をそれぞれ取り上げており、その順番に著者は着目している。

 第2章では、国譲りでの出雲大社建設?を取り上げ、「タタリ」を恐れた日本人を説明。第3章では、卑弥呼の最後を日蝕の日時を用いて論じる。第4章では、邪馬台国と大和の関係を論じ、道鏡の宇佐八幡神託事件を用いて、宇佐神宮の存在意義を語る。そして第5章では、宮内庁が古墳を調査させない理由について推察。

 

 古代に関する本を何冊か読んだりしてきたので、本作で述べられるいくつかの説については知っているものもあったが、それらを統計立てて論じる本作はやはり面白かった。10巻の感想でも書いたが、多少強引と思える論理展開もあったが、なぜそう考えるのかという著者の論理展開を丁寧に説明している部分も多いため、概ね納得できてしまう。

 

 一冊のボリュームが多く読み終えるまで時間がかかるのが難点だが、面白さには負ける。時間はかかるだろうが、引き続きシリーズの続きを読んでいきたい。